エコタイヤは環境にもお財布にも優しいタイヤ
低燃費性能に優れたエコタイヤは、ガソリンを燃やす際の二酸化炭素(CO2)の排出量を削減できることから、環境にやさしいタイヤと言われています。
また、少ない燃料でより長い距離を走ることができるため、ガソリンの使用量を減らすことで燃料費が抑えられるほか、ハイブリッド車や電気自動車への装着で航続可能距離がより長くなります。
エコタイヤが燃費を良くするしくみとその効果
車が走る際、車体にかかる空気抵抗や加速抵抗のほか、タイヤにかかる転がり抵抗などの走行抵抗が大きければ大きいほど、たくさんのエネルギー源が必要になります。
転がり抵抗とは、タイヤに対して進行方向の逆向きにかかる抵抗のことで、主な要因は「タイヤの変形」「接地摩擦」「空気抵抗」の3つ。中でも、タイヤの変形は高い割合を占めます。
タイヤが変形すると、運動エネルギーが無駄に熱として消費されるヒステリシスロス(エネルギー損失)が起こることから、ヒステリシスロスを抑えるためにエコタイヤには、発熱量が少なく路面での摩擦力の高いシリカ(二酸化ケイ素)がゴムの配合剤に使われています。
JATMAによると、一般市街地の走行でタイヤの転がり抵抗を20%減らした場合、燃費は約2%向上。わずかな値ではありますが、走行距離を積み重ねていくほどに、エコタイヤの燃費性能の良さを実感することができます。
低燃費タイヤは転がり抵抗性能とウェット性能に優れたエコタイヤ
エコタイヤと一口に言っても、メーカーやサイズによって性能がバラバラで分かりにくいため、JATMAでは優れた性能のタイヤを「低燃費タイヤ」と定め、統一マークとともに等級を表示しています。
タイヤは通常、転がり抵抗が小さければ小さいほど滑りやすいことから、安全性を確保するために転がり抵抗性能とウェットグリップ性能を組み合わせた等級制度(グレーディングシステム)を導入。転がり抵抗性能がA/AA/AAA、ウェットグリップ性能がa~dのタイヤを低燃費タイヤとしています。
例えば、転がり抵抗性能「AA」、ウェットグリップ性能「c」のタイヤを低燃費タイヤとし、次のように低燃費タイヤの統一マークと等級が併記されます。
一方、転がり抵抗性能「B」、ウェットグリップ性能「b」のタイヤは低燃費タイヤに該当しないため、次のよう等級のみの表記とし、低燃費タイヤの統一マークは表示されません。
低燃費タイヤのラベリング制度には、次のようなタイヤメーカーが参画しています。
低燃費タイヤに参画するタイヤメーカー
- ブリヂストン
- 住友ゴム
- 横浜ゴム
- トーヨータイヤ
- 日本ミシュランタイヤ
- 日本グッドイヤー
- ハンコックタイヤジャパン
- クムホタイヤジャパン
- ナンカンタイヤ
- オートバックスセブン
- ピレリジャパン
- ネクセンタイヤ
- マキシスインターナショナルジャパン
低燃費タイヤグレードは要チェック!おすすめのエコタイヤブランド12選
エコタイヤは、国内のタイヤメーカーのみならず、欧米のトップブランドや価格の安いアジアンタイヤメーカーがラインナップ。ブランドの特徴や低燃費タイヤグレードを比較し解説。
ブリヂストン「ECOPIA(エコピア)」シリーズは安全性と経済性を両立する「車種別専用」低燃費タイヤをラインナップ
BRIDGESTONEのエコピアシリーズは、セダン・クーペ・ミニバン・コンパクト・軽ハイト・EV車などの乗用車のほか、VAN・小型トラック・バス用タイヤなどの幅広い車種に対応。中でも、セダン・クーペ専用「ECOPIA EP001S」は、これまで不可能とされてきた最高グレードAAA/aを達成しました。
ダンロップ「ENASAVE(エナセーブ)」シリーズは地球環境にこだわった最高グレードのフラッグシップタイヤを設定
スタンダードタイヤとミニバン専用タイヤのほか、フラッグシップタイヤとして低燃費タイヤグレードAAA/cの「PREMIUM」と最高グレードAAA/aを実現した「NEXTIII」をラインナップしています。
ヨコハマ「BluEarth(ブルーアース)」シリーズはスタンダードからグランドツーリングまで目的別に選べる人や社会に優しいタイヤ
いち早く低燃費性能に着目したタイヤメーカーYOKOHAMAのブルーアースシリーズは、AAAグレードを取得したスタンダードタイヤ「AE-01F」をはじめ、ミニバン専用や軽ハイトワゴン専用などの低燃費タイヤをラインナップ。そのほかに、グランドツーリングタイヤやクロスオーバーSUV専用タイヤなど、幅広い商品ラインナップを展開しています。
トーヨータイヤ「NANOENERGY(ナノエナジー)」シリーズはナノレベルの設計によって最高の低燃費タイヤグレードを実現
TOYO TIRESのナノエナジーシリーズは、2012年発売のセダン専用「NANOENERGY0」が国内販売初の最高グレードAAA/aを達成。そのほかに、コンパクト専用「NANOENERGY3」、ウェットグリップ性能を高めたセダン・スポーティ用「NANOENERGY3 PLUS」の2つのスタンダードタイヤをラインナップしています。
ミシュラン「ENARGY SAVER(エナジーセイバー)」シリーズは低燃費性能に加えてタイヤに求められるすべての性能をバランスよく備える
MICHELINのエナジーセイバーシリーズは、すべてのタイヤ性能において高いパフォーマンスを備える低燃費タイヤ。最新モデルの「ENERGY SAVER 4」は、安全性に配慮した従来モデル「ENERGY SAVER+」に対して、ウェットブレーキング性能と快適性をアップ。ラベリング制度では転がり抵抗性能AA~A、ウェットグリップ性能b~cを取得しています。
グッドイヤー「EfficientGrip(エフィシェントグリップ)」シリーズは4つの基本性能に優れた車やライフスタイルに合わせて選べるタイヤ
GOODYEARのエフィシェントグリップ(E-Grip)シリーズは、低燃費・長持ち・乗り心地・ウェットの4つの性能を高次元で実現。グレードAA/c、A/cを実現するスタンダードエコタイヤの最新モデル「EfficientGrip ECO EG02」のほか、心地よい乗り心地の「EfficientGrip Comfort」、全サイズでウェットグリップ性能aの「EfficientGrip Performance」の3モデルを設定しています。
ハンコック「Kinergy eco(キナジーエコ)」シリーズは日本車のニーズに合わせた車種に対応するとともに優れたエコ性能を発揮
HANKOOKのキナジーエコシリーズは、快適性に優れたエコタイヤ。高剛性リブブロックがふらつきを抑制するミニバン専用の「Kinergy eco RV (K425V)」が全サイズでグレード「A/a」を実現。そのほかに、日本専用商品のハイト系軽専用タイヤ「Kinergy Eco 2 (K435)」をラインナップします。
クムホ「ecowing(エコウィング)ES31」はワンランク上のスタンダード低燃費タイヤとして操縦安定性やロングライフを確保
KUMHOのエコウィングES31は、低燃費性能とウェットグリップ性能をバランスよく高めたスタンダード低燃費タイヤ。セダンやワゴン、ミニバン、コンパクトカー、軽自動車などの幅広い車種に対応し、ほとんどのサイズで低燃費グレードA/cを獲得しているほか、一部タイヤがグレードA/dとなっています。
オートバックス「Maxrun EVERROAD(マックスランエバーロード)」は幅広い車種に対応する低価格が魅力の低燃費タイヤ
AUTOBACSマックスランエバーロードは、オートバックスのプライベートブランド低燃費タイヤ。専用ゴムが相反する転がり抵抗性能とウェットグリップ性能を両立することで、雨の日の安心感がアップ。軽自動車、コンパクトカー、SUV、セダン、ミニバン等あらゆるタイプの車に対応する13~18インチをラインナップし、全サイズで低燃費タイヤグレードA/cを獲得しています。
ピレリ「CINTURATO P7 Blue(チントゥラート ピーセブン ブルー)」は省エネや環境に加えて安全性に配慮したグリーンパフォーマンスタイヤ
PIRELLIのチントゥラートシリーズでは、ピレリ初のグリーンパフォーマンスタイヤ「CINTURATO P7」の後継モデルにあたるプレミアムコンフォートタイヤ「CINTURATO P7 Blue」がラベリング制度に対応。低燃費グレードAA/aと一部のサイズでA/aを獲得しているほか、欧州ラベリング制度では、ウェットグリップ性能A、転がり抵抗性能Aを取得しています。
ネクセン「N Blue HD Plus(エヌブルー エイチディー プラス)」は優れた基本性能によって毎日の走りをさらに快適に
NEXENのエヌブルーHDプラスは、環境に配慮するとともに優れた操縦性を実現する低燃費タイヤ。転がり抵抗の低減する一方で、ウェット路面で高いパフォーマンスを発揮。セダンやクーペ、ミニバン、コンパクトカーのほか、ハイブリッド車やEV車にも対応する13~17インチの一部のサイズで、転がり抵抗性能A~B、ウェットグリップ性能a~cを取得しています。
マキシス「ME3(エムイースリー)」は日本国内のラベリングのみならず欧州タイヤラベリングにおいて優れた等級評価を取得
台湾のNo.1タイヤメーカーMAXXISのME3 Mecotraは、転がり抵抗低減技術により燃費性能を改善したパフォーマンスラジアルタイヤ。優れた転がり抵抗性能に加えて、静粛性や乗り心地にも配慮。14~15インチの全サイズにおいて、国内のラベリング等級AA/bを取得しているほか、欧州タイヤラベリング制度ではBBを取得しています。
低燃費タイヤはエコに加えてハイパフォーマンスな時代に
エコタイヤといえば、ブリヂストンの「エコピア」やダンロップの「エナセーブ」のような低燃費タイヤブランドのタイヤを思い浮かべる人が多いかもしれませんが、従来のエコタイヤ以外のカテゴリでも低燃費タイヤの基準を満たすタイヤが増えています。
例えば、スポーツカーやスポーティテイストの車に対応するヨコハマのスポーティタイヤ「ADVAN FLEVA」のほか、グッドイヤー「EAGLE F1 ASYMMETRIC 5」やトーヨータイヤ「PROXES Sport」などのUHP(ウルトラハイパフォーマンス)タイヤは、低燃費タイヤグレードA/aとB/aを取得。
そのほかに、静粛性や乗り心地に優れたコンフォートタイヤでは、ブリヂストン「REGNO GR-XII」、ミシュラン「PRIMACY 4」、ダンロップ「VUERO VE304」、ヨコハマ「ADVAN dB」などが、高い転がり抵抗性能を実現しています。
また通常、低燃費タイヤは乗用車用夏タイヤに適用されるのですが、最近はブリヂストン「ALENZA 001」やトーヨータイヤ「PROXES Sport SUV」のようなSUVタイヤもラベリング制度に対応していることから、タイヤ購入時には、タイヤの種類にかかわらず統一マークの有無を確認することをおすすめします。