ルパンといえばやっぱり車!フィアットだけでなく大衆車やスポーツカーまで個性派が勢ぞろい
『ルパン三世』といえば、迫力あるカーアクションが欠かせません。物語の舞台は日本にとどまらず世界各国に広がっており、登場キャラクターたちの愛車も欧州車を中心とした外国車が並びます。
ルパン三世と聞いて真っ先に思い浮かぶのは「フィアット500(愛称チンクエチェント)」でしょう。これは初期シリーズで作画監督を務めた大塚康生氏の愛車をモデルにしたもので、スポンサーの意向で決まった車ではありません。テレビ第1シリーズの序盤でルパンが駆っていたのはメルセデス・ベンツSSKでしたが、宮崎駿氏と高畑勲氏が演出に加わった後半からフィアット500Fへと入れ替わり、以降の作品でも定番の愛車として定着しました。
今日では『ルパン三世』は世界的に知られ、とりわけフィアット社のお膝元イタリアで人気が高いのも興味深い点です。2015年のテレビアニメ第4シリーズでは、イタリアとサンマリノが舞台に選ばれました。
原作漫画『ルパン三世』(モンキー・パンチ作)の連載が始まったのは1967年です。半世紀以上にわたって愛され続ける本作には数多くの名車が登場し、とりわけ劇場版『ルパン三世 カリオストロの城』で描かれた車たちはファンの記憶に強く残っています。2025年6月には約30年ぶりの完全新作2D劇場版『LUPIN THE IIIRD THE MOVIE 不死身の血族』が公開され、2026年10月からはアニメ化55周年を記念した『ルパン三世傑作選』の放送も始まりました。劇中車という切り口を持っておくと、再放送や配信での見え方が一段変わります。
『カリオストロの城』でルパン、クラリス、銭形警部が操った車たち
1979年12月に公開された『ルパン三世 カリオストロの城』は、その後も繰り返し地上波で放送され、世代を超えて愛されてきたシリーズ屈指の名作です。監督を務めたのは、のちにスタジオジブリを立ち上げる宮崎駿氏であることも広く知られています。
また、原作者のモンキー・パンチ氏も「ルパンファンの95%が最初に心をつかまれた作品だ」と語るほど、この映画の影響力は絶大でした。冒頭のカーチェイスは、車が壁を駆け上がり、片輪走行で崖をいなし、大破しても運転席だけが残るという、痛みや恐怖を感じさせない独特の文法で描かれます。車に詳しくない人でも楽しめる一方、ベースになった実車を知っていると演出の細かさに驚かされる構成です。
フィアット NUOVA 500(チンクエチェント)
1957年から1975年まで製造された、イタリアを象徴する小型大衆車です。派生車のワゴン版ジャルディニエラは1977年まで生産が続きました。『ルパン三世 カリオストロの城』の名場面であるカーチェイスによって、ルパンの愛車として広く知られるようになりました。RR方式を採用し、全長は3mに満たないコンパクトボディながら、キャビンは意外と余裕があり、ルパンはまるで自分の体の一部のように自在に操ります。
フィアット NUOVA 500(チンクエチェント) 1962年式
全長2,970mm×全幅1,320mm×全高1,320mmのコンパクトサイズ 2代目フィアット500
間近で見ると、全長2,970mmという数字以上に小さく感じられ、現代の軽自動車より全長で60cmほど短い計算になります。それでいてルーフが高く、幌を開ければ身を乗り出せる形状のため、アクションシーンとの相性は抜群です。車重も500kg前後と軽く、非力なエンジンでも軽快に走る設計思想が、劇中の身のこなしにそのまま重なります。
空冷直列2気筒500ccエンジンをリアに搭載し、後輪を駆動
ノーマルの空冷直列2気筒は実用域で十数馬力という出力ですが、劇中のルパン車は100馬力級にチューンされているという設定です。車重500kgの車体に100馬力は、現代の1.5トン級コンパクトカーに換算すると300馬力相当のパワーウエイトレシオにあたります。坂道で銭形警部のセダンを振り切る描写は、数字の上でも筋が通っています。
チンクエチェントをベースにしたレーシング仕様 アバルト600
劇中では、カーチェイス冒頭でルパンがレバーを操作するとリアハッチが開き、過給機が作動して驚異的な加速を見せます。この演出の元ネタがアバルト600です。実車では冷却のためリアハッチを開いたまま走行する仕様で、ご覧のとおりエンジンルームには余裕がありますが、アニメの描写ではポルシェ並みに機械がぎっしり詰まった雰囲気で描かれていました。
なお、モチーフとなった2代目500をデザインに落とし込んだ3代目フィアット500は、日本では2008年の上陸から16年で約13万台が売れ、2024年5月に生産を終了しています。その最後を飾る限定車が『ルパン三世』とのコラボモデルでした。現行の500eは電気自動車となり、空冷2気筒の記憶を持つモデルは一区切りを迎えています。
メルセデス・ベンツ SSK
ルパンが愛用する車のひとつで、テレビ第1シリーズから登場し、『カリオストロの城』では回想シーンにも姿を見せます。1928年に発表された当時、最高速度192km/hを記録した名車で、その性能は同時代の量産車を大きく引き離していました。「SSK」はSuper Sport Kurz(短い)の略で、ホイールベースを詰めて軽量化したレース仕様を意味します。ルパン仕様ではフェラーリ製V12エンジンを搭載する改造が施され、最高速度は300km/hに達する設定です。
1928年式 SSK ルパンの愛車は鮮やかな黄色で描かれた
メルセデス・ベンツ SSK(1929~1932年式) フェンダー形状に違いがある
メルセデス・ベンツ SSKのクラシカルなコックピット
目の前にすると、ボンネットの長さとむき出しの排気管が放つ迫力に圧倒されます。コックピットは大径のステアリングと最小限のメーターだけという潔い構成で、現代の感覚では運転支援どころかシートベルトすらない世界です。生産台数はわずか30台あまりで、オークションに出れば億単位の値がつく一台でもあります。若きルパンの無鉄砲さを象徴する選択といえます。
シトロエン・2CV
1948年に発表され、1990年まで生産されたフランスを代表する小型大衆車です。当時としては珍しいFF方式を採用し、独創的で機能性に優れた設計が特徴でした。『カリオストロの城』の冒頭のカーチェイスではクラリスがハンドルを握り、印象的なシーンを演出しています。監督の宮崎駿氏自身も長年にわたって2CVを愛用していました。
1955年式 シトロエン 2CV キャンバストップにパイプフレームのシートを装備
1980年代の2CV 劇中でクラリスが乗った車も赤紫系のボディカラーだった
実際に触れてみると、パイプフレームにハンモックのような座面を張ったシートや、横棒を押し引きするだけのギアレバーなど、割り切りの徹底ぶりに驚かされます。「悪路で卵を積んでも割れないこと」を目標に設計された長いストロークのサスペンションは、コーナーで大きく傾きながら粘るという独特の挙動を生みます。大衆車で逃げるクラリスを、伯爵side の大型高級車が追うという構図は、彼女の素朴さを示す対比としても機能しています。
ハンバー・スーパー・スナイプ
1938年から1967年まで製造されたイギリスの大型高級車です。『カリオストロの城』では伯爵の部下が運転する車として登場し、防弾仕様のタイヤを履いていたものの、次元の銃撃で結局パンクさせられます。1889年に自動車製造を始めた老舗メーカー「ハンバー」が販売したモデルで、戦後は海外輸出も盛んに行われましたが、日本国内での人気は限定的でした。
劇中車のベースと思われるハンバー・スーパー・スナイプ マーク1(1946年式)
ハンバー・スーパー・スナイプ マーク2(1949年式)
日本ではほとんど見かけない車種のため、あえてこのクラスを悪役の足に選んだ点に制作陣のこだわりが表れています。重厚な車体が小さな2CVに翻弄される構図があるからこそ、冒頭の数分だけでルパンたちの腕前が伝わる仕掛けです。
ブルーバード 410型
『カリオストロの城』で銭形警部のパトカーとして登場したのは、1963年から1967年に生産された2代目ブルーバードです。このモデルからスーパースポーツセダンを意味する「SSS」グレードが初登場しました。劇中では「銭ブル」という愛称で親しまれ、ナンバープレートは「埼玉5 た 110」と描かれています。
日産ブルーバード 410型の後期モデル
ブルーバード史で最も人気が高いのは次の510型であり、旧車好きほど「なぜ410型なのか」に引っかかります。尻下がりのラインから当時は賛否が分かれた410型をあえて選んだ点が、要領よりも執念で押し通す銭形警部の人物像と重なります。劇中ではドアの左右で「ICPO」と「埼玉県警」の表記が異なり、ハンドル位置が場面によって変わるという描写も見られ、間違い探しの題材としてファンに語り継がれてきました。
C.M.Pトラック
銭形警部のパトカーの後方に連なる機動隊車両として登場したのが「C.M.Pトラック」です。C.M.Pとは「カナディアン・ミリタリー・パターン」の略称で、カナダ製の軍用トラックを意味します。第二次世界大戦中にシボレーやフォードの現地工場で40万台以上が生産され、連合国軍で広く使用されました。
CMP シボレー C15
エンジンを運転席の真下に置いた極端な平面フェイスは、輸送船に1台でも多く積むための設計です。架空の小国カリオストロ公国の警察に、戦後の払い下げ車両が残っているという設定の説得力が、こうした選車から生まれています。
『ルパン三世 THE FIRST』に登場した車種
2019年12月6日に公開された『ルパン三世 THE FIRST』は、シリーズ初となるフル3DCG映画です。ルパンの代名詞であるフィアット500が物語を彩ったのはもちろん、それ以外にも印象的な車両が数多く登場しました。3DCGになったことで、路面の凹凸を拾うサスペンションの動きやボディのねじれまで描かれ、手描き時代とは違う生々しさが加わっています。
シトロエン Hトラック
ルパンが護送される際に使用されたのが「シトロエン Hトラック」です。1947年から1981年まで生産され、フランスを中心とするヨーロッパ各地でマイクロバスや救急車、現金輸送車など多彩な用途に活躍しました。ヘッドライトなど一部の部品は同社の2CVと共通で、合理性を徹底した設計です。
シトロエン Hトラック 日本では移動販売車として利用されることも多かった
波板状のボディは、薄い鋼板でも強度を確保するための工夫で、見た目の個性と製造コストの低さを同時に成立させています。日本でもキッチンカーのベース車として輸入される例が多く、劇中車のなかでは実車を街で見かける可能性が比較的高い一台です。
ブルーバード 510型
埼玉県警のパトカーとして登場したのが、1967年から1972年に製造された3代目ブルーバード「510型」です。歴代モデルの中でも特に人気が高く、「スーパーソニックライン」と呼ばれる直線的でシャープなデザインが大きな魅力でした。
日産 ブルーバード 510型 劇中では埼玉県警のパトカー仕様で登場
510型ブルーバード 直線的なスタイルで国内外ともに大ヒット
510型の評価を決定づけたのが、1970年の東アフリカ・サファリラリーでの総合優勝です。過酷な悪路を走り切った実績が「頑丈な日本車」という評価を世界に広め、北米でも輸出の主力となりました。
ブルーバードと聞いて多くの人が思い浮かべる、直線基調のボディデザイン
旧車市場では410型より510型のほうが流通量が多く、社外パーツも比較的手に入ります。ただし人気ゆえに程度の良い個体は価格が上がりやすく、錆の進行具合で状態の差が大きく出やすい年代でもあります。
『LUPIN THE IIIRD』シリーズに登場した車
2014年の『次元大介の墓標』から続く『LUPIN THE IIIRD』シリーズは、若き日のルパンたちを描くスピンオフです。メインキャラクター1人ずつに焦点を当てる構成で、劇中車や小道具の選び方もテレビシリーズ以上に踏み込んでいます。2025年6月27日公開の『不死身の血族』は、このシリーズの流れをくむ約30年ぶりの完全新作2D劇場版として制作されました。
アルファロメオ 1750 GTV
『次元大介の墓標』でルパンたちの逃走用に使われた車です。1967年から1972年まで製造され、排気量1,779ccの直列4気筒DOHCエンジンが約120馬力を発生します。車名の「1750」は1930年代の名車6C 1750へのオマージュで、ベルトーネによる端正なクーペボディと4灯式ヘッドライトが特徴です。
アルファロメオ 1750 GTV(北米仕様)
※車両重量は約1,000kgと軽量で、105系と呼ばれる一連のクーペのなかでも扱いやすさの評価が高いモデル。
マセラティ・ボーラ
『次元大介の墓標』で、標的の墓を先に用意するスナイパー、ヤエル奥崎が駆った一台です。1971年に発表されたマセラティ初のミッドシップ車で、4.7リッターV型8気筒から310馬力を発生します。ブレーキやポップアップライトにシトロエン由来の油圧システムを採用している点も独特で、整備の際には油圧系の状態がコンディションを左右します。追う側に静かで速いミッドシップを割り当てた配役が、早撃ち対決の緊張感を高めています。
プリンス・グロリア スーパー6
『血煙の石川五ェ門』で銭形警部が運転していた黒塗りのセダンです。プリンス自動車が手がけた2代目グロリアの上級仕様で、国産初の直列6気筒OHCエンジンを搭載し、105馬力というクラス随一の出力と6気筒らしい滑らかな回転が売りでした。プリンス自動車は1966年に日産自動車へ吸収合併されています。『カリオストロの城』のブルーバードと見比べると、同じ銭形警部でも作品ごとに格の違う車があてがわれていることがわかります。
ランボルギーニ・ハラマ
『峰不二子の嘘』で不二子の愛車として登場します。1970年に登場したランボルギーニ最後のフロントエンジン12気筒モデルで、V型12気筒から350馬力を発生しながら、2+2の後席を備える実用性も持ち合わせていました。生産台数は約330台と少なく、ミウラやカウンタックの陰に隠れがちな存在です。劇中では後席にルパンと次元を乗せて走る場面もあり、2+2という成り立ちが物語の都合にぴたりとはまっています。
ルパン三世の愛車とシリーズ各作品に登場した名車一覧
映画、アニメシリーズ、TVスペシャルなど『ルパン三世』に登場した車両を一挙に紹介します。ルパンが卓越したドライビングテクニックでカーチェイスを繰り広げる場面が目立ちますが、次元大介や峰不二子が運転席に座るシーンも多く、作品ごとに選ばれる車の傾向が変わります。
アルファロメオ 6C1750
アニメシリーズ第2作に登場します。CM前のアイキャッチでルパンが飛び乗り、ステアリングが外れてしまうという印象的な演出に使われました。1929年から1933年に製造されたこのモデルは、戦前のレースで名を馳せた高性能スポーツカーであり、現在では走行可能な個体が億単位で取引される伝説的なクラシックカーです。
アルファロメオ6C1750Gran Sport – Walter Freund製ボディ
※1965~1967年に生産された復刻版「アルファロメオ・グランスポルト・クアトロルオーテ」ではないか、という説もある。
フォルクスワーゲン・タイプ181
1969年から1983年にかけて生産されました。人気車ビートル(タイプ1)をベースに開発された小型軍用車で、実質的には第二次世界大戦期のキューベルワーゲンを改良・進化させた後継モデルにあたります。平らなパネルを組み合わせた車体は補修が容易で、民生用としても販売されました。
Volkswagen タイプ181
Volkswagen タイプ181 リアビュー
オースチン・ミニ・クーパー
劇場版第1作『ルパンVS複製人間』で、不二子の愛車として登場します。「ミニ」はビートルズやエリザベス女王をはじめ幅広く愛された英国車で、「クーパー」はレーシングカーコンストラクターのジョン・クーパーが手を入れた高性能版を指します。モンテカルロ・ラリーで3連覇を達成した戦績でも知られます。
Austin Mini Cooper Mk1(1963年式)
劇中では地を這うほどローダウンされ、大型トラックの下をくぐり抜ける場面が描かれます。横置きエンジンと前輪駆動を小さな車体に詰め込んだパッケージは、後のコンパクトカーの設計思想を決定づけました。クラシックミニは2000年に生産を終了していますが、英国を中心に専門店と部品供給が残り、旧車としては維持しやすい部類に入ります。
スバル・360
『1$マネーウォーズ』や『ルパン三世VS名探偵コナン』に登場しました。1958年から1970年にかけて製造され、日本における「初代・国民車」と呼ばれる存在です。イタリアのフィアット500、ドイツのフォルクスワーゲン・タイプ1、フランスのシトロエン2CV、イギリスのミニと並び、大衆向け小型車の代表格として知られます。
軽自動車スバル360 当時の軽自動車は排気量360ccが上限だった
舞台がニューヨークの『1$マネーウォーズ』で、あえて日本の軽自動車を選んだ点が車好きの琴線に触れます。航空機メーカー由来のモノコック構造と薄い鋼板で車重約380kgを実現しており、劇中で飛行機型に変形する魔改造も、出自を知ると妙な説得力があります。
ACコブラ
『EPISODE:0 ファーストコンタクト』で登場します。英国AC社のロードスター「エース」に、アメリカ・フォード製V8エンジンを搭載したハイパフォーマンスカーです。1960年代に大きな人気を集めましたが、生産台数は約1000台と少なく、現在では希少車として扱われます。キットカーの題材としても定番で、レプリカを含めれば実車に触れる機会は比較的あります。
ACコブラ427
最終型の427は7.0リッターV8で400馬力超を発生する一方、車重は約1,100kgにとどまります。小さな車体に過剰な排気量という構成は、若き日のルパンの危うさを表現する配役として機能しています。
フォルクスワーゲン・タイプ1
TV第2シリーズに登場します。1941年から2003年まで60年以上にわたり生産され、単一車種としては世界最多クラスの2,100万台以上という販売記録を持つ名車です。愛称は「ビートル(カブトムシ)」で、空冷水平対向4気筒をリアに積むRR方式という点もフィアット500と共通するため、小型大衆車としてしばしば並び称されます。
「カブトムシ」の愛称にふさわしい丸みのあるスタイルが特徴のフォルクスワーゲン タイプ1
フォルクスワーゲン タイプ1
フェラーリ・312B
1970年に製造されたF1マシンです。名称は「3.0L・12気筒ボクサーエンジン」に由来しますが、実際には180度V型に分類されます。TV第1シリーズ第1話に登場し、ルパンは国際A級ライセンス保持者らしくサーキット走行を軽々とこなしてみせました。同じレースには銭形警部がロータス72で参戦しており、第1話から両者の関係性が走りで描かれています。
フェラーリ 312B
ランボルギーニ・エスパーダ
1968年から1978年に生産された4人乗りのグランツーリスモです。デザインは後にカウンタックやランチア・ストラトスを手掛けた名匠マルチェロ・ガンディーニによるもので、V12エンジンを搭載し、ラグジュアリーと走行性能を兼ね備えたモデルとして高い評価を受けました。TV第1シリーズ第13話「タイムマシンに気をつけろ!」に登場します。
ランボルギーニ・エスパーダ シリーズI
全高1,185mmという低さに大人4人が座れる空間を確保した設計で、登場当時は世界最速のフル4シーターを名乗りました。漫画の中の車のような造形でありながら実在するという点が、ルパンの世界観によく馴染みます。
ランドローバー・シリーズ1(ピンクパンサー)
ランドローバーはイギリスを代表する四輪駆動車メーカーで、英国王室御用達としても知られます。ルパンは作中で何度かランドローバーに乗っていますが、TV第2シリーズのオープニングには「ピンクパンサー」が登場しました。砂漠では夕暮れや砂塵のなかでピンクが輪郭をぼかし、迷彩として機能します。
デザートピンクに塗装されたSAS仕様ランドローバー・シリーズ1 砂漠では「ピンク」が保護色となる
このモデルはイギリス軍特殊部隊SAS(Special Air Service)仕様のランドローバーです。ルーツは第二次世界大戦中、北アフリカ戦線で敵基地の破壊工作を担った「突撃車」にあり、戦後は植民地での作戦などに用いられました。戦時中のSASが使用していたのは砂漠用に改造したジープで、その活躍はドラマ『ラットパトロール』の着想源にもなっています。現在でもタミヤ模型から「1/35 イギリス陸軍 S.A.S. ランドローバー・ピンクパンサー」や「1/35 イギリス陸軍 SASジープ」が発売されており、劇中車を手元で再現しやすい一台です。
ランドローバー・シリーズ1
ティレル・P34
TV第2シリーズ「モナコGPに賭けろ」で登場した異色のF1マシンです。1975年に世界初の6輪F1カーとして発表された際、あまりの奇抜さに会場が静まり返ったというエピソードが残ります。前輪を小径4輪とすることで空気抵抗を減らしつつ接地面積を確保する狙いで、1976年から1977年に実戦投入され、通算14回の表彰台と1回の優勝を記録しました。1983年の車両規則改正で6輪マシンは禁止されています。
ティレル P34 1983年のレギュレーション変更で姿を消した6輪F1カー
アルピーヌ・A110(初代)
フランスのアルピーヌ社(後にルノーの子会社)が手掛けた名スポーツカーです。1961年から1977年に製造され、1973年に創設された世界ラリー選手権では初代チャンピオンに輝きました。FRP製ボディとバックボーンフレームによる軽量な車体をRRレイアウトで走らせる構成で、2018年には同じ名を冠する新型A110が日本にも導入されています。
アルピーヌ A110(1961~1977年)
ルノー・5
フランス・ルノーが1972年から1984年に生産した小型ハッチバックです。実用性に優れたFF方式を採用し、ヨーロッパでベストセラーカーとなりました。日本へは1976年から輸入され、車名の「5」をフランス語読みして「サンク」と呼ぶのが一般的です。2024年には電気自動車として車名が復活し、欧州で販売されています。
日本に輸入された初代ルノー・サンク
ルノー・8・ゴルディーニ
2018年放送『PART5』のルパンの愛車です。1962年から1971年に製造されたRRセダン「8」をベースに、エンジン出力の向上とサスペンション強化を施した高性能モデルで、劇中仕様には防弾ガラスも備わっています。ゴルディーニとはチューニングメーカーの名であり、創設者のアメデ・ゴルディーニは「魔術師」の異名で知られた天才メカニックです。
ルノー8・ゴルディーニ エンジンレイアウトはRR 数々のレースで活躍
ルパンの愛車と同じ白に青ストライプのボディ
フィアット500と同じくリアにエンジンを積むRRで、鼻先が軽く小回りが利く反面、限界を超えると一気に後ろから流れます。ルパンがわざと後輪を滑らせて向きを変える描写は、このレイアウトの癖を踏まえた演出です。
サンバー
TV第2シリーズ「ルパン逮捕ハイウェイ作戦」に登場します。スバルが1961年に発売した軽トラック・軽バンで、6代目までリアエンジン・リア駆動を守り続け、エンジンを後ろに積む構成から「農道のポルシェ」と呼ばれました。7代目からはダイハツ・ハイゼットのOEMとなり、現在も販売が続いています。RRという共通点からワーゲンバス風のカスタムが流行したこともあります。
スバル・3代目サンバー バン 550後期型
逃走中のルパンが軽バンを選ぶという意外性が、この回の見どころです。荷室に人や荷物を積んだまま山道を走る実用性は、派手なスポーツカーにはない強みでもあります。
レオーネ
同じく「ルパン逮捕ハイウェイ作戦」に警察車両として登場します(この回のルパンはサンバーに乗っています)。初代は1971年から1979年に販売され、1972年には乗用車初の4WDモデル「レオーネ・エステートバン4WD」が加わりました。水平対向エンジンと四輪駆動というスバルの骨格をつくったモデルで、1994年にレガシィやインプレッサへ役目を譲り生産を終了しています。
スバル・初代レオーネ 1600 4WD
エステートバン1600 4WD
セリカ
2018年放送『ルパン三世PART5』に登場します。1970年に誕生した日本のスペシャリティカーの代表格で、エンジンや内装を好みで組み合わせる「フルチョイスシステム」を採用した点でも画期的でした。リアのデザインがフォード・マスタングに似ており、米国では「マスタング・セリカ」と呼ばれたこともあります。国内では2006年に生産を終了しました。
トヨタ・セリカGT TA22型
トヨタ・セリカGT TA22型リア
劇中では初代の車体に現代の装備を組み込んだレトロモダン仕様として描かれます。丸いヘッドライトから「ダルマセリカ」の愛称で親しまれた初代は、旧車イベントでも人気が高く、程度の良い個体は値上がり傾向が続いています。
トライアンフ・TR-4
TV第1シリーズ『殺し屋はブルースを歌う』で、ルパンとのドライブ中に不二子が運転します。イギリスの自動車ブランド・トライアンフのスポーツカーで、特徴的なヘッドライト周りのデザインは日野・コンテッサ1300なども手掛けたジョバンニ・ミケロッティによるものです。英国車らしい骨太な成り立ちにイタリア人デザイナーの感性が重なった一台で、不二子の華やかさによく似合います。
Triumph TR-4(1961–65)
三菱・500
TVスペシャル『sweet lost night』『the Last Job』などに登場し、次元が運転します。1960年発売の小型乗用車で、政府の「国民車構想」に応える形で三菱が自社開発しました。しかし2年前に発売されたスバル360の前に販売は伸びず、1962年に生産を終了しています。
1960~1962年に販売された三菱500
華々しい成功を収めた名車ではなく、商業的に敗れた一台をあえて次元にあてがう配役が渋く、マニア受けする選択です。現存台数は少なく、イベントで見かける機会も限られます。
プリムス・ロードランナー
TV第4シリーズのオープニングに黄色の車両が登場します。ルパンにしては珍しいアメ車で、マッスルカーブームのなか市場が高級化していく時期に、1968年登場のロードランナーはカーペットすらオプション扱いという割り切りで価格を抑え、若者の支持を集めました。1968年から1980年まで販売されています。
ロードランナーは1968~1980年まで発売
初代(1968~1970年)プリムス・ロードランナー「プリマス」と表記されることもあり
アルファロメオ・ジュリエッタ・スパイダー
TV第4シリーズのエンディングで不二子が腰をかけている赤い車は初代ジュリエッタです。1950年代から60年代にかけて欧州で大人気となり、戦後のアルファロメオが少量生産の高級車メーカーから量産車メーカーへ転換するうえで決定的な役割を果たしました。
アルファロメオ・ジュリエッタ・スパイダー1957年式
ピニンファリーナが手がけた抑揚のあるボディラインは、間近で見ると面の切り替わりが驚くほど滑らかで、量産車の水準を超えた作り込みが伝わってきます。
シボレー・コルベット C3
TV第2シリーズ136話で登場します。リトラクタブル・ヘッドライトを採用し、独特のくびれたボディが特徴的なアメ車で、コカ・コーラの瓶を連想させることから「コークボトル」の愛称がつきました。1968年から1982年まで製造されています。
シボレー・コルベット C31978年式
手を当てるとわかるとおりボディはFRP製で、鋼板とは異なるしっとりした質感があります。錆びない反面、割れや補修跡が出やすく、中古で選ぶ際はボディの波打ちや塗装の浮きが状態を見分ける手がかりになります。
メルセデス・ベンツ 300SLR
1954年にF1へ投入されたW196をベースに、1955年の世界スポーツカー選手権へ出場したレーシングカーです。総生産台数は9台(オープン7台、クーペ2台)という希少さで、TVスペシャル「お宝返却大作戦!!」に登場しました。作中では架空のスーパーカーという扱いですが、デザインは300SLRそのものです。
メルセデス・ベンツ・300SLR
フィアット500トポリーノ
TV第4シリーズ20話『もう一度、君の歌声』に登場します。老夫婦の思い出のクラシックカーは、ルパンの愛車と同じフィアット500の初代モデルで、「ハツカネズミ」を意味するトポリーノの愛称で親しまれました。1936年から1955年まで生産され、名作映画『ローマの休日』の劇中車としても知られます。
フィアット500トポリーノ(1936~1955年) 初代チンクエチェント
フロントに水冷4気筒を積む前輪側エンジンの構成で、RRの2代目とは成り立ちが異なります。同じ「500」でも中身は別物という点は、旧車を探す際にも押さえておきたい違いです。
マトラ・M530
F1でタイトルを獲得するなどモータースポーツ界で名を馳せたフランスの自動車メーカー・マトラが製造した、タルガトップの小型スポーツカーです。1967年から1973年まで販売され、TV第2シリーズに登場しました。同社は2003年に経営難のため自動車事業から撤退しています。
マトラM530 LX
マトラM530LXのリア
ドイツのフォード製V4エンジンをミッドシップに積み、ルーフパネルを外せばオープンになるという凝った構成です。知名度では他の欧州車に譲るものの、こうした車が何気なく背景に置かれている点に制作陣の趣味が表れています。
トライアンフ1800ロードスター
トライアンフ1800ロードスター 1946年式
『ルパン三世プリズン・オブ・ザ・パスト』で、ルパン・次元・五ェ門の3人が荒野を駆け抜けた際のオープンカーです。第二次世界大戦後の1946年から1948年まで製造され、1,776ccの直列4気筒エンジンを搭載し、最高速度は約121km/hでした。トランクリッドを開くと座席が現れる「ダッキーシート」を備える点も特徴で、3人乗りの場面に無理がありません。
スーパーセブン(ロータス・セブン)
ルパンが運転したのはロータス・セブン・シリーズ2(1961~1967)の可能性が高い
『ルパン三世プリズン・オブ・ザ・パスト』のオープニングに登場し、ナンバーは「札幌303 さ・8-07」と描かれています。セブンは1973年以降ケータハムへ生産権が移り、その後も多数のメーカーがレプリカを作り続けてきましたが、劇中車にはロータスらしきエンブレムが確認できます。鋼管フレームにアルミパネルを張っただけの車体は500kg前後と軽く、路面の凹凸がそのまま伝わる乗り味です。
ハインケル・カビーネ
ハインケル・カビーネ
ハインケル・カビーネの車内 変速機は4速MT
第二次世界大戦後に、ドイツの航空機メーカーであったハインケルが製造したバブルカーです。『プリズン・オブ・ザ・パスト』の水上カーチェイスで登場しました。3輪のTyp150は全長2,550mm、車両重量243kgという超小型軽量で、最高出力は約10馬力にとどまります。
車内に身を収めると、前面がそのままドアとして開く構造のため、ハンドルごと身体が外に出るような独特の乗り込み方になります。戦後の物資不足のなか、航空機メーカーが生き残りをかけて作った一台という背景を知ると、ルパンたちの逃走劇に添えられた意味も見えてきます。
ルパン三世の劇中車は今でも手に入るのか
登場車を並べると、現実的に探せる車と、博物館でしか会えない車にきれいに分かれます。前者はフィアット500、シトロエン2CV、フォルクスワーゲン・タイプ1、クラシックミニ、サンバー、セリカといった量産車です。2CVは約390万台、タイプ1は2,100万台以上が生産されており、専門店とリプロダクション部品が今も流通しているため、旧車としては整備の受け皿が広い部類に入ります。
対して、SSK(30台あまり)、300SLR(9台)、6C1750、フェラーリ312B、ティレルP34などは、そもそも市場に出てこない領域です。これらは所有よりも、クラシックカーイベントや自動車博物館で実車に会いに行くほうが現実的です。
旧車を持つ場合に見落とされがちなのが税金です。ガソリン車は初度登録から13年を超えると、翌年度から自動車税種別割が約15%重くなり、軽自動車ではさらに重い加算となります。自動車重量税も13年超と18年超の2段階で上がるため、車両価格が安く見えても年間の維持費は現代の車より高くつきます。1960年代の輸入車なら、これに部品の取り寄せ期間と工賃が上乗せされます。
長期保有の現場でよく指摘されるのは、エンジンそのものより補機類と防錆の状態です。空冷車はエンジンルームの冷却導風板やシールの欠品で油温が上がりやすくなり、年式の古い個体ではフロア下やフェンダー内側の錆が修復費を押し上げます。「安く買って自分でいじる」より「程度の良い個体を相応の価格で買う」ほうが、結果的に支出が少なく済むケースが多く見られます。雰囲気だけを期待して飛び込むと後悔しやすい一方、整備自体を趣味として楽しめる人には、現行車では得られない時間が待っています。
ルパンの世界観にはスタイリッシュな車がよく似合う!
『ルパン三世』シリーズには、フィアット、メルセデス・ベンツ、アルファロメオ、ルノー、シトロエンといった欧州の自動車メーカーを筆頭に、シボレー・コルベットやプリムス・ロードランナーなどのアメ車、さらにサンバーやセリカ、スバル360といった意外な日本車までが登場します。F1マシンから軽自動車、軍用トラックやバブルカーまで並ぶ振れ幅の大きさは、他の作品にはなかなか見られません。
劇中車は、キャラクターの性格や物語の時代設定を読み解く手がかりでもあります。大衆車で逃げる側と高級車で追う側、量産に敗れた一台を好む次元、フロントエンジンのV12を選ぶ不二子といった具合に、配役として車が選ばれています。シリーズを見るときには、ぜひ劇中車にも注目してみてください。



























