タイヤ交換の方法と手順は?安全に付け替えるための7ステップ
冬が来てスタッドレスタイヤに履き替える時期や、春が来て夏タイヤに戻す時期に、ご自身でタイヤ交換をされる方もいらっしゃるのではないでしょうか。ディーラーやカー用品店に依頼することもできますが、時期によっては駆け込み交換が殺到し、待ち時間が長くなる場合があります。
また、年に2回行う作業のため、交換費用も意外とかかりますが、自分で行えば費用を抑えることができます。
そこで、ご自身でタイヤ交換を行う際の流れを、安全かつスムーズに行うためのポイントと合わせてご紹介します。安全のため、作業に不安がある場合は専門業者に依頼してください。
タイヤ交換に必要な工具・備品

まずは、タイヤ交換を行う前に必要な工具や備品をチェックしておきましょう。怪我を防ぎ、作業をスムーズにするためにも軍手は必ず着用し、素手でタイヤ交換を行わないようにしてください。自分で工具を揃える場合でも、1万~2万円の予算があれば一通り用意できます。
タイヤ交換に必要な主な工具・備品
- 軍手
- 交換するタイヤ4本
- 交換するホイールに合うナット(16個・20個など)
- フロアジャッキ(ガレージジャッキ)
- クロスレンチまたはトルクレンチ
- 輪止め(車止め)
- マイナスドライバー(ホイールキャップを外す場合)
ホイールに合うナットを用意

交換するタイヤ4本は当然ですが、重要なのはホイールの座面形状に合ったナットを用意することです。ホイールナットの座面形状は、主に「テーパー座」「平面座」「球面座」の3種類があり、メーカー純正ホイールによって採用されている形状が異なります。
主なメーカー純正ホイールに対応するナット形状
- 球面座:主にホンダ車
- 平面座:主にトヨタ車・レクサス車
- テーパー座(60度):日産、スバル、スズキ、三菱、マツダ、ダイハツなど(社外ホイールの多くもテーパー座)
ご自身の車や交換するホイールのナット形状が不明な場合は、必ず車の取扱説明書を確認するか、カー用品店などの専門の店員に相談して購入すると安心です。誤った形状のナットを使用すると、ホイールが正しく固定されず、走行中に脱輪するなどの重大な事故につながる危険性があります。
フロアジャッキは油圧式のものが便利
車に標準装備されているパンタグラフジャッキでも作業は可能ですが、車を持ち上げるのに比較的力が必要で、安定性にも注意が必要です。ガレージジャッキとも呼ばれる油圧式のフロアジャッキを用意すると、少ない力でスムーズに車を持ち上げることができて便利です。5,000円くらいから購入することができます。
クロスレンチまたはトルクレンチ

車載のL型レンチは口が厚いものがあるため、アルミホイールに使うと塗装が剥がれたり傷つけたりすることがあります。アルミホイール用の薄口のクロスレンチがあると便利です。値段は1,000円前後で、17mm・19mm・21mmなど、複数のサイズに対応できるものがあります。
また、ナットを力いっぱい締めすぎる(オーバートルク)と、ホイール側のボルト(ハブボルト)が損傷したり、折れたりする危険性があります。適正な力加減(トルク)でナットを締め付けるために、トルクレンチがあると便利です。トルクレンチはクロスレンチよりも割高で、4,000円前後から販売されています。
マイナスドライバーはホイールキャップを外す時に使う
スチールホイールのドレスアップ用にはめ込まれているホイールキャップは、手だけでは外しにくいことがあります。その際はマイナスドライバーを使って、少しずつこじっていくと外れやすくなります。
作業がしやすい広い平坦な場所に駐車し、輪止めをかける
タイヤ交換は自宅駐車場などのアスファルトで覆われている平坦で安全な場所で行います
まずは、タイヤ交換の作業がしやすいように、広く平坦で安全な場所に駐車しましょう。車の周りをぐるっとひと回りできるスペースがある場所が最適です。
タイヤ交換を安全に行うために
- 車の往来がない安全な場所(自宅駐車場など)を選ぶ
- 車の周りをひと回りできる十分な作業スペースを確保する
- 砂利道や土の上ではジャッキが安定しないため行わない
- 坂道や傾斜がある場所では絶対に行わない
作業中は車の横にしゃがみこむため、他の走行中の車両に轢かれる可能性を考慮し、公道やデパートの駐車場、洗車場など、他の利用者の迷惑になる場所での作業は避けてください。
タイヤ交換はジャッキで車を持ち上げる必要があるため、必ず平坦な場所で行いましょう。地面が砂利や土になっているとフロアジャッキが安定せず、外れて車を落下させる危険があるため厳禁です。車が動かないように、対角にあるタイヤ(例:右前を交換する場合は左後ろ)に輪止め(車止め)を設置するとさらに安全です。
サイドブレーキをかけてナットを少しだけ緩める
安全な状態を確認したら、レンチを反時計回りに回してホイールナットを緩めていきます
1.安全な場所に駐車したらPレンジに入れてサイドブレーキをかける
2.サイドブレーキがかかっていることを確認してエンジンを切る
3.レンチを使ってナットを4本・5本とも少しだけ緩める
場所を確保したら、シフトをパーキングレンジ(P)に入れ、サイドブレーキをかけ、メーターでサイドブレーキランプが点灯していることを確認してエンジンを切ります。サイドブレーキはナットを緩める際にタイヤが動かないようにするために必要です。
手で引くタイプ、足で踏むタイプ、自動でかかる電動タイプなど種類がありますので、ご自身の車の種類が分からない場合は取扱説明書を確認してください。
手で引くタイプ
足で踏むタイプ
電動タイプ
エンジンを切ったら、車から降りてレンチでナットを反時計回りに少しだけ緩めます。この段階では、ガッチリ締まっているナットを、手で簡単にクルクル回せるくらいまで緩めるのが目安です。緩める順番は、4穴なら対角線(上下左右)に、5穴なら星型を描くように対角線順に緩めていくと、ホイールが歪まずに作業できます。
サイドブレーキがかかっている状態(メーター点灯)
ジャッキを車にかけて持ち上げる
ジャッキアップポイントにフロアジャッキの先端部をかけて準備が整ったら、油圧をかけて車を持ち上げていきます
1.フロアジャッキをジャッキアップポイントにかける
2.ゆっくりと持ち上げていく
3.タイヤが地面から5cmほど離れるくらいが目安
4.絶対に車の下に手や足や身体を入れない!
ナットを少し緩めたら、車のジャッキアップポイントにフロアジャッキをかけて持ち上げていきます。ジャッキアップポイントは、車のサイドを下からのぞき込むと、矢印がある場所や、切り込みが入っている場所(プレスラインの切り欠き)が見えます。このポイントは取扱説明書にも記載がありますので、必ず確認してください。

タイヤが地面から5cmほど離れるくらいが目安です。この際、最も注意すべきは、持ち上げている車の下に手や足や身体を絶対に入れないことです。万が一フロアジャッキが外れた場合、車の下敷きとなり重大な事故につながります。
ジャッキアップポイント以外のいい加減な場所にジャッキをかけると、ボディの損傷(オイル漏れやサイドエアロの外れなど)が生じる場合がありますので、必ず指定された場所にかけてください。
ナットを全て外してタイヤを付け替える
ホイールナットを全て外したら交換用のタイヤへと付け替えます
1.車を持ち上げたらナットを全て外す
2.交換前のタイヤを車体から外す
3.交換後のタイヤを車体にはめる
4.絶対に車の下に手や足や身体を入れない!
車を持ち上げたら、緩めておいたナットを全て外し、交換前のタイヤを車体から取り外します。次に交換するタイヤをボルトに奥まではめ込みます。この際、タイヤが地面に触れるようなら、交換後のホイールが奥まで入っていない可能性があるため、更に車を少しだけ持ち上げてからはめ込みます。
ジャッキを使用している際には蹴飛ばしたりしないように位置を再度確認して慎重に取り扱います
ジャッキが外れて車を落下させる可能性がありますので、フロアジャッキを蹴とばしたり、ぶつけたりしないように十分注意してください。また、回転方向が指定されているタイヤもありますので、タイヤサイドの矢印を確認してから装着してください。
ナットを正しく装着して締めていく
ホイールナットを付けたら、対角線上の順番に均等な力をかけて仮締めしていきます
1.ナットを正しい方向(座面形状)につけて手で回せるところまで締める
2.クロスレンチなどで対角線(十字・星形)の順番に均等に締め付けていく(仮締め)
3.固くなったところで、体重をかけずに腕だけの力で「ギュッ」と締めて完了(本締め)
4.絶対に車の下に手や足や身体を入れない!
交換後のタイヤをはめ込んだら、ナットを締めていきます。この時には、1つのナットを一気に強く締めてしまうのではなく、4つ・5つのナットを対角線の順番に、均等に少しずつ締めていくことが重要です。これにより、ホイールが均等にハブに取り付けられ、歪みを防ぐことができます。
ナットを締める際は、まず手で回せるところまで締め付け、その後クロスレンチなどで固くなるまで仮締めを行います。
タイヤ交換でNGなこと:体重を乗せてナットを締めてはいけない
体重をかけてナットを締めると力がかかりすぎて、ホイールが損傷したり、ボルトが損傷して折れる可能性(オーバートルク)もありますので、締めすぎないように注意が必要です。

クロスレンチで締める場合、軽い力で締めていき固くなったところでもう1度体重をかけずに腕だけで「ギュッ」と締めるあたりが目安です。トルクレンチで締め付ける場合の適正トルクは、軽自動車で80~100N·m、普通車で100~120N·mあたりが多いです。適正トルクはメーカー・車種・型式により異なりますので、必ず取扱説明書に記載の数値を確認してください。
ゆっくりと車を下ろしてナットを増し締め
油圧を落として車を地面に下ろしたら、ナットを増し締めしてタイヤ交換作業は完了です
1.フロアジャッキのリリースバルブを少しずつ開けて車を下ろす
2.完全に下りたらフロアジャッキと輪止めを外す
3.地面にタイヤがついた状態で、トルクレンチまたはクロスレンチでナットを増し締めして完了
4.車を下ろす際には、足を踏まれないように十分注意
油圧ジャッキのリリースバルブを少しずつ開けていくと車が下りていきます。この際には、バルブを一気に開けて車を地面に落とさないよう注意が必要です。また、車が下りる際にタイヤの下に足を入れていると下敷きになるので絶対に入れないようにしてください。
車が完全に下りてフロアジャッキを外したら、改めてトルクレンチやクロスレンチを使い、先ほどと同様に対角線順に、規定のトルクで増し締めします。
残りのタイヤを全て交換し、空気圧をチェックしてから試運転

1.同じ手順で4本全てのタイヤを交換する
2.タイヤの空気圧をチェックする
3.広い場所でゆっくりと試運転し、異音やハンドルのブレがないかチェックする
4本のタイヤ全てを交換し終わったら完了ではありません。まず、必ずタイヤの空気圧をチェックし、適正空気圧に合わせるようにしましょう。半年ほど倉庫に保管されていたタイヤは自然に空気が抜けていることが多いです。
その後、広いスペースでUターンしてみたり、ハンドルをすべて切って右に回ったり、左に回ったりして異音が聞こえないか、ハンドルがぶれないかを確認する試運転を行うと安心です。もし少しでも異常を感じたら、すぐに走行を中止し、点検してください。
タイヤ交換は慣れれば1時間もかからずに取り換えられます
タイヤ交換をディーラーやカー用品店、ガソリンスタンドに依頼すると、軽自動車などでは工賃に2,000円ほど(1本あたりの価格は変動します)かかり、年に2回行うと費用が発生します。一方、自分でタイヤ交換を行うと、道具を揃えるのに最初は費用がかかりますが、以降は費用をかけずに作業を行うことができます。
費用面で約3年ほどで元が取れる計算となり、タイヤ交換を自分の好きな時間に出来るので、待ち時間なども発生することがありません。また、カー用品店が近くにない地域や雪国などに転勤や引っ越しをした際には、覚えておくと便利なスキルともいえます。
タイヤ交換の主な手順(8ステップ)
- 作業がしやすい平坦な場所に車を駐車し輪止めをかける
- サイドブレーキをかけてナットを少しだけ緩める
- ジャッキで車を持ち上げる
- ナットをはずしてタイヤをつけかえる
- ナットを正しく装着して仮締めする
- ゆっくりと車をおろしてナットを増し締めする
- タイヤを全て交換し、空気圧をチェックする
- 試運転して問題がなければ終了
タイヤ交換は慣れると1台1時間もかからずに作業を終えることができます。安全に注意して行うことで、費用と時間の節約になります。


























