けん引フックとは?使い方やドレスアップの方法
けん引フックとは、自力で車両を動かせなくなった時にけん引ロープを引っ掛けて引っ張ってもらうために車両から出ているフックです。車両を引っ張ってもらう時には大きな力が1点にかかるので、バンパーなどにけん引ロープをかけてもすぐに外れてくるので、車両から出ている牽引フックに引っ掛けて引っ張る必要があります。
そこで、故障などで動けなくなった時や雪道にスタックして自力で脱出できない時に使用するけん引フックの使い方や取り付け方、車両を引っ張る際につかうけん引ロープの選び方、牽引フックを使って引っ張る時に適している車種や推奨しない車種など、けん引フックでのドレスアップについてまとめました。
けん引フックの使用方法・取り付け方
けん引フックは、最近の車両ではフロント部分にカバーが取りつけられていて、こじって外し奥にある穴にボルト状になった牽引フックをねじ込んで使用します。
※フロントの牽引フックカバー
牽引フックは標準装備で搭載されている車種が多く、パンダグラフジャッキなどが入っている場所や袋に一緒に入っているパターンが多いので、自分の車に積んであるかどうか確認しておくと安心です。
※標準装備されていることが多い牽引フック
※カバー奥の穴にボルトを差し込んで取りつける
ボルトの奥まで指で回したらフックの穴にホイールナットレンチを通し、右周りにしっかりと締めて完了ですが、力任せに締め付けると破損する恐れがあるので適度に締めましょう。
他車に引っ張ってもらう時は、エンジンがかかる場合はかけておき、かからない場合はキーをONの位置へ、サイドブレーキを解除してギアをニュートラルにしておきます。引っ張られる方向へDかRを入れておくと、脱出できた際に勢いあまって引っ張ってくれた車に追突する可能性もありますし、ブレーキに足をかけておくと安心です。
けん引ロープをフックにかける時は上からかけたほうが安全で、特にリアにかける時にはつけやすいので下方向にかけやすいものですが、テンションがかかった時に外れやすいので危険です。
けん引ロープの選び方
けん引ロープは、引っ張ってもらう車両と引っ張る車両を繋ぐために使うもので、伸縮する素材のもの、ワイヤー素材のものなど、様々な種類があります。伸縮するタイプだと引っ張った時の衝撃をワイヤータイプよりも車両に伝えにくいので、車が傷みにくいです。
けん引ロープの種類
- 伸縮するタイプ(おすすめ)
- 伸縮しないワイヤータイプ
また、けん引ロープには衝撃などに耐えられる能力(破断張力)が記載されていて、軽自動車などに最適な2.0t、乗用車などに最適な3.0t、クロカンなどで救出するときに重宝する5.0tや14.0tなどがあります。
けん引ロープの主な破断張力
- 2.0t(軽自動車など)
- 3.0t(乗用車、ミニバンなど)
- 5.0t以上(4WD車、クロカンなど)
破断張力とは、数値以上の力がロープに伝わると千切れる荷重のことで、破断張力2.0tの牽引ロープで車両重量2.69tのランドクルーザーを引っ張ろうとしても破断張力以上の力がロープに加わるので千切れて引っ張れない結果となります。
車をけん引でスタックから脱出する時は、引っ張られる車の車両重量以上の負荷がロープにかかるので、車両重量の2倍程度の能力があるけん引ロープ、けん引ワイヤーを用意しておくと安心です。
けん引フックでのスタック救出に適している車種・推奨しない車種
雪道のスタックなどから牽引で脱出する際、けん引する側の車種に適しているもの、適していないものがあります。ボディタイプを大きく分けると「ラダーフレームの車」と「モノコックボディの車」に分かれ、どちらの車種もけん引をすると引っ張ったことのない車に比べてどうしてもダメージを受けやすい結果になります。
ダメージを受けやすいのはモノコックボディの車で、ボディ全体で衝撃を受け止めるモノコックボディは、けん引する時の負荷でボディがゆがむことがありますので、出来ることならモノコックボディの車で大きな負荷のかかるスタック救出の牽引を行わないようにしましょう。
スタック救出の牽引に強い車種
- パジェロ
- ランドクルーザー
- ランドクルーザー プラド
- ジムニー
ラダーフレームを持っていて大排気量エンジンやディーゼルエンジンの車種はトルクもあるので、衝撃や負荷に強くスタック救出の牽引も楽に引っ張りあげることができますが、やはり引っ張ったことのない車に比べて負荷はかかるのでなるべくならやらないほうが無難です。
けん引フックでドレスアップも出来る
フロント部分のカバーを外すと取りつけることができる牽引フックですが、レース競技などでコースアウトになった車を引っ張るときに使用することもあります。
レーシングカーに取りつけられたトーフック
このトーフックはフックを取りつけるリングの部分が倒れるようになっていて、カスタマイズなどのファッションアイテムとしてつけることもあります。しっかりとした剛性のトーフックもありますが、中にはファッション用の汎用品で強度が足りず牽引の負荷に耐えられないものもあるので、商品の注意書きをよく読むようにしてください。
けん引フックやロープは車内に常備しておくと安心
スキーなどで雪山に行かないし、けん引フックやロープは必要ないと思っていても、突然の降雪でいつもは平たんな都市部でもスタックする場面がありえます。その時にけん引フックやロープを車に積んでおくと引っ張ってもらうことができますし、誰かを助けることもできます。
牽引フックやロープはタイヤみたく場所を取るわけではありませんし、車内に積んでおいても邪魔になることはありません。正しい取り付け方や使い方を知っておけば万が一スタックした時でも落ち着いて対処ができます。
牽引フックやロープを自分の車に合ったものを用意しておき、素敵なカーライフを楽しんでください。