スズキのハイブリッドの仕組み

スズキのハイブリッドシステムの仕組みと搭載車種まとめ|マイルドHVからストロングHVまで解説

スズキのハイブリッド車を選ぶなら仕組みの違いを知っておくことが重要です。軽自動車向けのマイルドハイブリッドから、EV走行も可能なストロングハイブリッドまで、現行搭載車種ごとのスペックと特徴をまとめました。

スズキのハイブリッドシステムの仕組みと搭載車種

スズキのハイブリッドシステムの仕組みと、そのシステムを搭載する車種を紹介します。

スズキは「スズキグリーン テクノロジー」を掲げ、軽自動車から普通車まで幅広い車種にハイブリッドシステムを展開してきました。大きく分けると、電気モーターでエンジンをアシストする「マイルドハイブリッド(SHVS)」と、EV走行も可能なモーター主体の「ストロングハイブリッド」の2系統があります。また、軽自動車向けには「S-エネチャージ」と呼ばれるシステムも採用されてきました。

それぞれの仕組みと現行の搭載車種を順に解説します。

ストロングハイブリッドの仕組み(スイフト・ソリオ)

スズキのストロングハイブリッドは、エンジンとモーターを組み合わせてEV走行も可能にするシステムです。コンパクトながらレスポンスの高い駆動用モーター(MGU)に、高電圧リチウムイオンバッテリーを組み合わせることで、発進・加速時にモーターがエンジンと協調して動力を補助するほか、バッテリーの充電状況によっては短時間のモーターのみでの走行(EV走行)も可能です。

パワーパックは荷室下部に設置することで、室内空間の確保を両立しています。エコスイッチにより「標準モード」と「エコモード」を走行状況に応じて切り替えられます。

スイフト(現行型:5代目/2023年12月〜)

2023年12月に5代目へフルモデルチェンジしたスイフトは、従来のAGS(オートギアシフト)方式のストロングハイブリッドを廃止し、CVTまたは5速MTと組み合わせたマイルドハイブリッドに移行しました。なお5速MTとマイルドハイブリッドを組み合わせるのはスズキとして初の試みです。

現行スイフトのマイルドハイブリッド搭載グレードは「HYBRID MX」と「HYBRID MZ」の2種類。1.2L直3エンジンにISG(モーター機能付き発電機)を組み合わせ、WLTCモード燃費は24.5〜25.4km/L(FF)を達成しています。

旧型(4代目)のストロングハイブリッドグレード「HYBRID SL」「HYBRID SG」は現在販売を終了しています。参考として旧型スペックを以下に記載します。

旧型スイフト「HYBRID SG」のスペック(参考)
駆動 2WD
全長 3,840mm
全幅 1,695mm
全高 1,500mm
ホイールベース 2,450mm
車両重量 940kg
燃費(JC08モード) 32.0km/L
総排気量 1.242L
エンジン最高出力 67kW/6,000rpm
エンジン最大トルク 118Nm/4,400rpm
モーター最高出力 10kW/3,185〜8,000rpm
モーター最大トルク 30Nm/1,000〜3,185rpm

ソリオ/ソリオ バンディット(現行型:3代目/2020年12月〜)

現行ソリオはストロングハイブリッドとマイルドハイブリッドの両方を設定するスズキ唯一の車種です。ストロングハイブリッドの「HYBRID SX」「HYBRID SZ」(バンディットは「HYBRID SV」)では、コンパクトな高効率モーターと高電圧リチウムイオンバッテリーの組み合わせにより短時間のEV走行が可能で、コンパクトハイトワゴンクラスでトップレベルの燃費性能を誇ります。

パワーパックはラゲッジルーム下に設置することで広い室内空間を維持しています。モーターのみで発進できるため、停車頻度が多い街乗りでの燃費向上効果が特に高くなります。

旧型ソリオ ハイブリッド「SZ」のスペック(参考)
駆動 2WD
全長 3,710mm
全幅 1,625mm
全高 1,745mm
ホイールベース 2,480mm
車両重量 990kg
燃費(JC08モード) 32.0km/L
総排気量 1.242L
エンジン最高出力 67kW/6,000rpm
エンジン最大トルク 118Nm/4,400rpm
モーター最高出力 10kW/3,185〜8,000rpm
モーター最大トルク 30Nm/1,000〜3,185rpm

マイルドハイブリッド(SHVS)の仕組みと搭載車種

スズキのマイルドハイブリッドは、ISG(モーター機能付き発電機)と専用リチウムイオンバッテリー、アイドリングストップ用鉛バッテリーの3点で構成されるシンプルな電動化システムです。

減速時に発生するエネルギーをISGで回収してバッテリーに蓄え、発進・加速時にはそのエネルギーでエンジンをアシストします。モーター出力はストロングハイブリッドほど大きくないものの、コンパクトな設計のため車重増加を最小限に抑えられ、軽自動車から普通車まで幅広い車種に展開されています。

スズキは現在、電圧を従来の12Vから48Vに高めて回生量とモーターアシスト力を大幅に強化した次世代マイルドハイブリッドシステム「スーパーエネチャージ」の展開を進めており、今後のラインナップ拡大が注目されます。

ワゴンR

スズキを代表する軽ワゴン、ワゴンRのマイルドハイブリッド搭載グレードでは、ISGが減速時に発電した電力を「アイドリングストップ車専用鉛バッテリー」と「専用リチウムイオンバッテリー」に充電します。クリープ走行時はモーターのみでタイヤを動かし、加速時はエンジンにモーターアシストを加えることで燃費を向上させます。

軽量高剛性の「ハーテクト」プラットフォームとの相乗効果によりクラストップレベルの低燃費を実現。インパネのステータスインフォメーションランプはエコドライブ時にグリーンに点灯し、燃費意識を高めるサポートも行います。

ワゴンRグレード「HYBRID FX」のスペック(旧型参考)
駆動方式 2WD(前2輪駆動) フルタイム4WD
全長 3,395mm
全幅 1,475mm
全高 1,650mm
ホイールベース 2,460mm
車両重量 770kg 820kg
燃費(JC08モード) 33.4km/L 30.4km/L
総排気量 0.658L
エンジン最高出力 38kW/6,500rpm
エンジン最大トルク 60Nm/4,000rpm
モーター最高出力 2.3kW/1,000rpm
モーター最大トルク 50Nm/100rpm

ワゴンR スティングレー

ワゴンRをベースにスポーティな内外装を採用したスティングレーでは、マイルドハイブリッドシステムにターボエンジンのパワーが加わることで、4人乗車でもパワフルでストレスのない加速を実現します。エネルギーフローインジケーターをインパネセンターに配置し、モーターによるクリープ走行や減速エネルギー回生の状況を視覚的に確認できます。

ワゴンR スティングレー「HYBRID T」のスペック(旧型参考)
駆動方式 2WD(前2輪駆動) フルタイム4WD
全長 3,395mm
全幅 1,475mm
全高 1,650mm
ホイールベース 2,460mm
車両重量 800kg 850kg
燃費(JC08モード) 28.4km/L 27.0km/L
総排気量 0.658L(ターボ)
エンジン最高出力 47kW/6,000rpm
エンジン最大トルク 98Nm/3,000rpm
モーター最高出力 2.3kW/1,000rpm
モーター最大トルク 50Nm/100rpm

スペーシア(現行型:3代目/2023年12月〜)

2023年12月に3代目へフルモデルチェンジしたスペーシアにも、マイルドハイブリッドシステムが搭載されています。アイドリングストップからのリスタートではモーターの力のみでクリープ走行が可能で、エンジンが再始動するタイミングではISGのスターターモーター機能が作動し、スムーズかつ静粛な再始動を実現します。

加速が必要なシーンではエンジンのパワーにモーターアシストを加えて対応。ステアリングのPWRスイッチで「パワーモード」を選択すると、ISGのトルク値も調整されるため、急坂や高速合流でも力強く加速できます。

スペーシア「HYBRID G」のスペック(旧型参考)
駆動方式 2WD(前2輪駆動) フルタイム4WD
全長 3,395mm
全幅 1,475mm
全高 1,785mm
ホイールベース 2,460mm
車両重量 850kg 900kg
燃費(JC08モード) 30.0km/L 26.4km/L
総排気量 0.658L
エンジン最高出力 38kW/6,500rpm
エンジン最大トルク 60Nm/4,000rpm
モーター最高出力 2.3kW/1,000rpm
モーター最大トルク 50Nm/100rpm

スペーシア カスタム

スペーシアのスポーティ派生モデル「スペーシア カスタム」にも、マイルドハイブリッドシステムが搭載されています。ターボエンジンにモーターアシストが加わることで、渋滞中でもエネルギーロスを抑えながらパワフルな走行が可能です。

スペーシアカスタム「HYBRID XSターボ」「HYBRID XS」のスペック(旧型参考)
機種名 HYBRID XSターボ HYBRID XS
駆動方式 2WD フルタイム4WD 2WD フルタイム4WD
全長 3,395mm
全幅 1,475mm
全高 1,785mm
車両重量 900kg 950kg 890kg 940kg
燃費(JC08モード) 25.6km/L 24.0km/L 28.2km/L 26.4km/L
エンジン 0.658L ターボ 0.658L NA
エンジン最高出力 47kW/6,000rpm 38kW/6,500rpm
エンジン最大トルク 98Nm/3,000rpm 60Nm/4,000rpm
モーター最高出力 2.3kW/1,000rpm
モーター最大トルク 50Nm/100rpm

クロスビー

コンパクトクロスオーバーSUVのクロスビーは「HYBRID MZ」「HYBRID MX」「HYBRID MV」グレードにマイルドハイブリッドを搭載します。

1.0L直噴ターボエンジン「ブースタージェット」は1.5L自然吸気エンジン並みの高トルクを発揮し、マイルドハイブリッドのモーターアシストとの組み合わせでSUVらしい力強い走りを実現します。軽量高剛性の「ハーテクト」プラットフォームを採用し、街乗りからアウトドアまで幅広いシーンに対応します。

クロスビー「HYBRID MZ」のスペック
駆動方式 2WD(前2輪駆動) フルタイム4WD
全長 3,760mm
全幅 1,670mm
全高 1,705mm
ホイールベース 2,435mm
車両重量 960kg 1,000kg
燃費(JC08モード) 22.0km/L 20.6km/L
総排気量 0.996L(直噴ターボ)
エンジン最高出力 73kW/5,500rpm
エンジン最大トルク 150Nm/1,700〜4,400rpm
モーター最高出力 2.3kW/1,000rpm
モーター最大トルク 50Nm/100rpm

スイフト(現行型のマイルドハイブリッド)

前述のとおり、現行型(5代目)スイフトはマイルドハイブリッドに一本化されています。ISGが減速時に発電した電力をリチウムイオンバッテリーに蓄え、発進・加速時にモーターアシストを行う仕組みです。5速MT車でもマイルドハイブリッドが選べるのはスズキの普通車として初めてのことです。

ソリオ/ソリオ バンディット(マイルドハイブリッドグレード)

現行ソリオはストロングハイブリッドに加えて、マイルドハイブリッドのグレードも設定しています。マイルドハイブリッドの「HYBRID MX」「HYBRID MZ」(バンディットは「HYBRID MV」)では「副変速機構付CVT」を採用し、低速域の加速性能と高速域の燃費性能をバランスよく高めています。

インパネセンターのマイルドハイブリッド専用メーターは常時発光式で昼間も視認しやすく、エコドライブをサポートするステータスインフォメーションランプを備えます。

ソリオ「HYBRID MZ」のスペック(旧型参考)
駆動方式 2WD(前2輪駆動) フルタイム4WD
全長 3,710mm
全幅 1,625mm
全高 1,745mm
ホイールベース 2,480mm
車両重量 950kg 990kg
燃費(JC08モード) 27.8km/L 23.8km/L
総排気量 1.242L
エンジン最高出力 67kW/6,000rpm
エンジン最大トルク 118Nm/4,400rpm
モーター最高出力 2.3kW/1,000rpm
モーター最大トルク 50Nm/100rpm

S-エネチャージの仕組みとハスラー(旧型)

S-エネチャージは、ラパンやアルトに搭載された「エネチャージ」(発電機能に特化)をベースに、モーターアシスト機能と高性能リチウムイオンバッテリーを追加した進化版システムです。現行型ハスラー(2代目、2020年1月〜)ではマイルドハイブリッドに移行しており、S-エネチャージは旧型(初代)に採用されていたシステムです。

初代ハスラーでは「S-エネチャージ」を搭載し、減速時にISGで発電した電気をリチウムイオンバッテリーに蓄え、リスタート・加速時にエンジンアシストとして活用していました。グレードAを除くCVT車に「エネルギーフローインジケーター」を設置し、発電状況やバッテリー残量、モーターアシストの作動状況を視覚的に確認できました。

旧型ハスラー「Xターボ・X」のスペック(参考)
機種名 Xターボ X
駆動方式 2WD フルタイム4WD 2WD フルタイム4WD
全長 3,395mm
全幅 1,475mm
全高 1,665mm
ホイールベース 2,425mm
車両重量 820kg 870kg 800kg 850kg
燃費(JC08モード) 27.8km/L 26.2km/L 32.0km/L 30.4km/L
エンジン 0.658L ターボ 0.658L NA
エンジン最高出力 47kW/6,000rpm 38kW/6,500rpm
エンジン最大トルク 95Nm/3,000rpm 63Nm/4,000rpm
モーター最高出力 1.6kW/1,000rpm
モーター最大トルク 40Nm/100rpm

スズキのハイブリッドはコンパクト設計で低燃費を実現

スズキのハイブリッドは他社の大型システムと比較するとモーター出力が控えめですが、これはスズキが軽自動車を中心とした小型車を主力としているためです。ハイブリッドシステムによって車重が増加したり室内空間が狭まったりすれば、軽量・コンパクトというスズキ車の根本的な魅力が損なわれてしまいます。

そのためスズキのハイブリッドはコンパクトな設計を優先し、アイドリングストップや軽量プラットフォーム「ハーテクト」などの技術と組み合わせることでクラストップレベルの低燃費を達成してきました。今後は48V化した次世代マイルドハイブリッド「スーパーエネチャージ」の展開が進み、さらなる燃費性能の向上が期待されます。