車のラジエーター

車のラジエーターって何のためにあるの?故障したらエンジン破損につながる大事なパーツ

車のラジエーターはエンジンにとって重要なパーツ。エンジンは動き続けることで熱を出し続けてオーバーヒートするが、それを防いでいるのがクーラントとラジエーター。ラジエーターは冷却水を冷やす担当で、エンジンを冷やして熱くなった冷却水を再び冷やしエンジンに送っている。

車のラジエーターって何のためにあるの?故障したらエンジン破損につながる大事なパーツ

ラジエーターって何?どんな役割をしているのか?交換する必要があるのか?車のオーバーヒートを防ぐラジエーター

車の部品の中でたまに聞くことのある「ラジエーター」とは、どのような部品なのでしょうか?実は冷却水であるクーラントを循環させてエンジンを冷却し、オーバーヒートを防いでくれる大切な役割を担っています。

そこで、ラジエーターとは一体何なのか?ラジエーターを構成する部品や、普段車を使う時に気をつけたいラジエーターの扱いなど、ラジエーターについて紹介します。

ラジエーターは、車にとってとても大切な部品たちです。冷却水であるクーラントが減っていると十分にエンジンを冷やすことができないため、オーバーヒートを起こす可能性が高まりますので、エンジンルーム内にあるクーラントのリザーバータンク液面がMINとMAXの間になっているか、時々チェックすると安心です。

ラジエーターとはエンジンの冷却装置のことで冷却水(クーラント)を使ってエンジンを冷却

車に取りつけられているラジエーター車に取りつけられているラジエーター。古いものは汚れやゴミ・虫などが付着して走行風での冷却効率が落ちるため交換するといい

ラジエーターは冷却水を熱伝導によって冷やす部品で、エンジンを通り熱くなった冷却水をラジエーター本体で冷やし、再びエンジンを冷却するためにウォーターポンプにより送り出されます。

クーラントは蒸発や、時には漏れて残量が少なくなり、冷却能力が下がるとエンジンがオーバーヒートする可能性が高くなるため、エンジンルームを見たときはリザーバータンクの液面がMINより下に下がっていないか確認してみましょう。

また、冷却水はラジエーターキャップから補充することもありますが、ラベルに書いている通り、走行後すぐにキャップを開けると高温の冷却水が噴き出すため非常に危険です。ひと晩置いてから開けるなど、時間を置いてからキャップを開けるようにしてください。

もし、ラジエーター液が漏れているときはエンジンを十分に冷やすことができないため、エンジン警告灯が点灯しますし、ラジエーターキャップが壊れているときは正常に加圧できないため沸騰し、クーラントの異常を教えてくれる警告灯である赤色の水温計が点灯するでしょう。

ラジエーターの構造は本体・ホース・キャップ・タンク・クーラント・ファンからなっていて故障したら取り換える必要がある

ラジエーターの構造はどうなっているのでしょうか?本体のラジエーターコア・ホース・キャップ・タンク・クーラントからなっていて、全ての機能が噛み合うことでエンジンを冷却し続けてくれます。では、それぞれの役割はどうなっているのかチェックしてみましょう。

ラジエーター本体(コア)

グリル奥に見えるシルバーのラジエーターコアグリルからエンジンルームを覗くと、奥にシルバーのパーツが見える。これがラジエーターコア

バンパー内の奥やエンジンルームの一番前に設置されていることが多く、少し大きめな銀色の長方形の部品が、ラジエーターコアです。

ラジエーター本体中央に見えるのがラジエーター本体

ラジエーターコアには、冷却水が通る道(チューブ)の周りにフィンと呼ばれる蛇腹状の金属があり、熱伝導でエンジンから返ってきて高温になった冷却水を冷やします。ほかにも、走行していると常に風がラジエーターに当たるようになっているため、そこでもクーラントが冷やされていきます。

ラジエーターは、虫や石の衝突などで簡単にフィンが潰れて効率が悪くなるため、前面が全体的に潰れているのが見えたら交換する必要もあります。

ラジエーターホース

ラジエーターホースの留め具を外しているところプライヤーを使って留め具を外している太いホースがラジエーターホース

ラジエーターホースは、冷却水をエンジンへ送り込む・エンジンから返ってきた冷却水をラジエーターコアへ流す・リザーバータンクへ戻すなどの重要な連絡系統で、ホースが無ければエンジンのウォータージャケットやラジエーターからLLCがダダ漏れになります。

ホース類も経年劣化して裂けるなどの不具合が発生すると、そこからクーラントが漏れ出すこともあるため、10年以上経過している時は交換することも検討したほうがいいと考えます。

ラジエーターキャップ

ラジエーターキャップエンジンルームの中でも目立つのがラジエーターキャップで、走行後すぐなど冷却水が熱い時に開けてはならない

ラジエーターキャップは、ただ単に開口部へフタをしているだけではなく、ラジエーター内の圧力を高圧(冷却水をリザーバータンクに送る)・負圧(リザーバータンクからラジエーターに戻す)に調整しクーラントが沸騰するほど熱くなっても沸騰しないようにしてくれる重要なパーツです。

したがって、キャップに「熱いときあけないこと」と注意書きが記載されている通り、走行後すぐの状態でラジエーターキャップを開けると高温のクーラントが噴き出し火傷する可能性があるため、絶対に開けないよう注意してください。

沸騰する冷却水ラジエーターキャップによる加圧がないと冷却水が沸騰してエンジン冷却ができないため、オーバーヒートに繋がる

このパーツも消耗品であるため、破損することがあります。スプリングを使って圧力の調整をしているため、折れるなどの不具合があると正しく調整できなくなり、オーバーヒートなどに繋がります。ホースと同様に経年劣化するため5年ごとに取り換えることを検討するといいと考えます。

リザーバータンク

リザーバータンクリザーバータンクは、ラジエーターからあふれた冷却水を溜めておくパーツで、MINとMAXの目盛り内に液面があれば正常

リザーバータンクは、ラジエーターからあふれた冷却水を溜めておくタンクのことで、主に加圧状態の時にはラジエーターから液を貰い、負圧状態の時にはリザーバータンクからラジエーターへ冷却水を返しています。

このタンクはほとんどの車種で樹脂製を使っており、長年の振動によるひび割れ(クラック)が発生することもあります。ヒビがあるとそこから冷却水が漏れだす可能性もあるため、たまにリザーバータンクを点検してMINよりもLLCの液面が減っていたら補充するようにしてください。

補充する回数が多いときは冷却水が漏れている可能性が高いため、駐車している場所の地面に色のついた水がたまっていないか確認してみるといいでしょう。

クーラント(冷却水・LLC)

クーラント、LLC、冷却水クーラントはLLCや冷却水とも呼ばれ、ラジエーターコアやエンジン内が錆びないような成分でできている

クーラントは、冷却水やLLC(ロング・ライフ・クーラント)とも呼ばれる液体で、ただの着色された水ではなく、エチレングリコールと呼ばれるアルコールです。ガソリンと同じ危険物ですので、自分で補充したり取り扱う自信がない時は、ガソリンスタンドやカー用品店などの専門スタッフに任せたほうがいいでしょう。

着色されているのは、エンジンやラジエーターコアが錆びた時にすぐ分かるようになっているためで、緑色のほかに青色や赤色に着色されているのが多いです。ほかにも古くなると濁ってくるため、キレイな緑・青・赤色ではなくなった時は交換する必要もあります。

クーリングファン

クーリングファンラジエーターコアの後ろに設置されていることが多いクーリングファン。信号待ちなどの停車中に作動しコアを冷やしてくれる

クーリングファン(ラジエーターファン)は、信号待ちや渋滞時などコアへ走行風が当たらないときにクーラントの温度上昇を感知し、自動的に回ってコアを冷やしてくれる扇風機です。特に外気温も高い夏場に活躍する部品で、これが不具合で動かないと夏場で渋滞にはまった時などはオーバーヒートする原因に繋がるでしょう。

ラジエーターはデリケートな部品のため洗車機の高圧ガンで洗うときはつぶれないように近づけすぎに注意

ラジエーターフィンの潰れラジエーターフィンの潰れは、小石や虫の衝突だけではなく洗車場の高圧ガンを近づけすぎるだけでも起こるため注意が必要

ラジエーターのフィンは柔らかい金属で出来ているためとても潰れやすく、グシャっとなったままだと空気の通りが悪くなり、冷却効率が下がります。ラジエーターフィンが潰れる原因は、小石や虫の衝突だけではなく、洗車場で使う高圧のガンが原因となることも多いので注意が必要です。

特に軽自動車はバンパーからラジエーターコアが近く、車種によってはむき出しに近い状態になっているため、水圧を下げるか近づけすぎないようにして洗ってください。

「液漏れ」はラジエーターで起こりやすい故障の1つ

ラジエーター液漏れはクーラントに鮮やかな色がついているのでわかりやすい

ラジエーターの故障として多いのが、ラジエーター本体やラジエーターホースなどの部品の破損によってクーラント(冷却水)が漏れてしまうケースです。最悪エンジンのオーバーヒートに繋がりますから、早急な修理が必要です。
また、ゴム製のホースなどは経年劣化が起こりやすく、走行距離10万キロ前後で1度交換した方がいい部品です。

ラジエーターの故障を疑ったら車の下に水溜まりがあるかをチェック

停車中の車の下に水が溜まっていたら要注意。冷却水はエアコンから出る水とは違い、赤や緑など色がついていて、甘い匂いがします。
エンジンを止めてリザーバータンクの目盛りを確認しましょう。

水温計が「H」マーク付近にある、または「水温計警告灯」が赤く点灯している場合は既に黄色信号です。走行を続けるとエンジンのオーバーヒートに繋がる恐れがありますから、自走は控えた方が賢明です。

すぐにディーラーに行けないときの応急処置には「水漏れ防止剤」が有効

すぐにディーラーに修理へ持っていけない場合、水漏れの程度がさほどひどくないなら、カー用品店で「水漏れ防止剤」を購入し、ラジエーターへ注入しましょう。

「水漏れ防止剤」は、クーラント(冷却水)の粘度を上げて破損部分から液体が出ていくペースを落としてくれます。または、小さな不純物を混ぜることで、異物が穴をふさいでくれるタイプの商品もあります。

根本的な解決にはなりませんが、時間は稼げるはずです。
ただし、「水漏れ防止剤」の入れすぎは目詰まりの原因になりますので、必ずメーカー推奨の容量を守って使用してください。

ラジエーターは車の中でも特に重要な部品で各パーツは消耗品のため定期的に交換する必要がある

ラジエーターは動いている限り発熱しつづけるエンジンを冷やすクーラントを、冷却・回収・循環させるパーツで、このパーツ郡があるおかげで、エンジンはオーバーヒートを起こさずに走り続けることができます。

ですが、クーラント漏れ・ラジエーターファンが動かない・ラジエーターキャップの破損などで、十分にエンジンを冷却することができなくなったら、オーバーヒートによりボンネットから煙が噴き出す事態になる可能性があります。

発進前には着色された水が車の下に溜まっていないか、エンジンルームを開けたときにリザーバータンクの液面が正常か、クーラントが綺麗な赤や緑、青色ではなく濁っていないかなど、チェックする必要があります。

普段乗っていると特に気にすることがないラジエーターですが、エンジンオイルと同様に非常に大切なパーツですので、たまにはチェックしてあげることで、愛車に不具合が起きる前に対処してあげることができます。