インフィニティQX50のモデルチェンジ

インフィニティQX50が2025年12月に生産終了 後継はファストバックSUVのQX65 2026年初夏に米国発売5万3990ドルから

QX50はスカイラインクロスオーバーとして日本復活するのか。答えは出ています。2代目は日本で一度も販売されないまま生産終了となりました。実現しなかった理由と日産のSUV戦略を解説します。

インフィニティQX50が2025年12月に生産終了 後継はファストバックSUVのQX65 2026年初夏に米国発売5万3990ドルから

インフィニティQX50は2025年12月に生産終了 後継はファストバックSUVのQX65

日産が北米を中心に展開する高級ブランド「インフィニティ」のQX50は、2025年12月をもって生産を終了しました。派生モデルのSUVクーペ、QX55も同時に姿を消しています。2018年に登場した2代目(J55型)は、世界初の量産可変圧縮比エンジン「VCターボ」を掲げて登場しましたが、7年あまりでその役目を終えました。

入れ替わりで投入されたのが、ファストバックSUVの「QX65」です。2026年3月27日に米国で発表され、2026年初夏から販売が始まります。これによりインフィニティのラインナップはQX60、QX80、QX65の3車種に整理されました。
なお、日本で長らく期待されてきた「スカイラインクロスオーバー」としての復活は、結局実現していません。ここでは最新の動きを整理したうえで、2018年に登場した2代目QX50を振り返ります。

後継のファストバックSUV「QX65」を2026年3月27日に米国で発表

日産は2026年3月27日、インフィニティの新型ファストバックSUV「QX65」を米国で発表しました。2027年モデルとして、2026年初夏から米国市場で販売が始まります。

価格はLUXEが53,990ドル(約865万円)、SPORTが55,690ドル(約892万円)、AUTOGRAPHが62,590ドル(約1,003万円)。大きく弧を描くルーフラインとワイドなスタンスが特徴で、かつて北米で人気を博した「FX」/「QX70」に着想を得たスポーティなSUVと位置づけられています。

インフィニティQX65の主な内容

  • パワートレイン:VCターボ(可変圧縮比)+9速AT
  • 最高出力268hp/最大トルク約388Nm
  • 12.3インチディスプレイを2枚採用(メーター+インフォテインメント)
  • Google搭載インフォテインメント、ワイヤレスApple CarPlay/Android Autoに対応
  • 最大64色のアンビエントライト(日本の四季から着想したテーマを用意)
  • 可動式2列目シート

QX65の存在は、2023年10月に日産が示した長期計画のなかですでに示唆されていましたが、その後の経営不振で立ち消えになったとの見方もありました。それだけに、実際に市販化までこぎつけたことは驚きをもって受け止められています。
日本では2026年4月15日から20日にかけて、日産グローバル本社ギャラリーで期間限定の特別展示が行われました。ただしこれはあくまで展示であり、日本での販売がアナウンスされたわけではありません。この点は誤解のないよう押さえておきたいところです。

QX50とQX55は2025年12月に生産終了 インフィニティは3車種体制へ

インフィニティは2025年1月、QX50とQX55のメキシコ・アグアスカリエンテス工場での生産を2025年12月で終了すると明らかにしました。2025年モデルが両車の最終年次となります。

背景にあるのは商品の老朽化と、ブランドを上位へ引き上げる戦略転換です。2代目QX50は2019年モデルとして登場し、生産終了時点でラインナップ最古参となっていました。QX55は2022年モデルとして追加されたクーペ風の派生モデルです。日産アメリカズの商品企画責任者は、QX60やQX80と並べたときにQX50とQX55が古く見えてしまうと語っており、新しいラインナップに集中するための決断であったことを認めています。

すでにセダンのQ50と2ドアクーペのQ60を終了していたインフィニティは、これでSUV専業ブランドとなりました。米国販売は2024年に58,070台と前年比10%減まで落ち込んでおり、車種を絞って上位に振り切る以外に打つ手がなかった、というのが実情でしょう。QX65がその賭けの成否を占う一台になります。

インフィニティQX50がモデルチェンジ 2018年3月に新型へ

日産が海外で展開するブランド「インフィニティ」のQX50が、2018年3月にモデルチェンジしました。日本では2009年から2016年まで販売されていた「スカイラインクロスオーバー」にあたるモデルです。

「トヨタ・ハリアー/レクサス・RX」と同じような関係性のクルマで、2017年11月末に開幕したロサンゼルスオートショー(一般公開は12月1日から)で市販モデルが発表されました。
新型エンジンの搭載で燃費も改善した2代目QX50のエクステリアや搭載エンジン、装備や価格帯・発売日を見ていきましょう。

インフィニティQX50に2024年モデル設定 改良点はボディカラー追加のみ

インフィニティのQX50に2024年モデルが設定されました。モデルチェンジや一部改良ではないため大きな変更はなく、sensory・autographグレードへオプシディアンを新色として追加した程度です。2024年モデルの販売価格は42,045ドルから59,095ドルでした。
結果的に、この後に大きな商品改良が入ることはなく、2025年モデルを最後にQX50は生産を終えることになります。

2代目インフィニティQX50は旧型よりも大型化して迫力のあるエクステリアに

インフィニティQX50コンセプトのフロントビューQX50コンセプト

2代目QX50のエクステリアは「QX50コンセプト」を下敷きとしており、市販モデルはコンセプトに限りなく近い姿で登場しました。

インフィニティQX50のリヤビュー

ヘッドランプとテールランプは放射状のラインが入り、翼のように見えるデザインです。QXスポーツ・インスピレーション・コンセプトと比べると、マフラー周りの造形がすっきりまとめられ、リアウィンドウが大きくなって視認性も向上しています。

QXスポーツ・インスピレーション・コンセプトのリヤビューQXスポーツ・インスピレーション・コンセプト

ボディサイズは全長4,693mm、全幅1,903mm、全高1,679mm。全長は先代より短くなったものの、全幅と全高が拡大し、押し出しの強いプロポーションとなりました。

インフィニティQX50のボディサイズ比較
2代目(2018年) 初代(2017年型)
全長 4,693mm 4,745mm
全幅 1,903mm 1,800mm
全高 1,679mm 1,590mm

あわせて駆動方式もFRからFFベースへと改められ、キャビンとラゲッジの広さを優先するパッケージへ大きく舵を切っています。走りの官能性より実用性を選んだこの判断が、後年「古く見える」と評される一因になったのは皮肉な話です。

2代目インフィニティQX50のパワートレインは新開発の2.0Lターボエンジン

インフィニティQX50のエンジン

初代QX50には、スカイラインクロスオーバーと同じく3.7LのV型6気筒が積まれ、最高出力330PS、最大トルク362Nmを発生していました。2代目には世界初の量産可変圧縮比エンジンであるVCターボ(2.0L)が搭載されています。

2代目QX50の2.0Lターボエンジンスペック
種類 直列4気筒
過給機 ターボ(可変圧縮比)
排気量 2.0L
最高出力 272PS
最大トルク 390Nm

3.7L比では最高出力こそ下がりましたが、最大トルクは上回ります。各社がダウンサイジングターボへ移行するなかで、インフィニティは可変圧縮比という独自解を市販車に投入しました。
この技術的な先進性は最後まで評価され続けましたが、販売台数には結びつきませんでした。技術で尖っても、ブランド全体の投資と商品更新が伴わなければ売れないという、厳しい教訓を残した一台と言えます。

2代目インフィニティQX50に搭載された運転支援は「プロパイロット アシスト」

日産リーフのエクステリア

発表前、2代目QX50には車線変更や追い越しまで自動で行う高度な運転支援が載るのではないかという期待がありました。

結果として実際に搭載されたのは「プロパイロット アシスト」で、高速道路の同一車線内での運転支援が中心です。追い越し車線に自動で移り、遅い車を抜いて走行車線に戻る、といった動作までは実現していません。当時の期待は先走りだった、というのが答え合わせになります。

2代目インフィニティQX50の発売日は2018年3月 日本導入はなし

インフィニティQX50のエクステリア

2代目QX50の発売は2018年3月で、当初から日本導入の予定はなく、結局最後まで日本では販売されませんでした。北米での当初価格は36,550ドルからです。

2023年モデルQX50の価格帯
QX50 PURE 40,300ドル~(当時のレートで約5,644,000円~)
QX50 PURE AWD 42,300ドル~(約5,924,000円~)
QX50 LUXE 43,600ドル~(約6,106,000円~)
QX50 LUXE AWD 45,600ドル~(約6,386,000円~)
QX50 SPORT 48,500ドル~(約6,793,000円~)
QX50 SPORT AWD 50,500ドル~(約7,073,000円~)
QX50 SENSORY 52,800ドル~(約7,395,000円~)
QX50 SENSORY AWD 54,800ドル~(約7,675,000円~)
QX50 AUTOGRAPH AWD 57,350ドル~(約8,032,000円~)

新ネーミング戦略で誕生したインフィニティ・QX50のモデルチェンジ遍歴

QX50は日産がインフィニティブランドで展開したクロスオーバーSUVです。初代は日本でスカイラインクロスオーバーとして販売されました。

インフィニティQX50 初代 J50型/2007年~2017年

2007年、「インフィニティEX」としてデビュー。FRレイアウトを採用したクロスオーバーで、日本では2009年から2016年まで「スカイラインクロスオーバー」として販売されました。
2013年、ネーミング戦略の変更にともない「インフィニティQX50」へ改称されます。
2015年、フロントグリルとバンパーの意匠を変更した2016年モデルをニューヨーク国際オートショーで発表。中国市場にはホイールベースを延長した「QX50L」が導入されました。

インフィニティQX50 2代目 J55型/2017年~2025年

2017年1月、北米国際自動車ショー(デトロイト)で次期型を示す「QX50 Concept」を公開。同年11月末のロサンゼルスオートショーで市販モデルを発表し、2018年3月に発売されました(2019年モデル)。
駆動方式はFRからFFベースへ変更され、ラゲッジスペースが拡大。パワートレインには世界初の量産可変圧縮比エンジン「VCターボ」を搭載しています。日本には導入されていません。

2021年、クーペ風の派生モデル「QX55」を追加(2022年モデル)。
2024年、モデルイヤー更新でsensory・autographグレードに新色オプシディアンを追加。価格は42,045ドルから59,095ドル。
2025年1月、インフィニティはQX50とQX55の生産を2025年12月で終了すると発表。メキシコ・アグアスカリエンテス工場での生産が終わり、2025年モデルが最終年次となりました。
2026年3月27日、後継にあたるファストバックSUV「QX65」を米国で発表。2026年初夏より販売が始まります。

インフィニティ QX50のモデルチェンジ遍歴
インフィニティ QX50のモデル 販売年表
初代 J50型(2013年までEX) 2007年~2017年
2代目 J55型 2017年~2025年(生産終了)

インフィニティQX50によるスカイラインクロスオーバー復活は実現せず

スカイラインクロスオーバーのエクステリア

初代QX50は日産ブランドでスカイラインクロスオーバーとして販売されましたが、2016年に日本での販売を終えています。かつてスカイラインやフーガがインフィニティのエンブレムを装着して販売された経緯もあり、2代目QX50が新型スカイラインクロスオーバーとして日本に戻ってくる可能性に期待が集まりました。

インフィニティQX50

結論から言えば、この復活は実現しませんでした。2代目QX50は日本で一度も販売されないまま、2025年12月に生産を終えています。

実現しなかった理由は明快です。第一に、2代目QX50はFFベースの北米向け商品として企画されており、FRを前提とするスカイラインの名を与えるには成り立ちが違いすぎました。第二に、日産自身が経営再建のただ中にあり、日本市場に新たな高級SUVを追加する余力がなかったこと。第三に、インフィニティ自体がQ50・Q60を整理してSUV3車種へと絞り込む縮小均衡に入ったことです。

日産の日本国内のSUVは、いまもキックスとエクストレイル、そして電気自動車のアリアが軸で、かつてのムラーノのような高級志向の内燃機関SUVは不在のままです。この空席が埋まるとすれば、それはスカイラインの名を借りたQX50の焼き直しではなく、日産ブランドとして新規に企画された一台になると当編集部では見ています。QX65の日本導入も現時点では発表されておらず、過度な期待は禁物でしょう。