リレーアタックの対策

リレーアタックの手口とスマートキーの電波を遮断する節電モードの方法

リレーアタックによる自動車盗難被害が拡大する見込み。スマートキーから出ている電波を特殊装置によって、犯行グループ間で受信・増幅させて、ロック機能を解除して車を盗む同手法に有効な専用ポーチや節電モードを利用した対策法を紹介。

リレーアタックの手口とスマートキーの電波を遮断する節電モードの方法

リレーアタックとは?スマートキーから出ている電波を犯行グループ間で受信・増幅させて車を盗む新たな手口に対して有効な対策法を紹介

「リレーアタック」という手口が、ニュース番組や全国紙で盛んに報道され始めています。レクサスなどの高級車だけではなくて、大衆車にも普及し始めたスマートキーから出ている電波を、犯行グループ間で受信・増幅させて車を短時間で盗むという手口が「リレーアタック」です。

金属製の鍵とは異なり複製されにくく、個別に電子IDを割り当てるなどして防犯性を高めているスマートキーの隙をつく「リレーアタック」による車両盗難被害は、犯行に用いる特殊機器が海外のオークションサイトで販売されている等の理由もあって、今後拡大することが予想されています。リレーアタックの犯行の手口や盗難被害を防ぐために効果的な対策法を紹介します。

「リレーアタック」はスマートキーから出ている微弱電波を悪用した巧妙かつ組織的な新たな自動車窃盗法

リレーアタックの仕組み

欧米では数年前から指摘されていて、アムステルダムで開催された国際会議でも緊急課題として取り上げられた「リレーアタック」は、スマートキーから出ている微弱電波を特殊装置によって受信して悪用する、巧妙かつ組織的な新たな自動車窃盗法です。

海外諸国と比較して国内での普及率の高いスマートキーは、車両側から出ている個別に電子IDが割り当てられている微弱な電波と、スマートキーから放たれる電波とを照合させて一致すれば、ドアを解錠する・エンジンを起動する仕組みを採用しています。

スマートキーは、最大で1mほどの距離まで届く微弱電波を用いる事で、キーを携帯していればドアノブに触れるだけでドアのロック機能を解除できて、プッシュスタートボタンにタッチすればエンジンを起動できるといったエントリーシステムを実現させます。

スマートキーのシステムを悪用したリレーアタックの手口

ここ最近、ワイドショーや全国紙でも報道され始めてきた「リレーアタック」は、実行犯の一人がスマートキーから放出される微弱電波を特殊装置によって受信して、増幅させて別の実行グループのもとに電波を送ります。

そして、車両付近に待機していたグループの一人は、増幅・中継されて自分のいる場所にまで送られた電波を利用して、車両側から送られる信号と照合させて、正規キーが近くにあるとシステム側に判断させて、ドアを解錠してエンジンを起動させます。

リレーアタックの犯行手順~ショッピングモールなどの駐車場に車を停めたら注意が必要

リレーアタックによる盗難被害の正確な件数は把握されてはいないものの、欧米諸国での被害状況等を考慮すれば、最も被害に合いやすいのはショッピングモールなどの駐車場に車を停めた場合であると推測できます。このセクションでは、ショッピングモールなどの駐車場で行われるリレーアタックの犯行手順を紹介します。

リレーアタックの犯行手順(ショッピングモールなどの駐車場)

  1. 犯行グループの一人が車のオーナーに接近する
  2. 特殊な装置によってスマートキーから放たれる電波を受信する
  3. 電波を増幅させて仲間に受信させる
  4. 車両付近で待機していた犯行グループの一人が受信した電波を利用してドアを解錠
  5. エンジンを起動させて車を移動させる

リレーアタックを行う犯行グループは、ショッピングモールの駐車場で盗難するに望ましい車両の到着を待ち構えます。対象となる車両が駐車場にきて、オーナーが車から降りたら、犯行グループの一人は、スマートキーから放出される特殊な微弱電波を受信する・オーナーを監視するために尾行を行います。

特殊装置によって受信された微弱電波は増幅・中継されて、車両付近で待機する犯行グループのもとにまで届けられます。車両付近で待機していた犯行グループの一人は、受信した電波を用いてドアを解錠して、エンジンを起動させて車を別の場所へと移動させます。

2018年9月下旬に起きた東大阪市でのレクサス盗難未遂事件ではリレーアタックの決定的瞬間が防犯カメラに収められた

リレーアタックの犯行の様子

2018年9月下旬に大阪府東大阪市内の男性宅で起きた、レクサス盗難未遂事件の犯行現場を映した防犯カメラの映像には、リレーアタックの決定的瞬間が収められていました。

白いマスク姿の人物が、アンテナが設置されている装置を男性宅に向けてから、数秒後に男性が所有するレクサスのハザードランプが点滅して、車のドア付近に待機していたもう一人の人物が車内に入り込む映像は、ニュース番組でも流されました。

これまでリレーアタックによる自動車盗難法は、被害が多発する欧米諸国からの報告もあってそのリスクが指摘されてはいましたが、被害を受けた当該車両が現場には残されてはいないため、客観的な証拠も乏しかったために、車両の盗難・未遂事件がリレーアタックによるものだと断定する事はできませんでした。

東大阪市内の男性宅で起きたレクサス盗難未遂事件は、防犯カメラに収められた映像が決めてとなって、リレーアタックがその手法であると特定された事件として認知されています。

東大阪市で起きたレクサス盗難未遂事件はスマートキーを利用しているユーザーは自宅においても盗難防止策を行う必要性があることを教えてくれた

東大阪市で起きたレクサスの盗難未遂事件は、男性が寝ている午前3時頃に発生しました。男性の話によると、スマートキーは自宅2階のリビングに置いていたとの事です。男性宅の2階リビングから、特殊装置を構えていた犯行グループの一人がいた玄関までの距離は10mほどと推定されます。

スマートキーから放出される微弱電波の到達距離は最大でも1mほどであると言われてるため、スマートキーは自宅のドア付近や窓付近に置かなければ、電波は受信されないだろうと認識されていました。

しかし、東大阪市に住む男性は、10mほど離れた位置にスマートキーを置いているにもかかわらずに、電波を受信されてしまいました。その理由については判明していませんが、実行犯の一人が、高性能アンテナを利用して微弱電波を受信したものと思われます。

犯行グループが利用する特殊機器は進化を遂げているため、スマートキーを玄関や窓から遠い位置に置いているからといって安心せずに、自宅にいても盗難防止策を行う事が大切です。

2019年3月下旬に茨城県土浦市で発生したランドクルーザー盗難事件では解錠可能距離が拡大する新技術が使用された可能性も!

茨城県の土浦市では、2019年3月24日未明にトヨタ・ランドクルーザー2台が盗難される事件が発生しています。
車の持ち主は両名とも翌日の釣り大会に参加する予定でホテルに宿泊しており、ランドクルーザーは2台ともボートを引いていました。ボートは現場に放置されており、車両本体とともにボート内の釣り道具も盗まれたとのことです。

現場付近の防犯カメラを確認し解析したところ、この事件においてもリレーアタックによる手口が使われていることが明らかとなりました。
今までに報告されたリレーアタックを使った犯行の中では、電波の中継距離は最大で玄関からリビングまでの8メートルでしたが、今回の事件では車から持ち主までの距離は20メートルと60メートルでした。つまり、リレーアタックによる犯行はこれだけの距離が離れていても可能となった、ということになります。

海外では「コードグラバー」と呼ばれる最新機器の実験映像が公開されていました。コードグラバーとは車両付近に置くだけで電波を検知しスペアキーが作れてしまう機器で、複数のキーに対応します。最大で150メートル離れていてもキーを解錠できるため、従来の手口のように車の持ち主に近寄る必要がありません。スマートキーの車であれば全て簡単に解錠できてしまうのです。

警察庁が中心となって公表している統計データからリレーアタックが用いられたと思われる自動車盗難の被害状況を推測

警察庁が中心となって組織される「STOP THE 自動車盗難(自動車盗難等の防止に関する官民合同プロジェクトチーム)」が公表している、自動車盗難認知件数の年別推移によれば2018年のその数値は8,628件と報告されています。

2018年の自動車盗難認知件数8,628件のうち、6,436件がキーを抜いていたにもかかわらず被害に遭いました。キーを抜いていたにもかかわらず車両が盗難されたということは、その全てではないものの、一定数はリレーアタックによる手法で盗難被害にあったとも推測できます。

自動車盗難認知件数の年別推移
総数キーなし盗難(割合)キーあり盗難(割合)
201321,529件16,380件(76%)5,149件(24%)
201416,104件11,825件(73%)4,279件(27%)
201513,821件10,298件(75%)3,523件(25%)
201611,655件8,530件(73%)3,125件(27%)
201710,213件7,609件(74%)2,604件(26%)
20188,628件6,436件(74%)2,192件(26%)

盗難件数の多い「プリウス」「ランドクルーザー」「レクサス」はリレーアタックに備えた対策を行うべきである

2018年 車種別の盗難台数ワースト5
メーカー/車種名 盗難件数
トヨタ/プリウス 912台
トヨタ/ハイエース(レジアスも含む) 562台
トヨタ/ランドクルーザー 435台
いすゞ/エルフ 249台
トヨタ/クラウン 230台

自動車盗難防止に関する官民合同プロジェクトチームが自動車盗難データを車種別にまとめたところ、トヨタ車の盗難が圧倒的に多いことがわかります。
日本損害保険協会の「第20回自動車盗難事故実態調査結果」では、レクサスシリーズの盗難が最も多いとのデータも公表されています。

盗難件数で上位を占めるプリウスやレクサスシリーズ、ランドクルーザーは頑丈で故障しにくいなどの理由から海外市場においても人気の高い車です。犯行グループは、盗難した車両を海外市場に転売する際に、高値で取引されるレクサスやランドクルーザーを重点的に狙います

狙われやすいレクサスやランドクルーザーに乗車しているオーナーは、リレーアタックに備えての対策を行うべきです。

自動車盗難被害の多い地域に住まわれている方はリレーアタックによる犯行に備えて防犯対策を強化する事をお勧めします

2018年 都道府県別自動車盗難認知件数ワースト10
都道府県 盗難件数
茨城 1,491台
大阪 1,388台
千葉 880台
愛知 839台
埼玉 747台
神奈川 419台
栃木 408台
群馬 260台
兵庫 191台
福島 178台

自動車盗難防止に関する官民合同プロジェクトチームがまとめた2018年 都道府県別自動車認知件数ワースト10の表を見れば、自動車の盗難被害は特定の地域に集中していることが確認できます。

上位にランクインしている地域は、組織的に犯行を行う自動車窃盗グループが重点的に狙いを定めている可能性もありますので、スマートキーを利用している方は、リレーアタックによる犯行にも備えて防犯対策を強化しましょう。

リレーアタックに対して効果を発揮する「専用ポーチ」などのアイテムや「節電モード」を利用した対策法

東大阪市で起きたレクサス盗難未遂事件のように、犯行の瞬間をとらえた客観的な証拠は少ないものの、国内ではすでにリレーアタックによる車両の盗難被害が数多く発生しているものと思われます。

警察庁は、被害の拡大が予想されるリレーアタックに備えて、自動車メーカー各社により一層のセキュリティの強化をはかるように要請しています。

リレーアタックによる車両の盗難被害を防ぐ最も効果的な方法は、スマートキーから出ている電波を犯行グループに受信させないようにすることです。このセクションでは、電波を遮断する専用ポーチの中に、スマートキーを入れるなどの対策法を紹介します。

家の中ではアルミや鉄などの金属製の缶の中にスマートキーを入れで電波を遮蔽

アルミ缶の中に入ったスマートキー

東大阪市で起きたレクサスの盗難未遂事件を考えると、スマートキーを利用している方は、家の中にいてもリレーアタックに備えて対策を講じておくべきです。

その有効な方法の一つが、スマートキーをアルミや鉄などの金属製の缶の中に入れて電波を遮蔽(しゃへい)する事です。スマートキーから出ている微弱電波であれば、金属製の箱に中に入れておけば、電波を外側へと透過させずに完全に遮断する事ができます。

特に一軒家に住まわれていて、犯行グループのターゲットとなりやすい方は、スマートキーを金属製の箱の中に収納して、電波を遮断しておくべきです。

電波遮断性の備わる専用ポーチやハンドルロック機能の備わる防犯効果の高い商品を利用する

スマートキーから出ている電波を遮断する専用ポーチや、ハンドルロック機能の備わる防犯効果の高い商品を利用すれば、リレーアタックによる車両の盗難被害のリスクは低下します。

M‘Z SPEEDの「リレーアタックガードポーチ2 レザー仕様」は耐久性も優れる商品

自動車のアフターパーツメーカーであるエムズスピードが販売する「リレーアタックガードポーチ2レザー仕様」は、電波遮断性だけではなくて耐久性も優れる専用ポーチです。同商品は、イタリアンレザーを採用する事で耐久性と高級感を高めています。

M‘Z SPEED「リレーアタックガードポーチ2 レザー仕様」

メーカー
サイズ縦12.5cm×横8.0cm
カラーブラック、イエロー、オレンジ
素材イタリアンレザー
価格6,500円~(2019年2月調べ)
TREの「電波・電磁波遮断ポーチ」はカラフルな4色展開でスキミングも防止できる

お洒落で機能的なパスケースやキーケースなどの商品を数多く展開するTREの「電波・電磁波遮断ポーチ」は、特殊な布によって電波を遮断する事で、リレーアタックを防ぐだけではなくて、キャッシュカードのスキミングを防ぐ機能性も備える商品です。

電波を遮断したいスマートキーなどのアイテムは奥側のポケットへ、その他の小物は手前のポケットにしまえる収納力も同商品の魅力です。

TRE「電波・電磁波遮断ポーチ」

メーカー
サイズ縦19.0cm×横10.0cm
カラーブラック、パープル、オレンジ、ピンク
素材ナイロン
価格1,500円~(2019年2月調べ)
HORENETの「BeeSensor BEE300」はハンドルロックが出来て超音波・衝撃センサーが内蔵される高性能な防犯アイテム

車内へ侵入されたとしても、スムーズな犯行を妨げる事のできる防犯アイテムを設置しておけば、車両の盗難被害は未然に防ぐことが出来ます。

ホーネットの「BeeSensor BEE300」のハンドルロック機能を利用すれば車内に侵入されたとしても、車を別の場所へと移動させるハードルは上がるため、盗難被害のリスクは低下します。

同商品には超音波センサーが搭載されていて、車内で不自然な動きがあった場合には警戒音を鳴らすシステムが発動するため、リレーアタックだけではなくて車上荒らしに対する防犯性も強化されます。

HORENET「BeeSensor BEE300」

メーカー
サイズ約480mm×180mm(最大値)
切断強度約5000kgf
サイレン音圧約100dB以上
センサー超音波センサー、衝撃センサー
価格14,000円~(2019年2月調べ)

車を降りてから自分の背後を不自然につけてくる人がいたら駐車場に確認しにいく

リレーアタックを行う犯行グループは、オーナーが車から離れている隙を狙います。

ショッピングモールなどの駐車場に車を停めた後に、自分の背後を不自然につけてくる怪しい人物がいたら、その人物は犯行グループの一人かもしれません。そういった経験をされたら、自分の車を確認しに駐車場に戻りましょう。

利用時以外はスマートキーを節電モードにして電波を犯行グループに受信されないようにする

自社の車が盗難被害に遭いやすいトヨタは、リレーアタックによる盗難を回避するための手段として、スマートキーを節電モードに設定して、電波を受信されないようにする手法を推奨しています。

スマートキーを「節電モード」に設定する図

トヨタ車のスマートキーを「節電モード」に設定する方法

  • スマートキーの施錠ボタンを押しながら、開錠ボタンを2回押すと「節電モード」へと設定完了。
    ※「節電モード」はいずれかのボタンを押せば解除されます
    ※「節電モード」時にはスマートエントリー&スタートシステムは利用できません
    ※車種によっては「節電モード」に設定できない場合もあります

トヨタ以外の自動車メーカーでは、スバルが2016年に発売したインプレッサ以降の車種で、スマートキーから、微弱電波を放出させない「節電モード」を設けています。

窃盗グループに狙われやすいベンツなどの高級車を所有している方は、お持ちのスマートキーに同様に機能がないかどうかをディーラー等に確認してみましょう。

スマートキーの便利な機能を利用し続けるためにも「リレーアタック」に対する防犯意識を高めましょう

自動車盗難被害の認知件数は、2003年の約6万4,000件をピークとして現象傾向にあります。018年の認知件数は、ピーク時よりも5万件以上も減少した8,628件です。。自動車の盗難被害が減少した理由には、イモビライザーやスマートキーなどの防犯性の高いアイテムの登場が大きく関わっています。

以前の自動車窃盗犯は、窓ガラスを割る・ドアをこじ開ける、電気配線を直結させてエンジンをかけて持ち去る、レッカー車で移動させるなどの強引な手口を用いていました。

最近の窃盗犯の手口は、車の鍵に事前登録されている暗号化されたIDを無効化する「イモビカッター」を使用するなど、防犯システムの隙をつく知能的な手法を用いるようになってきました。

企業が新たな防犯システムを構築すれば、犯行グループはその仕組みを理解した上で、新たな窃盗方法を考えるという「いたちごっこ」が続きます。その最新の手法がリレーアタックです。

リレーアタックによる自動車の窃盗被害を防ぐには、スマートキーから放出される微弱電波を犯行グループに受信されない事が大切です。スマートキーを所有するオーナーは、リレーアタックに対する防犯意識を高める事で、ドアノブに触れるだけで解錠できるなどの便利な機能を利用し続けられます。