ナンバープレートの構成要素を徹底解説!「地名・分類番号・ひらがな・色」の意味と役割
運転免許を保有していても、ナンバープレートが持つ意味やルールについて詳しく知らないという方も多くいらっしゃいます。これは、教習所の教習内容にナンバープレートの詳しい規則が盛り込まれていないことも影響しているようです。
普段、何気なく目にしているナンバープレートには、車両の種類や用途、登録地など、重要な情報がすべて組み込まれています。本記事では、ふとした瞬間に気になる「プレートのひらがなや色、数字にはどんな意味があるの?」という疑問を、詳しく丁寧に解説します。
ナンバープレートは公道を走る車に義務付けられた「公的証明書」
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日本で使われていた歴代ナンバープレート -
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日本で使われていた歴代ナンバープレート -
日本で使われていた歴代ナンバープレート -
海外で使われているナンバープレート -
海外で使われているナンバープレート -
日本のナンバープレートの品質管理点検
ナンバープレートは、公道を走行するすべての自動車に装着が義務付けられている「公的証明書」のようなものです。このプレートには、「地名」「分類番号」「ひらがな」「一連指定番号」「色」によって、その車がどのような種類や用途で使われているかを分類し、車を特定するための識別情報が記載されています。
普通自動車のナンバープレートの正式名称は「自動車登録番号標」です。軽自動車や二輪車は「車両番号標」と呼ばれています。また、対象となる車両のサイズに応じて、大板・中板・小板のサイズが用意されています。
新車を購入した際や、引越しなどで管轄が変わった際に、お近くの運輸支局等に申請することで交付されます。自家用車か事業用車か、あるいは軽自動車か普通自動車かといった用途や種別を分類するために、一定のルールが設けられているのです。
ナンバープレートを構成する5つの情報とその意味
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日本で交付されているナンバープレートの種類 -
日本で交付されているナンバープレートの種類 -
日本で交付されているナンバープレートの種類
車のナンバープレートには様々な情報が詰まっています。記載されている意味を読み解くと、ナンバープレートを見るのがもっと楽しくなります。ここでは、各要素の意味を詳しく解説します。
1.地名の入ったナンバープレートは「地域名表示」を意味する
ナンバープレートの左上に記載されている地名は、その車が登録されている管轄の運輸支局や自動車検査登録事務所を表しています。しかし、以前は登録地名しか表記されていませんでしたが、2006年以降、地域の振興や観光促進を目的として、運輸支局や検査登録場以外の地名(地域名表示)、いわゆる「ご当地ナンバー」をつけることが許可されました。
例えば、三重県の「鈴鹿」や山梨県の「富士山」、宮城県の「仙台」ナンバーなどが有名です。最近では、地域のシンボルマークなどがデザインされた「図柄入りナンバープレート」も登場しており、普及が進んでいます。
2.ナンバープレートの「3桁の分類番号」は車の種類を分類
地名の横にある3桁の数字を分類番号と呼びます。この分類番号は、車の種類や用途を分類するために用いられます。
| 車の種類 | 分類番号(上1桁) |
|---|---|
| 普通貨物自動車(トラックなど) | 1、10~19、100~199 |
| 普通乗合自動車(路線バスなど:乗車定員11名以上) | 2、20~29、200~299 |
| 普通乗用自動車(乗車定員10名以下の小型車よりも大きい普通車) | 3、30~39、300~399 |
| 小型貨物自動車(積載・運搬用小型自動車) | 4、40~49、400~499 6、60~69、600~699 |
| 小型乗用自動車(乗車定員10名以下の小型自動車) | 5、50~59、500~599 7、70~79、700~799 |
| 特殊用途自動車(救急車、消防車、キャンピングカーなど) | 8、80~89、800~899 |
| 大型特殊自動車(ショベルカー、ブルドーザなど) | 9、90~99、900~999 |
| 建設機械など(大型特殊自動車) | 0、00~09、000~099 |
街中でよく見かけるのが、3ナンバーと5ナンバーが付けられている乗用車です。5ナンバーの代表的な車には、トヨタのヤリスやアクア、ホンダのフィットなどがあります。3ナンバーには、トヨタのアルファードやレクサス、大排気量の輸入車などが含まれます。
乗用車における3ナンバーと5ナンバーを分ける規格は、以下のいずれかの項目でも超過した場合に3ナンバーとなります。
- 全長が4,700mmを超える
- 全幅が1,700mmを超える
- 全高が2,000mmを超える
- ガソリンエンジンの総排気量が2,000ccを超える(ディーゼル車などを除く)
先頭の数字が4か6で始まるものは、主に貨物運搬に特化した小型車です。5や7から始まるものは小型の乗用車タイプを分類しています。8から始まるものは、キャンピングカーやパトカーなどの特殊な用途で用いられる車が分類されています。
3.ひらがなは「自家用」か「事業用」かなど車の用途を分類
ナンバープレートの地名と分類番号の間に表示されている「ひらがな」は、その車の用途や登録種別を分類するために使われています。
普通自動車・小型自動車の分類
- 自家用:さ、し、す、せ、そ、た、ち、つ、て、と、な、に、ぬ、ね、の、は、ひ、ふ、ほ、ま、み、む、め、も、や、ゆ、ら、り、る、ろ
- 事業用(タクシー、バス、運送トラックなど):あ、い、う、え、か、き、く、け、こ、を
- 貸し渡し車両(レンタカー):わ、れ
- 駐留軍人用車両:よ、アルファベットE、H、K、M、T、Y
ひらがなや、たまに見られるアルファベットによって、自家用、事業用、レンタカー、または外国籍の車両であるかを明確に分類しているのです。
軽自動車の分類
- 自家用:あ、い、う、え、か、き、く、こ、さ、し、す、せ、そ、た、ち、つ、て、と、な、に、ぬ、ね、の、は、ひ、ふ、ほ、ま、み、む、め、も、や、ゆ、よ、ら、る、ろ
- 事業用:り、れ
- 貸し渡し車両(レンタカー):わ
- 駐留軍人用車両:A、B
4.ひらがなの使用規制:「お」「し」「へ」「ん」は使われない
日本語の48文字のひらがなすべてがナンバープレートに使用されているわけではありません。以下の4文字は、行政上の理由や判読性の問題から使用が避けられています。
「お」「し」「へ」「ん」を使わない理由
- 「お」:文字の造形が「あ」や「め」と似ており、判読ミスを防ぐため。
- 「し」:音の響きが「死」を連想させ、所有者に不吉なイメージを与えてしまうため。
- 「へ」:音の響きが「屁」を連想させ、好ましくないため。
- 「ん」:発音がしにくいことや、コンピューターでの文字コード処理の都合上、事務手続きの煩雑化を避けるため。
これらの文字が使われない背景には、誤認を防ぐための実務上の配慮と、所有者の心理的な感情への配慮があることが分かります。
5.ひらがなの横の4桁の数字は「一連指定番号」
ひらがなの横にある1~9999までの4桁の数字は一連指定番号と呼ばれます。申請者が希望する番号を選べる希望番号制度があり、この制度を利用すれば、その中の任意の数字の中から好きな番号を選ぶことが可能です。
特に1111、2222、3333、7777、8888などのゾロ目ナンバーや、2525(ニコニコ)、3939(サンキュー)などの語呂合わせの良い数字には人気が集中します。人気が集まった抽選対象ナンバーは、公平性を保つため抽選で決定されます。
6.ナンバープレートの色は用途と車種を分類
車の種類と用途は、「文字の色」や「プレートの色」の組み合わせによっても分類されます。
| プレートの色(地色) | 文字の色 | 対象・用途 |
|---|---|---|
| 白 | 緑 | 登録自動車(普通車・小型車)の自家用 |
| 緑 | 白 | 登録自動車(普通車・小型車)の事業用(タクシー・バス・トラックなど) |
| 黄 | 黒 | 軽自動車の自家用 |
| 黒 | 黄 | 軽自動車の事業用(軽貨物など) |
| 白地に緑の縁取り | 緑 | 自衛隊の車両 |
| 青 | 白 | 外交団(大使館)関係の自動車 |
| 白 | 青 | 領事団(領事館)関係の自動車 |
一般的な自家用の乗用車であれば、普通車は「白地に緑文字」、軽自動車は「黄地に黒文字」となります。事業用の車両は、いずれも文字の色とプレートの色が反対になります。大使館関係の車などは、東京の六本木周辺などで見かけることがあります。
運転中に見かける特別なナンバープレートQ&A
車を運転していると、たまに通常とは異なる特別なナンバープレートを見かけることがあります。特に気になる疑問を解決します。
赤い斜めの線が入ったナンバープレートは何を意味しているのですか?
赤い斜めの線が入っているナンバープレートは、正式には「自動車臨時運行許可番号標」と呼ばれています。「仮ナンバー」と言った方が馴染み深いかもしれません。このプレートは、車検切れや、ナンバープレートの紛失・盗難などにより公道を走行できない車に対し、一時的に運行を許可するために交付されます。
運行許可期間は最長5日間と定められており、車検場への移動や整備工場への回送など、限定された目的でのみ使用が認められます。通常のナンバープレートと比べ、表示させる情報量が少なく、中央部に4桁の数字、左上に運行許可を出した行政庁の名称などが記載されます。
ナンバープレートの左上にある丸い金具の名称や意味は?
普通自動車のナンバープレートの左上に打ち込まれている丸い留め具は封印と呼ばれます。これは、車体後ろのナンバープレートにのみ取り付けられます。
新車購入時や手続きを済ませ、運輸支局からナンバープレートが発行されると、運輸支局の専門の担当者が車体に取り付けた後に封印を行います。封印の目的は、運輸支局に正式な手続きを済ませている車であることの公的な保証です。
封印には、ナンバープレートの安易な取り外しを防ぎ、車の盗難・不正な転売を抑止する効果もあります。封印がない、または破損している場合は、意図的でなくても取り締まりの対象となる可能性があるため、速やかに運輸支局で再封印の手続きが求められます。なお、運輸支局での手続きが不要な軽自動車のナンバープレートには、この封印はありません。
ナンバープレートの料金はどのくらいですか?
新車を購入し、運輸支局へ手続きを行った際に発行される通常のナンバープレート(番号を指定しない場合)の交付料金は、お住まいの地域やサイズによって異なりますが、概ね1,500円~2,000円前後になります。
これに対し、希望番号制度を利用する場合は、プレートの制作費として、4,000円~5,000円程度が料金の相場です。図柄入りナンバープレートの場合は、さらに高額になる傾向があります。
ナンバープレートは途中で変更できますか?
車のナンバープレートは、既に登録済みの車でも、途中で番号を変更したり、希望ナンバーを取得したりすることが可能です。
希望ナンバーへの変更は、インターネットからの申し込みサービスが便利です。費用も新車登録時と大きく変わらず、4,000円~5,000円程度で可能です。希望ナンバーが抽選対象の人気ナンバーでない限りは、代金を支払い、最終的に陸運局・運輸支局で手続きをすることで新しいナンバープレートが交付されます。古いナンバープレートは、不正利用防止のための穴開け処理を行った上で、記念に持ち帰ることもできます。
分類番号にアルファベットが入ったナンバープレートの意味は?
上段3桁の分類番号にアルファベットが表記されたナンバープレートは、2018年より順次交付が開始されました。これは、1999年から普及している希望番号制度によって特定の人気ナンバーに番号の枯渇が発生したためです。
国土交通省は、番号の枯渇対策として、分類番号の下2桁にアルファベットを使用することを定めました。「数字とローマ字」または「ローマ字とローマ字」といったパターンで追加されますが、アルファベットを指定することはできません。
分類番号に使用されるローマ字は、数字との混同を避けるため、「I(アイ)」や「O(オー)」などを除いた10種類(A、C、F、H、K、L、M、P、X、Y)が使われます。軽自動車の分類番号の場合も、これら10種類の文字が、下2桁のいずれかに使用されます。
ナンバープレートから所有者や住所を特定することは可能ですか?
ナンバープレートには車の所有者の情報が紐づけられていますが、一般の方がナンバープレートの情報だけから、個人の住所や氏名などの個人情報を特定することはできません。これは、個人情報保護の観点から法律で厳しく規制されているためです。
捜査機関(警察など)や、弁護士など一定の資格を持つ専門家が、法律に基づいた正当な理由と手続きを経た場合に限り、陸運局に対して所有者情報の照会を行うことができます。
ナンバープレートのカバーは違反ではないのですか?
2016年4月1日から、ナンバープレートの全面を覆うカバー(無色透明のものを含む)は全面的に禁止され、違反の対象となりました。これは、カバーによって文字や数字の視認性が低下し、取り締まりやカメラによる自動読み取りに支障をきたすためです。
外枠を囲むフレームタイプの装着は違反ではありませんが、その幅や厚さについてもミリ単位で細かな基準が規定されています。ナンバープレートは常に明確に読み取れる状態でなければなりません。
ナンバープレートの意味は知れば知るほど奥が深い
ナンバープレートには、ひらがなや数字の使われ方に細かなルールがあり、知れば知るほど奥深さを感じられます。
特に、使用されないひらがなの理由や、人気ナンバーが抽選で決定されるという仕組みは、プレートに込められたストーリー性を感じさせてくれます。日常でよく目にするナンバープレートの各要素が持つ意味を知ることで、車への興味がさらに深まるのではないでしょうか。