ハザードランプの意味・使い方

ハザードランプの正しい意味や使い方と一般マナーをおさらい

ハザードランプは、様々な使われ方をしている。本来の使い方は、駐停車する時のみに使用するものですが、ありがとうの気持ちを示すとき、駐車スペースに停める意志をあらわす時、峠や高速道路で渋滞や工事のため停止する時など、ハザードランプの意味や使い分け方を紹介。

ハザードランプの正しい使い方を解説!サンキューハザードや消し忘れの注意点

車両のすべての方向指示器(ウィンカー)が同時に点滅する「ハザードランプ」は、いつ、どのような状況で使うべきでしょうか。この記事では、ハザードランプの操作方法から、道路交通法で定められている本来の正しい使い方、そして一般的にドライバー間で浸透している使用方法、さらには消し忘れによる危険性まで、ハザードランプの正確な意味と安全な使い方を詳細に解説します。

特に「ハザードランプの使い方」や「サンキューハザードの意味」、そして「ハザードランプの消し忘れが招く危険性」といった、ドライバーが日常で疑問に思う点に焦点を当てて情報を提供します。ハザードランプは単なる非常灯ではなく、安全運転を促進する重要なコミュニケーションツールであることを理解し、適切に活用しましょう。

ハザードランプとは車両の危険や存在を知らせる「非常点滅表示灯」のこと

ハザードランプは、正式名称を「非常点滅表示灯」と呼びます。その名の通り、自車の存在や周辺の危険な状況を周囲の車両や歩行者に知らせる目的で使用します。主な用途としては、車両の故障で動けなくなった際や、やむを得ず道路上に駐停車する際に、自車の位置を周囲に強くアピールするために使います。ハザードランプは、非常事態や危険を伝えるための最も重要な安全装備の一つです。「ハザードランプの定義」を正しく理解し、緊急時に迷わず使用できるようにしましょう。

また、法律で定められた使用方法の他にも、ドライバー間のコミュニケーションツールとして使われる場面も多くあります。例えば、後続車に道を譲ってもらったとき、駐車場で駐車する際、あるいは脇道から優先道路に入れてもらった時など、「ありがとう」という感謝の気持ちを込めて1~2回点滅させるドライバーが多く見られます。これは「サンキューハザード」として日本で広く浸透している文化であり、円滑な交通に役立っています。

他にも、路線バスや通園バスが路肩に停車してハザードランプを点灯させている時は、乗員の乗り降りのために一時的に停止しているという合図になります。この場合、後続車は安全に十分配慮し、徐行または一時停止して追い越しを行います。これらの使用方法を知っておくことで、「ハザードランプが示す合図の意味」を正確に読み取ることができます。

インパネにある「三角マークのスイッチ」でハザードランプを作動させる

ハザードランプを作動させるには、運転席のハンドル近くやセンタークラスター(カーナビゲーションシステムやエアコンの操作パネルが集まっている中央部分)に取りつけられている、赤い二重の三角マークが描かれたスイッチを押します。このスイッチを押すことで、車体の前後左右に設置されているすべてのウィンカーが、同タイミングで点滅を開始します。

外から見ると、フロントウィンカー、サイドウィンカー、そしてリアウィンカーがすべて同時に点滅しているのが明確にわかります。周囲のドライバーに自車の状況を強く知らせるため、点滅の光は非常に明るく設計されています。「ハザードランプ スイッチの位置」は車種によって異なるため、緊急時にすぐに押せるよう自分の車の位置を確認しておきましょう。

また、ドライバーはメーターパネルを見ると、ウィンカーのインジケーター(表示灯)が左右とも同時に点灯しているのを確認できます。この表示によって、ドライバーはハザードランプが作動していることをすぐに把握できます。

ハザードランプのスイッチを押したときのメーター内の表示

ハザードランプは、ガス欠などでエンジンがかからないなどの緊急時にも使えるよう、イグニッション(ACCやONの状態)がオフの状態でも作動するように設計されています。ただし、バッテリーが完全に上がっていて電気系統が使えない状態になっている時は、ハザードスイッチを押しても作動しない、あるいは極めて弱く点滅することがあります。そのため、長期間駐車する際はバッテリーの状態に注意が必要です。

また、エンジンを切っていてもハザードランプは作動し続ける仕様なので、消し忘れて放置していると、短時間で「ハザードランプによるバッテリー上がり」の原因にもなります。非常時以外で長時間使用する際は、必ず消し忘れがないか確認しましょう。特に夜間の駐停車時には、バッテリーの消耗を防ぐためにも注意が必要です。

道路交通法施行令に記載があるハザードランプ本来の正しい使い方

道路交通法施行令では、ハザードランプ(非常点滅表示灯)の取り扱いについて、以下のように定めています。

 

道路交通法施行令 第十八条(道路にある場合の灯火)(注1)

2.自動車(大型自動二輪車、普通自動二輪車及び小型特殊自動車を除く。)は、法第五十二条第一項 前段の規定により、夜間、道路(歩道又は路側帯と車道の区別のある道路においては、車道)の幅員が五・五メートル以上の道路に停車し、又は駐車しているときは、車両の保安基準に関する規定により設けられる非常点滅表示灯又は尾灯をつけなければならない。

この条文によると、「ハザードランプの道路交通法上の使い方」は、夜間、車道の幅が5.5メートル以上ある道路に停車・駐車している時は、ハザードランプまたはテールランプ(尾灯)をつけなければならないと定めています。具体的には、センターラインが引かれているような広めの道路に夜間に駐停車する際は、ハザードランプを点灯させるのが適切な対処法です。ただし、標識により駐停車禁止が示されている場所では、ハザードランプをつけても駐停車はできませんので注意してください。

ハザードランプの本来の使い方は、主に夜間にセンターラインを引いている道路で駐停車する際に、自車の存在を知らせるためです。しかし、センターラインがない道路であっても、昼夜を問わず駐停車する際にハザードランプをつけることで、周囲の車に止まっていることをより確実に伝えることができます。そのため、法律の規定に関わらず積極的に使用することが、安全性の向上につながります。

また、夜間に停車する際はスモールランプ(車幅灯)をつけていれば法的には問題ありませんが、ハザードランプも一緒に点灯させたほうが、点滅により自車の視認性が格段に向上します。これにより、周りの車に自車の存在をより強くアピールでき、当て逃げなどの被害を受ける可能性を低くすることができます。

一般的に浸透しているハザードランプの使い方を紹介

道路交通法施行令に定められた本来の使い方の他にも、日本の交通文化の中で一般的に浸透しているハザードランプの使い方を紹介します。これらは法律で義務付けられてはいませんが、円滑な交通コミュニケーションに役立ちます。

「ありがとう」の気持ちを込めてハザードランプを点滅させるサンキューハザード

渋滞している道路で車線変更させてもらった時や、細い道から優先道路に入れてもらった時など、相手の親切な行為に対して「ありがとう」という感謝の気持ちを表すために1~3回点滅させるハザードランプを「サンキューハザード」といいます。これは、海外ではあまり浸透していない、日本独自のドライバー文化の一つとなっています。「サンキューハザードの具体的な使い方」を知っておくと、よりスムーズな運転が可能です。

ハザードランプを使わない時は、会釈をする、窓から軽く手を振る、またはクラクションを短く鳴らす(ホーンサイン)といった方法で感謝を示すドライバーもいます。しかし、サンキューハザードは、特に交差点付近や見通しの悪い場所では、ウィンカーの合図と紛らわしく、かえって危険を招く可能性もあります。状況をよく見て、ハザードや他のサインを安全に使い分けることがベストです。

「いまから駐車します」の意思表示をするためのリバースハザード

駐車場で、車を止めるスペースを見つけた際に「いまからこのスペースに駐車します」という意思表示としてハザードランプを点灯させる使い方があります。これは通称「リバースハザード」と呼ばれており、特に交通量の多いショッピングモールなどの駐車場では頻繁に見られる光景です。

立体駐車場などでは特にこのリバースハザードが効果的です。ブレーキランプを点灯して駐車スペースへ位置決めをしようとしていても、後続車が距離を詰めてくることがあります。ハザードランプを点灯させながら駐車することで、後続車が距離を詰めてきて駐車が難しくなる可能性を低くできますし、もしスペースが空いていると判断すれば、後続車は追い越していってくれるため、落ち着いて駐車作業ができます。駐車時の安全確保と円滑な交通に役立つため、「リバースハザードの有効性」は高いと言えます。

高速道路での渋滞や事故による通行止めを教える追突防止ハザード

信号機がない高速道路では、基本的に停止する場面は少ないものですが、渋滞の最後尾につくとき、あるいは事故の影響などで通行止めになっている際など、自分はこれから停車することの意思表示と、後続車へのより強い注意喚起を込めて、ハザードランプを点灯させながら減速・停車する使い方があります。これは「追突防止ハザード」と呼ばれています。

高速道路以外でも、信号機がない峠道などでは、前の車が急減速する際に追突防止のためにハザードランプを点滅させることがあります。特に先の状況が後続車から見えにくい大型トラックのドライバーが使うことが多く、高速道路や峠道でトラックが減速しながらハザードを点灯させている時は、「道を譲っている」のではなく「前方の異常により停車または急減速している」と判断したほうが安全です。後続車はすぐに減速し、十分な車間距離を確保しましょう。「追突防止ハザードの使い方」は、緊急時の安全確保に直結します。

濃霧や吹雪で見通しが悪い時にハザードランプを点灯しながら走行するケースも

濃霧や激しい吹雪で視界が著しく悪い片側一車線の道路(山間部の峠など)を走行している時に、後続車への視認性を高める目的で、バックフォグ(リアについている赤いランプ)の代わりにハザードランプを点灯しながら走行する使い方もあります。これは「フォグハザード」と呼ばれることもあります。

ハザードランプを点灯することで後続車から発見されやすくなり、追突される可能性を低くできます。しかし、日本ではあまり一般的に見かけない使い方ですので、後続車から「サンキューハザード」や「道を譲っている」と勘違いされる可能性も否定できません。「濃霧時のハザードランプの使用」には慎重な判断が必要です。後続車に追いつかれた場合は、一度ハザードランプを消して減速し、安全な場所で道を譲るようにすると、お互いに誤解なく安全に走行し続けることができます。

ハザードランプの消し忘れに注意して事故を防止する

ハザードランプは、基本的に駐停車する時や緊急時に使用することが想定されて設計されているため、手動でスイッチを解除しない限り点灯しっぱなしになる車種が多いです。駐停車後にそのまま発進してしまうと、ハザードランプが点滅し続けた状態になります。

ハザードランプが点滅している状態でウィンカーを作動させても、周囲の車からはハザードランプが点滅している状態としか認識されません。そのため、ドライバーがウィンカーを出した方向がわからず、いきなり車線変更しているように見えてしまい、大変危険です。発進する時は必ずハザードランプが消えているか、メーターパネルのインジケーターで確認してください。

もし、昼間や夜間走行時に、対向車や後続車からパッシングされる時は、ハザードランプが点灯したまま走っていないか、あるいはヘッドライトの消し忘れや、ヘッドライトが点灯しているか(特に薄暮時)をすぐに確認するといいでしょう。「ハザードランプの消し忘れの危険性」は、ウィンカーによる進路変更の意思表示を無効にしてしまう点にあります。これが事故を誘発する可能性を高めます。

ハザードランプを正しく使って楽しくドライブ

ハザードランプは、本来の夜間の駐停車時や故障などの非常時の使用に加え、一般的には以下の状況でコミュニケーションや安全のために使われています。

  • 道を譲ってもらったときの感謝(サンキューハザード)
  • 駐車場に駐車する時の意思表示(リバースハザード)
  • 峠や高速道路で渋滞や工事や事故のために停車する際の合図(追突防止ハザード)

特にサンキューハザードは、道を譲られた時にハザードランプを点灯させないと、感謝の気持ちが伝わらず、トラブルに発展するケースも稀にあります。このようなトラブルを避けるためにも、1回だけでも点滅させておくと、お互いに気持ちよく運転することができます。ただし、状況をよく判断し、安全を最優先に使いましょう。

夜間はもちろん、昼間でもハザードランプを点灯させて駐車することで、他の車からの視認性も高まり、当て逃げされる機会も減らすことができます。安全性の向上に積極的にハザードランプを活用してください。

ただし、ハザードランプはウィンカーによる進路変更の意思表示を無効にしてしまうため、発進する時には必ずハザードランプのスイッチを解除することを忘れないでください。正しい使用法を理解し、「ハザードランプの意味と安全な使い方」を把握して安全運転に役立てましょう。