扁平タイヤはどこから?知っておきたい扁平率の見方やメリット・デメリット
ここでは、扁平タイヤの特徴や扁平率の求め方のほか、メリット・デメリットについて解説。さらに、低扁平のスポーツタイヤをラインナップしているおすすめのブランドを紹介します。
扁平タイヤ(ロープロファイルタイヤ)とは?
扁平タイヤとは、タイヤの平べったさを表す扁平率が低いタイヤのことで、扁平率が低くなるにつれて縦に薄くなる一方、横幅が広くなるのが特徴。一般的に55%以下の低扁平なタイヤを扁平タイヤといいます。
また、プロファイル(断面形状)が潰れたように薄いことから、ロープロファイルタイヤ(Low Profile Tire)とも呼ばれています。
ホイールが大きく見えるためドレスアップに人気の扁平タイヤは、主にタイヤの外径を変えずリム径を大きくする「インチアップ」や、リム径を変えずに扁平率を下げる「セイムリム扁平化」などの方法によってタイヤを薄くします。
タイヤの扁平率の計算式
タイヤの偏平率はタイヤ幅に対するタイヤの高さの比率のため、「タイヤの断面高さ÷タイヤの断面幅×100」という計算式で算出することができます。
また、タイヤの扁平率は、サイドウォールに刻印されているタイヤサイズの中にも記載されています。タイヤサイズには、タイヤに関するさまざまな情報が含まれているので、見方を知っておくと便利です。
タイヤサイズ表記の扁平率の見方
それでは、トヨタのスポーツカー「86」のエントリーグレードのタイヤサイズを参考に、タイヤの扁平率やその他の情報について確認しておきましょう。
このタイヤサイズを見ると、扁平率が55%の扁平タイヤだということが分かります。また、タイヤ断面幅が205mmで、リム径が16インチです。
また、ロードインデックスとは、タイヤ1本で支えられる最大負荷能力(Kg)を示す指数で、スピードレンジとは、タイヤが走行できる最高速度(km/h)を記号化したものです。詳細については、ブリヂストンやダンロップなどの各タイヤメーカーのサイトで確認することができます。
なぜスポーツカーに扁平タイヤを履かせるのか?
扁平タイヤは、TOYOTA86のほかにも多くのスポーツカーに標準装備されています。例えば、日産のR35 GT-Rはフロントが「255/40ZRF20」で、リアが「285/35ZRF20」ですし、ホンダのシビックタイプRに至っては「245/30ZR20」という薄いタイヤを装備しています。
スポーツカーがこのような薄いタイヤを履く理由には、ハイスピードのコーナリングで横方向に大きなGがかかった際、たわみやねじれが起こりにくい低扁平タイヤの方が、強力な横剛性を発揮できるため、より大きいコーナリングフォースを確保できることがあげられます。
また、接地面が横に広いことで、横方向に対してしっかりとグリップできる点も扁平タイヤの強みとなっています。
一方、高扁平タイヤを装備しているのが、SUVなどの悪路を得意とするオフロード車です。ジープラングラーは「245/75R17」、スズキのジムニーJB64は「175/80R16」と、車体の大きさにかかわらず高扁平なタイヤを装備しています。
主に路面とグリップさせる舗装路に対して、泥濘地や砂利道などのオフロードでは荷重によってトラクションを得るため、広く接地できる高扁平のタイヤの方がオフロード車に向いているのです。さらに、接地面が縦長のため、マッド路面でも縦方向に強力なグリップを発揮します。
扁平タイヤが運転に与える3つのメリット
扁平タイヤを履くと見た目がカッコよくなるため、手軽にできるドレスアップとして人気ですが、メリットはそれだけではありません。扁平タイヤでは、見栄えのほかに次のようなメリットがあります。
1.リニアなハンドリングレスポンス
扁平タイヤの場合、接地幅が広いほか、たわみやよじれがなくなることによって、ハンドリングが良くなります。「リニアにスピードアップする」「ハンドルを切ると素直に曲がる」など、車が思い通りに反応してくれるはずです。
2.コーナリング性能の向上
扁平化によってサイドウォールが低くなると横剛性が高くなるため、横方向にGがかかるコーナリングで強力なグリップ力を発揮します。コーナリング性能が上がることで、コーナリングがシャープになるほか、カーブでの安定感が高まります。
3.ブレーキング性能の向上
扁平タイヤは、ブレーキを踏んだ時にタイヤのたわみによって変形しにくいことから、安定した状態でしっかりと止まることができます。また、ブレーキを踏んでから摩擦が発生するまでの時間が短いことも、ブレーキ性能に影響します。
注意すべき扁平タイヤのデメリット
扁平タイヤはタイヤ薄いことにより、高扁平なタイヤにはないデメリットがあります。偏平タイヤに交換する際は、次のようなデメリットがあることを知っておくことが大切です。
- 低扁平になるほど価格が高い
- 足回りが硬くなる
- 段差でリムが傷みやすい
- ロードノイズが大きくなる
- 燃費に影響を与える
薄いタイヤを作るためには生産コストが割高な上、強度を保つためにもコストがかかるため、高扁平タイヤに比べると価格が高くなってしまいます。また、タイヤが薄いと路面の影響を受けやすくなることから、乗り心地が悪いと感じられるかもしれません。
さらに、タイヤが薄いと、どうしても段差を無理に越えようとした際に、リムが先に当たることでホイールを傷めてしまうことがあるため、注意が必要です。
そのほかに、接地幅が広くなる分、パターンノイズやロードノイズが大きくなってしまうのに加えて、転がりが悪くなってしまいます。転がり抵抗が大きくなることによって、結果的に燃費性能に影響する可能性があります。
扁平タイヤがラインナップされているおすすめスポーツタイヤブランド
ここでは、扁平率が30%前後の超扁平タイヤを中心におすすめのタイヤブランドをピックアップ。運動性能の高いスポーツタイヤやトータル性能に優れたハイスペックタイヤなどが揃っています。
BRIDGESTONE|POTENZA(ポテンザ)
ポテンザはリアルスポーツタイヤ「RE-71RS」のほか、プレミアムスポーツタイヤ「S007A」、カジュアルスポーツタイヤ「アドレナリンRE004」を展開
ブリヂストンの「POTENZA」シリーズでは、「POTENZA RE-71RS」が30/35/40/45/50/55/60、「POTENZA S007A」「Adrenalin RE004」がそれぞれ30/35/40/45/50/55をラインナップしています。
YOKOHAMA|ADVAN(アドバン)
アドバンはプレミアムな「ADVAN Sport V105」に加えて、スポーティな「A052」「ネオバ」「フレバ」やコンフォートな「デシベル」を展開
ヨコハマの「ADVAN」シリーズでは、「ADVAN Sport V105」が25/30/35/40/45/50/55/60/65、「NEOVA AD08R」が30/35/40/45/50/55/60、「FLEVA V701」が30/35/40/45/50/55をラインナップしています。
DUNLOP|DIREZZA(ディレッツァ)
ディレッツァはサーキット走行を楽しむための「DIREZZA ZⅢ」と快適性能を高めた「DIREZZA DZ102」の2つのタイプを展開
ダンロップの「DIREZZA」シリーズのうち、「DIREZZA ZⅢ」と「DIREZZA DZ102」のどちらも30/35/40/45/50/55/60をラインナップしています。
TOYO TIRES|PROXES(プロクセス)
プロクセスはハイパフォーマンスな「プロクセス スポーツ」や機能性に優れた「C1S」「CF2」のほか、「T1 スポーツ」「R1R」「R888」などのスポーツタイヤを展開
トーヨータイヤの「PROXES」シリーズでは、「PROXES Sport」が30/35/40/45/50/55、「PROXES Sport SUV」が30/35/40/45/50/55/60/65、「PROXES T1 Sport」が30/35/55、「PROXES R888R」が30/35/40/45/50/55/60をラインナップしています。
FALKEN|AZENIS(アゼニス)
アゼニスはスポーツカー向けのスポーツタイヤ「RT615K+」やプレミアムタイヤ「FK510」のほかランフラットタイヤやSUV向けタイヤを展開
ファルケンの「AZENIS」シリーズでは、「AZENIS FK510」が25/30/35/40/45/50、「AZENIS RT615K+」が35/40/45のサイズシリーズをラインナップしています。
MICHELIN|PILOT(パイロット)
パイロットはスポーツカー向けの「スポーツ4S」「スーパースポーツ」「スポーツカップ2」「スポーツPS2」などのほか、セダンやステーションワゴンにも対応するタイヤを展開
ミシュランの「PILOT」シリーズでは、「PILOT SPORT 4S」「PILOT SUPER SPORT」が25/30/35/40/45、「PILOT SPORT CUP 2」が30/35/40/45、「PILOT SPORT PS2」が30/35/40/45/50/55をラインナップしています。
CONTINENTAL|ContiSportContact(コンチスポーツコンタクト)
コンチスポーツコンタクトは「スポーツコンタクト6」のほか「コンチコンタクト5P」や「コンチコンタクト5」などのスポーツタイヤを展開
「ContiSportContact」シリーズでは、「SportContact 6」が25/30/35/40/45、ContiSportContact 5Pが30/35/40/45、「ContiSportContact 5」が35/40/45/50/55/60をラインナップしています。
GOODYEAR|EAGLE(イーグル)
イーグルはフラッグシップモデルのハイパフォーマンスタイヤ「F1 ASYMMETRIC 5」をはじめ、「RS SPORT S-SPEC」「REVSPEC RS-02」などのスポーツタイヤのほか、ミニバン向けの「RV-F」やドレスアップ用の「#1 ナスカー」などを展開
グッドイヤーの「EAGLE」シリーズでは、「EAGLE F1 ASYMMETRIC 5」が30/35/40/45/50/55、「EAGLE RS SPORT S-SPEC」が35/40/45/50/55/60、「EAGLE REVSPEC RS-02」が35/40/45/50/55をラインナップしています。
PIRELLI|PZERO(ピーゼロ)
ピーゼロは「P ZERO」をはじめ、レース用の「コルサ」や「コルサシステム」のほかUHPタイヤの「ネロ GT」や中~大型向けの「ロッソ」などを展開
ピレリのP ZEROシリーズでは、「P ZERO」が25/30/35/40/45/50/55、「P ZERO CORSA」が25/30/35、「P ZERO CORSA SYSYTEM」が25/30/35/40、「P ZERO NERO GT」が25/30/35/40/45/50/55、「P ZERO ROSSO」が30/35/40/45/50/55/60をラインナップしています。
NITTO|INVO(インヴォ)/NT555 G2/NEO GEN
NITTOは「インヴォ」や「NT555 G2」のほか「ネオテクGEN」などの静粛性や乗り心地に優れたUHP(ウルトラ・ハイ・パフォーマンス)タイヤをラインナップ
ニットーの乗用車用タイヤの中で、「INVO」が25/30/35/40/45、「NT555 G2」が30/35/40/45/50、「NEO GEN」が30/35/40をラインナップしています。
NANKANG|Sportnex(スポーツネックス)
スポーツネックスはセダンやスポーツカー向けの耐久性に優れた「NS-2」や快適性の高い「NS-20」に加えて高い操作性を発揮する「NS-25」などを展開
ナンカンのSportnexシリーズでは、「NS-2」が30/35/40/45/50/55/60、「NS-20」が30/35/40/45/50/55/60/65、「NS-25」が25/30/35/40/45/50/55/60/65をラインナップしています。
KUMHO TIRE|ECSTA(エクスタ)
エクスタはサーキット向けの「V700」「V710」やストリートもサーキットも走行できる「V720」のほかスポーティな走りの「PS91」「PS71」「LEスポーツ」等をラインナップ
クムホの「ECSTA」シリーズでは、「V710」が30/35/40/45/50、「V700」が30/35/40/45/50/55/60、「V720」と「PS71」が30/35/40/45/50/55、「PS91」が30/35/40/45、「LE Sport」が30/35/40をラインナップしています。
扁平タイヤの空気圧はこまめな点検を
扁平タイヤは、サイドウォールが薄くたわみにくいことから、見た目では空気圧の低下を判断できません。そのため、月に一度はチェックして、適正な空気圧を維持することが大切です。
空気圧不足は、扁平タイヤの特長でもある操縦安定性が損なわれるだけでなく、摩耗ライフや燃費の低下につながります。また、ハイドロプレーニング現象やバースト、コード切れが起こりやすくなるのです。
自然空気漏れが気になる場合は、窒素ガスがおすすめです。窒素ガスは難燃性の上、透過性が低いことから、空気に比べて抜けにくいため空気圧を長く保つことができます。