軽自動車で5人乗り

軽自動車で5人乗りは?許可されるケースと守るべきルール

軽自動車でも5人乗りが可能なケースは、大人2人と12才未満の子どもが3人のケースなど。6才未満のお子さんには事故時のダメージを減らすチャイルドシートを着用する等のルールも紹介。タントなどのおすすめ軽自動車や、定員超過となった時の罰金も。

条件を満たせば軽自動車にも5人が乗れる~知って守るべきルール

軽自動車の車検証を見ると、乗車定員は4名と記載されています。しかし、一定の条件を満たしていれば、例外的措置として軽自動車に5人が乗車することも法的に可能です。これは、主に12歳未満の子どもを乗せる場合の特例に基づいています。

どのような条件を満たせば軽自動車でも5人が乗車できるのか、そして乗っている人の安全性を確保するためにはどのようなルールを守るべきなのかについて、道路交通法や保安基準の観点から詳しくご紹介します。

軽自動車の乗車定員が4人なのはボディサイズに制限があるから

軽自動車の規格は、「全長が3.4m以下、全幅が1.48m以下、全高が2.0m以下で、排気量が660cc以下」と厳密に定められています。設定されたこれらの条件をすべて満たしていなければ、軽自動車としては認められずに普通自動車として分類されてしまいます。

軽自動車にシートベルトが4つしか装備されていないのは、軽自動車のボディサイズ規格が深くかかわっています。全長が3.4m以下、全幅が1.48m以下、全高が2.0m以下という制限のもとで車を開発すると、確保できる室内スペースは、大人4人が乗れば限界となってしまう広さです。そのため、軽自動車の乗車定員は基本的に4名と定められています。

12歳未満の子どもは2/3人と判断するので、軽自動車でも5人乗車することは可能

軽自動車は、例外的な事項として課されている一定のルールを守れば、5人でも乗車することが可能です。その根拠や乗車定員に関するルールを定めている法律について紹介します。

道路運送車両の保安基準 ~乗車定員について12歳未満は2/3と判断する根拠

(乗車定員及び最大積載量)
道路運送車両の保安基準

第五十三条
自動車の乗車定員又は最大積載量は、本章の規定に適合して安全な運行を確保し、及び公害を防止できるものとして、告示で定める基準に基づき算出される範囲内において乗車し又は積載することができる人員又は物品の積載量のうち最大のものとする。ただし、二輪の軽自動車(側車付二輪自動車を除く。)にあつては乗車定員二人以下、車両総重量二トン未満の被牽引自動車にあつては乗車定員なしとする。

2.前項の乗車定員は、十二歳以上の者の数をもつて表すものとする。この場合において、十二歳以上の者一人は、十二歳未満の小児又は幼児一・五人に相当するものとする。

出典:道路運送車両の保安基準【2003.09.26】第 53 条

道路運送車両の保安基準の第五十三条の第二項では、乗車定員を計算する際、12歳以上の者を基準の「1人」とし、12歳未満(11歳以下)の小児または幼児は「1.5人(3/2人)に対して1人」として換算すると定めています。これは、12歳未満の子どもは12歳以上の者の2/3人として扱うことを意味します。

具体的には、12歳未満の子ども3人であれば、「3人 × (2/3)人 = 2人」として乗車定員をカウントします。そのため、大人2人と12歳未満の子ども3人のケースであれば、法文的には子ども3人を2人としてカウントするため、実際には乗車人数が5人であっても乗車定員としては4人以内と判断され、軽自動車であっても5人が乗車することが可能となります。これが、軽自動車に5人乗車できる根拠です。

12歳以上を大人として見做すのは大人の体格に追いつく時期だから

12歳以上の子どもを大人としてカウントするのには明確な理由があります。それは、子どもが大人の体格に近づく平均的な年齢が12歳頃だからです。12歳といえば精神的には未熟な時期ではありますが、体のサイズ、特に座席に座った際の専有スペースで判断すれば、大人とさほど変わらなくなるとされています。

したがって、道路運送車両の保安基準では、車の安全な運行に必要なスペースの確保という観点から、12歳以上の子どもを大人とみなすようにしています。このルールにより、乗車定員の計算が明確になります。

軽自動車の定員超過の反則金は6,000円で交通違反として1点減点

軽自動車に5人が乗車できる条件を満たしていないにもかかわらず、乗車定員を超過して走行してしまった場合は、定員外乗車の交通違反となります。この場合の反則金は6,000円が課されると共に、交通違反点数として1点減点されます。

「バレないから大丈夫だろう」と安易に考えて定員オーバーの状態で運転していて、万が一交通事故が起こった際には、保険会社に自分達にも過失があると判断されれば、支払われる保険金が減額されてしまう恐れもあります。軽自動車の定員を守ることは、法律だけでなく、乗員の安全と万が一の補償のためにも非常に重要です。

6歳未満の子どもを守るためにはチャイルドシートが必要!例外的措置もあり

道路交通法は、平成12年4月に改正され、6歳未満の子どもを車に乗せる際には、チャイルドシートの着用を義務付けました。これは、子どもの安全を確保するための重要なルールです。

自動車の運転者は、幼児用補助装置(幼児を乗車させる際座席ベルトに代わる機能を果たさせるため座席に固定して用いる補助装置であつて、道路運送車両法第三章 及びこれに基づく命令の規定に適合し、かつ、幼児の発育の程度に応じた形状を有するものをいう。以下この項において同じ。)を使用しない幼児を乗車させて自動車を運転してはならない。ただし、疾病のため幼児用補助装置を使用させることが療養上適当でない幼児を乗車させるとき、その他政令で定めるやむを得ない理由があるときは、この限りでない。

引用元:道路交通法第71条の3第3項

法律が改正され、6歳未満の子どもに対してチャイルドシートの着用が義務づけられました。しかし、軽自動車の室内空間には限りがあるため、6歳未満のお子さんが3人以上いる場合、その全てのお子さんに対してチャイルドシートを設けるだけの物理的なスペースを確保できないことがあります。この問題に対しては、チャイルドシートの使用義務に例外的な免除措置が設けられています。

チャイルドシートは固定可能な分だけ使用・固定できない場合には使用義務は免除

「自動車の乗車定員の範囲内で乗車させる幼児のすべてにチャイルドシートを固定して用いる事ができないときには、固定して用いることが可能な分だけ使用すればよく、固定して用いることができない幼児については、チャイルドシートの使用義務を免除」

引用元:国土交通省「チャイルドシートに関する法制度について」第2号

この国土交通省の見解によると、6歳未満のお子さんが3人いて軽自動車にはチャイルドシートを3つ設置できない場合には、固定して用いることが可能な分だけ使用すればよく、残りの1つ分については使用義務が免除されます。しかし、法律的に免除はされるものの、万が一の事故の場合にお子さんの安全を守るためには、チャイルドシートは着用するのが望ましいです。したがって、お子さんが増えた時や安全性を最優先したい場合は、普通自動車への買い替えを検討するタイミングといえます。

条件を満たせば5人まで乗れる~車を買い替えるまで便利な軽自動車

軽自動車であっても、例外事項として5人が乗車できるのは、乗車定員が12歳未満の子どもを2/3人として換算した結果、4人以内に収まる以下のケースです。

  • 大人2人と12歳未満の子ども3人
  • 大人1人と12歳未満の子ども4人

一番上のお子さんの年齢が12歳となってしまうと、例外事項が適用されず、その時点で乗車定員4人の制限を超過してしまいます。この場合は、法令違反となりますので、普通自動車への買い替えを検討する必要があります。

お子さんが小さい時期に限り軽自動車を利用したい方へ、室内空間を広く確保しているおすすめの軽自動車を紹介します。どの軽自動車も、子育て世代に配慮した設計が特徴です。

ホンダ N-BOXはスライドリアシートで室内空間を広くとれる軽自動車

ホンダのN-BOXは、軽自動車の中でも室内空間が広いことで知られています。さらに、スライドリアシートを採用しているため、後部座席を簡単に前後にスライドさせて、荷室を広げたり、後席の足元を広くしたりできます。室内高も十分にあるため、お子さんが立ったままで着替えることも可能など、子育て世代に非常に便利な軽自動車です。

N-BOXの窓ガラスには、暑さの原因である赤外線を大幅にカットしてくれる特殊加工が施されています。そのため、車内に強い日差しが入るのを防ぎ、車内の温度上昇を抑えることができます。これは、子どもを乗せる際、特に夏場に嬉しい機能です。

C
全長 3,395mm
全幅 1,475mm
全高 1,780mm
ホイールベース 2,520mm
室内長 2,180mm
室内幅 1,350mm
室内高 1,400mm
最小回転半径 4.5m
燃費 25.6
燃料 無鉛レギュラーガソリン
乗車定員 4名
車両重量 950kg
エンジン 水冷直列3気筒横置
総排気量 658cc
駆動方式 FF
メーカー希望小売価格 1,198,000円

ダイハツ ウェイクは天井が高く子どもが着替えるスペースも作れるハイトワゴンタイプの軽自動車

ダイハツのウェイクの室内の高さは、軽自動車の中でも最高クラスを誇ります。ISOFIX対応のチャイルドシートであれば、オプション商品と組み合わせることで、簡単に着脱することができ、より強く確実に固定することが可能です。天井が高いため、車内でのお子さんの着替えなどにもゆとりを持てます。

また、ウェイクは空力フィンを設置することで、走行中の車の揺れを軽減します。坂道で発進するときや、ブレーキペダルからアクセルペダルに足を踏みかえるときに車が後退することを防ぐヒルホールド機能も搭載するなど、乗り心地と安全性にも配慮しています。子どものいるファミリーにもおすすめの軽自動車です。

Gターボ レジャーエディションSA 2
全長 3,395mm
全幅 1,475mm
全高 1,835mm
ホイールベース 2,455mm
室内長 2,215mm
室内幅 1,345mm
室内高 1,455mm
最小回転半径 4.7m
燃費 23.8km/L
燃料 無鉛レギュラーガソリン
乗車定員 4名
車両重量 1,020kg
エンジン 水冷直列3気筒12バルブDOHC
インタークーラーターボ横置
総排気量 658cc
駆動方式 FF
メーカー希望小売価格 1,717,200円~

スズキ ワゴンRは子どものいるファミリー世代に人気の軽自動車

スズキのワゴンRは、室内空間を広くするために車の背を高くした「軽トールワゴン」というジャンルを確立したパイオニア的存在です。低燃費性能と広い室内を両立させており、子どものいるファミリー世代に長年にわたり人気を集めている軽自動車です。

ワゴンRは、狭い道を通行するときや対向車とすれ違うときに、車のボディが障害物と接触しないか、映像で確認できる安全機能が多数装備されています。先進の予防安全技術が搭載されているため、お子さんを乗せていても安心して運転できる軽自動車です。

HYBRID FZ
全長 3,395mm
全幅 1,475mm
全高 1,650mm
ホイールベース 2,460mm
室内長 2,450mm
室内幅 1,355mm
室内高 1,265mm
最小回転半径 4.4m
燃費 33.4km/L
燃料 無鉛レギュラーガソリン
乗車定員 4名
車両重量 790kg
エンジン 水冷4サイクル直列3気筒
DOHC12バルブ吸排気VVT
総排気量 658cc
駆動方式 2WD
メーカー希望小売価格 1,350,000円

日産 デイズは安全装備も充実しているため子どもも安心できる軽自動車

日産のデイズは、先進の予防安全技術である「インテリジェント エマージェンシーブレーキ」や、上から見下ろしたように駐車を支援する「インテリジェント アラウンドビューモニター」など、最新の安全装備を搭載しています。これにより、子どもの安全を考慮した安心できる運転を支援します。

デイズは、タッチパネル式のオートエアコンを軽自動車で初めて導入しました。このオートエアコンは、操作性に優れているだけでなく、プラズマクラスター技術による空気清浄機能も充実しています。機能面が充実することは、大人よりも環境の変化に敏感な子ども達にとって、快適な車内空間を提供する嬉しいポイントです。

デイズX
全長 3,395mm
全幅 1,475mm
全高 1,620mm
ホイールベース 2,430mm
室内長 2,085mm
室内幅 1,295mm
室内高 1,280mm
最小回転半径 4.4m
燃費 25.8km/L
燃料 無鉛レギュラーガソリン
乗車定員 4名
車両重量 1,060kg
エンジン DOHC水冷直列3木気筒
総排気量 659cc
駆動方式 2WD
メーカー希望小売価格 1,289,520円

乗車時の座席はどう配置させる?軽自動車に乗るときの着座位置

軽自動車に大人2人と、12歳未満の子ども3人の計5人が乗車する場合には、前席と後席にどのように配置すればよいのか、可能な着座位置と安全性の観点からのおすすめを紹介します。

フォーメーション1 前席:大人2人 / 後席:子供3人

軽自動車の後部座席に、チャイルドシートを物理的に設置できる限界は、車種にもよりますが基本的に2個です。この配置の場合、チャイルドシートは後部座席の両サイドに置かざるを得ません。シートの中央には、年齢が一番上のお子さんや、チャイルドシートが免除となるお子さんに座ってもらうことをおすすめします。この場合、中央のお子さんはシートベルトを着用します。

フォーメーション2 前席:大人1人・子供1人 / 後席:大人1人・子供2人

助手席にチャイルドシートを1つ設置し、後部座席にも1つ配置するパターンです。この配置では、前席と後席に座っている大人が、子どもの様子を比較的見やすくなります(ドライバーは運転の合間に)。後部座席に座る大人は、お子さんとお子さんの間に座ることで、より子ども達のケアがしやすくなるでしょう。

家族にとって必要な時期が来たら普通自動車に乗り換えましょう!

乗車定員が4人である軽自動車に、5名が乗車できるのは、12歳未満の子どもの年齢が2/3人換算の条件を満たしている場合のみです。3人のお子さんがいて、一番上のお子さんの年齢が12歳となってしまった場合は、その時点で法令違反となりますので、軽自動車に家族5人で乗り続けることはできません。

法令を無視して乗り続けた結果、事故を起こしてしまった際や事故に巻き込まれてしまった際には、保険や安全性の面で大きな後悔を招くことになります。家族の成長と安全を考え、例外的措置で5人で乗車している軽自動車ではなく、他の子も成長しても安心して乗車できる普通自動車への乗り換えを、必要な時期が来たら積極的に検討しましょう。