ヴィッツGR・GRスポーツ

ヴィッツGRとGRスポーツは2017年9月19日発売 GRMNは150台限定400万円 2020年にヤリスへ移行

ヴィッツGRは今どうなったのか。2020年2月のフルモデルチェンジで車名がヤリスへ変わり、GR・GRスポーツは3代目とともに終了。役割は同年9月発売のGRヤリスへ引き継がれました。当時のスペックと価格、その後の系譜をまとめます。

ヴィッツGRとGRスポーツは2017年9月19日発売 GRMNは150台限定400万円 2020年にヤリスへ移行

ヴィッツGR・GRスポーツは2017年9月19日に発売 スペックを比較

トヨタのコンパクトカー「ヴィッツ」に、スポーティモデルの「GR SPORT」と「GR SPORT "GR"」が2017年9月19日に設定され、発売されました。本記事では前者を「GRスポーツ」、後者を「GR」と呼びます。

さらに、ヴィッツGRよりも大幅にチューニングされた「2代目ヴィッツGRMN」が2018年に登場。こちらは150台限定で、2013年に発売された3代目ヴィッツ前期型ベースの初代ヴィッツGRMN(200台限定)から台数を絞った内容でした。いずれもすでに完売しています。

まずは、ベース車のヴィッツとの違いやエクステリア、インテリア、搭載エンジンや価格帯を交えながら紹介します。コンパクトでキビキビと走る車が好きな方には見逃せない一台でした。ヴィッツGR・GRスポーツのスペックをチェックしておきましょう。

ヴィッツGR・GRスポーツは2019年で終了 車名変更でヤリスへ移行しGRヤリスが後を継ぐ

ヴィッツGR・GRスポーツは、現在では新車で買えません。3代目ヴィッツは2019年をもって生産を終え、2020年2月10日に4代目としてフルモデルチェンジした際、日本での車名が「ヤリス」へ統一されたためです。1999年から20年続いたヴィッツの名は、ここで役目を終えました。

車名変更の理由について開発責任者は、大きな進化の節目で名前を変えてきたこと、WRCでのヤリスの活躍、そしてネッツ店専売から全店併売へ移る販売体制の変化、という3点を挙げています。パブリカ、スターレット、ヴィッツと続いた系譜に、ヤリスが加わった格好です。

これに伴い、日本仕様のヴィッツに設定されていたGR・GRスポーツの2グレードも消滅しました。その役割を引き継いだのが、2020年9月4日に発売された「GRヤリス」です。WRCのホモロゲーションモデルとして専用開発され、1.6L直列3気筒ターボのG16E-GTS型と4WDシステム「GR-FOUR」、3ドアボディを組み合わせた本格派。ヴィッツGRの延長線というより、完全に別の生き物へ進化しました。

興味深いのは、ヴィッツGRで実用化された「シーケンシャル10段変速MTモード」が、GRヤリスのFF・1.5L自然吸気グレード「RS」に受け継がれた点です。ヴィッツGRの技術的な遺産は、名前が消えたあとも生き残りました。GRヤリスは2024年1月の改良で日本仕様304PSへ出力を高め、8速AT「GR-DAT」も追加されています。

なお、日本仕様のヤリスに「GR SPORT」を名乗るグレードは設定されていません。ヴィッツGRスポーツのような「手が届くスポーティグレード」の枠は、日本市場では事実上、空席のままになったと言えるでしょう。

頂点のヴィッツGRMNは212PSで150台限定 価格は400万円

ヴィッツGRシリーズの頂点に立ったのが、2018年のヴィッツGRMNです。GRパーツ、GRスポーツ、GR、GRMNというヒエラルキーの最上段にあたります。

商談申し込みは2018年4月9日から5月13日まで、全国のGR Garageと専用WEBサイトで受け付けられました。限定150台に対し申し込みが超過したため、5月21日に抽選が実施されています。価格は400万円(税込)。ヴィッツの標準グレードが120万円台から買えた時代ですから、その突き抜けぶりがわかります。

心臓はロータス エリーゼにも供給される1.8L直列4気筒の2ZR-FE型にスーパーチャージャーを組み合わせたユニットで、最高出力212PS(156kW)/6,800rpm、最大トルク250Nm(25.5kgf・m)/4,800rpmを発生。専用6速MTのみの設定です。ボディは日本未導入の欧州仕様3ドアハッチバックを使い、全長3,975mm×全幅1,695mm×全高1,510mm、車両重量1,140kgに収めています。

装備も本気でした。対向4ポットキャリパー+スリット入りローター、SACHS製専用アブソーバー、トルセンLSD、BBS製17インチ鍛造アルミホイール、260km/hスケールの専用メーター。生産はヤリスを造るフランスのバランシエンヌ工場が担い、日本へ運ばれたのち元町工場でLFAを手掛けた職人が仕上げるという、手の込んだ流れを取っていました。

「コンビニからニュルブルクリンクまで、この一台で」というコピーは伊達ではありません。150台という希少性もあり、中古市場では今も高値で取引されています。

ヴィッツGR・GRスポーツは専用エアロパーツを装備したスポーティなエクステリア

ヴィッツGRスポーツのエクステリアヴィッツGRスポーツ

ヴィッツGRのエクステリアヴィッツGR

ヴィッツGR・GRスポーツは、専用のエアロパーツやサスペンション、スポット打点追加など、ベース車のヴィッツにチューニングを施したスポーティなモデルです。

GR・GRスポーツの共有パーツは、リヤバンパーにマフラー、サイドマッドガード、リヤルーフスポイラー、ブラック加飾LEDヘッドライト・スモークレンズリヤランプ、フロントフォグランプ、センターリヤフォグランプ、ブラック加飾のサイドターンランプなどがあります。

ヴィッツGR・GRスポーツのリヤバンパー・マフラーリヤバンパー・マフラー

ヴィッツGR・GRスポーツのサイドマッドガードサイドマッドガード

ヴィッツGR・GRスポーツのリヤルーフスポイラーリヤルーフスポイラー

ヴィッツGR・GRスポーツのLEDヘッドライトBi-Beam LEDヘッドライト(ブラック加飾)

ヴィッツGR・GRスポーツのLEDリヤランプLEDリヤランプ(スモークレンズ)

ヴィッツGR・GRスポーツのフロントフォグランプフロントフォグランプ

ヴィッツGR・GRスポーツのリヤフォグランプリヤフォグランプ

ヴィッツGR・GRスポーツのリモコンドアミラーサイドターンランプ付きオート電動格納式リモコンドアミラー

ヴィッツGR・GRスポーツのバックドアガーニッシュ専用バックドアガーニッシュ

ヴィッツGR・GRスポーツのブラックエンブレムブラックエンブレム

ヴィッツGRスポーツのフロントバンパーには、GRスポーツのエンブレムが装着されたスモークメッキ加飾のものを採用。ヴィッツGRではGRエンブレムが付き、ダークメッキ加飾とLEDイルミネーションが備わりました。

ヴィッツGRスポーツのフロント部分ヴィッツGRスポーツのフロントバンパー

ヴィッツGRのフロント部分ヴィッツGRのフロントバンパー

  • スーパーホワイト2のヴィッツGRスーパーホワイト2
  • ホワイトパールクリスタルシャインのヴィッツGRホワイトパールクリスタルシャイン(33,000円高)
  • シルバーメタリックのヴィッツGRシルバーメタリック
  • グレーメタリックのヴィッツGRグレーメタリック
  • ブラックマイカのヴィッツGRブラックマイカ
  • スーパーレッドVのヴィッツGRスーパーレッドV
  • ルミナスイエローのヴィッツGRルミナスイエロー(33,000円高)
  • ブルーメタリックのヴィッツGRブルーメタリック

ボディカラーは全8色設定で、「スーパーホワイト2」「シルバーメタリック」「グレーメタリック」「ブラックマイカ」「スーパーレッドV」「ブルーメタリック」の6色が標準塗装。「ホワイトパールクリスタルシャイン」「ルミナスイエロー」の2色が特別塗装色でした。イエローの設定は、当時のトヨタのコンパクトカーとしては攻めた選択だったと感じます。

ヴィッツGR・GRスポーツのインテリアはブラック基調のスポーツカー仕様

  • ヴィッツGRスポーツハイブリッドの内装ヴィッツGRスポーツ(ハイブリッド)
  • ヴィッツGRスポーツガソリンモデルの内装ヴィッツGRスポーツ(ガソリン)
  • ヴィッツGRガソリンモデルの内装ヴィッツGR(ガソリン)

ヴィッツGR・GRスポーツのインテリアは、ブラックを基調としたスポーティな内装カラーで、シルバーやカーボン調の加飾が施されています。GRスポーツのステアリングは本革巻きの3本スポークデザイン。GRでは専用の小径ステアリングにパドルシフトが装備され、GRロゴがあしらわれました。

ヴィッツGRスポーツのステアリングホイールヴィッツGRスポーツのステアリング

ヴィッツGRのステアリングホイールヴィッツGRのステアリング

ヴィッツGRスポーツのメーター周りは2種類。ハイブリッド車ではシルバーリングの2眼アナログメーター、ガソリン車ではブラウン系の3眼アナログメーターが採用されました。よりスポーティなヴィッツGRでは、シルバーメーターに変わり、3眼メーターの配置もセンターがタコメーターに変更されています。回転計を運転席の正面中央に置く、という主張が明確でした。

ヴィッツGRスポーツハイブリッドのメーターパネルヴィッツGRスポーツのメーター(ハイブリッド車)

ヴィッツGRスポーツガソリンモデルのメーターパネルヴィッツGRスポーツのメーター(ガソリン車)

ヴィッツGRのメーターパネルヴィッツGRのメーター

ヴィッツGR・GRスポーツのシート

ヴィッツGR・GRスポーツのインテリアは共通のデザインで、ブランノーブと合皮を使ったコンビシートを採用しています。フロントシートはGRロゴが入り、サイドサポートが張り出したスポーティシートを装備。インパネオーナメントにはカーボン調加飾が施されています。

ヴィッツGR・GRスポーツの搭載エンジン・スペック

ヴィッツGR・GRスポーツのエンジン

ヴィッツGR・GRスポーツに搭載されたエンジンは、ガソリン車が「1NZ-FE」、ハイブリッド車が「1NZ-FXE」で、ベース車から変更はありません。パワーではなく、走らせ方で勝負するという割り切りです。

1NZ-FE諸元
種類 直列4気筒
排気量 1,496cc
最高出力 109PS/6,000rpm
最大トルク 136Nm/4,800rpm

トランスミッションは、GRスポーツが7段CVTと5速マニュアル、GRが10段CVTと5速マニュアルという構成でした。CVT車にはMTモードが備わり、GRスポーツはシフト操作、GRはシフトかパドルシフトで変速できます。

このGRのシーケンシャル10段変速MTモードは、のちにGRヤリスのFFグレード「RS」へ受け継がれました。パワーを上げずに走りの密度を高めるという発想は、この時点で確立していたわけです。

ヴィッツGRのシフトノブヴィッツGRのCVT車シフト

サスペンションは、GRスポーツが専用チューニング、GRはチューニングサスペンションに加えてザックス製アブソーバーを搭載します。

ヴィッツGRのスポーツサスペンションヴィッツGRのサスペンション

剛性が向上したヴィッツGR・GRスポーツ

両車に共通する剛性アップは、スポット打点追加やフロントスポイラー、ロッカーフィン、リヤホイールハウス前のスパッツなど。GRではさらにロアアームやブレースの追加が行われました。

ヴィッツGR・GRスポーツの剛性アップパーツまとめ

  • ロッカーフランジスポット溶接打点追加
  • フロントスポイラー
  • ロッカーフィン
  • リヤホイールハウススパッツ
  • ロアアーム(GR専用)
  • フロントサスペンションメンバー後端ブレース(GR専用)
  • センタートンネルブレース(GR専用)
  • リヤフロアブレース(GR専用)

ヴィッツGR・GRスポーツの販売価格はガソリンモデルで2,087,640円から

ヴィッツGR・GRスポーツのリヤビュー

ヴィッツGR・GRスポーツは2017年9月19日に発売されました。

発売時の価格は、ヴィッツGRスポーツのガソリン車がCVT・5速MTともに2,087,640円、ハイブリッド車が2,329,560円。ヴィッツGRはCVT・5速MTともに2,303,640円でした(いずれも消費税8%時)。駆動方式はすべてFFの2WDで、4WDの設定はありません。

下表は、2019年10月の消費税率10%への改定を反映した後の価格です。

ヴィッツGRシリーズの価格帯(消費税10%改定後)
GR SPORT“GR” 2,335,300円
GRスポーツ MT 2,115,300円
GRスポーツ AT 2,115,300円
ハイブリッド GRスポーツ 2,361,700円

この価格帯で専用サスペンションと剛性強化が手に入ったのは、今振り返るとかなりの値打ちでした。GRヤリスが400万円台に到達した現在、200万円台前半で買える純正スポーティモデルという枠自体が失われています。

2017年9月に発売されたヴィッツGRスポーツの画像

  • ヴィッツGRスポーツのフロントビューヴィッツGRスポーツ
  • ヴィッツGRスポーツの左サイドフロントビューヴィッツGRスポーツ
  • ヴィッツGRスポーツの左斜め前から見たビューヴィッツGRスポーツ
  • ヴィッツGRスポーツの左サイドビューヴィッツGRスポーツ
  • ヴィッツGRスポーツのリアビューヴィッツGRスポーツ
  • ヴィッツGRスポーツの右サイドリアビューヴィッツGRスポーツ
  • ヴィッツGRスポーツの右サイドフロントビューヴィッツGRスポーツ
  • ヴィッツGRスポーツのコックピットヴィッツGRスポーツ

ヴィッツGR・GRスポーツはキビキビ走るコンパクトカーだった

ヴィッツGR

2017年9月19日に発売されたヴィッツGR・GRスポーツは、G’sシリーズの後継にあたります。当時はヴィッツだけでなく、ミニバンのヴォクシーやノア、SUVのハリアー、セダンのマークX、そしてアクア、プリウスα、プリウスPHVにもGRスポーツが設定されました。

もっとも、その顔ぶれの多くは今や存在しません。マークXは2019年12月に生産を終え、プリウスαは2021年、プリウスPHVもその後にラインナップから消えました。GRブランドの主戦場は、GRヤリス、GR86、GRカローラ、GRスープラといった専用開発の量販スポーツモデルへ移っています。

車の基本動作である「走る・曲がる・止まる」がベース車よりも高性能にチューニングされていたため、高速道路で安定した走りができるのはもちろん、峠などのワインディングロードでもふらつきが少なく、安心して走ることができました。

販売価格もスポーティモデルとしては200万円台前半とリーズナブルで、若い人にも手が届く一台。GRヤリスやGRカローラの価格を見たあとだと、あの気軽さがいかに貴重だったかがよくわかります。中古車で探すなら、いま最後のチャンスかもしれません。