AUDI A9のモデルチェンジ

アウディA9は結局登場せず:2025年発売の予想は幻に、EVフラッグシップはQ9とA8後継へ・e-tron GTは市販化

アウディA9は買えるの?結論として市販化されず、日本導入もありません。当時503PS・1,600万円と予想された2ドアEVクーペがなぜ登場しなかったのか、Q9やA8後継EVといったAudiの最新フラッグシップ戦略とあわせて解説します。

アウディA9は結局登場せず:2025年発売の予想は幻に、EVフラッグシップはQ9とA8後継へ・e-tron GTは市販化

アウディA9は結局登場せず 予想されたEVフラッグシップの顛末とAudiの現在地

かつて「A8の上に立つEVフラッグシップ」として噂されたアウディA9は、2025年に登場するという予想が飛び交っていました。しかしその予想は実現せず、本日2026年7月時点でも「A9」という車名の市販車は存在しません。

当時は最高出力503PS・最大トルク800Nm・0-100km/h加速4.6秒・価格1,600万円といったスペック予想が語られ、A8譲りの先進運転支援を積む2ドアクーペになるとみられていました。実際にはe-tron GTやe-tron Sといった別名のモデルが登場し、Audiのフラッグシップ戦略そのものも大きく変わっています。本記事では、当時の予想と、その後の顛末・現在地を整理します。

アウディA9は未登場——EVフラッグシップは「Q9」と2020年代末のA8後継へ

結論から言えば、「A9」という車名の市販モデルは登場していません(本日2026年7月時点)。予想された2ドアEVクーペのフラッグシップは投入されず、その構想は現実の製品には結びつきませんでした。日本を含めてA9を購入することはできず、今後この名が復活する保証もない状況です。

一方で、記事が「A9」と絡めて紹介していた各EVは、別の車名で実際に登場しています。2018年に登場した初代e-tron(SUV)は2022年の改良でQ8 e-tronへと改名され、2025年2月28日にブリュッセル工場の閉鎖とともに生産を終了しました。e-tron GTコンセプトは2021年に市販モデルのe-tron GTとして結実し、その後の改良で高出力化も図られています。

Audiのフラッグシップ像も刷新されました。A8セダンはモデル末期を迎えており、EVによる後継フラッグシップは2020年代末の投入が計画されています。当面の頂点は2026年に登場するフルサイズSUV「Q9」が担い、エントリーEVの「A2 e-tron」も2026年秋の公開が予告されています。かつて2021年のグランドスフィアが示したA8後継EVの構想は、その後見直されたとみられ、いずれにせよフラッグシップの主役はセダンからSUVや次世代EVへと移りつつあります。

アウディe-tron/アウディe-tronスポーツバックに「Sモデル」が登場

アウディe-tron Sモデル前と後ろアウディe-tron Sモデルのエクステリア

アウディは2020年2月28日、Audi e-tronとAudi e-tron Sportbackに、俊敏なハンドリング性能を追求した「Sモデル」を新設定すると発表しました。この予想は的中し、Sモデルは実際に市販化されています。

アウディe-tron Sの内装アウディe-tron Sモデルのインテリア

3つの電気モーターを積む世界初の量産モデルにあたるSモデルは、最高出力370kW、最大トルク973Nmを発生し、0-100km/h加速は4.5秒でした。インテリジェント駆動制御システムで操作性と安全性を高めています。なお、これらe-tron一族は後にQ8 e-tronへ改名され、2025年2月に生産を終えています。

アウディe-tron Sportbackがロサンゼルスモーターショーでお披露目!

アウディe-tron Sportbackのプロトタイプのエクステリアアウディe-tron Sportbackのプロトタイプのエクステリア

開発車両が目撃されていた「e-tronスポーツバック」は、2019年11月開催のロサンゼルスモーターショー2019で正式に初公開されました。e-tronから派生したSUVクーペスタイルのEVで、ボディサイズは全長4,901mm、全幅1,935mm、全高1,616mm。「e-tron Sportback 50 quattro」と「e-tron Sportback 55 quattro」の2グレード構成です。
フロントには八角形のシングルフレームグリルを備え、スポーティなエクステリアが目をひきます。予想どおり市販化され、後にQ8 e-tron Sportbackへ改名されました。

「e-tron Sportback 50 quattro」は最高出力230kW、最大トルク540Nmのモーターと容量71kWhのバッテリーを搭載。航続可能距離は最大347km、0-100km/h加速は6.8秒です。

「e-tron Sportback 55 quattro」は最高出力265kW、最大トルク561Nmのモーターと容量95kWhのバッテリーを採用し、航続可能距離は最大446kmに到達。0-100km/h加速は6.6秒です。55 quattroにはブーストモードがあり、0-100km/h加速は5.7秒まで引き上げられます。
駆動方式は電動4WDで、滑りやすい路面での走破性にも優れます。

e-tronスポーツバックはアダプティブエアサスペンションで車高を最大76mm変更でき、車速が上がると車高を自動で下げて航続距離を延ばします。
エンジンやサスペンションを制御するアウディ ドライブセレクトも標準搭載されました。

クーペSUVのe-tronスポーツバックの開発車両をスクープ

e-tronの派生モデル「e-tronスポーツバック」の市販型プロトタイプは、公開前にスパイショットで捉えられていました。予告どおり2019年11月開幕のLAモーターショーで正式登場しています。

2019年のジュネーブモーターショーで公開されたプロトタイプから、バンパーやテールライトのデザインが変更されました。A5、A7などのスポーツバックに通じる曲線的なルーフの意匠も特徴です。
パワートレインは前後2基のモーターで最高出力360hp(ブーストモードで408hp)、95kWhのバッテリーを搭載。高速充電では10分で87km、30分で262km走行分の充電が可能で、0-100km/h加速は5.7秒でした。

アウディが「e-tron GTコンセプト」の市販モデルを2020年末より生産スタート

アウディe-tron GTコンセプトのエクステリアアウディe-tron GTコンセプトのエクステリア

アウディは、4ドアのEVスポーツカー「e-tron GTコンセプト」の市販車両を2020年末から生産開始すると公表していました。この計画は現実になり、市販版e-tron GTは2021年に発売されています。予想が最も明確に的中したモデルのひとつです。

e-tron GTコンセプトはアグレッシブな4ドアクーペで、開発はアウディスポーツが担当。ボディサイズは全長4,960mm×全幅1,960mm×全高1,380mm。EVパワートレインは最大出力590hpのツインモーターで、0-100km/h加速は約3.5秒、最高速度は240km/hとされていました。

90kWh級のリチウムイオンバッテリーを積み、一充電で最大400kmを航続可能。充電パッドを用いた「アウディワイヤレスチャージング」にも対応する構想でした。

車内のインパネはブラックパネル仕上げで、デジタルコックピットやタッチパネルを備えます。カーペットは使用済み漁網を用いた再生ナイロンで、環境にも配慮。ラゲッジは450Lの容量を確保していました。市販e-tron GTはその後、大幅改良で高出力化が進められています。

アウディe-tronに新グレードが設定!2020年初頭より欧州で発売

アウディe-tronのベースグレード「50クワトロ2020年初めに登場したアウディe-tronのベースグレード「50クワトロ」

電動SUVのアウディe-tronに、ベースグレードにあたる「50クワトロ」が追加されました。欧州での発売は2020年初頭で、こちらも予告どおり実現しています。

50クワトロのリチウムイオンバッテリーは71kWhで、航続可能距離は300km。前後2基のモーターの最大出力は313hp、最大トルクは55.1kgmです。120kW出力の急速充電に対応し、30分で80%を充電できます。
アウディ独自の電動4輪駆動「クワトロ」を採用し、天候や地形に多面的に対応。ハンドリングとトラクションで優れた性能を発揮しました。
「効率アシスト」などのアシストシステムで、経済的なドライブも実現しています。

アウディe-tron「50クワトロ」のリヤスタイルアウディe-tron「50クワトロ」のリヤスタイル

充電はアウディ充電サービス用カードを使い、欧州の充電スタンドのおよそ8割がこの方式に対応していました。
自宅充電も多彩で、標準システムでは家庭用230Vか3相400Vコンセントに対応。オプションで充電出力を2倍にできます。
コネクティビティアプリ「myAudi」を使えば、スマホからエアコンや充電の設定が可能です。

アウディ「e-tron」に最大500馬力オーバーの「e-tron S」を設定か!?カモフラージュされた開発車両をキャッチ

特許画像がリークされたのち、一部にカモフラージュを施した鮮やかなレッドの開発車両がニュルで目撃されていました。

この目撃から、アウディe-tronにハイパフォーマンスの「e-tron S」が追加されることが読み取れました。開発車両ではブレーキが強化され、冷却のためにエアインテークとフロントバンパーが手を入れられているのが見て取れます。

大径ながら軽量のアロイホイールや、リヤバンパーのリアディフューザーも確認できました。
この予想も的中し、e-tron Sは2020年に正式発表されています。

当時比較された「e-tron」と「e-tron S」(発表前の予想値)
  e-tron e-tron S
電気モーター 前後1基:計2基 前1基・後2基:計3基
最高出力/ブーストモード 360ps/408ps 435ps/503ps
0-100km/h加速 5.5秒 5秒

アウディA9 EトロンのボディサイズはA8と同等で全高が低い2ドアクーペになると予想されていた

A9 Eトロンの予想エクステリア当時描かれたA9 Eトロンの予想図。A8のサイズ感のまま2ドアクーペになるとされていた

ここからは当時のA9予想です。ボディサイズはA8やSクラスクーペに近いとみられ、全長は5メートル級を保ちつつ、セダンから2ドアクーペ化して全高が下がると考えられていました。ただし前述のとおり、このA9は実際には登場していません。

当時のアウディA9予想値とA8の比較
A9(当時の予想) A8
全長 5,100mm 5,170mm
全幅 1,950mm 1,945mm
全高 1,390mm 1,470mm

予想図では、張り出したフロントアンダーリップとキリッとしたヘッドライトが近未来的で、後ろ下がりのクーペシルエットに22インチホイールを組み合わせていました。

A9 Eトロンの予想サイドビュー大径22インチホイールが際立つA9 Eトロンの予想サイドビュー。存在感のあるリアアンダースポイラーが描かれていた

サイドビューではホイールの大きさが目立ち、大型のサイドスポイラーやリアバンパーへ続くラインが美しく描かれていました。

テールはトランクを中心に左右がつながる意匠で、一直線のメッキガーニッシュも見られます。リアバンパー下にはデュアルテール風のデザインがありますが、EVのためマフラーはなく、あくまでアンダースポイラーの役割という想定でした。

アウディA9のパワートレインはe-tronスポーツバックコンセプト由来で最高出力503PSと予想されていた

e-tronスポーツバックコンセプトのエクステリア「e-tronスポーツバックコンセプト」のエクステリア。A9はこのパワートレインを流用すると予想されていた

A9は、e-tronスポーツバックコンセプトのパワートレインを流用するとみられていました。コンセプトのスペックは0-100km/h加速4.5秒、最高出力320kW(ブースト時370kW)で、PS換算では435PS(ブースト時503PS)です。航続可能距離は500kmとされ、駆動方式はクワトロの4WDでした。

もっとも、この出力帯やEVシステムは、実際にはe-tron GTやe-tron Sといった別名のモデルとして市場に投入されました。「A9」という車名でまとめて登場することはなかった、というのが結末です。

アウディA9の発売は2025年・価格1,600万円と噂されていたが実現しなかった

当時は、A9が2025年内に欧州で発売され、日本には1年後の2026年に導入されるとみられていました。価格帯は1,600万円と噂され、メルセデス・ベンツSクラスクーペに近い設定になるといわれていました。ハイパフォーマンス版は2,600万円ほどと予想され、メルセデスAMGのSクラスクーペを意識するとされていました。

しかし、この発売予想は現実にはなりませんでした。2025年は過ぎましたが、A9の名を冠した市販車は登場せず、日本導入もありません。Audiのフラッグシップは、前述のとおりSUVのQ9や2020年代末のA8後継EVへと軸足を移しています。

アウディA9のライバルはテスラ モデルSと目されていた

A9 Eトロンのライバルと目されたモデルS仮にA9が登場していれば、最大のライバルはテスラのモデルSになるとみられていた

もしA9が登場していれば、最大のライバルはテスラ モデルSになるとみられていました。モデルSは2012年に米国、2013年に日本で発売されたEVセダンで、航続可能距離は電池容量75kWhで約480km、90kWhで約557km、100kWhで約613kmとされていました。

駆動方式はAWDで、ボディサイズはモデルSがやや短いものの、おおむね同等でした。当時の価格帯はモデルS P100Dで1,705万円です。下表のA9値はあくまで当時の予想値である点にご注意ください。

当時のアウディA9予想値とモデルSの比較
A9(当時の予想) モデルS(P100D)
全長 5,100mm 4,979mm
全幅 1,950mm 1,950mm
全高 1,390mm 1,445mm
0-100km加速 4.6秒 2.7秒
価格帯 1,600万円 1,700万円

予想されたアウディA9は登場せず フラッグシップEVはQ9とA8後継へ受け継がれた

AUDI A9

2ドアクーペのEVフラッグシップとして語られたアウディA9は、2025年発売という予想も、1,600万円という価格の噂も、結局は現実になりませんでした。当時ライバルと目されたメルセデス・ベンツSクラスクーペやテスラ モデルSとの直接対決も、A9の名では実現していません。

その代わり、e-tron GTやe-tron Sが実際の製品として登場し、初代e-tronはQ8 e-tronへ改名のうえ2025年2月に生産を終えました。Audiのフラッグシップは2026年のフルサイズSUV「Q9」が担い、A8の後継となるEVフラッグシップは2020年代末の投入が計画されています。A9という車名の復活が今後あるのかは、現時点では見通せません。