給油口の位置を確認する方法とセルフでガソリンを補給する時の手順
レンタカーや初めて乗る会社の車に燃料を入れる際に、給油口の位置を知っておくことは非常に重要です。もし給油口の位置とガソリンスタンドのノズルの位置が反対側だったら、車を移動させなければならず、手間がかかってしまいます。
本記事では、給油口の位置を車内にいながら簡単に確認できる方法や、セルフでガソリンを補給する際に役立つ、給油の手順や注意点を紹介します。給油口が開かないといったトラブルへの対処法も解説します。
給油口の位置は「給油アイコン」の隣にある矢印で左右どちらに給油口があるのか確認
給油口の位置が車の右側か左側であるかは、燃料メーターに表示される給油アイコン(ガソリンポンプのマーク)の隣にある矢印の方向で確認できます。アイコンの横の矢印が右を向いていれば、給油口は車の右側に設置され、左側を向いていれば、給油口は車の左側に設置されています。
給油口の位置をアイコンの隣の矢印で表示する仕組みは、2000年頃からトヨタなどの自動車メーカーが採用したことで世界的に広がっていきました。そのため、2000年以前に発売された一部の車では、この矢印の向きで給油口がどちら側に設置されているのかを確認することはできません。もし矢印がない場合は、マフラーの位置から給油口の位置を推測する方法もあります。
給油口の位置は、熱を持つマフラーから遠ざけなければならないという安全上の配慮から、マフラーが設置されている側の反対に設置されていることを知っておくと、レンタカーなどを利用する際に便利です。このマフラーと給油口の位置関係は、多くの車に共通する特徴です。
各自動車メーカー別・給油口の位置:外車は右側で国産車は右側・左側設定でわかれる
メルセデス・ベンツやBMW、ルノーなどの海外自動車メーカーの車では、給油口の位置はほとんど右側に設定されています。これは、これらの車が左側通行ではない国で設計された名残とされています。
一方の国産自動車メーカーでは、給油口の位置はメーカーによって異なります。トヨタ、ホンダ、マツダ、ダイハツ、スズキが販売するほとんどの車の給油口の位置は左側設定です。日産やスバルがラインナップする車の多くは右側設定で、三菱の車の給油口の位置は右側設定と左側設定とで半々に分かれる特徴があります。給油口の位置の違いは、各メーカーの設計思想によるものです。
店員の代わりに自分で給油するセルフサービス式スタンドの手順
ガソリンスタンドの給油方法は、フルサービス(店員が給油してくれる)とセルフサービス(自分で給油する)があります。近年は、自分で給油する分、燃料代がフルサービスと比較すると安いというメリットから、セルフサービスを採用するガソリンスタンドが増加しています。
燃料を自分で入れるのは怖いと感じている方や、セルフ給油に慣れていない方へ、セルフサービス式のガソリンスタンドで安全に給油する手順をステップごとに紹介します。この手順を覚えて、スムーズに給油しましょう。
「レギュラー」「ハイオク」「ディーゼル」の中から指定されたガソリンの種類を選んで給油する量を決める
給油機のメニュー画面から自分の車に適したガソリンの種類(レギュラー、ハイオク、ディーゼルなど)を選択します。ガソリンの残量や予算も考慮に入れながら、給油する量を設定します。
給油する量は、満タン以外にも数量(例:20リットル)や金額(例:3,000円)で指定することができます。操作はタッチパネル式なので簡単に行うことができますが、油種を間違えないように給油口のキャップ裏などを確認しましょう。給油量の設定もセルフ給油の重要な手順です。
静電気除去シートに触り静電気を外へ逃がす
ガソリンは揮発性が非常に高いため、静電気も引火の原因となる危険性があります。そのため、給油作業を行う前には、静電気を体の外に逃がすため、給油機に設置されている「静電気除去シート」に触る必要があります。
この静電気除去シートにしっかりと手をあててから給油を開始することは、セルフ給油における最も重要な安全上の注意点の一つです。シートに触る手順を省略せず、安全に給油を行いましょう。
車の給油口カバーを開いてキャップを外す
給油口は、多くの場合、運転席付近に設置されているレバーやボタンを操作することでカバーを開けることができます。レバーを引いて給油口のカバーを完全に開ききると、給油キャップが露出されます。キャップは手で簡単に外すことができます。
給油口は運転席付近に設置されているレバーを引っ張ることで開けることができますが、車種によってはキーロックを解除する必要があるため事前に確認しましょう。キャップを外す際には、キャップを開けたときに「プシュッ」という音が鳴ることがありますが、これは気化したガソリンの音なので心配ありません。
ノズルを給油口に差し込んでレバーを引く
メニュー画面から選択した油種に合ったノズルを給油口に差し込みます。ノズルの色が油種ごとに分けられていることを確認しましょう。ノズルを途中で外れないように、また補給するガソリンが外に漏れないように、ノズルは給油口の奥までしっかりと差し込みます。
ノズルのレバーを引くことでガソリンが補給されます。ノズルには自動で給油をロックするストッパーが付いているので、レバーを握り続ける必要はありません。給油中はノズルから手を離し、安全に給油が終わるのを待ちます。
給油が自動的に停止したのを確認後ノズルを定位置に戻す
満タン、数量、金額で指定した量のガソリンが給油されると、補給はノズル先端のセンサーによって自動的に停止します。この自動停止の状態を確認したら、ノズルを給油口から抜き取り、給油機の定位置にきちんと戻しましょう。給油機にノズルを戻すまでが給油の手順です。
キャップを閉めて給油口カバーをとじる
給油口を閉じるために、給油キャップをカチッと音がするまでしっかりと閉め、給油口カバーをかぶせれば給油作業は終わります。給油キャップが完全に外れる車種もあるため、「キャップをスタンドに置き忘れた」ということがないように最終確認をしましょう。キャップの閉め忘れは燃料漏れや異音の原因になるため注意が必要です。
セルフスタンドでこの行為は危険!給油する際のNG行動
セルフ給油に慣れている方であっても、喫煙しながらや、エンジンをかけながら給油するのは非常に危険です。ガソリンという引火性の高い燃料を扱う際には、安全のためのルールを守る必要があります。セルフサービスで給油するのが初めての方も、慣れている方も、今一度「危険な給油方法」を確認しましょう。
消防法などの法律で禁止されている行為や、安全のために避けるべきNG行動について詳しく解説します。これらの注意点を守ることが、セルフ給油の安全を確保する鍵となります。
喫煙しながらの給油やスマートフォンをいじりながらの給油
ガソリンスタンドのエリア内では、所定の場所を除き火気厳禁です。ガソリンは揮発性が高く、タバコに着火する際の小さな火力であっても爆発の危険性を秘めています。給油中は絶対に喫煙しないでください。
スマートフォンを操作しながら給油を行えば、注意力が散漫します。ガソリンという危険な液体燃料を扱う際には、不注意が原因で事故を起こすこともあります。そのため、セルフサービスで燃料を補給する時には給油作業だけに集中しましょう!スマホからの火花が引火する危険性も指摘されています。
エンジンをかけっぱなしにして給油するのは消防法に接触
消防法の危険物の規制に関する政令の第二十七条の6の項目には「自動車等に給油するときは、自動車等の原動機を停止させること。」との規定があります。この規定は、安全を確保するための重要なルールです。
消防法は危険物を取り扱う施設や業者をその対象とする法律ですが、セルフでの給油を行う際には利用者がエンジンを停止させることが求められます。給油中にエンジンを止めなければ、誤発進などのトラブルが発生してしまう恐れがあります。セルフで給油を行う際には、必ずエンジンを停止してから作業を行いましょう。
給油キャップを開けると鳴る音は「気化したガソリン」が出て行っただけなので心配なし
給油キャップを開けた際に、「プッシュ」や「シュー」と炭酸が抜けるような音が出ることがありますが、これは燃料タンク内の気化したガソリンが空気中に放たれた音です。燃料タンク内の気圧が変化したことによる自然な現象なので、心配する必要はありません。
ガソリンとはいっても既に気化しており、濃度は薄いため、そばで喫煙などをしていない限り危険性はほとんどありません。セルフ給油の手順で静電気除去シートに触れて作業しているのなら、特に心配する必要はないでしょう。キャップを開ける際の音は、給油口の構造上、起こり得ることです。
給油口は部品の劣化で壊れることもあるので不具合が起こったら早めに修理へ
ガソリン車は給油を頻繁に行うため、給油口の部品が劣化し、不具合をきたすのは珍しくありません。給油口の故障は、給油の際に不便を感じる原因となります。
よくある故障としては、運転席の給油口レバーを引いても給油口が開かない、給油口カバーが閉まりにくいなどです。多くの場合、原因となっているのは、給油口レバーとカバーを繋ぐワイヤーの切れや伸び、給油口カバーを押さえているプラスチック部品の折れなどです。
給油口の不具合は、ディーラーや整備工場などに持っていけば大抵すぐに直ります。部品代はさほどかかりませんが、ワイヤー切れの場合は車内のカーペットなどを剥がす必要があり、工賃がやや高くなります。給油口の修理費用は1万円~2万円程度となるケースが多いです。故障を見つけたら、給油ができなくなる前に早めに修理に出しましょう。
給油口が開かない!修理に出す前にガス欠になりそうなときの対処法
給油口が開かない場合、すぐに修理に出すのが一番ですが、「ディーラーに持っていく前にガス欠になりそう」という緊急のケースもあり得るでしょう。ここでは、給油口が開かないときの臨時対処法をお伝えします。あくまで一時的な対処法として利用してください。
給油口が開かないときの臨時対処法
- 1人が給油口レバーを引き続け、もう1人が給油カバーを引っ張る
- 給油カバーの隙間にドライバーなどを差し込みこじ開ける
給油口のレバーを引いてカバーを開ける車種の場合、2人いると便利です。1人が給油口レバーを引き続け、もう一人がカバーを引っ張ります。隙間にマイナスドライバーや不要なクレジットカードなどを差し込めるなら、テコの原理を利用すると開きやすいです。給油レバーがない場合は、1人で同様の方法でカバーを開けてみましょう。
マイナスドライバーなどを使う場合、そのまま隙間に差し込むと塗装に傷をつけてしまう恐れもあります。布を1枚かませると、傷防止になります。これはあくまで臨時対処法なので、給油後は基本的に修理に出すようにしましょう。給油口の故障は運転に影響が出る前に直すことが重要です。
給油口の取り付け位置からでも車の知識は深まる
初めて乗る車にガソリンを入れる際、確認しておきたいのが給油口の位置です。給油口はマフラーからできるだけ離すため反対側に設置するルールや、燃料メーター内に表示されている矢印の向きが給油口の位置を示しているなど、給油口をテーマに据えて考えることで車の知識は深まっていきます。
セルフ給油の手順
- 給油するガソリンの種類を選択する
- 給油する量や金額を指定する
- 静電気除去シートに触れて静電気を逃がす
- 給油ノズルを給油口の奥までしっかりと入れてレバーを握る
- 給油が自動でとまったらレバーを離してノズルを定位置に戻す
- キャップをしっかりと閉めて給油口カバーを閉じる
外車の給油口がほとんど右側に設定される理由には、国際的な事情が関係していることがわかります。国産車ではトヨタのように左側設定で、日産のように右側設定で多くの車種をラインナップさせているのは興味深いです。その理由や背景を自ら探っていけば、車の知識はさらに深まっていきます!