クリアランスソナーの必要性

クリアランスソナーは必要?事故を防ぐだけではなく査定アップの可能性も

クリアランスソナーは、警告音を発するだけではなく車両が判断して自動的にブレーキをかけてくれるなど安全装備でもある。購入時にオプション設定すると購入価格は上がるが、査定価格もアップする可能性があるので見積もり額と相談しながら決定しよう。

クリアランスソナーは必要?事故を防ぐだけではなく査定アップの可能性も

クリアランスソナーって必要?機能や見積もりの優先度まとめ

新車購入時のオプション検討で、多くの方が悩む項目の一つが「クリアランスソナーを装備するかどうか」ではないでしょうか。クリアランスソナーは、車両と壁や他の車との距離感を音や表示で知らせてくれるため、接触や衝突のリスクを減らすのに役立ちます。例えば、コンパクトカーから大型SUVに乗り換えたばかりで、車両感覚を掴むのに不安がある場合や、駐車が苦手な方にとって、この装備は非常に有効です。万が一の接触事故を防ぐためにも、クリアランスソナーの装備を検討する価値は十分にあります。

そこで本記事では、クリアランスソナーの機能やメリット、デメリットを詳しく解説します。新車見積もりの際に、この安全装備を装着すべきか迷ったときに、ぜひチェックしてください。クリアランスソナーの仕組みや、後付けの可否、メーカーオプションとディーラーオプションの違いについても触れています。

クリアランスソナーとは、障害物を検知するセンサーのこと

フロントに装備されたクリアランスソナー

クリアランスソナーとは、車両のフロントバンパーやリヤバンパーなどに装着される、小さな丸いセンサーのことを指します。このセンサーから超音波を発信し、それが障害物に反射して返ってくるまでの時間から、車両と障害物との正確な距離を測定します。その測定結果は、車内のナビゲーションディスプレイやメーター内のインフォメーションディスプレイに表示されるほか、障害物との距離が近づくにつれて変化する警告音によって、ドライバーへ知らせてくれます。

この機能は単に駐車支援として警告するだけでなく、ドライバーの運転ミスによる急発進や暴走を防ぐための重要な安全機能としても活用されています。具体的には、前方に壁などの障害物がある状態で、ドライバーが誤って「D」レンジ(ドライブ)でアクセルペダルを強く踏み込んだ場合などに、システムがエンジン出力を抑制し、車両が急加速しないように制御する仕組みです。これにより、ペダル踏み間違いなどによる事故のリスクを大幅に低減します。この機能は、特に高齢ドライバーの運転支援としても注目を集めています。

クリアランスソナーを装備するメリット

クリアランスソナーの作動イメージ

クリアランスソナーを装備することで得られる主なメリットは以下の通りです。

クリアランスソナーを装備することで得られるメリット

  • 安全性が向上する
  • 下取りの査定価格が上がる可能性がある
  • 駐車時の安心感が増し、接触・擦る可能性が減る

クリアランスソナーを装着することで、車両自体が周囲の障害物を認識できるため、駐車時などに停車中の車両への追突や、壁、柱などへの接触を防ぐ可能性が高まります。また、コンビニの駐車場などからの発進時におけるペダル踏み間違いやシフトレンジの誤操作といったヒューマンエラーによる急発進・暴走事故を未然に防ぐ効果も期待できます。

クリアランスソナーは、ディーラーオプションとして後付けが可能な製品もありますが、新車購入時にしか選択できないメーカーオプション品も存在します。車を手放す際の中古車としての売却時や、新車への乗り換え時の下取り査定において、この安全装備が装着されていることはプラス評価となり、査定価格がアップする可能性があります。

特に大型SUV大型ミニバンといった車体の大きな車両では、運転席から見えにくい左側のタイヤ付近やリヤバンパーの角などが死角になりやすく、障害物や小さな子供などを見落とすリスクが高まります。そのため、これらの車両にはクリアランスソナーの装備が非常に推奨されます。

これまでコンパクトカーや軽自動車に乗っていた方が、初めて大型のミニバンやセダンへ乗り換えた際には、車幅や車体の長さといった車両感覚を掴むのに時間がかかり、狭い道でのすれ違いや縦列駐車の際に苦労することが少なくありません。

大きな車を運転する方、あるいは小さな車から大きな車へ乗り換えたばかりの方は、特にクリアランスソナーのメリットを強く実感できるでしょう。

クリアランスソナーを装備する・設定しないデメリット

クリアランスソナーを装備する、または設定しなかった場合に考慮すべきデメリットは以下の通りになります。

クリアランスソナーを装備するデメリット

  • 車両の購入価格が上がる
  • バンパーに装着されるソナーのデザインが気になることがある
  • 非装着車よりも査定価格が下がる可能性がある

クリアランスソナーは、多くの車種で標準装備ではなく、メーカーオプションディーラーオプションとして設定されています。そのため、新車購入時にオプションとして追加する場合や、ディーラーで後付けする際には、必然的に車両の購入価格が上昇します。これが装備をためらう最も大きな要因の一つです。

また、クリアランスソナーを装備すると、フロントおよびリヤのバンパーにセンサーの丸い突起が加わるため、デザイン上の観点から「かっこ悪い」「見た目が気になる」と感じる方もいます。さらに、人気のない車種やグレードによっては、クリアランスソナーを装備していても中古車市場での需要が低く、期待していたほど査定価格が上がらない、もしくは非装着車と変わらないという可能性も考慮しておく必要があります。

クリアランスソナーでよくある誤検知・誤作動の例

クリアランスソナーは、駐車支援や安全運転に役立つ非常に便利な装備ですが、ときとして誤検知や誤作動を起こす可能性があることも理解しておく必要があります。稀に「警告音が鳴らない」といった故障もあり得ますが、障害物が存在しない場面でセンサーが反応してしまうケースが一般的です。この誤作動は、ドライバーの集中力を妨げる原因にもなります。

クリアランスソナーのよくある誤検知の例

  • 急な坂道や凸凹な路面で地面が近づいたことによる誤検知
  • 風で舞った落ち葉やビニール袋など、自然の落下物に対する誤検知
  • 雨や雪、洗車時の水滴がセンサー表面に付着することによる誤検知

もし、センサーが頻繁に誤作動や誤検知を繰り返す場合は、センサーの故障や感度設定に問題がある可能性も考えられますので、新車購入したディーラーなどに点検を依頼しましょう。ただし、クリアランスソナーはあくまで運転を補助する道具であり、車両の死角すべてを完全にカバーするわけではないということを常に留意し、周囲の状況を自分の目で確認しながら慎重に運転することが大切です。

クリアランスソナーとコーナーセンサーは別物?

クリアランスソナーコーナーセンサーは、基本的に車両周囲の障害物を検知し、ドライバーに知らせるという目的において、ほとんど同じ機能を持つものと考えて問題ありません。一部の自動車メーカーや車種によっては、バンパーの角(コーナー)部分に取り付けられたセンサーを特にコーナーセンサーと呼び、それ以外の、主に前後の広範囲を検知するセンサーをクリアランスソナーと区別して呼ぶこともあります。しかし、これらはメーカーによる単なる呼び方の違いであることが多く、機能やセンサー構造に大きな違いはありません。

したがって、両者を厳密に分けて考える必要はなく、車両の周囲にある障害物との距離を検知して知らせる安全装備であるという認識で十分です。どちらの名称が使われているかは、主に自動車メーカーのネーミングポリシーに依存する程度の違いです。

クリアランスソナーの必要性は見積もり額と相談するのがベター

クリアランスソナー

クリアランスソナーを装備するかどうかの最終判断は、車を購入する方の運転技術や使用環境、そしてこの装備に対する価値観によって大きく変わってきます。車種によっては、ソナーの警告音を一時的にOFFにする機能も設定されているため、「万が一の事故を防ぐために装着する」、「将来の下取り査定価格アップを期待して装着しておく」、あるいは「運転技術には自信があり、ソナーの見た目が好みではないから装着しない」など、さまざまな考え方があります。

クリアランスソナーは、公道を走行するために法的に必須な装備ではありません。そのため、新車見積もりの際に、「装着した場合」と「装着しなかった場合」の総額を比較し、予算と安全に対するご自身の優先度を考慮しながら決定するのが最も賢明な方法です。新車購入という大きな買い物ですので、後悔のない選択をするようにしてください。