ルーフレールの必要性は?人気車種に装備されるルーフレールの特徴
車内に積むのが難しいスキー板やスノーボード、クロスバイクのような大きな荷物は、ルーフレールを利用することで車のルーフ上に取り付けられます。さらに、収納ボックス(ルーフボックス)を設置すれば、積載容量を大幅に増やすことも可能です。
アウトドアの趣味を楽しむユーザーにとって大変便利なルーフレールですが、装着による車の運動性能の低下や燃費の悪化といったデメリットも存在するため、「いらない」と考える声もあります。しかし、その利便性は高く、特に積載量が増えるのは大きな魅力です。今回は、カローラフィールダーやランドクルーザープラド、XVなどの人気車種に装備されているルーフレールの特徴についても詳しくご紹介します。
車の上に荷物を載せるための装備がルーフレール

ルーフレールとは、大きなサイズの荷物を車の上部に載せることを想定し、その土台(ベース)としてあらかじめルーフの両サイドに固定されているレールのことです。特に、ルーフレールはSUVやステーションワゴンタイプの車に標準装備またはオプションとして設定されるケースが多くなっています。
ルーフレールに専用のアタッチメントパーツを連結させることで、スキー用品やスノーボード、カヌーなどのアウトドアアイテムを車外に積載できるようになります。最近では、荷物を載せるという実用的な目的だけでなく、スタイリッシュなデザインを活かして、車のドレスアップ目的でルーフレールを設置するドライバーも増加傾向にあります。車の外観をよりアクティブで個性的に見せる効果があります。
ルーフレールには荷物を積むためのベースキャリアが必要

ルーフレールだけではロードバイクなどのアイテムを直接車の上に積載できません。そのため、レールの左右に「ベースキャリア」と呼ばれる渡し棒を設置し、さらにアイテムの種類に応じて適切なアタッチメントを取り付ける必要があります。ルーフレールの上に荷物を載せる際には、積載する荷物の重量だけでなく、このベースキャリアなどの重量も考慮に入れなければなりません。安全な走行のためにも、重量の確認は重要です。
ベースキャリアが耐えられる積載量の計算式例
ルーフレールの最大積載重量は車ごとに細かく定められており、その数値は車の取扱説明書やカタログに記載されています。安全のため、この最大積載重量を守ることが非常に重要です。
例えば、ルーフレールの最大積載重量が70kg、ベースキャリアの重量が5kg、アタッチメントの重量が10kgだとすると、ルーフレールの上に乗せられる荷物の最大重量は以下の計算式で求められます。
- 70kg-(5kg+10kg)=55kg
今回想定したケースでは、ルーフレールの上に積載可能な荷物の重量は55kgです。この計算式は、ルーフレールを装着するすべての車種に共通して適用されますので、安全な積載のために頭に入れておくと役立ちます。最大積載重量を超えて荷物を載せると、車の走行安定性が損なわれ、大変危険です。
ルーフレールの設置は新車の購入時に依頼するのが便利

純正のルーフレールは、新車購入時にオプションで依頼し、車の生産工場で取り付けてもらうのが一般的な流れです。多くの車種でルーフレールをオプション設定できますが、車によっては購入後に後付けできる場合もあります。もし購入後に装着したくなった場合は、一度ディーラーに相談してみると良いでしょう。ただし、ディーラーでの取り付けではなく、自分で取り付け作業を行う必要があるケースも存在します。
自分でルーフレールを後付けで設置する際には、メーカーのオプションパーツを購入し、ルーフライニングを取り外す作業から始めなければなりません。その後、室内サイドから専用のブラケットを用いてボルトで固定し、ボルトの強度を保つために穴の防錆・防水処理などの専門的な工程を経る必要があります。これらの作業には専門知識が求められ、時間と手間がかかる作業です。
もし、車を購入してから後付けでルーフレールを設置し、その結果車高が40mm以上高くなってしまう場合には、法律に基づいた構造変更手続きが必要になります。この手続きを行わなければ車検に通らないため、必ず注意が必要です。このような諸々の手間や法的な要件を考慮すると、ルーフレールの設置は新車購入時に依頼するのが、最も便利で確実な方法といえます。
ルーフレールは取り外し後のメンテナンスが重要
立体駐車場の利用を考慮して、装着していたルーフレールを取り外すという選択をする方もいます。ルーフレールを取り外した際には、これまでレールを連結していたボルトの穴の部分に、必ず防水用の樹脂製モールをはめ込む作業を行わなければなりません。
この樹脂モールをはめ込まない状態だと、穴の部分から錆やガタつきが発生し、結果的に車内へ雨漏りが発生する恐れがあります。そのため、ルーフレールを取り外した後のメンテナンスは非常に重要となります。ルーフレールを外す場合でも、適切な処理を行うことで車体の劣化を防げます。
ルーフレールを設置することで起こる車へのデメリット

ルーフレールを設置することで、サーフボードやロードバイクといった大きなサイズの荷物を積むことが可能になり、アウトドアなどの趣味を存分に楽しめますが、走行中の車にかかる空気抵抗が増加するなど、いくつか悪影響、すなわちデメリットも伴います。これらのデメリットを理解した上で装着を検討することが大切です。
走行中の空気抵抗で燃費が悪くなる
ルーフ部分に荷物を積載すると、その分だけ車の前面投影面積が増加するため、走行中の車にかかる空気抵抗が増してしまいます。空気抵抗が増すと、車にとって負の力が働くため、結果として燃費が悪くなります。この燃費の悪化は、ルーフレールを使用する際の主要なデメリットの一つです。
空気抵抗は速度の2乗に比例して大きくなる性質がありますので、ルーフに乗せている荷物の負担を軽減し、燃費への影響を最小限に抑えるためにも、高速走行時にはいつも以上にスピードを制限することをお勧めします。安全運転にも繋がります。
車重が重くなることで運動能力が落ちてしまう
車のルーフ部分にそれなりの重量のある荷物を積載すれば、全体のバランスが崩れ、車の重心が上がります。これにより、運動性能が落ちるというデメリットが生じます。
重心が上がると、ロール(コーナーリング時に左右へ揺れてしまう幅)が増加してしまい、結果的に車の機敏性が失われてしまいます。また、重心が上に上がると、走行中に突風を受けた際の影響も受けやすくなるため、運転には注意が必要です。
高さのある荷物を載せる場合は運転に注意
サーフボードのようにさほど高さのない荷物を積載するときは、運転中にあまり気を使う必要はありませんが、ロードバイクのような高さのあるアイテムを車の上に乗せるときは、いつも以上に十分注意して運転する必要があります。特に、ルーフボックスのように車高が大きく変わる場合も同様です。
電線や高架橋、ガード下を運転する際は、高さ制限の標識を意識し、安全な高さを確認しながら運転しましょう。もし、そのまま通過すると危険だと少しでも感じた場合は、無理をせずに迂回して違うルートを選ぶことが、安全運転に繋がる大切な行動です。
荷物を積載したまま立体駐車場に駐車するときも、同様に高さ制限に十分注意が必要です。ルーフレール装着車の運転で最も注意すべき点の一つです。
ランドクルーザー プラド・XV・ジムニーなどのルーフレールの特徴
ルーフレールは、車内に乗せきれない荷物を運ぶのに大変重宝します。特に、アウトドアの趣味をアクティブに楽しむ方々にとっては必須の装備といえるでしょう。ここでは、ランクルプラド、XV、ジムニーといった人気のSUV車種に設定されているルーフレールの特徴をご紹介します。
トヨタ カローラフィールダーのルーフレール

トヨタが販売する、世界的な人気を誇るステーションワゴンタイプの車であるカローラフィールダーは、2019年にセダンタイプのカローラへと統合され、ステーションワゴンはカローラツーリングへと名称が変わりました。カローラワゴンという車名からフィールダーへと名前を変えた歴史があり、CMではその時代ごとの若い世代から人気のあるタレントを起用し、若者にも受け入れられる人気車種となりました。

フィールダーのルーフレールの価格は、当時23,760円で設定されていました。アクティブで躍動感のあるエクステリアにマッチした流線形が印象的です。このルーフレールにベースキャリアを設置することで、趣味に合わせたサイズの大きな荷物も容易に積載できるようになります。特に、ステーションワゴンで積載量を増やしたいユーザーに人気でした。
トヨタ ランドクルーザー プラドのルーフレール

「兄は偉大だ」のキャッチコピーが印象的であったキング・オブ・SUVであるランドクルーザーの兄弟車であるランドクルーザープラドは、ミドルクラスのSUVとして圧倒的な存在感と人気を誇ります。世界各地の苛酷なオフロード走行において数々の功績を残してきた兄の走りの魅力を、しっかり受け継いでいる人気車種です。

プラドのメーカーオプションのルーフレールは、販売価格が37,800円でした。レールのシルバー塗装の色調が非常に優れており、フロントグリルとの相乗効果によって、車全体のスタイリッシュさとアクティブな印象をさらに助長します。このレールには、もちろんベースラックの設置が可能です。ランドクルーザープラドは、ルーフレールを装備することでさらにアウトドアに適した車になります。
日産 エクストレイルのルーフレール

日産が2000年から販売を開始したクロスオーバータイプのSUVであるエクストレイルは、オフロード走行や凍結した路面でも安定した走りが可能であるため、特に寒冷地である北海道でも人気が高い車です。2017年6月にはマイナーチェンジが実施され、先進安全技術が向上したことで大きな話題となりました。エクストレイルはアウトドアのイメージが強い人気車種です。

日産のエクストレイルでは、ルーフレールの中にドライビングランプを内蔵した「ハイパールーフレール」を用意していました。 ハイパールーフレールは、車高の高い位置からハイビームを外側へ照射できるので、夜間時のオフロード走行でドライバーの視界を確保しやすくなります。これは、特に悪路を走行する機会が多いユーザーにとって、非常に実用的な機能でした。
スバル XVのルーフレール

印象的なボディカラーとアイサイトなどのスバル自慢の先進安全機能を搭載しているXVは、3代目インプレッサをベース車両とするクロスオーバータイプのSUVです。2017年5月にはフルモデルチェンジが行われ、3代目XVが誕生しました。スバルの新プラットフォームである「スバルグローバルプラットフォーム」の導入により、車の操作性や走行中の安定感がさらに向上しました。また、エクステリアには幾何学的なデザインの魅力も加わり、人気を集めました。

メーカー装着オプションとして全グレードに装着可能なルーフレールは、XVのスタイリッシュなエクステリアにベストマッチした仕上がりです。XVの全高は1,550mmとそれほど高くないため、ルーフレールを装備しても立体駐車場の高さを気にせずに駐車できます。このため、街乗りとアウトドアの両方でルーフレールの利便性を享受できる人気車種です。
スズキ ジムニーのルーフレール

初代モデルが1970年に発売されたスズキのジムニーは、軽自動車としては初めての本格的な4WDオフロード車です。長年にわたりその基本コンセプトを変えずに進化を続け、国内外で根強い人気を誇っています。2014年8月19日には寒冷地仕様を考慮した専用グレードである「ランドベンチャー」が登場しました。また、ジムニーの派生車として普通乗用車のジムニーシエラも登場するなど、常に進化を続ける人気車種です。

ジムニーは、ルーフレールを設置した方がエクステリア全体のイメージがより安定感のあるものとなり、しっくりくると感じるユーザーも多いです。車としての歴史が半世紀以上に達しているジムニーだからこそ、このようなアクティブなイメージが定着しているのかもしれません。ルーフレールはジムニーの象徴的な装備の一つといえます。
ルーフレールを利用してアクティブに車を乗りこなそう

夏の季節はサーフィンやサイクリング、冬はスノーボードなど、アクティブな趣味を楽しみたい方にとって、ルーフレールの利便性は非常に高いです。大きな荷物を車内に積み込むことなく、スマートに運搬できるため、趣味の幅が大きく広がります。特にSUVやステーションワゴンでアウトドアを楽しみたい方は、ルーフレールの装着を検討することをお勧めします。
普段乗りこなしているSUVやステーションワゴンの車にルーフレールが取り付けられていて、その上にボードなどを乗せて走る姿は、かつて憧れていた趣味を満喫する大人の姿を、ご自身で体感することにつながります。ルーフレールを活用して、快適でアクティブなカーライフを実現しましょう。後付けの可否やデメリットも考慮し、ご自身のライフスタイルに合った選択をすることが大切です。




















