長距離運転の注意点

長距離運転のコツ!疲れをためず安全に走り続けるためには

長距離運転のコツは、休憩と道のりの計画を立てること。無理をして事故を起こしては楽しいドライブも台無しですので、安全を第一に考えた運転が大事。精神的に落ち着かない運転をしないためにもガソリンは出発前に満タンにしておこう。

長距離運転を疲れないように走る運転のコツ

大型連休や週末のプチ旅行など、行楽シーズンには、旅費を節約するために飛行機や新幹線ではなく、自家用車で移動を選択するケースが増えます。その結果、片道100kmを超えるような長距離運転になることが多くあります。

長時間の運転は、身体に大きな負担がかかり、疲労による身体の痛みや凝りを引き起こします。また、単調な運転が続くと集中力が途切れがちになり、居眠り運転など重大な事故に繋がる可能性も否定できません。いかにして疲れを最小限に抑え、安全に長距離を運転することができるのでしょうか。

そこで、このセクションでは、長い時間ドライブをする際に特に気をつけたいポイント、疲れを溜めないようにするための事前準備、そして具体的な長距離運転の疲れにくいコツとテクニックを紹介します。これらの知識を活用して、安全で快適なドライブを実現しましょう。

出発前にナビなどを利用して道のりの詳細な計画を立てる

地図やナビを利用して走行計画をしっかり立てましょう

まずは、出発する前にカーナビゲーションシステムや地図アプリを活用して、目的地までの正確な距離と所要時間を把握することから始めましょう。これにより、出発時間と目的地への到着時刻の目安を立てることができ、無理のない旅行計画を策定できます。特に渋滞予測なども参考にすると、より現実的なスケジュールを組むことができます。さらに、ドライブの途中で立ち寄れる「道の駅」や高速道路の「SA・PA(サービスエリア・パーキングエリア)」の位置をあらかじめ確認しておくと、休憩の計画が立てやすくなり、安心してドライブに臨めます。

高速道路の「サービスエリア」や一般道の「道の駅」では、その土地ならではのご当地グルメや新鮮な野菜、特産品を販売していることが多いため、休憩と同時に買い物の楽しみも増えます。事前にルート上の人気スポットを調べておくのも良いでしょう。休憩スポットの情報をしっかりと押さえておくことで、適切なタイミングで気分転換を図れます。

他にも、目的地までの正確な走行距離を把握すれば、ルートの途中でガソリンの給油が必要であるかどうかを事前に判断できます。これにより、旅の途中でガス欠になって車が動かなくなるという心配もなくなります。特に地方の高速道路や夜間の走行では、ガソリンスタンドの数が限られるため、残量には余裕を持ちたいものです。

燃料満タン時のおおよその走行可能距離の計算方法

  • 車の実燃費(km/L)×タンク容量(リットル)

例えば、実燃費が10km/Lの車でタンク容量が45リットルの車の場合、満タンの状態から空になるまで理論上は450km走行が可能ということになります。しかし、これはあくまで目安であり、実際の走行条件(勾配、エアコン使用、積載量など)により燃費は変動するため、余裕を持った給油計画を立てることが大切です。

ガソリンは満タンにして出発するのがおすすめ!タイヤの空気圧も必ずチェック

ガソリンは出発前に必ず満タンにしておきましょう

長距離運転に備えるためには、前日か当日の朝にガソリンを満タンにしておくのが最善です。給油と合わせて、タイヤの空気圧やエンジンオイルの量、冷却水の残量など、基本的な車両の点検も一緒に行っておくとさらに安心です。車のコンディションを整えることは、安全運転の基本です。

特に、高速道路を走行する場合、タイヤの空気圧点検は必須項目となります。JAFの出動理由をみると、高速道路でのトラブルの約3割がタイヤのパンクや空気圧不足、バーストといったタイヤの異常に原因があるケースだと報告されています。空気圧が不足していると燃費の悪化を招くだけでなく、スタンディングウェーブ現象などを引き起こし、バーストの原因となるため大変危険です。

セルフサービスのガソリンスタンドでも、空気充填装置の貸し出しがありますが、正確な使い方がわからない場合は、スタッフが常駐しているフルサービスのガソリンスタンドへ行くのが確実です。給油とともに「空気圧を見てもらえますか?」とお願いすると、基本的には無料、有料の場合でも数百円程度で、車種や積載量に合わせた最適な空気圧に調整してくれます。適切な空気圧にすることで、走行安定性が高まり、疲れにくさにも繋がります。

運転に集中するために体調を万全に整えておく

長距離運転を行う際には、体調を万全に整えておくことが何よりも大切です。体調が優れない状態では運転に集中できず、事故の原因となってしまいますので、出発前日には十分な睡眠をとっておくことが重要です。特にドライバーの疲労は、判断力の低下を招き、事故に直結します。

体調を万全にするためのコツ

  • 出発前日は夜更かしをしない
  • 消化に悪い食事や過度な飲酒は避ける

長距離運転は、高速道路のように単調な道をまっすぐ走り続ける場面もあるため、睡魔との戦いになることが少なくありません。睡眠不足でのドライブは、一瞬の不注意が命取りになる居眠り運転に繋がる可能性が非常に高いため、前日には必ず十分な睡眠時間を確保しておきましょう。目安として、普段よりも1時間多く睡眠をとることを推奨します。

また、旅行前日に前夜祭として大量に飲み食いすると、翌日に胃もたれや胸やけを起こし、体調不良でまともに運転ができなくなる可能性があります。出発時刻が遅れるだけでなく、最悪の場合には旅行自体を中止せざるを得ない事態になるため、出発前夜は静かに過ごし、旅行先や移動中の楽しみのために体力を温存しておくことが賢明です。心身ともにリラックスした状態で出発を迎えましょう。

疲労を感じたらコンビニやサービスエリアなどで積極的に休憩をとる

長距離運転中はコンビニ駐車場やSA・PAなどで意識的に休憩をとりましょう

疲労の蓄積を減らすためにも、運転中は意識的に休憩をとることが重要です。目安として、2時間ごとに一度は休憩し、トイレ休憩や凝り固まった身体を伸ばす目的でコンビニやサービスエリアに立ち寄って身体を動かすことが大切です。ドライバー自身が疲れていないつもりでも、高速で動き続ける車の運転には集中力を持続するための労力がかかっており、一瞬の判断ミスが大事故につながる可能性は否定できません。

長距離運転を日常的に行うトラック運転手やバス運転手などのプロのドライバーには、連続して運転する時間は2時間まで(注1)という規制が設けられています。これは一般のドライバーにとっても安全運転のための重要な指標となります。

連続運転が2時間を超えそうになったら、車を安全な場所に停め、10分ほど目をつむって休む、外に出て新鮮な空気を吸いながら身体を動かす、あるいはカフェインを含む飲み物を摂取するなど、気分転換を図りましょう。これにより、頭がスッキリし、集中力が回復することで、ぼーっとしながら運転する瞬間を減らすことができます。無理をせず、早めの休憩を心がけましょう。

片道300km以上の長距離を1日で走破しようとしない

日帰り旅行で無理なく運転できる距離は、早朝に出発して深夜に帰宅することを想定しても、片道およそ5時間程度の300km前後が限界です。高速道路を利用すれば、時間的にはもっと早く到着することも可能ですが、高い速度域での運転は気を張る時間も増えるため、精神的な疲労も蓄積しやすいです。

過度な無理をした運転で事故を起こさないようにするためにも、片道300km以上を走る場所へ行くのであれば、日帰り旅行ではなく、1泊2日の日程にして途中で十分に休息をとってから帰るなどの疲労対策をすることが肝心です。旅行を楽しむことを第二に、まずは無事に家へ到着することを第一に考えると、結果として楽しい旅行になるでしょう。旅行の計画段階で、無理のない運転計画を立てることが重要です。

一般ドライバーが1日の内で安全に車移動に使える時間の限界

  • 往復で8時間前後

1日の日程で車の往復移動、買い物やレジャー、グルメなどを楽しもうと思ったら、一般的な労働時間と同じく往復8時間前後が安全上の限界だと考えるべきです。特に、往路だけで6時間以上かかるような長距離ドライブをする時は、ドライバーの疲労回復のために無理をせず宿泊を伴う1泊以上の旅程を組むなど、適切な疲労対策をとることが非常に大切です。「長距離運転で疲れない」ための最も重要な対策は、休憩と宿泊による十分な休息です。

純正シートから長距離運転でも疲れにくいシートに交換する

純正のシートは、通勤や買い物など日常的な使用を前提に設計されているため、乗り降りのしやすさには工夫されていますが、長距離運転には必ずしも最適ではありません。特に、同じ姿勢を取り続けるロングドライブでは、身体を支えるサポート性が不足し、疲れを感じやすいことが多いものです。

そこで、スポーツカーなどにも採用されている「バケットシート」に交換することを検討すると、疲労軽減に繋がります。バケットシートは適度なホールド感が増し、カーブの際に横揺れが起こっても身体がズレにくくなります。その結果、ドライバーが力を入れて踏ん張る必要がなくなるため、疲労度がまるで違ってきます。シート交換が難しい場合は、シートクッションやランバーサポート(腰当て)を活用するだけでも効果があります。

バケットシートの主な種類

  • 街乗りと長距離運転に向いている「セミバケットシート」
  • サーキット走行などのスポーツ走行に向いている「フルバケットシート」

フルバケットシートは、身体を強く支えるホールド力が高いのですが、腰や肩、脇を支えてくれる部分(サイドサポート)が出っ張っている形状の物が多いため、日常的な車の乗り降りはしにくいのが欠点です。一方、セミバケットシートは、フルバケットに比べるとホールド感はやや劣りますが、リクライニング機能も付いており、サイドサポートの出っ張りも少ない傾向にあるため、長距離運転でも快適に過ごせます。リクライニング機能があるため、休憩時の休息も取りやすいです。

バケットシートはデザインや機能もたくさんの種類がありますので、ご自身の好みや運転スタイルに応じて交換すると良いでしょう。また、シート交換が難しい、または予算的に厳しい場合には、純正のシートにホールド感が増すシートカバーやクッションを装着するだけでも、疲労軽減の効果を得ることができます。

一般道・高速道路を運転中は常に自分のペースで走る

一般道では、様々なペースのドライバーが走行しています。「ハイペースで走りたい人」もいれば、「スローペースで安全運転を心がける人」もおり、それぞれが自分のペースを持っています。後続車に追いつかれたからといって、自分の安全運転のペースを乱して無理に速度を上げる必要はありませんので、安全に道を譲れるタイミングがありましたら、焦らず追い越しを促してあげると良いでしょう。道を譲ることは、円滑な交通の流れを作る上で重要です。

安全に追い越してもらうためのタイミング

  • 見通しのいい直線道路で対向車が来ていない時

自分のペースを無視して無理な速度で走り続けると、スピードを出しすぎてカーブを曲がり切れないなどの危険な場面に遭遇するリスクが増加します。そのため、自分の安全なペースよりも速い後続車が来た場合は、道を譲ることでお互いにとって安全な運転に繋がります。

追い越してもらう際は、後続車に道を譲る意思表示をするために、ハザードランプをつけて減速しながら路肩に寄ると、相手も安心して追い越してくれます。もし後続車に煽られたと感じても、決してペースを乱さず、安全に道を譲れるタイミングが来るまで落ち着いて待つようにしてください。

すぐに先に行かせたい一心で、対向車が来ているかどうか見えないカーブの途中や危険な場所で道を譲ると、後続車の事故を誘発する可能性がありますので、絶対に焦らないでください。見通しの良い直線道路で、対向車が来ていないタイミングをしっかりと見計らって安全に道を譲りましょう。

ガソリンの残量に余裕を持つと精神的にも疲れにくい

ガソリンの残量を気にしながらの運転は、「ガス欠になったらどうしよう」という不安から、精神的な疲労が蓄積しやすいです。これを避けるためにも、長距離運転の前日には燃料を満タンにし、特に帰路につく出発前にも必ずガソリンを給油してから出発することで、運転中にガソリン残量を気にするストレスを大幅に軽減できます。「ガソリン満タン」で出発することは、長距離運転の基本中の基本です。

ガス欠を引き起こしやすいドライバーの考え方

  • 次のガソリンスタンドを見つけたら入れよう
  • 給油ランプが点灯しているけどまだ走れるから大丈夫だろう
  • ここのスタンドは高いからもっと安い所があったら入れよう

ガソリンスタンドの場所を把握していても、久しぶりに訪れる場所では、スタンドが廃業しているなど無くなっているパターンも少なくありません。また、夜間では営業時間が終了し、開いていない場合もあります。そのため、数円の価格差を気にするよりも、確実な給油をしておくことが大切です。「ガソリン価格」を気にするあまり、危険を冒すのは本末転倒です。

もし、途中でガス欠を起こして車が動かなくなった時のロードサービス料金は、ガソリン価格の数円の差では済まない高額な出費になる可能性があります。そのような事態を避けるためにも、わずかな節約を我慢せず、必ず満タン給油してから長距離ドライブに出発するようにしてください。特に高速道路では、ガス欠は「高速自動車国道等運転者遵守事項違反」として罰則の対象にもなります。

飲み物・ガム・おしぼりなどリフレッシュするためのアイテムを活用する

長距離運転をすることが事前にわかっている場合は、ガム、おしぼり、飲み物、アイマスクなど、リフレッシュするためのアイテムをあらかじめ購入して車内にストックしておきましょう。もちろん、休憩として立ち寄ったサービスエリアやコンビニエンスストアで購入しても問題ありません。

飲み物は、眠気覚ましに効果のあるコーヒーなどのカフェイン飲料や、口の中がスッキリする炭酸飲料などがおすすめです。保冷バッグなどを車に積んでいると、飲み物を冷たいまま保管できるので、夏のドライブなどでは重宝します。また、水分補給は疲労の軽減にも繋がるため、こまめに行いましょう。

他にも、ミントを使用した爽快感のあるスプレーやアロマなど、嗅覚を刺激するアイテムを活用するのも良いリフレッシュになります。好きなアーティストの新しいCDや、普段は聞かないジャンルのラジオなど、運転中にも楽しみがあると、時間が経つのが早く感じ、運転の単調さを和らげることができるでしょう。

同乗者は話し相手になるなど、運転手への気遣いを忘れずに

長距離運転の場合、同乗者はいつも以上にドライバーに気を配りましょう。ドライバーが眠くなりそうな時間帯や、運転が単調になってきたと感じる時には、積極的に話し相手になってあげるのが理想的なサポートです。会話をすることで、ドライバーの集中力の低下を防ぐことができます。

「隣で寝られるのは絶対に嫌だ」と考えるドライバーもいるようですが、「まったく気にならない」「むしろ寝ていて静かにしてほしい」など、ドライバーによって意見は分かれます。そのため、事前にドライバーと「寝ても良いか」「会話が必要か」といった点について確認を取っておくと、お互いに気持ちよくドライブができます。

最も大切なのは、運転している人の負担を思いやる気持ちがあるかどうかです。車での長距離移動は、同乗者もまた疲労が溜まるものですので、お互いに歩み寄って、声をかけあいながら、楽しいドライブにしましょう。休憩時の運転交代や、飲み物の準備などを申し出るのも良い気遣いです。

好きなアーティストの音楽を聴いてリフレッシュし集中力を高める

長い時間車を運転していれば、誰もが睡魔に襲われたり、集中力が切れてしまったりするタイミングが訪れます。そのような際には、自分の好きなアーティストのアップテンポな音楽を聴くことで、気分がリフレッシュできて集中力が高まります。特に、曲のリズムや音色に合わせて自身も歌を口ずさむという行動は、脳を刺激し、眠気対策にも非常に有効です。ただし、音量が大きすぎると周囲の音が聞こえにくくなるため、安全に配慮した音量で楽しみましょう。

運転をしやすいダボッとしたサイズに余裕のある衣服を着用する

車内で長時間同じ姿勢で過ごすことが多くなるロングドライブ時には、着用する服選びも重要なポイントです。長距離運転をする際に、体にフィット感がある衣服を着用してしまうと、運転時間に比例して圧迫感や窮屈感がアップしてしまい、疲労の原因となります。そのため、おしゃれな服は休憩時や旅行先での着替え用として用意しておき、運転時にはダボッとしたサイズに余裕があり、ステアリング操作をしやすく、ペダル類をスムーズに踏み込める動きやすい衣類を着用するようにしましょう。特に、締め付けの少ないウエスト周りの衣類を選ぶことで、体への負担を軽減できます。

長距離運転は無理をせず安全を第一に考える

長距離運転をする時は、出発前に詳細な計画を立て、自分の安全なペースで走行し、2時間ごとに必ず休憩をとりながら走ることで、疲れも溜まりにくく、安全に目的地まで到着することができます。無理なスケジュールや体調での運転は絶対に避けましょう。

自分では運転に疲れていないと思っていても、長時間の運転は知らず知らずのうちに判断力や集中力を低下させています。そのため、センターラインからのはみ出しや、無理な追い越しを試みるなど、危険な運転行動が増える可能性があります。自分自身や大切な同乗者、そして他の道路利用者を守るためにも、安全を最優先に考えた運転を心がけてください。早めの休憩と、ゆとりを持った計画が、快適で安全なロングドライブを実現します。