ガス欠の対処法

車がガス欠になったらどうする 安全な停め方と救援の呼び方を解説

給油ランプが点いてから走れる距離の目安と、航続可能距離の表示が当てにならない理由を整理。一般道と高速道路それぞれの対処手順、燃料ポンプに残るダメージ、ディーゼル車のエア抜き、電気自動車の電欠との違いまで、ガス欠にまつわる疑問に答えます。

車がガス欠になったらどうする? 自分と車を守る対処法

車がガス欠になる要因は、「代車で、ガソリンを入れるのがもったいないと感じてしまう」「給料日(明日)まで待って入れようと思っていた」「給油ランプが点滅していてもまだ走行可能だと思い込んでいた」など、人によって様々です。

車の燃料であるガソリンや軽油が尽きてガス欠に至ってしまう背景には、燃料を入れるべきタイミングを見誤るというドライバーの判断ミスが多くあります。しかし、中には燃料メーターの故障のように、ドライバー自身には責任がないケースも考えられます。

決して珍しいトラブルではありません。JAFの出動理由を見ると、高速道路での燃料切れはタイヤのパンクやバーストに次いで多く、年間を通じて一定の件数が発生し続けています。もしガス欠になってしまったら、まずは深呼吸をして冷静になることが重要です。突然のトラブルでパニックに陥る前に、自分や同乗者、そして車を守るため、さらに二次的な事故を防ぐために役立つ適切な対処法を知っておきましょう。特に、長距離のドライブや不慣れな土地での運転の際には、燃料残量への意識を高めておくことが大切です。

ガス欠の際には後続車に配慮し安全な場所に車を停める

完全に車が動かなくなる前に安全な場所に移動させましょう

ガス欠が発生した際の最優先事項は、後続車への迷惑や危険を避けるため、車を速やかに安全な場所へ移動させることです。燃料メーターの残量が少なくなり、車の加速が鈍くなったり、エンジンの調子が悪くなったりといった異変を感じた場合は、ガス欠を疑いましょう。車が完全に動かなくなる前に、最寄りの駐車場や路肩などの安全な場所へ移動させる必要があります。

車の異常を知らせる警告灯が点灯・点滅した際には、その原因がガス欠であるか否かに関わらず、二次被害を防止するために、車を安全な場所へ移動させる行動が求められます。安全な場所への移動が難しい場合は、ハザードランプを点灯させ、後続車へ注意を促すことが大切です。また、夜間や悪天候時は特に、視認性を高めるための対策を講じましょう。

停車できたら、ハンドルを縁石や壁の方向へ切っておきます。万が一後続車に追突されても、車が車道の中央へ押し出されにくくなるためです。平坦に見える場所でもわずかな勾配があることは多いため、パーキングブレーキの確実な作動もあわせて確認してください。

車が完全に停止して動かなくなってしまったら、人力で車を移動させます。移動させる際には、AT車、MT車を問わず、ギアをN(ニュートラル)に入れましょう。開けた運転席側のドアとAピラー(運転席の近くにある柱)を押さえながら、ゆっくりと押していくのが安全に移動させるためのコツです。

車両総重量が比較的軽い軽自動車やコンパクトカーであれば、一人でも移動できるかもしれませんが、小さなサイズの車であっても、一人での移動に危険を感じた場合は、周囲の人に助けを求める勇気も大切です。他者の助けを借りることで、より安全かつ確実に車を移動させられます。

特に、上り坂や下り坂で車を移動させる際には細心の注意が必要です。同乗者がいない場合でも、一人で行わずに、協力者の助けを借りて、目的地まで慎重に移動させましょう。安全を最優先に行動することが、さらなるトラブルの発生を防ぎます。

エンジンが止まるとハンドルとブレーキはどう変わるのか

ガス欠で最も見落とされがちなのが、エンジンが停止した瞬間に操作系の手応えが大きく変わる点です。走行中にこれが起きると、知らないドライバーは「ハンドルが壊れた」と感じてパニックに陥ります。あらかじめ知っておくだけで対応が変わる部分です。

まずパワーステアリングのアシストが失われます。油圧式はエンジンでポンプを駆動しているため停止と同時にアシストがなくなり、電動式でも車種によっては警告灯とともに補助が弱まります。ハンドルは据え切りに近い重さになり、特に低速では両手で力を込めないと回りません。

ブレーキはさらに注意が必要です。多くの車はエンジンの吸気負圧を利用したブレーキブースター(倍力装置)でペダルの踏力を増幅しています。エンジンが止まると負圧は残っている分しか使えず、ペダルを数回踏むと倍力が尽きて、同じ踏み込みでもほとんど効かない状態になります。この段階では、床を踏み抜くつもりで力いっぱい踏む必要があります。

そのため、エンジンが止まりそうだと感じた時点で惰性の残っているうちに路肩へ寄せるのが鉄則です。完全に止まってからハンドルを切ろうとしても動かず、ブレーキも効かないという最悪の組み合わせになります。前兆としては、アクセルを踏んでも加速しない、エンジンの回転が波打つ、車体がガクガクと前後に揺れるといった症状が出ます。この揺れを感じたら、残りの数百メートルで安全な場所まで到達することを最優先に考えてください。

車が一般道でガス欠になった時に役立つ対処法

一般道でガス欠に遭遇した場合は、家族や友人など近しい人に助けを求める他に、JAFをはじめとする民間のロードサービスを活用する方法があります。一般道であれば、高速道路と比較して移動手段や救援の選択肢が多いため、冷静に対処すれば事態の解決は比較的容易です。最寄りのガソリンスタンドの位置を確認し、状況に応じて最も適切な方法を選びましょう。

家族や友人、職場の同僚に助けを求める

ガス欠が発生した場所へ、家族や友人、あるいは職場の同僚といった身近な人が駆けつけられる状況であれば、緊急事態なので救援をお願いしましょう。特に、遠方へのドライブ中に立ち往生してしまった場合、信頼できる人に状況を説明し、支援を依頼することは精神的な負担の軽減にも繋がります。

ガソリン携行缶があればガソリンを持ってきてもらうことが可能です

車で助けに来てくれる場合には、事前にフルサービスのガソリンスタンドに立ち寄ってもらい、ガソリン携行缶に一時的に走れるだけの燃料をもってきてもらえれば安心です。ただし、セルフサービスのガソリンスタンドでは、利用者が自ら携行缶へガソリンを給油することは消防法令で禁止されており、必ず従業員が行います。

手続きの面でも事前の確認が必要です。消防法令の改正により、ガソリンを携行缶へ詰め替えて販売する際は、販売側に購入者の本人確認、使用目的の確認、販売記録の作成が義務づけられています。本人確認には運転免許証やマイナンバーカード、パスポートなど顔写真付きの書類が必要で、健康保険証のように写真のないものは認められません。この手続きの負担から携行缶への給油自体を取り扱わない店舗も増えているため、救援に向かう人には「携行缶に入れてもらえるか」を電話で先に確認してもらうと二度手間を防げます。

至近距離にスタンドがあれば車を押して移動する

ガソリンスタンドが近くにあったら車を押して移動させることもできます

不幸中の幸いで、ガス欠で車が動かなくなってしまった場所のすぐ近くにガソリンスタンドがあれば、最後のひと踏ん張りで自力での移動も可能です。車をN(ニュートラル)にして、ドアを開けてから、事前に屈伸運動などのストレッチを行ってから、車をスタンドまで押して移動させましょう。周囲の安全を確認し、交通量の少ない時間帯や場所で行うことが望ましいです。

実際に押してみると分かりますが、動き出すまでの最初のひと押しが最も重く、転がり始めてからは想像よりも軽くなります。問題は止めるときで、前述のとおりブレーキの倍力が効かないため、下り勾配のある場所で押すのは避けてください。一人が運転席でハンドルとブレーキを担当し、もう一人が後ろから押す二人体制が安全です。歩道や車道を横切る形になる場合は、交通量が途切れるまで待つ判断も必要になります。

スタンドの店員に電話をかけてガソリンを持ってきてもらう

車を移動させるには距離があると判断したら、停車している場所の周辺にあるガソリンスタンドに連絡をして、ガソリンを現地まで持ってきてもらうサービスが可能かどうかを問い合わせてみましょう。全てのスタンドが対応しているわけではありませんが、出張サービスを実施している場合があります。その際、サービス内容や料金についても確認することが重要です。

同乗者またはドライバー自身がスタンドまで向かう

最寄りのガソリンスタンドまで歩いていける距離にあれば、同乗者か、体力と走りに自信のあるドライバー自身がスタンドまで向かいましょう。安全のため、複数人で行動するか、一人で向かう場合は交通に十分注意を払う必要があります。

携行缶を持っていない場合、スタンドによっては貸し出しに応じてもらえることがあります。ただし前述の販売記録の作成が必要になるため、身分証明書を持たずに向かうと購入自体ができません。徒歩で向かう際は、運転免許証を必ず携帯してください。ガソリンを満たした携行缶は10リットルでおよそ7キログラムあり、片手で長距離を運ぶのは現実的ではない重さです。借りた缶は給油後に返却することになります。

任意保険のロードサービスを利用する

自動車の任意保険を販売している各保険会社は、近年ロードサービスを充実させています。契約している保険会社の連絡先をスマートフォンに登録している方は、ロードサービスの窓口に連絡をして、状況を説明してみることをお勧めします。契約内容によっては、ガス欠時の燃料配達サービスが含まれていることがあります。

保険会社の担当者が提携するロードサービス業者を手配し、現場まで駆けつけてくれます。10リットルまでの燃料配達を年1回まで無料とするなど、回数や量に制限を設けている会社が多く、燃料代が実費になるケースもあります。契約時に渡された冊子や会員ページで、ガス欠が対象に含まれているかどうかを一度確認しておくと、現場で迷わずに済みます。

#8139でJAFに救援を依頼する

車が故障した時にすぐに思いつく選択肢の一つがJAF(日本自動車連盟)です。JAFの会員であれば基本料金は無料で、燃料代の実費のみで対応してもらえます。ガス欠時の燃料配達は、JAFの主なサービスの一つです。

JAFの会員ではない方でも、有料サービスとはなりますが、「#8139」に電話をかければスタッフが現場まで駆けつけてくれます。この非会員向け料金は2024年4月に大きく改定されました。一般道の基本料金は昼間(8時から20時)で15,700円、夜間(20時から8時)で19,630円です。高速道路の昼間に燃料切れで救援を依頼した場合は32,610円となり、個人会員の入会金2,000円と年会費4,000円を合わせた6,000円を大きく上回ります。長距離を走る機会が多いのであれば、一度の救援で元が取れる計算です。

ガス欠による出動要請は非常に多く、JAFは以下の6つの状況に区分けして対応しています。

  • 昼間の一般道路
  • 夜間の一般道路
  • 昼間の高速道路のパーキングエリア(サービスエリア)内
  • 夜間の高速道路のパーキングエリア内
  • 昼間の高速道路のパーキングエリア外
  • 夜間の高速道路のパーキングエリア外

※会員ではない方は、ガス欠が発生している場所や時間帯によって、請求される料金が異なってきます。料金は事前にJAFのウェブサイトなどで確認できます。

高速道路でガス欠をしてしまった場合の対処法と罰則

高速道路を走行中にガス欠になったら落ち着いて行動しましょう

高速道路を走行中に車の異常を感じ、ガス欠の可能性があると判断したら、速やかに路肩や非常駐車帯に車を停車させます。高速道路上での停車は非常に危険なため、ハザードランプを点滅させたり、昼夜を問わず発炎筒を点火させたり、三角表示板を設置したりするなど、後続車との追突事故を避けるための対応を最優先で実施する必要があります。三角表示板を設置しないまま停車していると、故障車両表示義務違反として違反点数1点、普通車で反則金6,000円が科されます。

車を安全な場所に停車させたら、ドライバーと乗員は全員ガードレールの外など安全な場所へ避難します。警察庁は高速道路上の緊急時の対応として、路上に立たないこと、車内に残らないこと、安全な場所へ避難することの3点を徹底するよう呼びかけています。停止した車の中で救援を待つ行為は、追突された際に逃げ場がなく、最も危険な選択です。

避難した後は、高速道路の各所に設置されている非常電話を利用するか、「#9910」の道路緊急ダイヤルで高速道路を管轄している団体、あるいは警察に「110番通報」をして、二次的な被害を防ぐための応援要請を依頼します。非常電話は本線上でおよそ1キロメートルおき、トンネル内では200メートルおきに設置されており、受話器を上げるだけで位置情報が管制室に伝わります。スマートフォンから通報する場合は、路肩の距離標(キロポスト)の数字と上下線の別を伝えられるよう、避難する際に確認しておくと場所の特定が早まります。

高速道路での燃料補充は、加入している保険会社のロードサービスに依頼するか、JAFに依頼することを強くお勧めします。自力で次のサービスエリアやパーキングエリアまで燃料を求めに行く行為は非常に危険です。本線上を歩くことは道路交通法で禁じられており、高速道路でのガス欠などのトラブルは、場慣れしているプロに任せた方が安全で確実に対処できます。

ご存知ない方も多いかもしれませんが、道路交通法第75条の10には「自動車の運転者の遵守事項」が定められています。高速自動車国道や自動車専用道路を走行しようとするときは、あらかじめ燃料、冷却水、エンジンオイルの量や貨物の積載状態を点検し、途中で走行できなくなる事態を防ぐ措置を講じることが義務づけられています。ガス欠が事前点検を怠ったことによると判断されれば、高速自動車国道等運転者遵守事項違反が適用され、普通車の場合は違反点数2点、反則金9,000円が科されます。さらに同法には3か月以下の拘禁刑または5万円以下の罰金という罰則も定められているため、高速道路走行前の給油は必須です。

ガス欠で給油ランプが点滅した時の燃費を抑える運転テクニック

パネルに給油ランプが表示されたらすぐにガソリンスタンドへ向かいましょう!

車の燃料が一定量以下になると、燃料残量警告灯、通称「給油ランプ」が点灯または点滅します。このランプが点灯・点滅してからもある程度の距離は走行可能であるため、「まだ大丈夫だろう」と燃料の補充を先延ばしにするドライバーもいるかもしれません。しかし、予期せぬ交通状況の変化や渋滞によって、ガソリンスタンドへ辿り着けなくなるリスクを避けるため、点灯を確認したら速やかに給油することが大切です。

点灯するタイミングは車種によって異なります。目安としては、ミニバンタイプであれば燃料タンク内の残存量が10リットル以下、コンパクトカーであれば7リットル以下、軽自動車であれば5リットル以下で点灯します。正確な数値は取扱説明書に記載されているため、自分の車がどの水準で点くのかを一度確認しておくと、残り時間の見積もりが変わります。

ランプが点滅してからの走行可能距離は、「残っている燃料の量×燃費(km/L)」で計算できます。例えば、軽自動車で5リットルの燃料が残っていて、実燃費が30Km/Lであれば、計算上の走行可能距離は150Kmになりますが、実際の走行条件を考慮すると、これよりも短い距離でガス欠になる可能性が高いです。

注意が必要なのは坂道です。燃料タンクは平らな箱ではなく、急な上り坂や下り坂では燃料が片側に寄り、ポンプの吸い込み口から離れてしまう場合があります。残量がわずかな状態で立体駐車場のスロープや峠道に入ると、計算上は走れるはずの距離を残してエンジンが止まります。コーナリング中に燃料が外側へ寄って息つきを起こすこともあり、残量が少ないときほど平坦な道を選ぶのが現実的な対処になります。

ランプが点滅している時に、特に役に立つ燃費を抑える運転テクニックを紹介します。これらの技術を活用することで、残されたわずかな燃料を最大限に生かせます。

  • 発進する時は、急発進を避け、ゆっくりとアクセルを踏み込む
  • 加速と減速を極力減らし、一定の速度で車を運転する
  • 急な操作を避け、エンジン回転数を低く保つように意識する
  • 当日の気温にもよりますが、燃料を多く消費する車のエアコンの使用をきる
  • 渋滞や信号待ちが続く道より、流れの一定な道を選んでスタンドへ向かう

紹介したテクニックは、あくまでも燃料の消費を抑えるための緊急的なテクニックです。根本的な解決策ではないことを理解しておきましょう。高速道路を運転する際や、ガソリンスタンドが周りにない過疎地などを運転する際には、事前にスタンドで燃料を十分に補充する習慣をつけることを強くお勧めします。

航続可能距離の表示はどこまで信用できるのか

多くの車に備わる「航続可能距離」や「走行可能距離」の表示は、残りの燃料量と直近の燃費実績から算出した推計値です。つまり、これまでと同じような走り方を続けた場合の目安であり、これから走る道の条件は織り込まれていません。

この性質が誤算を生みます。市街地をゆっくり走って良い燃費を記録した直後に高速道路へ入れば、表示されていた距離に届かないうちに燃料は減ります。逆に、渋滞でエアコンを使い続けていた後に流れの良い道へ出ると、距離の数字がむしろ増えていくこともあります。残量が少なくなるほど誤差の影響は大きくなり、「あと30km」という表示を信じて通過したスタンドが最後の給油機会だったという事態が起きます。

多くの車種では、残量が一定以下になると航続可能距離の表示が「—」に変わります。これは計算できなくなったのではなく、精度を保証できない領域に入ったという意味です。この表示を見たら、距離を目安にする段階は終わったと判断し、次に見つけたスタンドへ必ず立ち寄ってください。燃料計の針やセグメントも、満タンに近い領域ではゆっくり、空に近づくと急に減る特性を持つ車種があり、残り4分の1を切ってからの体感は予想より短くなります。

ガス欠後の注意点・金属携行缶を使うときの注意点

ガソリンを運ぶ際は専用のガソリン携行缶を使用しなければなりません

ガソリンは引火点がマイナス40度と極めて低く、常温でも引火性の蒸気を発します。そのため、取り扱う際には、灯油用のポリタンクなどではなく消防法令に適合した金属製の携行缶を利用することが義務づけられています。消防庁の消防研究センターも、ガソリンを持ち運ぶ際などの注意(注1)を公表しています。不適切な容器の使用は、火災や爆発などの重大な事故に繋がる危険性があります。

保管にも制限があります。ガソリンは消防法で指定数量200リットルの危険物に区分されており、その5分の1にあたる40リットル以上を保管する場合は、消防署への届出が必要です。携行缶に残った燃料を車庫や物置に長期間置いたままにするのは、容器の変形や蒸気の滞留につながるため避けてください。

ガス欠で携行缶から給油する際の手順

携行缶から車に給油する作業は、消防法に基づき安全に行う必要があります。以下の手順を参考に、慎重に実施しましょう。

  1. 携行缶のノズルをしっかりとセットする
  2. 缶のフタを開ける前に、エア抜きネジ(圧抜き)をゆっくり緩めて内圧を逃がす
  3. 車の給油口を開けて、キャップを取り外す
  4. ノズルを給油口にしっかりと当て、携行缶に角度をつけてガソリンをゆっくりと補充する
  5. 給油がし終わったら、キャップを閉めて、給油口を塞ぐ

※作業を行う前に、周囲に火気がないことを必ず確認してください。
※引火性蒸気が滞留しないよう、風通しがよい場所で作業を行いましょう。
※静電気による引火の危険を避けるため、軍手ではなく、素手あるいは皮の手袋を使って作業しましょう。

実際に携行缶に触れてみると、夏場の直射日光を浴びた缶は内部の圧力が上がり、フタを一気に緩めた瞬間にガソリンが噴き出すことがあります。手順2のエア抜きを飛ばさないことが、作業中で最も重要な一点です。缶の天面に圧抜き用のネジや注意書きのシールが貼られているため、使用前に必ず目を通してください。

スターターを回して燃料を循環させる

ガス欠が発生してしまうと、燃料タンクからエンジンにガソリンを送る燃料ポンプや、エンジン内部の噴射装置であるインジェクターなど、燃料の通り道全てが空の状態になります。そのため、ガソリンを給油した直後には、すぐにエンジンがかからないことがあります。

多くのガソリン車では、エンジンをかける前にイグニッションをオンの位置にして数秒待つと、燃料ポンプが作動して配管に圧力がかかります。この操作を2回から3回繰り返してからスターターを回すと、始動しやすくなります。それでもかからない場合、スターターを連続して回しすぎるとバッテリー上がりを招くため、10秒程度回したら30秒ほど休ませるという間隔を守ってください。

ガス欠が車に与えるダメージと修理につながるケース

ガス欠は「給油すれば元どおり」とは限りません。車側に残るダメージがあり、後から修理費という形で表れることがあります。

最も影響を受けやすいのが燃料ポンプです。多くの車では燃料タンクの中にポンプが設置されており、ガソリンに浸かることで冷却と潤滑が行われる構造になっています。残量が極端に少ない状態で走り続けると、ポンプが空気を吸い込んで発熱し、負担がかかります。走行距離の多い車でガス欠を繰り返すと、しばらく経ってから始動不良や加速時の息つきという形で症状が出るケースが見られます。

タンク底のスラッジも問題です。燃料タンクの底には、長年の使用で微細な汚れや水分が沈殿しています。通常は燃料で満たされているため吸い上げられませんが、残量がほとんどない状態ではこれを吸い込み、燃料フィルターの詰まりやインジェクターの不調につながります。

ディーゼル車のガス欠は、ガソリン車より復旧が難しくなります。軽油を使う燃料系統は空気が入ると圧力がかからず、給油しただけではエンジンがかかりません。エンジンルームにあるプライミングポンプを手で操作して空気を抜く作業が必要で、車種によっては専用の手順や工具を要します。ディーゼル車に乗っているのであれば、取扱説明書のエア抜きの項目に目を通しておくか、整備工場に依頼する前提で考えておくほうが確実です。

電気自動車やハイブリッド車の電欠はどう対処するのか

駆動用バッテリーの残量が尽きる「電欠」は、ガス欠と似ているようで対処の内容が異なります。JAFの統計では、2023年度の電気自動車への救援件数8,625件のうち約11パーセントにあたる975件が電欠によるものでした。

かつては最寄りの充電スポットまでレッカー搬送するしかありませんでしたが、JAFは2023年8月から現場で急速充電を行うサービスを開始し、2025年12月までに全国47都道府県へ充電対応のサービスカーを配備しています。現場での充電時間はおよそ20分で、充電スポットまで走れる分の電力が供給されます。ガソリン車の燃料配達に相当する対応と考えると分かりやすいでしょう。

ただし電欠特有の制約もあります。レッカー搬送になった場合、無料となる距離には上限があり、高速道路のサービスエリア間が離れている区間では超過分が自己負担になります。また、搬送先のサービスエリアに充電器があるとは限りません。電気自動車で長距離を走る際は、残量だけでなく「次の充電器がどこにあるか」をルート上で把握しておくことが、ガソリン車以上に重要になります。

ハイブリッド車は燃料が尽きればガソリン車と同じく走行不能になります。駆動用バッテリーが残っていても、モーターだけで走れる距離はごくわずかで、ガソリンがない状態では発電もできません。燃料計の扱いは通常のガソリン車とまったく同じです。

「ガス欠になったら水をいれれば走れる」説は本当か?

「ガス欠になったときには、水を入れれば走れる」という対処法が一部で広まっているようですが、これは推奨できない方法です。結論からいうと、この説は、理屈上はわずかな効果があるものの、車にとって非常に大きなリスクを伴うため、絶対に試すべきではありません。

水を燃料タンクに入れるのは、当然ながら車が水でも走れるからではありませんし、残ったガソリンと水が混ざり合って薄いガソリンになるわけでもありません。水を入れる目的は、燃料タンクの底にわずかに残っているガソリンを、吸い出し口まで底上げするためです。水と油は分離するため、水を入れるとガソリンが水の層の上に浮き、エンジンに供給されるという原理を利用します。

ただし現代の車でこれを行うと、被害は走行不能では済みません。水を吸った燃料ポンプは短時間で損傷し、インジェクターにも水が回ります。タンク内に入った水は給油しても分離したまま底に残り続けるため、タンクを降ろしての洗浄、ポンプとフィルターの交換、燃料ラインの清掃といった大掛かりな作業が必要になります。数万円で済むロードサービス費用を惜しんだ結果、その何倍もの修理費を負担することになります。

ガソリンスタンドまで歩くか、JAFや保険会社のロードサービスを利用するのが、結果として最も安く安全な対処法です。車の故障やさらなる出費を防ぐためにも、安易な自己流の対処は避けてください。

ガス欠を避けるためには給油ランプが点滅したら即座に燃料補給を

給油ランプが点滅しても、「まだ走れる」と思って燃料補給を先延ばしにしてしまう気の緩みが、ガス欠を引き起こしてしまう最大の原因かもしれません。少しでも燃料を節約しよう、あるいは給油の手間を省こうという意識が、結果として大きなトラブルを招くことになります。常に燃料計に注意を払い、早めの給油を心がけることが、安全で快適なドライブには不可欠です。

一度ガス欠になってしまうと、節約しようと思っていたお金以上の金銭的な負担がのしかかります。JAFの非会員が高速道路の昼間に救援を依頼すれば3万円を超え、高速道路上であれば反則金9,000円と違反点数2点が加わる可能性もあります。燃料ポンプへのダメージが残れば修理費も発生します。また、後続車や同乗者、そして助けに来てくださった方にも、時間的・精神的に大きな迷惑をかけてしまうことになります。ガス欠による交通の妨げは、特に高速道路上では重大な事故に繋がる危険性もはらんでいます。

ガス欠にならないためには、給油ランプが点滅し始めたら、「まだ大丈夫」とは思わずに、ガソリンスタンドを見つけたらすぐに給油することが重要です。より確実なのは、残り4分の1を切った時点で給油するという自分なりの基準を決めておくことです。山間部や早朝深夜の移動では、営業中のスタンドが見つからない状況も起こります。走行距離に合わせて給油ランプがつく前に燃料を補充する習慣を身につけることが、トラブルを未然に防ぐ解決策になります。