Sタイヤの特徴

Sタイヤとは?公道も走れるセミレーシングタイヤおすすめ10選

溝が少ないSタイヤは、大きな接地面積とコンパウンドによって、高次元のグリップやコントロール性能を発揮。スリックタイヤのような高い運動性能に、日常使いの利便性が加わったSタイヤとは、どのようなタイヤでしょう。

Sタイヤとは?公道も走れるセミレーシングタイヤおすすめ10選

Sタイヤは公道を走ることができるレーシングタイヤ

Sタイヤとは、競技用に開発されたラジアルタイヤの一種で、メーカーによってセミレーシングタイヤやセミスリックタイヤと称されることから、Sタイヤと呼ばれています。

ここでは、Sタイヤと一般的なラジアルタイヤやスリックタイヤとの違いや使用上の注意点のほか、おすすめのSタイヤブランドを紹介。

なお、スリックタイヤについては、こちらのスリックタイヤの特徴をご覧ください。用途や交換時期などのスリックタイヤの特徴のほか、おすすめのスリックタイヤブランドについて解説しています。

知っておきたいSタイヤの特徴

スリックタイヤが公道での走行を認められていないのに対し、一般公道を走ることができるのがSタイヤの一番の特徴です。また、シーランド比が3~4割の一般的な夏タイヤに対して、Sタイヤは溝面積率が低いことから高い剛性を発揮するほか、スリックタイヤのように摩擦熱で溶かしてグリップさせます。

一つの銘柄に複数のコンパウンドが用意されているのが一般的で、ジムカーナ用やサーキット走行用などの競技によって分けられるほか、低温域/中温域/高温域のような路面温度によってソフト(S)、ミディアム(M)、ハード(H)などから選んで使用します。

一方、普通のラジアルタイヤに比べると静粛性や快適性が劣るほか、溝面積率が低い分、濡れた路面を走行する際にハイドロプレーニング現象が起こりやすいため、基本的に雨天では使用できません。

さらに、スリックタイヤと同様に、グリップにより摩耗しやすいため寿命が短く、気温が下がるとパフォーマンスが低下するだけでなく、ひび割れや亀裂が起こりやすいことから、気温が低い時期は冬タイヤに履き替えるほか、低温下での保管には注意が必要です。

Sタイヤの主な用途

ドライ路面で優れたグリップ力を発揮するSタイヤは、ロードレースやジムカーナ、ターマックラリーのような舗装路で行われる競技で使われます。

そのほかには、鈴鹿や筑波、富士スピードウェイのようなサーキットで行われている走行会や練習会での使用も。ライセンスが必要とされる本格的な競技と違って、基本的に規定を満足していれば参加できるため、初心者にはおすすめです。

ただし、競技によってはSタイヤの使用が禁止されているほか、86/BRZ Raceのようなワンメイクレースでは、使用できるタイヤ銘柄が指定されている場合があります。

Sタイヤの使用上の注意

Sタイヤと他のタイヤを混用すると、運動性能だけでなく操縦性や安定性が低下する可能性があるため、あくまでも4本同時の使用や交換がのぞましいほか、サーキット走行後に公道を走る際は、必ず冷えた状態で規定の空気圧に調整する必要があります。

また、Sタイヤは公道を走ることができることから、サーキットと自宅を往復したり、デイリーユースのタイヤとして使ったりと用途が広がりますが、公道ではくれぐれもスピードの出しすぎに注意し、法定速度を遵守しましょう。

特に、低温下やウェット路面での使用は避け、やむを得ず濡れた路面を走行する場合は、スピードを十分に落として慎重に運転する必要があります。

Sタイヤの国内・海外ブランドのおすすめ10選

ブリヂストン・ダンロップ・ヨコハマ・トーヨータイヤの国内4大メーカーや、ミシュラン・ピレリの欧州メーカーに加えて、台湾のナンカン・フェデラルや韓国のハンコック・クムホなどのアジアンタイヤメーカーのSタイヤを紹介していきます。

BRIDGESTONE|POTENZA RE-11S(ポテンザ RE-11S)

ポテンザRE-11Sのリニアなハンドリングに加えて鋭角化されたショルダー部がステアリングレスポンスを向上ポテンザRE-11Sのリニアなハンドリングに加えて鋭角化されたショルダー部がステアリングレスポンスを向上

ブリヂストンの「POTENZA RE-11S」は、モータースポーツ競技で優れたパフォーマンスを発揮するSタイヤです。特徴的なシームレスステルスパタンが、ドライ路面でのグリップ性能とウェット路面での排水性を両立します。サーキット走行用のRH/RSとジムカーナ競技用のWS/WHの4タイプのスペックが選べるほか、サイズは14~18インチ、タイヤ幅は185~265mmをラインナップ。

YOKOHAMA|ADVAN A050(アドバン A050)

人気のSタイヤ アドバンA050アドバンA050のA048から受け継いだ高いハンドリング性能によってレーシングカーの思い通りの走りを実現

ヨコハマの「ADVAN A050」は、ジムカーナ競技・サーキット走行用タイヤです。優れたコーナリング性能や制動性能、トラクション性能が走行中の安全性を高めます。コンパウンドは、ジムカーナ専用の「G/2S」「G/S」とサーキット走行用の「M」「MH」の4種類で、サイズは13~18インチ、タイヤ幅は175~295mmをラインナップ。

DUNLOP|DIREZZA 03G(ディレッツァ03G)

ディレッツァ03Gはサーキットタイムアタックやジムカーナなどのさまざまなモータースポーツシーンで活躍ディレッツァ03Gはサーキットタイムアタックやジムカーナなどのさまざまなモータースポーツシーンで活躍

ダンロップの「DIREZZA 03G」は、路面を的確に捉えて最速のスピードを叩き出すオンロード用タイヤです。サーキットやジムカーナ、ターマックラリーなどの装着シーンで、強力なグリップとリニアな操作性を発揮します。コンパウンドは、セミウェット用からドライ用までの硬さの異なる5つのスペックが設定されているほか、サイズは13~18インチ、タイヤ幅は165~295mmをラインナップ。

TOYO TIRES|PROXES R888R(プロクセス R888R)

プロクセス R88Rのアウト側を大ブロック構成にすることで横方向へのグリップ力をアップしてコーナリング性能が向上プロクセス R88Rのアウト側を大ブロック構成にすることで横方向へのグリップ力をアップしてコーナリング性能が向上

モータースポーツ用タイヤのトーヨータイヤの「PROXES R888R」は、厳密にはSタイヤのようなラジアルタイヤのため、「なんちゃってSタイヤ」と言われることもありますが、レースによってはSタイヤ扱いとなる場合があります。

ワイドなリブにより安定したステアリングレスポンスを実現して、ハイグリップコンパウンドが優れたドライグリップ性能を発揮します。転がり抵抗性能B/Cとウェットグリップ性能c/dを実現しているほか、サイズは13~20インチ、タイヤ幅は185~305mmをラインナップ。

MICHELIN|PILOT SPORT CUP 2(パイロット スポーツ カップ 2)

パイロットスポーツ CUP 2の深さ5.4mmの溝が高い排水性を発揮してハイドロプレーニング現象を抑制するパイロットスポーツ CUP 2の深さ5.4mmの溝が高い排水性を発揮してハイドロプレーニング現象を抑制する

ミシュランの「PILOT SPORT CUP 2」は、自宅とサーキットの往復のタイヤ交換がいらないレーシングタイヤです。INとOUTの2つの異なるコンパウンドが、正確な操縦性とタイトなコーナリングを実現。ただし、気温が7℃以下で性能を発揮できない場合があるほか、サーキットではタイヤ温度を高めてからの使用が必要です。サイズは17~21インチ、タイヤ幅は215~345mmをラインナップ。

PIRELLI|P ZERO TROFEO R(ピーゼロ トロフェオ R)

ピーゼロ Trofeo Rのトレッドパターンが横方向へのドライグリップと耐摩耗性を両立しながら走行中の安定性にも配慮ピーゼロ Trofeo Rのトレッドパターンが横方向へのドライグリップと耐摩耗性を両立しながら走行中の安定性にも配慮

ピレリの「P ZERO TROFEO R」は、ポルシェやフェラーリ、ランボルギーニなどのハイパワーモデルのサーキット走行を想定したSタイヤです。スーパーカーのパフォーマンスを最大限に発揮して、ドライのアスファルト路面で優れたグリップとトレース性を実現します。サイズは17~20インチ、タイヤ幅は205~345mmをラインナップ。

NANKANG|AR-1

AR-1のショルダー部を大きく設計することによって剛性が高まりコーナリング時も安心の高い安定性を発揮AR-1のショルダー部を大きく設計することによって剛性が高まりコーナリング時も安心の高い安定性を発揮

ナンカンの「AR-1」は、ヨーロッパ向けに開発された競技用高性能Sタイヤです。センターリブが優れたステアリング性能を発揮して、イン側の排水性を高めることでウェット性能にも配慮。低融点コンパウンドが素早く有効作業温度へと上げて、グリップ性能を向上するため、ウォームアップ時間が短縮されます。サイズは13~20インチ、タイヤ幅は185~295mmをラインナップ。

FEDERAL TIRES|FZ-201

FZ-201のMとSが選べるモータースポーツ向けのコンパウンドとお手頃な低価格が魅力FZ-201のMとSが選べるモータースポーツ向けのコンパウンドとお手頃な低価格が魅力

フェデラルの「FZ-201」は、道路やサーキットで優れたパフォーマンスを実現するモータースポーツ向けのSタイヤです。米国のDOT規格やヨーロッパのE-Mark等の審査をクリアしていますが、あくまでも競技用に設計・開発されたタイヤのため、高速道路や一般道路の走行には不適とされています。サイズは13~18インチ、タイヤ幅は185~285mmをラインナップ。

HANKOOK|ventus TD(ベンタス TD)

ベンタスTDの優れた走行性能が一般のドライバーやジムカーナなどのエキスパートから高い評価を獲得ベンタスTDの優れた走行性能が一般のドライバーやジムカーナなどのエキスパートから高い評価を獲得

ハンコックの「ventus TD(Z221)」は、サーキットでも一般道路でも最適な性能を引き出すセミスリックRコンパウンドタイヤです。35℃超/20~35℃/20℃未満の使用する温度に合わせて、C3(ハード)・C5(ミディアム)・C7(ソフト)の3種類のコンパウンドが用意されているほか、サイズは15~18インチ、タイヤ幅は195~295mmをラインナップ。

KUMHO TIRE|ECSTA V710(エクスタ V710)

エクスタV710のまるでスリックタイヤのようなトレッドの強力な縦グリップによりサーキットで優れた性能を発揮エクスタV710のまるでスリックタイヤのようなトレッドの強力な縦グリップによりサーキットで優れた性能を発揮

クムホの「ECSTA V710」は、ドライ路面で異次元のグリップ性能を発揮するSタイヤです。こちらのタイヤも公道の走行は可能ですが、ドライ専用タイヤのため一般公道のほか、セミウェットやヘビーウェットなどの濡れた路面での使用は推奨されていません。サイズは15~18インチ、タイヤ幅は205~315mmをラインナップ。

Sタイヤは足の早い新鮮さが命のタイヤです

Sタイヤは、普通のラジアルタイヤに比べて極端に寿命が短いタイヤです。走行距離の長くなれば、その分劣化が進みますが、熱でタイヤの表面を溶かしてグリップすることから、グリップを効かせれば効かせるほど摩耗が進みます。

また、「タイヤは生もの」という言葉がありますが、Sタイヤは特に経年劣化が早いことから、購入する際は必ず製造年月日の確認をおすすめします。製造してから時間が経過している場合は、たとえ未使用であってもパフォーマンスが低下するため、注意が必要です。