HID・LED・ハロゲンライトの違いとは?性能差も解説
車のヘッドライトには「HID」「LED」「ハロゲン」の3種類があります。それぞれの特徴や性能の違い、カスタム時の注意点について解説します。
ハロゲンライトは多くの車に使われる熱を持つタイプ
ハロゲンライトはフィラメントが発光するタイプのバルブで、内部に封入されたガスの影響で白熱球と同様、点灯中は熱を持ちます。
多くの車に搭載されているハロゲンライトは電球色(淡い黄色)の優しい光を放ち、対向車にとって眩しく感じにくい特徴があります。「高効率ハロゲンランプ」という通常のハロゲンより明るく、長寿命のタイプもあります。
ハロゲンライト搭載車のヘッドライトを見ると、バルブがむき出しになって装着され、周囲の反射板(リフレクター)で光を集めて前方を照らす形状が多く見られます。
右側のライトはプロジェクター形式と呼ばれ、バルブからの光を魚眼レンズ状のレンズで前方に拡散させる構造です。
項目 | 内容 |
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光源方式 | フィラメントが発光するタイプで、内部に封入されたガスの影響で点灯中は熱を持つ |
光の色 | 電球色(淡い黄色)で、優しい光を放ち対向車に眩しく感じにくい |
明るさ・寿命 | 「高効率ハロゲンランプ」は通常のハロゲンより明るく長寿命 |
装着形状 | バルブがむき出しでリフレクターで光を集めるタイプが多い |
プロジェクター形式 | バルブの光を魚眼レンズ状のレンズで前方に拡散させる構造 |
HIDライトはアーク放電で発光し、長寿命で明るい
HIDライト(High-Intensity Discharge)は「キセノンライト」「ディスチャージヘッドランプ」とも呼ばれ、アーク放電で発光します。ハロゲンに比べ長寿命(約5年)、明るさアップ、省電力が特徴です。
点灯直後は白っぽい光を放ち、数秒~十数秒で安定した発光になります。この色味の変化を美しいと感じる人もいます。
ライトの明るさを上げる場合、通常はワット数の大きいバルブが必要ですが、HIDライトは同じワット数のハロゲンより明るいため、省電力化にも貢献します。たとえばHID35Wはハロゲン55Wと同等の明るさです。
項目 | 内容 |
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光源方式 | アーク放電で発光するHID(High-Intensity Discharge)、キセノンライトとも呼ばれる |
寿命 | ハロゲンより長寿命で、約5年使用可能 |
明るさ・省電力 | 同じワット数のハロゲンより明るく、省電力。例:HID35Wはハロゲン55W相当の明るさ |
光の色 | 点灯直後は白っぽく、数秒~十数秒で安定した発光に変化する |
特徴 | 明るさアップと省電力化に加え、色味の変化を美しいと感じる人もいる |
LEDライトは発光ダイオードを使い、ハロゲン・HIDより性能が高い
LEDライトは発光ダイオードを使用したヘッドライトで、ハロゲンやHIDよりも長寿命(約15年)です。色の再現性に優れているため、白・黄色だけでなく、赤色や橙色のLEDを用いたストップランプやウィンカーも増えています。
LEDライトの特徴は、点灯直後から安定した光を発すること、発熱がほとんどないことです。また、HIDより色の再現性が高いため、フォグランプに使用すると視認性だけでなくデザイン性も向上します。
項目 | 内容 |
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光源方式 | 発光ダイオード(LED)を使用し、ハロゲンやHIDより高性能 |
寿命 | 約15年と非常に長寿命 |
光の色・再現性 | 白・黄色だけでなく赤色や橙色も使用可能。色の再現性が高く視認性とデザイン性に優れる |
発光特性 | 点灯直後から安定した光を発する。発熱がほとんどない |
応用例 | ヘッドライトだけでなく、ストップランプやウィンカー、フォグランプにも使用される |
「ハロゲン・HID・LED」3種類のヘッドライトを比較
ヘッドライトには「ハロゲン」「HID」「LED」と光源の異なる3種類があります。それぞれのメリット・デメリットや性能を比較してみましょう。
光量は白色のHID・LEDが高性能
ライトの明るさはワット(W)数だけでなく、光の色味でも感じ方が変わります。一般的に黄色より白色のほうが明るく見えやすく、黄色みのある「ハロゲンライト」と、白っぽい「HID・LEDライト」では同じワット数でも白色のほうが明るく感じます。
光量の違い
- HID=LED>ハロゲン
寿命はLEDが最も長く約15年
家庭用電球と同じように、ハロゲンライトは内部のフィラメントが切れると発光しなくなります。一方、HIDライトやLEDライトはフィラメントを使わないため、ハロゲンより寿命が長く、LEDは約15年の耐用年数があります。
ライトの寿命
- LED(約15年)>HID(約5年)>ハロゲン(約3年)
発熱がデメリットにならないLEDヘッドライト
フィラメントで発光する「ハロゲンランプ」や、アーク放電で発光する「HIDランプ」は点灯時に熱を持ちますが、LEDライトはほとんど発熱しません。発熱による寿命低下を防げる一方、ヘッドライトに雪が積もった際に溶かせない点がデメリットです。
発熱の違い
- ハロゲン>HID>LED
HID・LEDは視認性とデザイン性も高い
ヘッドライトは周囲が暗くなると点灯するため、明るさがあるほど前方が見やすくなります。
ワット数が同じでも光の色によって見やすさは異なり、一般的に白っぽい光のほうが黄色っぽい光よりも視認性が高いです。ただし雪や雨の日は、黄色っぽい光のほうが見やすく感じる場合があります。
また、ぼんやりとした光の「ハロゲンランプ」より、白く強い光を出す「HID・LED」のほうがデザイン面でも優れています。
ヘッドライトの電球を交換する際の注意点
ライトが切れて交換する場合は、もともと車両に装着されていたタイプと同じライトを使用するのが基本です。しかし、バルブ(バーナー)には形状や色味に違いがあるため、交換時には注意が必要です。ここではバルブの形状や色味(ケルビン数)について紹介します。
車両ごとに決められたバルブ形状を確認
ハロゲンやHIDのバルブには「H4」「H8」「D2R」「D4S」など様々な形状があります。交換する際は車両に指定されたバルブ形状を確認しましょう。カー用品店には車種ごとの対応ランプ形状をまとめた冊子があるので参考にしてください。
ハロゲンランプの代表的な形状
- H4(ヘッドライト用)
- H8(フォグランプ用)
純正HIDランプの代表的な形状
- D2R・D4R(リフレクタータイプのヘッドライト用)
- D2S・D4S(プロジェクタータイプのヘッドライト用)
明かりの色を示すK(ケルビン)数を確認
色温度(ケルビン数)とは、バルブが発する光の色味を数値化したもので、ケルビン数が低いほど赤や黄色に、高いほど白や青に近づきます。
多くの車に標準装着されている4300K(電球色)は、晴れの日でも雨・雪の日でも見やすいオールマイティな色です。6000K(白色)のバルブは、雨や雪の日にはやや見えにくくなりますが、デザイン性やファッション性が高まります。ただし、車検時に6500K以上のバルブをヘッドライトに装着していると、車検に通らなくなるため注意が必要です。
例外として、2005年12月31日までに製造された車は、黄色いヘッドライト(3000Kなど)を装着していても車検に通ります。また、フォグランプは製造年に関係なく黄色を装着しても車検に通りますが、ヘッドライト同様6500K以上は不可です。
ピンクや紫、緑色のヘッドライトバルブやフォグランプも存在しますが、車検には通らないため装着しないようにしましょう。
項目 | 内容 |
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色温度(K数)とは | バルブが発する光の色味を数値化したもので、低いほど赤・黄色、高いほど白・青に近づく |
標準的な色温度 | 4300K(電球色)は晴れ・雨・雪でも見やすくオールマイティな色 |
デザイン重視の色温度 | 6000K(白色)はデザイン性やファッション性が高いが雨・雪の日はやや見えにくい |
車検制限 | 6500K以上のヘッドライト装着は車検に通らない。2005年12月31日までに製造された車は黄色ヘッドライト(3000Kなど)は可 |
フォグランプの制限 | 製造年に関係なく黄色装着は可だが、6500K以上は不可 |
禁止の色 | ピンク、紫、緑色のヘッドライトやフォグランプは車検に通らないため装着不可 |
住む地域や好みに応じてヘッドライトの光源を選ぶ
HID、LED、ハロゲンの違いは、作り方や発光の仕組みによって分かれます。
最も普及しているハロゲンランプは、交換費用が安価で手に入りやすく、雪が付着しても溶けやすい特徴があります。しかし、HIDやLEDに比べて暗く、寿命も短い欠点があります。
最新のLEDライトは明るくデザイン性も高い一方、交換費用が高価で発熱が少なく、雪が積もると溶けないまま走行するため光量が低下します。ヘッドライトウォッシャーを使うか定期的に雪を取り除く必要があり、雪の多い地域には不向きです。
HIDはある程度普及しており、明るく寿命も長く、発熱があるため雪が付着しても溶けやすいですが、点灯直後は安定するまで時間がかかるため、トンネル侵入直後などに見えにくいことがあります。
光の色味も選択肢の一つです。たとえば、ヘッドライトに6000KのHIDまたはLED、フォグランプに6000KのLEDを装着してファッション性を重視する方法や、ヘッドライトに4600KのHID・LED、フォグランプにハロゲン3000K(黄色)を装着して視認性と実用性を重視する方法があります。
それぞれのメリット・デメリットを確認し、自分が住む地域の環境や好みに合わせて選ぶことが大切です。