トランスポーターの車を解説!劇中車BMW7シリーズや&アウディA8はどうすごい?
映画『トランスポーター(The Transporter)』は車の描かれ方が非常にかっこよく、大迫力のカーアクションはもちろん、何気ない洗車シーンですら車の美しさが最大限発揮されており、クルマ好きにはたまらない作品です。
普段はピカピカに磨かれ、傷どころか、汚れひとつ許さない凄腕の運び屋フランク(ジェイソン・ステイサム)の愛車は、BMW7シリーズ、アウディA8やS8などの高級車ばかり。
車の知識がなくても「かっこいい!」「面白い!」と楽しめますが、どうせなら主人公の愛車の特徴や価格を知っておくと、更に映画が面白くなります。
『トランスポーター』『トランスポーター2』『トランスポーター3 アンリミテッド』『トランスポーター イグニッション』の劇中車のスペックや特徴をまとめました。
『トランスポーター』の劇中車BMW735i E38とはどんな車?
2002年(日本では2003年)に公開されたカーアクション映画『トランスポーター』。
リブート版『トランスポーター イグニション』も含めて、1でのみ主人公のフランク(ジェイソン・ステイサム)はBMWに搭乗しています。
主人公フランクの愛車はBMW735i(E38)=BMW 7シリーズの第3世代
『トランスポーター』の主人公、運び屋フランクの愛車は、BMWのフラグシップモデルである7シリーズの第3世代E38型です。
BMWの車名には規則性があり、最初の数字がシリーズ名(1~7まで存在。数字が上がるほど車格が大きい高級車)で、残り2桁がエンジンの総排気量を表します。
つまり、BMW735iというのは、7シリーズの排気量「3500cc」という意味です。
7シリーズ(E38)の生産は1994~2001年、『トランスポーター』唯一のMT劇中車
BMW7シリーズ第3世代の生産は1994~2001年で、735iの販売は1996~2001年までです。
高級車ではありますが、BMWはオーナーが後部座席に座り運転手にハンドルを任せるのではなく、「オーナー自身が運転する車」として7シリーズを位置付けています。
なお、トランスミッションは5速MT、6速MT、5速ATとあり、フランクが運転しているのはMT車です(MTは日本未発売)。トランスポーター2以降は、アウディA8のAT車に搭乗しており、主人公の愛車としてはシリーズ唯一のMT車となります。
BMW7シリーズのライバル車はベンツSクラスやジャガーXJ、そしてアウディA8
BMW7シリーズのライバル車は、メルセデス・ベンツSクラス、ジャガーXJ、レクサスLSなどです。各ブランドが最高の技術を投入している「フラグシップモデル」の高級セダンばかりで、市場ははっきり言って超激戦です。名門ブランドが自らの威信をかけて開発している車と言って良いでしょう。
なお、トランスポーター1で主人公のBMW735iは爆破されてしまい、トランスポーター2と3では主人公の愛車はアウディA8に変更になります。
このアウディA8も間違いなく、BMW7シリーズのライバル車にあたります。
『トランスポーター1』の劇中車となったBMW735i(E38)のスペック一覧
トランスポーター劇中車となったBMW735iの基本スペックを紹介します。
ボディタイプ | セダン |
---|---|
駆動方式 | FR |
全長 | 4,985mm |
全幅 | 1,860mm |
全高 | 1,435mm |
総排気量 | 3,497cc |
エンジン種類 | V型8気筒DOHC32バルブ |
エンジン型式 | 35 8S |
最大出力 | 235ps(173kW)/5800rpm |
最大トルク | 35.7kg・m(350.1N・m)/3800rpm |
車両重量 | 1,850kg |
ホイールベース | 2,930mm |
最小回転半径 | 5.4m |
乗車店員 | 5名 |
735iはV型8気筒DOHCエンジン搭載車で、おおよそ235馬力。上級グレードはV型12気筒エンジンを搭載しており、意外なことに劇中車はE38系の中では下位グレードです。
ただし、劇中車は様々なチューニング(改造)を施している可能性が高いでしょう。
BMW735i(E38)の新車価格は約900万円、中古車は100万円以内もあり
BMW 735i(E38)の販売当時の新車価格は約880万円。下位グレードですし、オプションや諸経費を含めていない価格ではありますが、7シリーズで本体価格が1000万円未満というのはやや驚きです。
現在のBMWの7シリーズ、2015年から発売している第6世代G11/G12は、最廉価グレードでも1,096万円で、最上級グレードは2,500万円を超えています。
E38は生産終了から20年近く経っていることもあり、中古価格も安く、走行距離が多いものなら100万円以下で販売されていることもあります。
ただし、購入の際には、維持費・税金に関してよく検討する必要があるでしょう。
『トランスポーター2』『トランスポーター3』のアウディA8とはどんな車?
『トランスポーター2』(日本公開2006年)、『トランスポーター3 アンリミテッド』(日本公開2009年)の主人公フランクの愛車は、年式こそ違うものの、どちらもアウディA8です。
1作目の『トランスポーター』は、作品の序盤~中盤でBMWが爆破されてしまうので、カーアクションに関しては2作目以降の方が楽しめるという声もよく聞きます。『トランスポーター』シリーズでは、アウディA8が主人公フランクの愛車の代名詞と言っても過言ではないでしょう。
トランスポーター2&3の劇中車はアウディA8(D3系)のトップグレード
『トランスポーター2』『トランスポーター3 アンリミテッド』での運び屋フランクの愛車は、アウディA8(D3系)。アウディのフラグシップモデルの高級セダンで、2代目D3系は2002~2009年まで生産されました。
ただ、前作『トランスポーター』のBMW735iが7シリーズのなかでは下位グレードなのに対し、2作目・3作目ではアウディA8の最高級グレード、W12エンジン搭載の「6.0クワトロ」モデルに搭乗しています。
おそらく1のヒットにより制作費が増えたため、主人公フランクの愛車もグレードアップさせたのでしょう。カーアクション映画は興行的に成功すると次作以降の劇中車が高級化していくことが珍しくありません。
※『トランスポーター3 アンリミテッド』のパンフレットに、「搭乗車A8 4.2 FSI」の記載があったという話もあります。しかし、映像では「W12」のエンブレムがついていたので、パンフレットの誤記の可能性が高いと判断しました。
アウディA8(D3系)6.0クアトロのスペック一覧
アウディA8(D3系)6.0 クワトロの基本スペックを紹介します。
全長5m以上で欧州ではFセグメントに位置付けられる大型高級セダンで、6.0 クワトロはトップモデルです。
ボディタイプ | セダン |
---|---|
駆動方式 | フルタイム4WD |
全長 | 5,055mm |
全幅 | 1,895mm |
全高 | 1,450mm |
総排気量 | 5,998cc |
エンジン種類 | W型12気筒DOHC48バルブ |
エンジン型式 | BHT |
最大出力 | 450ps(331kW)/6200rpm |
最大トルク | 59.1kg・m(580N・m)/4000rpm |
車両重量 | 2030kg |
ホイールベース | 2,945mm |
最小回転半径 | 5.8m |
乗車店員 | 5名 |
アウディA8 6.0クアトロはW型12気筒エンジン搭載のモンスターマシン
アウディA8(D3系)6.0 クワトロの最大の特徴は、やはりW型12気筒エンジンにあります。
通常12気筒エンジンは、2基の直列6気筒を組み合わせて「V」の字を作るものですが、アウディA8はV型6気筒を組み合わせて「W」の字に並列に組み合わせています。
W型にすることでエンジンが非常にコンパクトになり、アウディ独自のフルタイム4WDシステム「クアトロ」とも両立できているのです。
車両重量2tは重すぎる気もしますが、最高出力450psのハイパワーなので「重いから走れない」ということはありません。『トランスポーター』でのカーチェイスシーンは、A8だからこそ、迫力あるものに仕上がっています。
主人公フランクのアウディA8がAT車なのはおかしくない!
アウディA8(D3系)はMTとATの両方が設定されていますが(日本ではMTは未発売)、『トランスポーター2』『トランスポーター3』で主人公が運転したのはAT車です。
「車好きはMT車を選ぶ」というイメージがある日本の観客の中には違和感を覚えた人もいるようですが、欧州では「高級車はAT」というのが一般的です。
また、現在の技術では、車の性能を引き出すならATの方が効率的です。
運び屋としての職務遂行をなにより重視するフランクの愛車がAT車なのは、ごく自然な成り行きなのです。
アウディA8 6.0クアトロの新車価格は1,480万円、中古車価格は400万円台~
アウディA8(D3系)6.0 クワトロの当時の新車価格は1,480万円とさすがに高額です。
ですが生産終了から10年近くたち、D4系、D5系とモデルチェンジを繰り返しているため、中古市場では400万円台から購入できる可能性もあります。
もっとも維持費は当然かかりますし、全長5×全幅1.8 メートル越えの高級サルーンとなると日本では駐車場についても考慮しなくてはなりません。
『トランスポーター イグニッション』のアウディS8とはどんな車?
『トランスポーター イグニッション』(2015年公開)は、『トランスポーター』シリーズのリブート作品です。主演がジェイソン・ステイサムからエド・スクラインに変更になっていますが、脚本や製作には変わらずリュック・ベッソンが担当しています。
『トランスポーター イグニッション』の劇中車はアウディS8(D4系)
『トランスポーター イグニッション』での主人公の運び屋フランクの愛車は、アウディS8 D4系(2011~)。アウディのフラグシップであるA8をベースに、走行性能に磨きをかけた高級スポーツセダンです。
『トランスポーター イグニッション』劇中車アウディS8のスペック
アウディS8(D4)の基本スペックを紹介します。
ボディタイプ | セダン |
---|---|
駆動方式 | フルタイム4WD |
全長 | 5,145mm |
全幅 | 1,950mm |
全高 | 1,1455mm |
総排気量 | 3,992cc |
エンジン種類 | V型8気筒DOHCICターボ |
エンジン型式 | CGT |
最大出力 | 520ps(382kW)/5800~6400rpm |
最大トルク | 66.3kg・m(650N・m)/1700~5500rpm |
車両重量 | 2080kg |
ホイールベース | 2,995mm |
最小回転半径 | 5.8m |
乗車店員 | 5名 |
アウディS8は最高520馬力、100キロ加速4.2の秒という驚きのスペック
『イグニッション』での劇中車アウディS8は、トランスポーター2&3の劇中車「アウディA8 6.0クアトロ」の6.0リッターW12型よりも排気量はダウンサイズしていますが、最高出力520ps、最大トルク650Nmとパワーではまったく引けをとりません。
アウディ独自のAWD「クアトロシステム」も当然採用しており、トランスミッションは8速AT。全長5m越えのフルサイズセダンにもかかわらず、0-100kmは4.2秒のモンスターマシンです。
「ここまでスポーティーな大型セダンに誰が乗るのか?」とセールス面を心配してしまいますが、最高の技術を投入した車を作ることがアウディというブランドの誇りなのでしょう。
主演俳優が交代し、新たな視点で作り直すリブート作品として期待と不安の両方があった『トランスポーター イグニッション』ですが、アウディS8を使った迫力あるカーアクションは『トランスポーター』らしさに溢れていました。
S8は1,580万円だが、新車購入できるのは2000万越えのS8 Plusのみ
2012~2015年まで発売されていたアウディS8(D4系)の新車価格は1,580万円です。
2015年に生産を中止し、その後はS8 Plusとしてより進化し、最高出力は605psまで引き上げられました。S8 Plusの新車価格は2,008万円です。
『トランスポーター2』に登場したランボルギーニ・ムルシエラゴ・ロードスター
本来は主人公フランクの愛車ではありませんが、『トランスポーター2』では、終盤ランボルギーニ・ムルシエラゴが登場します。
ランボルギーニ・ムルシエラゴは、2001~2010年に生産された見た目通りのスーパーカーで、ランボルギーニがアウディ傘下に入ってはじめて発売された車です。
劇中車は、ムルシエラゴ初のオープンカーとして販売された「ムルシエラゴ・ロードスター」モデルでしょう。V12気筒エンジン搭載で最高出力580馬力、最高速度320km/h、価格は約3000万円です!
トランスポーターに影響を受けたクルマ好きは多い!
派手なカーアクションムービーはたくさんありますが、『トランスポーター』の主人公のフランクは、普段は商売道具であるクルマを非常に丁寧に扱う姿が印象的。凄腕のドライビングテクニックを持ちながらも、仕事後は真っ先に洗車するシーンが車好きとして共感できます。
世の中には映画を見てBMWやアウディに憧れた人は非常に多く、中にはオーナーになったという人もいます。
1度映画を見たことがある人も、そうでない人も、ぜひ『トランスポーター』シリーズを鑑賞してみてください。疾走する大迫力のBMWやアウディに見惚れてしまうこと間違いなしです!