ドライブインシアター

ドライブインシアターとは?衰退原因と開催時の楽しみ方

ドライブインシアターを体験したい方へ。開催事例の紹介から、FMラジオや防寒グッズなど当日の準備まで、ドライブインシアターを最大限に楽しむための実践情報をまとめています。

ドライブインシアターが衰退した原因と、限定開催を楽しむためのコツ

ドライブインシアターとは、広い駐車場に巨大スクリーンを設置し、車の中から映画を鑑賞するスタイルの映画館です。日本では1990年頃に最盛期を迎えましたが、現在は常設施設がなく、不定期のイベントとして各地で散発的に開催されるのみとなっています。

本記事では、ドライブインシアターが衰退した原因、日本での期間限定復活事例、そして実際に体験する際のコツを詳しく解説します。

ドライブインシアターとは|アメリカ発祥の屋外映画鑑賞スタイル

ドライブインシアターはアメリカ生まれの映画鑑賞スタイルで、駐車場に設置した巨大スクリーンへ映像を投影し、音声は車載FMラジオで受信する仕組みです。映画が娯楽の中心だった1950〜60年代のアメリカで爆発的に普及し、カップルのデートスポットや家族のお出かけ先として広く定着しました。

日本では1990年頃に最盛期を迎え、全国に約20ヶ所が存在。しかし2010年10月に神奈川県の「ドライブインシアター大磯」が営業を終了したのを最後に、常設施設は国内から姿を消しました。アメリカ映画にもたびたび登場するため、実体験がなくてもその雰囲気を知っている方は多いでしょう。

ドライブインシアターが衰退した3つの原因

発祥地のアメリカでも衰退が進んだドライブインシアター。日米共通の主な原因は以下の3点です。

  • 映像レンタルビジネスの普及:VHSやDVD、さらにサブスクリプション型動画配信サービスの浸透により、自宅で手軽に映画を楽しめる環境が整った
  • 郊外型シネコンの台頭:ショッピングモールに併設された複合映画館が増加し、雨や寒さを気にせず快適に鑑賞できる室内型施設が主流となった
  • 娯楽の多様化:ゲームやインターネットなど新たな娯楽が次々と登場し、映画への需要が分散した

日本では、ピーク時に全国8,000館近くあった映画館全体が縮小傾向にあった時代背景も重なり、ドライブインシアターは急速に姿を消していきました。一方で、一時代を築いた文化が衰退するにつれ復活を望む声も高まり、期間限定イベントとして各地で復活するケースが増えています。

日本でのドライブインシアター期間限定復活事例

クラウドファンディングや企業・アーティストとの共催という形で、期間限定のドライブインシアターが各地で実現しています。代表的な事例を紹介します。

静岡県浜松|クラウドファンディングで実現「ドライブインシアター浜松」(2014年)

HONDAの創業者・本田宗一郎の出生地であり、スズキやYAMAHAの本拠地でもある浜松は、日本の自動車文化を語るうえで欠かせない街です。そんな浜松で、2014年10月16日〜18日の3日間限定で「ドライブインシアター浜松」が開催されました。

主催したのは、東京・北海道など全国に散らばる映画を学んできた同窓生25人を中心とした有志団体。行政の文化助成金だけでは不足した資金をクラウドファンディングで全国から募り、実現させました。上映作品は「エターナル・サンシャイン」「トランスフォーマー」など。

神奈川県大磯|Suchmos主催「DRIVE IN THEATER」(2016年)

2016年12月10日、神奈川育ちのメンバーで結成された音楽ユニット・Suchmosが、かつて日本最後のドライブインシアターがあった大磯ロングビーチの駐車場で「DRIVE IN THEATER」を開催。抽選で当選したファンを招き、大型スクリーンにSuchmosのライブフィルムを上映しました。映画にとどまらないドライブインシアターの新たな可能性を示したイベントとして注目を集めました。

神奈川県大磯|フィガロジャポン主催「ドライブインシアター」(2017年)

2017年6月23〜24日、大磯プリンスホテル ロングビーチの駐車場で、雑誌「フィガロジャポン」が主催するドライブインシアターが開催されました。上映作品はフィガロ編集部セレクトの「ムーラン・ルージュ」と「シング・ストリート 未来へのうた」の2本。上映前にはWOWOW・映画工房とのコラボ企画として俳優の斎藤工さんと板谷由夏さんによるスペシャルトークショーも実施。スクリーンにはドイツから取り寄せた最新鋭のものが使用されました。

大磯・大阪|「ドライブインシアター2020」(2020年)

2020年には株式会社ハッチのチーム「Do it Theater」が、大磯ロングビーチ(7月17〜19日)と大阪・万博記念公園(8月)でドライブインシアターの開催を発表。新型コロナウイルス禍での「密にならない映画鑑賞」として、ドライブインシアター形式が改めて注目を集めました。

ドライブインシアターの開催情報を見つけたら、ぜひ出かけよう

不定期で行われるドライブインシアターは、日本全国を見渡しても同時開催はほぼ1〜2か所というレア感が魅力です。月明かりのもと、映画館では味わえないご当地グルメを楽しみながら、周囲を気にせず感想を言い合える特別な時間を過ごせます。

車内で二人きりというドキドキ感があるため、カップルのデートコースとしても最適です。そこで見た映画は、きっと忘れられない思い出の一本になるでしょう。また、駐車場に自慢の車を並べながら車好き同士でトークを楽しむという過ごし方も、ドライブインシアターならではの醍醐味です。

ドライブインシアターを楽しむための5つのコツ

実際に体験したことのない方も多いドライブインシアター。準備不足で後悔しないよう、事前に押さえておきたいポイントをまとめました。

  • 燃料を満タンにしておく:エンジンをかけたまま長時間過ごすため、出発前に必ず給油を
  • FMラジオの受信を確認する:音声は車載FMラジオで受信するのが基本。事前に動作確認しておくと安心
  • 防寒グッズを持参する:夜間の屋外開催が多いため、ブランケットや上着は必須
  • 周囲への配慮を忘れない:エンジン音やクラクションは周りの迷惑になるため、上映中は静かに鑑賞を
  • フードやドリンクを準備する:会場によってはご当地グルメの販売も。車内でゆっくり食事を楽しめるのもドライブインシアターならではの魅力

ドライブインシアターは「ドライブ」と「映画」を同時に楽しめる特別な体験

映画館でもなく、自宅でもない屋外空間で気の合う仲間と映画を楽しむドライブインシアター。かつてを知る人には懐かしく、初めての人には新鮮に映ります。不定期開催だからこそ、主催者の熱意が高く、一回一回のイベントとしての完成度が際立っています。

かつてのような一大ブームにはならないかもしれませんが、これからもイベントとして各地で開催されていくことが期待されます。開催情報を見つけたら、大好きな人を誘って会場まで車で出かけてみましょう。