けん引フックとロープの使い方

けん引フックとロープの役割や取り付け方!汎用品は強度不足に注意

けん引ロープの伸縮タイプとワイヤータイプの違い、破断張力の選び方を比較。軽自動車・乗用車・クロカンそれぞれに適したスペックの目安がわかります。

けん引フックとロープの役割や取り付け方!汎用品は強度不足に注意

けん引フックとは?取り付け方・使い方・ロープの選び方とドレスアップ活用

けん引フック(トーフック)とは、車が自力で動けなくなったときにけん引ロープを引っ掛け、他車に引っ張ってもらうためのフックです。バンパーにロープをかけただけでは大きな力に耐えられずすぐに外れてしまうため、車体から出ているけん引フックを使う必要があります。

本記事では、けん引フックの取り付け方・正しい使い方・けん引ロープの選び方・牽引に向いている車種・ドレスアップへの活用方法をまとめてご紹介します。雪道スタックや突然の故障に備えて、ぜひ事前に確認しておいてください。

けん引フックの取り付け方と使用時の注意点

けん引フックを装着したトヨタの車

近年の多くの車は、フロントバンパーにけん引フック用のカバーが設けられています。このカバーをこじって外すと奥に専用の穴が現れ、ボルト状のけん引フックをねじ込んで装着する仕組みです。

トヨタ車のけん引フックの取り付けカバー

日産車のけん引フックの取り付けカバー※フロントの牽引フックカバー

けん引フック本体は多くの車種で標準装備されており、パンダグラフジャッキなどと一緒に車載工具袋の中に入っていることが多いです。もしもの時に慌てないよう、あらかじめ自分の車に積んであるかどうか確認しておきましょう。

一般的なけん引フック※標準装備されていることが多い牽引フック

けん引フックを取り付ける穴※カバー奥の穴にボルトを差し込んで取りつける

けん引フックを取り付ける男性

けん引フックを固定する男性

けん引フックが取り付けられた車

ボルトを指で奥まで回し入れたら、ホイールナットレンチをフックの穴に通して右回りにしっかり締めて完了です。ただし力任せに締めすぎると破損することがあるため、適度な力加減を心がけてください。

他車に引っ張ってもらう際は、エンジンがかかる場合はかけておき、かからない場合はキーをONの位置へ。サイドブレーキを解除してギアをニュートラルに入れておきます。脱出できた勢いで前方の車に追突するリスクがあるため、ブレーキに足を置いておくことも大切です。

けん引フックにロープをかける男性

けん引ロープをフックにかける際は上からかけるのが基本です。リアのフックは下方向にかけやすい形状のものもありますが、テンションがかかったときに外れるリスクがあるため危険です。必ず上からかけるようにしましょう。

けん引ロープの種類と選び方

けん引ロープには素材・構造によっていくつかの種類があります。引っ張る際の衝撃吸収性能や破断張力(耐荷重)を確認したうえで、自分の車に合ったものを選びましょう。

けん引ロープの種類

  • 伸縮タイプ(おすすめ):引っ張った際の衝撃を吸収しやすく、車体へのダメージが少ない
  • ワイヤータイプ:伸縮しないため衝撃がダイレクトに伝わる。耐久性は高い

けん引ロープには衝撃に耐えられる限界を示す「破断張力」が記載されています。これは記載値以上の力がかかると千切れる荷重のことで、車両重量に対して余裕のある製品を選ぶことが重要です。スタック脱出時は車両重量を上回る負荷がかかるため、車両重量の2倍程度の破断張力を持つロープを目安に選ぶと安心です。

けん引ロープの主な破断張力の目安

  • 2.0t:軽自動車など
  • 3.0t:乗用車・ミニバンなど
  • 5.0t以上:4WD・クロカン車など

例えば車両重量が約2.7tあるランドクルーザーを破断張力2.0tのロープで引っ張ろうとすると、ロープが耐荷重を超えて千切れてしまいます。車両重量をあらかじめ確認し、余裕を持ったスペックのロープを選びましょう。

スタック救出の牽引に向いている車種・向いていない車種

けん引に適したランドクルーザー

雪道スタックなどから牽引で救出する際、引っ張る側の車の構造によって車体へのダメージが大きく変わります。車体構造は大きく「ラダーフレーム」と「モノコックボディ」の2種類に分けられます。

モノコックボディの車は牽引に向いていません。ボディ全体で荷重を受け止める構造上、牽引時の大きな負荷によってボディが歪むリスクがあります。普通乗用車やミニバンの多くがこの構造を採用しています。スタック救出のような大きな力がかかる牽引は、なるべく避けるのが賢明です。

一方、ラダーフレームを持つSUV・クロカン車は頑丈なフレームが衝撃を受け止めるため、牽引に向いています。大排気量エンジンやディーゼルエンジン搭載車はトルクも高く、スタック救出をより確実に行えます。

スタック救出の牽引に比較的強い車種(ラダーフレーム車)

  • ランドクルーザー
  • ランドクルーザー プラド(ランクル250に実質後継)
  • ジムニー
  • パジェロ(※2019年に国内販売終了、中古車のみ流通)

ただし、ラダーフレーム車であっても牽引によって多少の負荷はかかります。あくまでも緊急時の手段として使い、日常的に牽引を繰り返すことは避けましょう。

けん引フック(トーフック)をドレスアップに活用する

ドレスアップ効果もあるけん引フック

けん引フックはレース競技でコースアウト車両を回収する際に使われることでも知られています。このトーフックをファッションアイテムとして車に取り付けるカスタムも人気です。

レーシングカーに取り付けられた赤いけん引フックレーシングカーに取りつけられたトーフック

ドレスアップ用のトーフックはフックのリング部分が折りたたみ式になっているタイプが多く、カラーバリエーションも豊富です。ただし、デザイン重視の汎用品の中には強度が不足していて、実際のけん引荷重に耐えられないものもあります。ドレスアップ用途で取り付けた製品を実際のけん引に使うのは危険ですので、商品の注意書きをよく確認してください。

けん引フックとロープは車内に常備して備えに役立てよう

「スキーや雪山には行かないから関係ない」と思っていても、都市部でも突然の降雪でスタックする場面は起こりえます。けん引フックとロープを車に積んでおけば、自分がスタックしたときに助けてもらえるだけでなく、困っている他のドライバーを助けることもできます。

タイヤのようにかさばるものでもなく、車内に積んでおいても邪魔になりません。正しい取り付け方と使い方を事前に把握しておけば、万が一の際も落ち着いて対処できます。自分の車の重量に合ったロープと、フックの保管場所を今のうちに確認しておきましょう。