車のガラスの水垢・ウロコ取り

フロントガラスにウロコ状の汚れができる原因は?専用クリーナーでしっかり除去しよう

フロントガラスにウロコが出来るのはなぜ?1度水アカがガラスにこびり付くとちょっとやそっとじゃ除去できない。専用のガラスコンパウンドを使って取り除く。スッキリとした見えやすい視界が手に入る。

フロントガラスにウロコ状の汚れができる原因は?専用クリーナーでしっかり除去しよう

フロントガラスのウロコ汚れ(イオンデポジット)の原因と確実な除去方法

フロントガラスのウロコ汚れ

フロントガラスにこびりついたウロコ状の白い汚れは、いくら洗車をしてキレイに拭きあげても落ちず、夜間の対向車のライトなどで乱反射して視界を妨げます。この頑固な汚れは「イオンデポジット」や俗に「ウォータースポット」と呼ばれ、固着してしまうと取り除くには時間と手間がかかります。

なぜ、このウロコ状の汚れがガラスに付着するのでしょうか?また、拭いただけでは落ちない頑固なウロコ汚れをDIYで除去するには、専用のクリーナーやコンパウンドが必要です。ここでは、ウロコ汚れの発生原因と、確実な除去方法をご紹介します。

フロントガラスにウロコ(イオンデポジット)が出来る原因

ウォータースポットができたフロントガラス

フロントウィンドウなどに発生するウロコ状の汚れの正体は、水道水や雨水に含まれるミネラル分(カルシウム、マグネシウムなど)がガラス面に固着・結晶化したものです。正式には「イオンデポジット」と呼ばれています。

ガラス上の水滴が太陽光や走行時の熱などにより蒸発する際、水分だけが気化し、内部に含まれていたミネラル分が水滴の輪郭に沿ってガラスに焼き付くことで、ウロコ状の跡が残ります。

ガラスにウロコ(イオンデポジット)が出来やすい条件

  • 炎天下など高温時に雨が降った後、直射日光により水滴が急激に蒸発した時
  • 洗車後に拭き上げを行わず、水分が自然乾燥した時(特に水道水に含まれるミネラル分が原因となります)
  • ウォッシャー液が乾いた時や、ボディに付着したワックス成分がガラスに流れ出た時

これらのミネラル分は、ガラスの主成分であるケイ酸ナトリウムと強く結合するため、通常の洗剤では簡単に除去できません。特に発生してから時間が経っているものは固着しているため、専用のクリーナーによる処置が必要になります。

フロントガラスのウロコを除去するには専用クリーナーで磨くのが確実です

フロントガラスのウロコ汚れを除去する整備士

フロントガラスに固着したウロコを除去するためには、専用のクリーナーが必要です。ウロコ除去剤には、主に以下の2種類があります。

  • 溶解タイプ(酸性):ミネラル分を化学的に溶かして除去するタイプです。
  • 研磨タイプ(コンパウンド):非常に細かい粒子でガラス表面を削り、ウロコを物理的に取り除くタイプです。

どちらのタイプも、車のガラス用に開発されているため、正しい手順で行えばガラスを傷つけることなく、確実かつキレイにウロコを除去できます。

フロントガラスのウロコを除去する一般的な手順

  1. カーシャンプーでガラス表面のホコリや油膜などの汚れを落とす
  2. 水分を完全に拭き上げる
  3. 専用クリーナー(コンパウンドなど)を付属のパッドにつけ、ウロコがある部分を磨く
  4. クリーナーを水で洗い流し、水分を拭き取って、ウロコが残っていないか確認する

水をかけて拭き取った時に水滴が残らず、ガラス全体に水が馴染む「親水状態」になっていれば、ウロコ状のウォータースポットは除去完了です。ウロコ汚れがなくなったガラスは視界が良好になり、安全運転にも繋がります。

ウロコ除去はディーラーやカー用品店、ガソリンスタンドでもサービスとして行っている場合がありますので、ご自身での施工が難しい場合はプロに依頼するのもおすすめです。

ウロコ取りパッドとメラミンスポンジを比較してみた体験談

室内から見たフロントウィンドウのウロコ汚れ洗車後に目立つサイドウィンドウのウロコ汚れ。ほかの場所にも同じようにウロコがついている

フロントウィンドウのウロコ汚れのアップフロントウィンドウのフチにウロコが付着しているのがわかる。

ここでは、市販の専用ウロコ取りパッドと、ホームセンターなどで手に入るメラミンスポンジを使って、実際にウロコ汚れ落としを試した際の体験談をご紹介します。

専用のウロコ取りパッドで除去

カーオールの水アカとりパッドのような専用品は、研磨剤や除去促進剤といったケミカル類がパッドの白い部分に含まれています。パッドに水を含ませてガラス面を擦り、薬剤がガラス面を弾かなくなる(親水状態になる)まで磨くことで除去完了となります。

サイドガラスにウロコ取りクリーナーを塗布している様子サイドガラスに施工すると全面ケミカルが弾いた模様になったため、撥水しなくなるまで施工した

専用品の利点は、施工が完了した目安が分かりやすいことです。例えば、撥水性のウロコが付着している箇所では、薬剤を弾く様子が見られますが、繰り返し磨くことで、液剤がべたーっと広がる親水状態に変化すれば除去完了と判断できます。フロントガラスだけでなく、ウロコが多く見られたリアクォーターウィンドウでも、効果的にウロコを落とすことができました。

カーオール「窓ガラス用水アカとりパッド」のパッケージカーオールの窓ガラス用水アカとりパッド。使い捨てで2個入っている。

メラミンスポンジで除去

メラミンスポンジは、メラミン樹脂でできたフォームで、水を含ませて擦るだけで汚れを絡め取るという特性があります。ガラスにも使用できるという情報から、サイドガラスに使ってみました。

サイドガラスをメラミンスポンジで擦っている様子サイドガラスをメラミンスポンジで擦っている様子。正直、完了の目安がわからないため施工しにくい

メラミンスポンジでもウロコを落とすことは可能でしたが、専用品のように施工完了の目安(親水状態への変化)が分かりにくく、作業に時間がかかりました。また、メラミンスポンジは非常に硬い素材でできており、ガラスに微細な傷が入るリスクもあるため、自動車のガラスには専用クリーナーの使用が推奨されます。

結論として、確実性と作業効率を考えると、専用のウロコ取りクリーナーを使う方法が最良だと感じました。

ウロコを取ってスッキリ透明になったサイドウィンドウウロコ取りを終えたサイドガラス。透明感がありスッキリとキレイな見た目になった。

その他、お酢やクエン酸を薄めてカルシウムを溶かす方法などが紹介されることもありますが、酸性の液体が窓枠のゴムやボディの塗装面に付着し、変質やシミの原因となる可能性を否定できません。これらのリスクを避けるためにも、自動車用の専用クリーナーを使用することをおすすめします。

また、ケミカル類を使う際は、ボディなど窓以外の部分に薬剤が垂れたまま放置しないよう、全体に水をかけて洗い流すか、作業後に洗車を行うようにしましょう。

フロントガラスのウォータースポット発生を抑えるための予防策

ウロコ汚れになりそうなフロントガラス

せっかくウロコを除去してガラスをキレイにしても、またすぐにウロコが発生してしまうと残念です。窓ガラスにウォータースポットを発生させにくくするための予防策を確認しておきましょう。

ガラスの水滴を放置しないことが基本

洗車後に水滴を拭き上げる男性

ウロコは水滴が蒸発する際に発生するため、最も重要な予防策は、ガラス面の水滴を放置しないことです。日中の炎天下での洗車は、水道水がすぐに乾いてカルキなどのミネラル分が残りやすくなります。陽が出ている時に洗車した際は、乾く前に必ず拭き上げを行うようにしてください。

洗車は、ガラス面やボディ面が冷えている夕方や夜間、あるいは曇りの日に行うことがおすすめです。

ガラス撥水コーティングを施工する

ガラス撥水コーティングを施工すると、水滴が玉状になって弾かれ、風圧で飛びやすくなります。これにより、水滴がガラスに留まる時間が減少し、ウロコ汚れの発生を抑制する効果が期待できます。ただし、撥水剤自体が劣化すると、その被膜がウロコのように固着する場合もあるため、定期的なメンテナンス(古い被膜の除去と再施工)が必要です。

駐車時の対策

駐車中にフロントガラスだけでもカバーをかけておくだけで、雨などの水分の付着を防げます。また、直射日光によるガラス表面の急激な温度上昇を抑えることもでき、水滴が熱で焼き付くのを防ぐ効果も期待できます。

フロントガラスのウロコ取りは安全運転の第一歩

フロントガラスのウロコ汚れを取り除くメンテナンスは、単に見た目を綺麗にするだけでなく、見やすい視界を確保することで、安全運転に大きく繋がります

ご自身でウィンドウのメンテナンスを行うことで、車への愛着も深まり、ワイパーの劣化などの異常にも早く気がつくことができます。ガラスを常にクリアな状態に保つよう心がけることが、快適で安全なドライブの基本です。