インフィニティQX80は2024年に3代目へフルモデルチェンジ 3.5Lツインターボへ刷新
日産が海外で展開する高級ブランド「インフィニティ」から、フラッグシップSUVの「QX80」が2024年にフルモデルチェンジし、現行の3代目へと生まれ変わりました。QX80は、2007年まで国内で販売していた「サファリ」の系譜を継ぐフルサイズSUVで、日産・パトロールの上級版にあたります。トヨタでいえばランドクルーザーに対するレクサスLX、という関係に近く、そのLX600がQX80の直接のライバルです。
ここでは、現行3代目QX80のエクステリアやインテリア、刷新されたエンジンや装備、価格帯に加え、生産終了・グレード整理などその後の動きや、日本市場をめぐる最新状況までを、現在(2026年)の視点で整理します。
兄弟車の新型パトロールが2027年度に日本復帰へ QX80の中身が日本を走る日が近づく
この記事はもともと「QX80やインフィニティが日本の道を走る未来」を期待して書かれたものでした。その期待に、大きく近づく動きがあります。
日産は2025年10月28日のジャパンモビリティショーで、新型パトロール(Y63型)を2027年度に日本市場へ導入すると発表しました。日本でのパトロール販売は、2007年に生産を終えたサファリ(Y61型)以来、およそ20年ぶりの復活となります。生産終了となったGT-Rに代わり、パトロールが日本における日産のフラッグシップを担う位置づけです。
QX80は、このパトロールの上級版という関係にあり、基本設計を共有しています。ただし、インフィニティというブランド自体は日本で展開されていないため、日本で買えるのはあくまで日産「パトロール」であり、QX80そのものの日本導入は現時点で発表されていません。この点は明確に区別しておく必要があります。
とはいえ、QX80と中身を同じくするパトロールが日本の道を走る日は、もう目前と言ってよいでしょう。かつて本記事が思い描いた光景に、一歩近づいたと見ています。
2026年モデルで新グレード「SPORT」を追加、センサリーを整理し価格も改定
現行QX80は北米で好調に推移しており、2025年1〜7月の販売は約7,000台と、前年同期比でおよそ54%増を記録しました。この勢いを受け、2025年夏に発表された2026年モデルでは商品力が強化されています。
最大のトピックは、新グレード「SPORT」の追加です。専用のフロントグリルとバンパー、22インチ専用ホイール、ダーク基調の加飾、内装のダスクブルー配色などで、シリーズ随一のスポーティな装いとしています。これに伴い従来の「SENSORY」は整理され、2026年型のグレード構成はPURE/LUXE/SPORT/AUTOGRAPHの4本立てとなりました。
価格は改定され、エントリーのPURE(RWD)が83,750ドルから(2025年型は82,450ドルから)、SPORTが10万ドル超、最上級のAUTOGRAPHは11万ドル超に設定されています。フルサイズ高級SUVとしては、リンカーン・ナビゲーターやキャデラック・エスカレードを下回る価格設定で、割安感が支持を集めています。
現行3代目QX80の概要 2024年に北米で発表
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ダブルアーチグリルを採用する現行インフィニティQX80 -
インフィニティQX80のホイール -
インフィニティQX80のスペック
インフィニティのフラッグシップSUV、QX80は2024年3月20日に現行3代目を発表し、同月末のニューヨーク国際オートショーで一般公開されました。ベースは同時期に一新された新型パトロール(Y63型)です。
フロントには、竹林をモチーフとしたINFINITI伝統の新デザイン「ダブルアーチグリル」を採用。エンブレムは立体的に発光し、フラッシュドアハンドルはロック解除に合わせてポップアップして乗員を迎えます。リアには300個以上のLEDを用いたライトバーを備えます。
インテリアは14.3インチのディスプレイを2枚並べ、その下に9インチのタッチスクリーンを配置。ボンネットを透過表示する「インビジブルフードビュー」や170度のフロントワイドビュー、3D化されたアラウンドビューモニターなど先進のカメラ技術を導入し、64色のアンビエントライトやセミアニリンレザー、上級グレードの24スピーカーKlipschオーディオがラグジュアリーな空間を演出します。
パワートレインは、旧来の5.6L V8に代わり、3.5LのV6ツインターボ(VR35DDTT型/日産GT-R系のエンジン一族)を搭載。最高出力は450馬力、最大トルクは516lb-ft(約700Nm=約71.3kgm)で、先代比で50馬力の上乗せとなります。組み合わせるトランスミッションは9速ATへ多段化され、電子制御エアサスペンションや運転支援「ProPILOT Assist」(最上級グレードは手放し運転が可能な2.1)、リアデフロックも新たに備わりました。
ボディサイズは全長約5,365mm、全幅2,350mm(ドアミラー含む)、全高約1,945mm、ホイールベース約3,075mmで、先代よりねじり剛性を大きく高めています。
| 2025年モデル PURE | 82,450USドル~ |
|---|---|
| 2025年モデル AUTOGRAPH | 111,895USドル~ |
| 2026年モデル PURE(RWD) | 83,750USドル~ |
| 2026年モデル AUTOGRAPH | 112,195USドル~ |
QX80は北米などを中心とした海外専売で、現時点で日本での正規販売はアナウンスされていません。日本円換算は為替により変動しますが、1ドル150円換算ではおおむね1,240万円〜1,680万円前後という価格帯です。
先代インフィニティQX80(Z62型・2010~2024年)の内容とモデルチェンジ遍歴
ここからは、2024年のフルモデルチェンジ前まで販売されていた先代QX80(Z62型)の内容を、参考として振り返ります。以下のエクステリア・インテリア・エンジン・装備・価格は、いずれも先代モデルのものです。
先代QX80のエクステリア
先代は全長5.3m級、全幅約2.0m、全高約1.9mのフルサイズSUVで、レクサスLXと同等のボディサイズがありました。全幅が2mを超えるため、日本の道路事情では狭い道での取り回しに気を使う大きさです。
| 全長 | 5,300mm |
|---|---|
| 全幅 | 2,029mm |
| 全高 | 1,925mm |
ヘッドライトにはシグネチャーLEDを採用し、視認性に優れていました。上部にポジションライトを備え、フォグランプにもLEDが使われています。
先代(2018年モデルのビッグマイナーチェンジ以降)は、大型のフロントグリルとLEDランプ類を特徴とし、堂々とした押し出しの強い顔立ちでした。この造形が、現行のダブルアーチグリルへと発展していくことになります。
先代QX80のインテリア
インテリアはブラックとブラウンの上品な配色で、本革シートやドアトリムに厚みのあるソフトパッドを用いるなど、贅沢な作り込みが施されていました。
センタークラスターにはナビ、左右独立フルオートエアコン、アナログ時計などを配し、シルバーのフィニッシャーがブラックとのコントラストを引き立てていました。シフトノブはストロークが長く握りやすく、その付近にドライブモードセレクターが設けられていました。
先代QX80の搭載エンジン
先代QX80に搭載されていたのは、V型8気筒5.6Lの自然吸気エンジンです。現行3代目では、これが3.5LのV6ツインターボ(VR35DDTT)へと置き換えられました。
| 型式 | VK56VD |
|---|---|
| 種類 | V型8気筒 |
| 排気量 | 5,552cc |
| 最大出力 | 406PS/6,000rpm |
| 最大トルク | 560Nm/4,400rpm |
QX80は、トレーラーハウスやジェットスキーなどをけん引するユーザーが多いため、ストレスなく走れるパワフルなエンジンが与えられてきました。この性格は、より高トルクな現行のツインターボV6にも受け継がれています。
先代QX80の搭載機能
先代QX80には、日産インテリジェントモビリティの技術が搭載されていました。自動ブレーキはもちろん、レーンディパーチャーアラートやブラインドスポットモニターなど、先進の安全技術が備わっています。
先代QX80に搭載されていた主な機能
- インテリジェントクルーズコントロール
- ディスタンスコントロールアシスト
- ブラインドスポット警報
- レーンディパーチャーアラート
- 車線逸脱防止システム
- 前方衝突予測警報
前方衝突予測警報は、走行中に2台前を走る車両の車間や速度を検知し、システムが危険と判断した場合に表示・音・シートベルトの巻き上げでドライバーへ注意を促す機能です。前走車が大きく見通しの悪いときに役立ちます。現行型では、これらがProPILOT Assistを中心とした最新の運転支援へと進化しています。
先代QX80の価格(参考・2023年モデル)
先代QX80の2018年モデルは2017年12月に発売され、価格は据え置かれていましたが、2023年モデルでは価格が引き上げられました。参考として、当時の米国価格を掲載します。
| QX80 LUXE | 72,700USドル~(当時の日本円換算で約10,182,000円~) |
|---|---|
| QX80 AWD | 75,800USドル~(約10,616,000円~) |
| QX80 PREMIUM SELECT | 77,300USドル~(約10,826,000円~) |
| QX80 PREMIUM SELECT AWD | 80,400USドル~(約11,260,000円~) |
| QX80 SENSORY | 84,350USドル~(約11,814,000円~) |
| QX80 SENSORY AWD | 87,450USドル~(約12,248,000円~) |
上記は当時1ドル140円換算での目安で、約10,182,000円~12,248,000円の価格帯でした。
先代はスタンダードのQX80でも、7速AT、インテリジェントキー、BOSEスピーカーシステム、ムーンルーフ、ナビゲーション、アラウンドビューモニター、フロント・リアソナー、トーヒッチなどが標準装備でした。
サファリ/パトロールの系譜を継ぐインフィニティQX80のモデルチェンジ遍歴
QX80は、日産がインフィニティブランドで展開するフルサイズSUVで、日産・パトロール(かつての国内名はサファリ)の上級版にあたります。車名はもともと搭載する5.6L V8にちなむ「QX56」で、2013年に車名体系の刷新でQX80へと改められました。
なお、日本でかつて販売された「テラノレグラス」は、別のインフィニティSUV(QX4)の姉妹車であり、フルサイズのQX80とは系統が異なります。QX80の日本側の対応車はあくまでサファリ/パトロールです。
インフィニティ QX56(JA60型)/2004年~2010年
2004年、初代QX56が登場しました。米国生産で、初代アルマーダやタイタンと同じF-Alphaプラットフォームを用いた、インフィニティ初の米国生産車です。エンジンは5.6L V8(VK56DE、320馬力)に5速ATを組み合わせ、北米や中東などで販売されました。
インフィニティ QX56 → QX80(Z62型)/2010年~2024年
2010年4月、ニューヨーク国際オートショーで2代目QX56を発表。ベースを北米製アルマーダから日本製の6代目パトロール(Y62型)へと移し、直噴化で5.6L V8を400馬力まで高めました。
2013年、車名体系の刷新により、2014年モデルから名称が「QX80」へと変更されます。
2017年12月にはドバイ国際モーターショーでビッグマイナーチェンジ版(2018年モデル)を発表し、グリルやLEDランプ類を刷新。2021年8月には2022年モデルで新世代インフォテインメントと12.3インチのタッチスクリーンを導入しました。
このZ62型は、2024年に3代目へバトンを渡すまで、長く販売が続けられました。
インフィニティ QX80(現行・3代目)/2024年~
2024年3月20日、現行3代目を発表(2025年モデル)。ベースを新型パトロール(Y63型)へと一新し、パワートレインは3.5L V6ツインターボ(VR35DDTT、450馬力)+9速ATへ刷新されました。エアサスペンションやProPILOT Assist、リアデフロックなどを新たに採用。2026年モデルでは新グレード「SPORT」が追加されています。
| インフィニティ QX80のモデル | 販売年表 |
|---|---|
| 初代 QX56(JA60型) | 2004年~2010年 |
| 2代目 QX56/QX80(Z62型) | 2010年~2024年 |
| 3代目 QX80(現行) | 2024年~ |
インフィニティQX80は日産のフラッグシップSUV
インフィニティQX80は、日産のパトロール(サファリ)の系譜を継ぐSUVで、その最上級に位置するフラッグシップです。がっちりとしたボディと高い全高を備え、どんな道でも走破しそうな頼もしいルックスが持ち味です。
2024年に3代目へフルモデルチェンジし、2025年モデルとして発売。エンジンは5.6L V8から3.5L V6ツインターボへと大きく生まれ変わりました。
インフィニティはレクサスのように日本で正規展開されていませんが、日本仕様のスカイラインにはインフィニティのエンブレムが装着されるなど、ブランドの存在感は少しずつ広がっています(かつて同様にバッジを掲げたフーガは2022年に生産を終えています)。
そして前述のとおり、QX80と中身を共有する新型パトロールが2027年度に日本へ復帰します。QX80そのものではないにせよ、その走りや装備を日本で体感できる日は、もう間近と言ってよいでしょう。