ホイールの盗難防止に効果大!ロックナットの取り付け方と購入する際の注意点
ロックナットは、高価なホイールの盗難防止に非常に役立つアイテムです。車の足回りをドレスアップするために装着した社外品のホイールが、盗難の被害に遭うケースは少なくありません。高級車のラグジュアリー感にマッチするホイールや、スポーツカーの魅力を引き上げる高性能ホイールは純正品よりも価値が高いため、盗難のターゲットになりやすくなります。
ホイールの盗難防止策には、タイヤ・ホイールロックやセキュリティアラームを装着する方法もありますが、駐車するたびに脱着が面倒になったり、強風などの影響でアラームが誤作動したりするデメリットがあります。
ここでは、比較的リーズナブルな価格設定ながら高い防犯効果を発揮するロックナットの特徴や取り付け方、購入する際の注意点に関する情報を紹介します。
ロックナットは専用キーでなければ外せない、防犯性に特化したホイールナットです
ロックナットは、一般的な六角形状ではなく、専用のキーアダプター(専用器具)でなければ緩めたり締めたりできない特殊な形状を採用したホイールナットです。
通常のホイールナットは、スタンダードな六角形の形状を採用しているため、市販のクロスレンチ(十字レンチ)や六角ソケットがあれば簡単に取り外すことが可能です。
一方のロックナットは、ナットの溝や外周が特殊な形状となっており、その形状に完全に一致するキーアダプターを装着しなければ工具をかけることができず、防犯力を高めています。ロックナットは通常、4個または5個1セットで販売され、1つのホイールに1個ずつ装着してホイールの安全性を確保します。
ロックナットを取り付ける・外す際に用いる専用のキーアダプターは、購入した商品と一緒にセット販売されています。このキーアダプターを紛失してしまうと、作業時に非常に面倒になるため、大切に保管しましょう。
ロックナットの取り付け方法と用意するもの
ホイールの盗難防止に高いセキュリティを発揮するロックナットの取り付け方法を紹介します。ロックナットは、特殊な構造の溝を持っており、その形状に適した専用キーアダプター以外で回そうとしても空転したり、工具が滑る仕組みになっています。
用意するもの
- ロックナット(専用キーアダプター含む)
- トルクレンチ(必須)
- クロスレンチ(十字レンチ)またはソケットレンチ(仮締め用)
- 軍手
1. 専用キーアダプターをロックナットに被せる
専用キーアダプターをロックナットの溝に奥までしっかりと被せます。作業中にロックナットの特殊な溝やアダプターを破損させないためには、キーアダプターが溝に確実にはまっているかを確認することが大切です。
2. トルクレンチで規定トルクで締め付ける
キーアダプターを介してクロスレンチやソケットレンチでロックナットを軽く仮締めします。その後、必ずトルクレンチを使用して、車種ごとに定められた規定トルクで確実に締め付けます。ナットの締め付けは、ハブボルトにかかる負担を均一にするため、対角線上の順序で行うのが基本です。
レンチを回す際には、キーアダプターがロックナットから外れないよう、専用工具とロックナットの位置が直線状になっていることを意識しながら丁寧に行います。
3. ロックナットが規定トルクで締め付けられているかを最終確認
ホイールナットの締め付けが不十分であったり、締め付けすぎたりすると、走行中にナットが緩んだり、ボルトが破損したりするなどの重大なトラブルの原因となります。そのため、トルクレンチで、ロックナットを含む全てのナットが規定トルクで締め付けられているかを必ず最終確認する必要があります。
ナット交換後、走行距離が短い間にナットが緩んでいないか、増し締め点検(再トルクチェック)を行うとさらに安全です。
純正以外のロックナットを購入するには注意が必要
純正オプションでロックナットを購入する場合は、サイズや形状が適合しているため問題ありませんが、社外品を購入する方は、ご自身の車に適した「ネジのサイズ」と「取り付け座面(ざめん)の形状」のロックナットを選ぶ必要があります。
自分の車に適したロックナットのサイズを選ぶ
ホイールナットのサイズは、ネジの直径やネジ山のピッチ(間隔)によって決まります。
ホイールナットの主な適合サイズ例
- M12×P1.5:トヨタ、ホンダ、三菱、マツダ、ダイハツ、軽自動車の一部など
- M12×P1.25:日産、スバル、スズキ、軽自動車の一部など
- M14×P1.5:ランドクルーザー、レクサスLS、輸入車の一部など
ホイールナットの各商品に記載されるアルファベットや数字の組み合わせが何を意味しているのかを、日産やスズキ車が採用する「M12×P1.25 21HEX」を具体例で用いて紹介します。
M12×P1.25 21HEX(表記サイズの具体例)
- M12:Mはミリメートル単位、12はネジの直径(mm)
- P1.25:Pはネジ山のピッチ、1.25は山と山との距離(mm)
- 21HEX:HEXは六角形(Hexagon)、21はナットの二面幅(対辺の距離、mm)
ロックナットの取り付け座面の形状は3タイプ
ご自身の車に適合するサイズのロックナットであっても、ホイール側の取り付け座面(ナットが接触する部分)の形状がマッチしていなければ、ホイールをしっかりと固定することはできず、脱輪などの重大事故につながる危険があります。ここでは、取り付け座面の3タイプの特徴と、採用するケースの多い自動車メーカーについて紹介します。
テーパー座ナット
- 先端部が細くなる円錐形(テーパー状)の構造を採用した最も一般的なタイプです。ホイールとの設置面である座面の角度は60°が標準的で、多くの社外品アルミホイールに採用されています。
球面座ナット
- 座面が丸みを帯びているのが特徴で、主にホンダ車やVW、アウディなどの輸入車の純正ホイールに採用されます。
平面座ナット
- 座面が平らで、ワッシャーが付いたような形状を採用します。主にトヨタ車やレクサスの一部の純正ホイールに採用されます。
専用キーアダプターを紛失した時の対処法
ロックナットが盗難防止に効果を発揮するのは、専用キーアダプターでなければ外せない特殊性によるものです。もしも専用キーアダプターを紛失してしまったら、ホイールの着脱ができなくなり、非常に困ってしまいます。そういったケースで役立つ対処法を紹介します。
キー番号(パターン番号)で新しいキーアダプターを取り寄せる
多くのロックナットには、それぞれ固有のキーパターンを示すキー番号(パターン番号)が付いています。キーアダプターを紛失した際には、このキー番号を販売元やディーラー、カー用品店に伝えることで、ご自身の車に装着したロックナットに適合する専用キーアダプターを取り寄せることができます。
ユーザー登録制度を利用する
社外製品の中には、キー番号の代わりにユーザー登録制度を設けているタイプの商品もあります。キー番号が付いていないロックナットを購入したケースであれば、製造メーカーのユーザー登録制度を利用することで、新たな専用キーアダプターを取り寄せることができます。
ユーザー登録制度は、保証書に記載されている連絡先に問い合わせるなどして、所定の手続きを済ませば利用可能となります。
ディーラー・カー用品店に依頼する
専用キーアダプターを紛失した際に、最も早く解決できる可能性が高いのが、ディーラーやカー用品店に相談し、作業を依頼することです。
ディーラーやカー用品店では、顧客サービスの充実のため、自社で取り扱っているロックナットのキーアダプターを一式取り揃えているケースもあります。ただし、専用キーがない状態のロックナットを取り外す作業は特殊作業となるため、工賃などがかさみ、費用が高額になってしまう可能性があることに注意が必要です。
リーズナブルで簡単に設置できるロックナットで高級ホイールをガード
ロックナットは、比較的簡単に取り付けることができ、リーズナブルな価格帯も魅力的な、ホイールの盗難防止に効果的なアイテムです。
ホイールの窃盗犯は、転売するのに適した高級なホイールに狙いを定めます。そのため、高額なホイールに簡単に取り外せる通常のホイールナットを組み合わせていれば、盗難のリスクが高まってしまいます。
ご自身の車を足元からスポーティーに、またはラグジュアリーにカスタマイズしてくれる大切なホイールを守るために、効果絶大なロックナットを積極的に利用しましょう。