テラのモデルチェンジ

日産テラ タイと中国では販売終了 フィリピンなど一部市場で継続 日本正規導入はなし

日産テラは日本で買えるのか。答えは正規導入なしです。2025年にタイ市場から撤退し中国では車名変更、一方でフィリピンやインドネシアでは現行モデルとして販売中。次期型は新型ナバラのラダーフレーム流用が有力視されています。

日産テラの現在地:タイと中国からは撤退、フィリピンなどで販売継続

日産テラは、ピックアップトラックのナバラと同じラダーフレームを使う3列シートSUVです。2018年2月26日に車種名が公表され、同年3月15日に詳細が明かされたのち、4月12日の北京モーターショー2018で世界初公開と同時に中国で販売が始まりました。以降、フィリピン、タイ、インドネシア、ブルネイ、中東、アフリカへと販売地域を広げています。

現在のステータスを一文で示すなら、「タイ国内向けと中国国産版は終了したものの、タイ工場での輸出向け生産は続き、フィリピンやインドネシアなどでは現行モデルとして販売中。日本への正規導入は一度も行われていない」という状態です。次期型は2026年時点で未発表ですが、フルモデルチェンジしたナバラの骨格を使う可能性が取り沙汰されています。ここではまず直近の動きを整理し、そのうえで車両そのものの内容を見ていきます。

2026年5月 タイ市場から撤退、8年の歴史に幕

テラはタイ市場での販売を終えました。2018年8月16日のタイ発売から数えて8年、実質的な販売期間は2018年から2025年までとなります。タイ仕様の生産ラインは2023年12月末で稼働を終えており、2024年以降は積み増した在庫を売り切る形で流通が続いていました。ディーラー在庫は2025年9月までに枯渇し、10月以降の登録は0台となっています。

背景にあるのは排出ガス規制です。タイでは2024年1月1日からEURO5が施行されましたが、日産はテラ搭載のディーゼルエンジンを新基準へ適合させる開発を行わない判断を下しました。販売規模に対して開発費が見合わないという、きわめて現実的な理由です。

在庫一掃期にあたる2025年5月には、最大25万6000バーツという大幅な値引きが実施されました。最終的な価格は以下のとおりです。

タイ市場における最終価格(2025年5月・特別価格)
2.3 ツインターボ E 2WD 7AT 99万9000バーツ
2.3 ツインターボ VL 2WD 7AT 119万9000バーツ
2.3 ツインターボ VL 4WD 7AT 128万9000バーツ
2.3 ツインターボ スポーツ VL 4WD 7AT 129万9000バーツ

ただし、これは「タイ国内での販売を止めた」という話であって、生産そのものが終わったわけではありません。バンコク近郊バンナーの工場では、2026年に入っても輸出向けテラの生産が通常どおり続いています。タイのPPV市場は、フォーチュナー、mu-X、エベレスト、パジェロスポーツ、タンク300/500、そしてランドクルーザーFJという顔ぶれに絞られました。

次期型テラは新型ナバラベースか、2026年時点で公式発表はなし

テラの土台であるナバラは、2025年11月19日にオーストラリアで11年ぶりのフルモデルチェンジを果たしました。新型は日産・ルノー・三菱アライアンスの戦略に沿い、三菱トライトン(第6世代)とラダーフレームや2.4Lディーゼルターボエンジンを共用します。最高出力は204PS(150kW)、最大トルクは470N・mで、従来型を上回る数値です。オーストラリアとニュージーランドでの発売は2026年第1四半期に設定されました。

この骨格を流用すれば、開発費を抑えたままミッドサイズSUVを一台仕立てられます。したがって、次期テラが新型ナバラをベースに開発される可能性は相応に高いとみられます。実際、2026年に入ってからは次期型を想定した予想デザインが複数出回り、Cピラー以降にルーフを延長した3列シート版という具体的な形まで描かれています。もっとも、日産からの正式なアナウンスは2026年7月時点でありません。テラは2023年の時点で「後継の開発は行われていない」との見方も出ていた車種であり、投入時期はもちろん、投入自体が確定した段階にはないと考えるのが妥当です。

周辺の動きも触れておくと、日産は2026年4月14日に長期ビジョンを発表し、あわせて米国向けの新型「エクストラ」をティザー公開しました。こちらはV6と電動化技術を組み合わせた新設計のラダーフレームSUVで、2028年の市場投入が予告されています。名前は近いものの、テラ/エクステラとは別系統のモデルです。さらに2026年4月末から5月の北京モーターショー2026では、ラダーフレームのPHEVピックアップ「フロンティアプロ」を土台とする「テラノPHEVコンセプト」が世界初公開されました。日産のフレームSUVは、地域ごとに別々の軸で動いている状況です。

2025年9月 タイ工場の生産統合が完了、テラは第2工場へ

日産は2025年2月13日、経営再建策の一環としてタイ第1工場を含む世界3拠点の閉鎖を発表しました。タイ日産はサムットプラカーン県で2つの完成車工場を運営しており、第1工場がアルメーラとキックス、第2工場がナバラとテラを担当していました。第1工場は2025年度第1四半期(4〜6月)に生産を終え、9月9日に第2工場への統合完了が公表されています。

統合後のラインでは、アルメーラ、キックスe-POWER、ナバラ、テラといった現行モデルに加え、今後発売する一部モデルの生産も予定されています。テラの輸出向け生産が2026年も続いているのは、この体制によるものです。

2025年4月 フィリピンで「テラ 55周年記念エディション」を披露

日産フィリピンは、現地進出55周年を記念して、マニラ国際モーターショー2025(MIAS 2025)にテラとナバラの55周年記念エディションを出展しました。テラ側はスポーツをベースに、記念デカール、外装パーツのボディ同色化、専用ホイールとタイヤを組み合わせたレトロ調の仕立てです。ただしこの2台は販売を前提としない展示車で、市販化は行われていません。同じ会場では7代目パトロールも披露され、日産フィリピンの節目を彩る布陣となりました。

2025年2月 インドネシアに「テラ スポーツエディション」を追加

インドネシア日産(NMDI)は、インドネシア国際モーターショー2025(IIMS 2025)でテラ スポーツエディションを発表しました。価格は7億7990万ルピア(ジャカルタOTR)で、ベースとなるVL 4×4の7億6990万ルピアに対して約1000万ルピア高という設定です。顧客への納車は2025年3月から始まりました。限定車ではなく通常グレードとして扱われている点が特徴です。

内容は外装のクローム部分をブラックへ置き換える手法が中心で、グリル、スキッドプレート、18インチホイール、シャークフィンアンテナなどが光沢のあるブラックに変わります。内装は黒革にレッドのアクセントを添えた仕様です。パワートレインは2.5Lターボディーゼル(190PS/450N・m)と7速ATの組み合わせで、シフトオンザフライ式の4WDが与えられます。第2列上部には11インチのルーフモニターも備わります。

2024年2月 フィリピンで2024年モデルを発表

日産フィリピンは2024年2月6日、テラの2024年モデルを発表しました。ラインアップは6グレード構成で、価格は172万9000ペソから246万9000ペソです。安全装備の裾野を広げたことが主眼で、それまで上級グレード専用だった機能が中位へ降りてきました。

具体的には、VE 4×2 ATに移動物体検知機能付インテリジェント・アラウンドビューモニター、ブラインドスポットウォーニング、リアクロストラフィックアラートが加わりました。これらはインテリジェント・バックミラー、インテリジェント前方衝突警告、インテリジェント緊急ブレーキ、車線逸脱警告、ドライバー覚醒モニターに上乗せされる形です。あわせて電動パーキングブレーキと4輪ディスクブレーキも同グレードに与えられました。上級のVLとスポーツ(4×2 AT/4×4 AT)には、9インチのタッチスクリーンディスプレイオーディオと8スピーカーのBoseプレミアムサウンドシステムが搭載されます。

2023年 中国では「パラディン」へ改称、タイ仕様は年末に生産終了

中国国産版のテラ(途達)は、2023年に生産を終えました。ただし車そのものが消えたわけではなく、鄭州日産が新しいエンブレムとグリルを与え、かつての人気車種の名を継ぐ「帕拉丁(パラディン)」として仕立て直しています。2023年7月13日に予約受注が始まり、予約価格は16万9800元から21万6800元、3グレード構成でした。ボディの骨格や外板はテラのままですが、内装は縦型のセンターディスプレイと7インチ液晶メーターを備えたレイアウトへ刷新されています。この車両はロシアへも「Oting Paladin」の名で輸出され、イランでは2024年からライセンス生産が始まりました。

一方タイでは、2024年1月1日施行のEURO5に対応させないという判断から、タイ仕様の生産が2023年12月末で打ち切られました。ラインを止めたうえで在庫を積み、2024年から2025年にかけて売り切る戦略がとられたことになります。

日産テラはエクストレイルよりひと回り大きいフレームSUV

ここからは、テラという車そのものの内容を見ていきます。イメージとしては、かつて日産が販売していたフレームSUVの「サファリ」や「テラノ」に連なる存在で、仕事にも街乗りにも使えるモデルです。さっそく、日産テラのエクステリアやインテリア、ベースとなる車種などをチェックしていきましょう。

日産エクストレイルよりひと回り大きなテラのエクステリア

  • テラの大きなVモーショングリル
  • フルLEDのヘッドライト
  • テラに設定されるフォグランプ
  • 上位グレードに設定されるサンルーフ

日産テラのエクステリアは、とても大きなVモーショングリルが特徴的なフロントフェイスで、ホワイトLEDのポジションランプがヘッドライトの上部と目頭に沿って装備されています。2021年のビッグマイナーチェンジでは、このグリルがさらに大型化され、C字を4分割したLEDヘッドライトへ改められました。

大きなサイドステップも装備され、タイヤとフェンダーの隙間が広く開いていることからも車高の高さがうかがえます。最低地上高は225mmを確保しており、タイヤは255/60R18が組み合わされます。ボディサイズはクロスオーバーSUVのエクストレイル(全長4,660mm/全幅1,840mm/全高1,720mm)よりひと回り大きく、仕向け地によって寸法が異なります。

日産テラのボディサイズ(仕様別)
中国仕様(初期型) フィリピン仕様(現行)
全長 4,882mm 4,900mm
全幅 1,850mm 1,865mm
全高 1,805mm 1,865mm
ホイールベース 2,850mm 2,850mm
最低地上高 225mm 225mm

ボディの後ろにはTERRAのエンブレム

車名エンブレムはリアゲート左側、給油口も左側に設置されています。テールランプは横長タイプでボディ側とバックドア側に分かれたデザインになっていて、ボディ側にストップランプやウインカー、バックランプが装備されているように見えます。

ピックアップトラックのナバラをベースにした日産テラのインテリア

ベース車よりも使いやすい装備に変更

日産テラのインテリアは、ピックアップトラックであるナバラをベースとしていて、簡素な装備が多い商用車の中でも普段使いがしやすいモデルになっています。前期型はナバラとほぼ同一の造形でしたが、2021年のビッグマイナーチェンジで構造そのものが刷新され、質感の向上とナビの大型化、電動パーキングブレーキの採用が図られました。

センターコンソールには上からハザードランプ、オーディオ、エアコンコントローラー、トランスファーダイヤル、シフトレバーが見えます。エアコンコントローラー周りやシフトレバー周りはメッキパーツやシルバーの加飾が行われていて、豪華な見た目です。

ハンドルのスイッチ周りにはマットなシルバーが、インナードアハンドルにはメッキが施されていて、メーター周りはタコメーターとスピードメーターの間にインフォメーションディスプレイが見えます。現行モデルでは9インチのタッチスクリーンディスプレイオーディオとBose製8スピーカーが上級グレードに与えられ、シートはファブリックとレザーの2種類、前席と第2列にはゼログラビティシートが採用されています。

日産テラの主要スペック

テラは仕向け地によってエンジンが異なり、中東はガソリン、東南アジアはディーゼルという住み分けです。タイ向けにはタイ独自の物品税制度に対応するため、CO2排出量196g/kmに抑えた2.3Lツインターボが専用開発されました。

日産テラのパワートレインと主要諸元
プラットフォーム 日産Fアルファ(ラダーフレーム)
ガソリンエンジン 2.5L QR25DE型/134kW(182PS)・251N・m
※中東仕様は123kW(167PS)・241N・m
ディーゼルエンジン(1) 2.3L YS23DDTT型 ツインターボ/140kW(190PS)/3,750rpm・450N・m/1,500〜2,500rpm
ディーゼルエンジン(2) 2.5L YD25DDTi型 ターボ/140kW(190PS)/3,600rpm・450N・m/2,000rpm
トランスミッション 6速MT/ジヤトコ製7速AT
駆動方式 後輪駆動/パートタイム4WD
乗車定員 5名(中国仕様)/7名(フィリピン仕様ほか)
リアサスペンション マルチリンク

日本では未発売の日産・テラのモデルチェンジ遍歴

テラは日産が販売する3列シートのSUVで、中国や東南アジア、アフリカ、中東市場に向けて展開しています。日産のピックアップトラック「ナバラ」(D23型)をベースに「テラ」が開発されました。開発は2011年に始まり、いったん2014年から2015年にかけて中断したのち、ライバルのフレームSUVが伸長したことを受けて再開された経緯があります。

テラ 初代 WD23型/2018年~

2018年2月26日に日産本社が新型車として発表し、3月15日に詳細を公表。4月12日に中国市場で販売が始まりました。翌月5月29日にはフィリピンでも「テラ」の販売が開始されています。フィリピン仕様は中国仕様に比べて全長が3mm、全幅が15mm大きく、乗車定員も7名です。8月2日にインドネシア仕様が発表され、8月16日にはタイで販売が開始されました。
2019年初頭、ブルネイでもテラが発売され、「ミッド」「ハイ」「プレミアム」のモデルが用意されました。

2020年11月25日、「エクステラ(X-Terra)」のネーミングで、GCC市場でフェイスリフトを受け、安全性が向上して発売されました。
2021年8月19日にはビッグマイナーチェンジを実施してタッチスクリーンの9インチディスプレイオーディオの搭載などのインテリアの変更が施され、タイで発表。9月1日はフィリピン、同月以降はアフリカ市場でも発売されました。12月26日にはブルネイ仕様もフェイスリフトを施し、「ハイ」「プレミアム」のグレードが用意されました。
2022年8月11日、約3年の休止を経てインドネシアでフェイスリフト版が発表され、12月にはモーターエキスポ2022でアルメーラ、キックス、ナバラとともに「70周年アニバーサリーモデル」を発表しています。

2023年3月1日、「テラスポーツ」がタイ日産から発表されました。ブラックのフロントグリルやバンパー、リアスポイラー、テールゲートガーニッシュなど、専用の仕様をエクステリアのピンポイントな部分に採用しています。同月10日にはインドネシアでフェイスリフト版の販売が始まりました。
同年7月13日、中国国産版が鄭州日産の「帕拉丁(パラディン)」へ改称して予約受注を開始(16万9800〜21万6800元)。中国での「途達」名義の生産は終了しました。さらに12月末、タイのEURO5規制に対応させない判断から、タイ仕様の生産ラインが停止しています。

2024年2月6日、フィリピンで2024年モデルを発表。6グレード構成で172万9000〜246万9000ペソ、VE 4×2 ATへの先進安全装備追加が柱でした。同年、イランでもライセンス生産版の製造が始まっています。

2025年2月、インドネシアIIMS 2025で「テラ スポーツエディション」(7億7990万ルピア)を追加。4月にはフィリピンMIAS 2025で非売の「55周年記念エディション」を披露しました。同年9月にはタイでの新車販売が実質的に終了し、11月にはベース車のナバラがフルモデルチェンジしています。

2026年5月、タイ市場からの撤退が確定的となりました。一方でタイ工場での輸出向け生産は継続し、フィリピンやインドネシア、中東・アフリカでは引き続き販売されています。次期型は未発表です。

テラのモデルチェンジ遍歴
テラのモデル 販売遍歴
初代 WD23型 2018年~(中国は2023年で終了し「パラディン」へ/タイ国内向けは2025年で終了/輸出向け生産は継続)

日産テラは2018年4月に中国から始まりアジア各国でデビュー

日産テラは「Nissan M.O.V.E. to 2022」という中期計画に含まれる車種で、LCV(小型商用車)事業における新型車の第1弾として位置づけられました。ただし性格は商用車ではなく、ピックアップトラックの骨格を使った乗用SUV、いわゆるPPVです。発表は2018年2月26日、中国での発売は4月12日で、ベースモデルは日産のピックアップトラックである「ナバラ」になっています。

ピックアップトラックとは違い、トランクスペースが設けられているボディタイプで、荷台に積んだ荷物が雨などで濡れる心配はありません。

モノコックボディであるクロスオーバーSUVとは違いフレームを装備したクロスカントリーSUVで、頑丈な作りをしています。発売は中国から始まりアジア各国へ広がりましたが、日本には正規導入されないまま8年が経過しました。日本国内の日産SUVはエクストレイル、キックス、アリアが中心で、ラダーフレームの本格SUVはパトロールを含めても限られた構成です。テラの日本導入は2026年時点でも発表されておらず、国内で新車として買う手段はありません。