慣らし運転の必要性とやり方

慣らし運転の意味や必要性 走行距離3,000kmまでに完了する方法

慣らし運転とは新車の動きに慣れるまで緩やかな運転を心がける意味合いで使われていることが多く、エンジンの調子を整えるためにも新車から3,000kmまではゆっくりとした発進・加速・ハンドル・ブレーキ操作を心がける。

慣らし運転の必要性や意味

慣らし運転は、新車購入時や新品タイヤを購入した時に行う運転方法で、慣らし運転を行うことで新車時のエンジンの調子が長く持つ、不具合が起きにくくなる、新車時の燃費を保つ、将来的に加速が鈍くならなくなると言われています。

そこで、慣らし運転の意味、新車やタイヤにおける慣らし運転の違い、必要性やメーカーの考え、方法を紹介します。

慣らし運転とは、新車購入時に行う運転でエンジンや足回りの準備運動

慣らし運転とは、新車を購入した際に行うべきとされている運転で、オドメーター(トリップメーター)で1,000km~3,000kmまでの走行距離の間に負荷を少しずつかけていく運転の仕方です。

新車の車は、エンジンや足回りなどが馴染んでいないので、いきなり高負荷(急発進・急加速・急ブレーキなど)をかけると不具合が起きる場合があります。人間でも準備体操をせずにいきなり全力疾走をしたら息が上がり苦しくなるのと一緒で、車にとっても同じ事です。

そこで、1,000km毎に少しずつエンジンに負荷をかけていき各部品の調子を馴染ませて、車の調子を引き出していく慣らし運転で、準備体操をさせてあげることが大切です。

新車における慣らし運転は必須ではないが、性能を引き出すためには行うのがおすすめ

新車における慣らし運転の意味は、納車後にいきなりエンジン回転数をレッドゾーンまで回すことではなく、回転数を抑えて緩やかな発進、加速を意識しながら運転することです。

エンジン回転数を抑えながら1,000kmほど走ったら、次は3,000rpmまで回して2,000kmまで、4,000rpmまで回すようにしながら3,000kmまでと、少しずつ回転数を上げながら慣らし運転を続けてください。

トヨタ

慣らし運転の必要はありません。ごく一般的な安全運転に心がけていただければ、各部品のなじみは自然と出てきます。
お客様が新しい車に慣れられるための期間を慣らし運転の期間と考えてください。(注1)

ホンダ

現在の車は、エンジンやその他の部品精度が向上しているため、慣らし運転を行う必要はありません。ただし、機械の性能保持と寿命を延ばす為には以下の期間はエンジンや駆動系の保護の為に、急激なアクセル操作や急発進を出来るだけ避けて下さい。(注2)
・取扱説明書に慣らし運転期間の記載がある場合→その期間
・取扱説明書に慣らし運転期間の記載が無い場合→1000km走行までを慣らし運転の期間

日産

エンジン本体、駆動系などこの車両の持っている性能を十分に引き出すためには、ならし運転が必要です。
走行距離約1,600kmまでは適度な車速、エンジン回転数で運転してください。(注3)

メーカー毎に見解も違いますので、車種ごとの取り扱い説明書に「慣らし運転について」の記述がある場合はそれに従うといいです。

新品タイヤの慣らし運転(慣らし走行)は現在もメーカーが推奨

新車のエンジン性能を長持ちさせるために慣らし運転をするのと同様、タイヤにも慣らし運転が必要です。一般的には「タイヤの皮剥き」「一皮剥く」と呼ばれています。タイヤをひと皮剥くことでタイヤ本来の性能を発揮出来て、グリップパフォーマンスも実力をあらわします。

ダンロップ

新品タイヤは使用初期、過酷な条件で使うとトラブルを誘発する恐れがあります。
また、寸法成長による発熱もしやすいです。
新しいタイヤに交換した際は、タイヤ本来が持つ性能を十分に発揮させるために、慣らし走行を励行しましょう。具体的な走行方法は、乗用車・軽トラックが走行速度80km/h以下/走行距離100km以上、小型トラックが走行速度60km/h以下/走行距離200km以上で実践するのが目安。
また、慣らし走行中は“急”のつく行動や路肩へのラフな侵入などは避けるように心がけてください。(注4)

ブリヂストン

新品タイヤは使用初期、寸度成長し発熱もしやすいので過酷な使用は避ける
リムとのなじみ、フィット性を確保(注5)
ゆるやかな寸度の成長及びリムとのなじみ⇒故障耐久性が向上
新品タイヤは表面がツルツル⇒本来のグリップ発揮のための皮むき
交換前のタイヤとの性能差に慣れる⇒安全走行を確保
夏タイヤは80km/h以下で100km以上
冬タイヤは60km/h以下で200km以上

タイヤメーカー毎にも推奨走行速度と、走行距離が決められているので、タイヤを新品にしたからといって最初から全力で走行せずに慣らし運転を必ず行ってください。

慣らし運転のやり方は「走行距離に応じてエンジン回転数を上げていく」が基本

慣らし運転は、エンジン各部品の作り方や組み方の精度が上がった現在では必要ないといわれていますが、少なくとも初めからエンジン内部の稼働部分クリアランス(隙間)が最適ではなく、動いていく内に削れて(埋まって)いき適切な値になっていきます。

スムーズに動けるようになることを「アタリがつく」とも呼びますが、アタリをつけるために行う慣らし運転の方法を紹介します。

  • 1,000kmまではエンジン回転数を抑えて運転する
  • 2,000kmを超えたらエンジン回転数を3,000rpmまで上げて運転する
  • 3,000kmを超えたらエンジン回転数を4,000rpmまで上げて運転する

走行距離を1,000kmずつ迎える毎にエンジン回転数を1,000rpmずつ上げていく感覚で、徐々にエンジンを仕上げていってください。人間でいうと運動を始める前の準備運動、または新品の靴を買っていきなり走り出さずまずは歩いて足の形状に合わせる行為とイメージすると分かりやすいです。

また、慣らし運転は新車の動作に慣れるためにも必要なことで、特に軽自動車から大型SUVに乗り換えた際など、車体寸法やエンジン排気量が変われば、アクセルの踏み込み量が同じでも加速度が違いますし、ハンドルを切った際の動きなども大きく変わります。

「思った以上に動いた(加速した)」などで、事故を起こさないためにも新車購入時の慣らし運転は必要だと考えます。

慣らし運転後はエンジンオイルの交換を定期的に行うこと

新車は、エンジン各部のアタリがつくまでの凸凹が削られ鉄粉となってオイルの中に混じっていることが多くあります。新車購入後の1ヶ月点検など、適切なオイル交換時期がディーラー毎、車両ごとに決められているので、それに従いオイル交換をしてください。

新車の時に、エンジンへアタリをつけたからといって、オイル交換やエレメント交換のメンテナンスを怠っていれば、エンジンの調子はどんどん悪くなっていくばかりですので、適切な時期が来たらしっかりと調子を見てあげてください。

慣らし運転が終わるまでは「急」がつく行為は避けて運転

新車の時は、エンジンのアタリだけではなく、サスペンションやブレーキなどの足回りも馴染んでいないことが多いので、急ブレーキ・急ハンドルをなるべくなら行わないよう緩やかな運転を心がけたいものです。

エンジンのアタリがつくまで(3,000km付近)までは、急加速・急発進を行わず新しい車の挙動に慣れるためにも、落ち着いたエコ運転をするよう心掛けてください。

参考文献