ジャッキアップの方法

ジャッキアップをフロアジャッキや車載ジャッキで上げる方法

ジャッキアップは正しい方法で行うことで安全に作業を進められる。タイヤ交換で行うジャッキアップはサイドのジャッキアップポイントを使って1本ずつ行う。正しい方法で行わないとジャッキが外れて車体が落下するなどのトラブルがあるのでしっかりとチェック。

ジャッキアップをフロアジャッキや車載ジャッキで上げる方法

車のジャッキアップをする方法!覚えておくとタイヤ交換に便利

DIYでタイヤ交換をする際に欠かせない作業が「ジャッキアップ」ですが、安全な方法で車体を持ち上げないと、車体の破損や、作業中にジャッキが外れて怪我をする危険性があります。

そこで、ジャッキアップする際に用意するものと、安全で正しい方法を紹介します。ご自身でタイヤ交換ができるようになると、カー用品店やディーラーでの混雑を避け、ご自身のタイミングで作業を行うことができ、工賃の節約にもつながります。

タイヤ交換は年に2回(夏タイヤ・冬タイヤへの交換時)は必ず行うイベントです。ご自身でできるようになると車への愛着も増し、整備に関する自信もつきます。さっそくタイヤ交換に必要なジャッキアップの正しい手順とコツをチェックしてみましょう。

タイヤ交換時のジャッキアップに用意するもの

ジャッキアップに必要なパンタグラフジャッキパンタグラフジャッキはほとんどの場合車載されています

タイヤ交換時のジャッキアップに必要なものは、手を保護するための軍手、車載ジャッキまたは油圧式のフロアジャッキ、車輪止め(輪留め)です。また、万が一ジャッキが外れた時のために、車体を支えるためのリジットラック(通称:ウマ)や、応急的にスペアタイヤを用意することをおすすめします。

ジャッキアップに必要なもの

  • 軍手
  • 車輪止め(輪留め)
  • リジットラック(ウマ)またはスペアタイヤ(車体の落下防止に使う)
  • 車載ジャッキ、ハンドル(またはフロアジャッキ)

一般的な手順としては、まず軍手をはめ、車輪止めをかけ、ジャッキを車体のジャッキアップポイントにあて、車体を持ち上げていきます。タイヤ交換できる高さまで車体を持ち上げたら、安全対策としてリジットラックやスペアタイヤなどを車体下に設置してから、タイヤを交換するようにしてください。

フロアジャッキでのジャッキアップの方法

平坦な駐車場

油圧の力を使って車体を持ち上げるフロアジャッキ(ガレージジャッキ)での持ち上げ方を紹介します。ジャッキアップを行う場所は、土や砂利道などの柔らかく不安定な場所ではなく、コンクリートなどの硬く安定した平坦な場所を選んでください。

コンクリートの平坦な場所でPレンジまたはローギアに入れ、パーキングブレーキをかける

平坦な駐車場にとまる自動車平坦で作業しやすいスペースがある場所がベスト

まずはジャッキを置いても安定する平坦なコンクリートに駐車し、車体の周りをぐるっと回れる程度の作業スペースを確保すると良いでしょう。

コンクリートの平坦な場所に駐車したら、オートマ車ではP(パーキング)レンジに入れ、マニュアル車ではローギア(1速)またはリバース(R)に入れてギアを噛ませておき、どちらの車種も車が動かないようにパーキングブレーキ(サイドブレーキ)をかけてください。その後、エンジンを切ります。

電動パーキングブレーキを操作する男性ジャッキアップする時は車が動かないようにパーキングブレーキをかけます

パーキングブレーキには、センターコンソールのレバーを手で引くタイプ、運転席左下にあるペダルを足で踏むタイプ、スイッチを押す電動式などがあります。

ジャッキアップポイントを探し、対角線上のタイヤに車輪止めをかける

前輪のジャッキポイント車のジャッキポイントは前後左右のボディ下に設けられています

持ち上げたいタイヤ付近のサイドシル(車体の側面下部)を覗き込むと、車体を持ち上げるためのジャッキアップポイントとなる、車体に設けられた凹みや印があります。車種ごとに場所が違うため、必ず取扱説明書をよく読んで確認しておくようにしてください。

フロアジャッキをかける前に、上げようとするタイヤの対角線上にあるタイヤへ車輪止めをしっかりとかけておきます。こうすることで、車体が動き出し、ジャッキが外れるという可能性を低くすることができます。

油圧バルブ(リリースバルブ)が閉まっているか確認する

油圧で動くフロアジャッキは、必ず油圧を開放するためのリリースバルブが装備されています。ジャッキを上げる時は、このバルブを時計回り(右回り)にしっかりと締めておかないと、油圧が抜けアームが上がりません。

初めて使う場合は、事前にバルブを締めてアームを上げ、反時計回り(左回り)に開けてアームを下げるなど、動作を確認してコツを掴んでおくと良いでしょう。

アームを少し上げてジャッキアップポイントに合わせて持ち上げる

ジャッキポイントに油圧式ジャッキを挿し込むジャッキの位置は必ず車体に対して垂直になるようにします

車体が上がった自動車ジャッキポイントにかかっているか確認し、作業できる高さまで上げます

リリースバルブを締めたら、アームを少し上げてジャッキアップポイントに合わせます。アームの台座をジャッキアップポイントにしっかりとくっつけ、もう一度位置を確認してから上げていきます。

この時、車体に対してジャッキが垂直になるよう合わせてください。斜めになっていたりすると、タイヤ交換作業中などにジャッキが外れる可能性があるため、十分に注意してください。

また、サイドにエアロパーツを装着している場合は、ジャッキアップポイントだけにジャッキの頭をかけるようにしてください。エアロパーツに力が加わると、破損したりジャッキが外れる原因となる可能性があります。

上げたらリジットラックやスペアタイヤなどを車体下に設置して作業する

フロアジャッキで車体を持ち上げたら、万が一ジャッキが外れた時に備えて、リジットラック(ウマ)を決められた場所(フレームなど)に設置するか、応急的にスペアタイヤなどを車体下に挟んでおきます。

最も重要なことですが、車体を持ち上げたら絶対に身体や手、足を車体下に入れないようにしてください。

車の重さは軽自動車で1,000kg程度、普通車で1.5トン以上ありますので、もし身体を入れている最中にジャッキが外れて車体が落ちてきた場合、命に関わる大変危険な事態となります。

タイヤ交換を終えたらリジットラックやスペアタイヤを避け、リリースバルブをゆっくり開ける

リリースバルブを開け車体が沈む自動車リリースバルブを一気に開けないように注意します

タイヤ交換の作業を終えたら、車体下に設置していたリジットラックやスペアタイヤなどを避けてから、リリースバルブをゆっくりと開けて車体を下ろします。この時、バルブを一気に開けてしまうと、勢いよく「ドン!」と車体が下がり、車体に負担がかかるため注意が必要です。

パンタグラフジャッキ(車載ジャッキ)でのジャッキアップ

フロアジャッキはすぐに車体を上げることができて便利ですが、重く、かさばるため、常に車に積んでいることは少ないものです。出先でパンクしてしまった時などに活躍するパンタグラフジャッキ(車載ジャッキ)の正しい使い方をチェックしておきましょう。

平坦な場所に駐車してパーキングブレーキをかけ、車輪止めを置く

平坦な場所に駐車をしてパーキングブレーキをかけ、車輪止めを置くのは、フロアジャッキを使用する場合と手順は変わりません。しっかりとパーキングブレーキがかかっているか、上げたいタイヤの対角線上に車輪止めを両方向から置くことを忘れないようにしてください。

ジャッキアップポイントを探して車載ジャッキをあてる

パンタグラフジャッキでジャッキアップする男性ジャッキアップポイントに当てるまで、手で回してある程度の位置まで上げておくと作業しやすくなります

車載ジャッキは、丸い穴が開いた部分にハンドルを差し込んで回すと、上下に動きます。車体の荷重がかかっていない状態であれば、ハンドルなしで手で回すことも可能です。車載ジャッキを車体と垂直に構え、ジャッキアップポイントの凹みや印にしっかりと頭(受け皿)を当てたら、準備は完了です。

ハンドルを時計回り(右回り)に回すと上がり、反時計回り(左回り)に回すと下がります。

車載ジャッキにハンドルをつけて右回りに回して上げていく

パンタグラフジャッキにハンドルを連結ハンドルとロッドを連結させます。力が必要なので無理をしないように作業してください

車載ジャッキで車体を持ち上げるためには、ハンドルとロッド(ジャッキを回すための棒)を連結する必要があります。油圧で持ち上げるフロアジャッキと比べて、自分の力だけで持ち上げるため重労働ですが、少しずつ休憩しながら作業を進めても大丈夫です。その際には、絶対に少しでも持ち上がった車体下に手や足を入れないようにしてください。

ハンドルを連結する際は、取扱説明書に従い、正しくセットしてください。多くの場合、ホイールナットレンチをT字のハンドルとして利用して回します。

間違ったナットレンチの固定方法ナットレンチを下向きに付けると回し難い場合があります

正しいナットレンチの固定方法こちらが一般的な正しいナットレンチの取り付け方です

パンタグラフジャッキの頭がジャッキアップポイントにしっかりと噛み合っていることを確認してから、連結したハンドルを時計回り(右回り)に回して上げていきます。かなりの力が必要なため、ゆっくりと休憩しながら無理をせずに作業を進めてください。

スペアタイヤなどを車体下に挟んでタイヤ交換作業

パンタグラフジャッキで車体を持ち上げたら、スペアタイヤなどを車体下に置き、ジャッキが外れた時のための予防をしておきます。万が一ジャッキが外れた時にすぐに逃げられるよう、周囲に注意を払っておくと安心です。

パンタグラフジャッキにハンドルを連結したまま作業をすると、移動中に足を引っ掛けて危険なため、作業中はジャッキからハンドルを外して邪魔にならないところに置いておきましょう。

作業が終わったらスペアタイヤを避けてハンドルを左回りに回して下げていく

パンタグラフジャッキでジャッキアップする男性周りに注意しながら反時計回り(左回し)でジャッキを下げます

タイヤ交換を終えたら、スペアタイヤなどを避けてハンドルを連結し、上げた時とは逆に反時計回り(左回り)に回して下げていきます。下りてくる車体やタイヤの下に足や服の裾などを挟まないよう、最後まで注意してください。

ジャッキアップポイントはしっかりと確認してください

ジャッキアップポイントは車種によって位置が異なるため、分かりにくい場合もありますが、ほとんどの場合、車の取扱説明書の「パンクしたときは」などの項目に記載されています。

サイドのジャッキアップポイントのほかに、フロアジャッキを使用する際のために、フロント(前側中央)やリア(後側中央)にもジャッキアップポイントが設定されている車種があり、これらを使用すると両輪を同時に上げたりすることができます。しかし、誤った位置にジャッキをかけてしまうと、ガソリンタンクやフロア(床面)を破損させるなどの重大なトラブルが発生する可能性があります。

また、DIYで行うジャッキアップ作業は、ジャッキが外れて車体が落ちてくるなどの危険が常に伴いますので、作業中に車体下には身体や手、足を絶対に入れないようにし、安全対策としてリジットラック(ウマ)の使用を強く推奨します。少しでも不安な場合は、カー用品店やディーラーにタイヤ交換などの作業を依頼するようにしてください。