ベンツ Vクラス マルコポーロ ホライゾンの現在~日本の正規新車販売は終了、欧州は新型へ移行
メルセデス・ベンツのミニバン「Vクラス」に、ポップアップルーフを備えたキャンピング仕様「V220d マルコポーロ ホライゾン」が日本で加わったのは2018年2月のことでした。その後は2020年5月に新型Vクラスベースへと刷新され(938万円)、2021年1月にはMBUXを搭載(957万円)と着実に進化してきましたが、2024年10月に登場した改良新型Vクラスのラインナップからは外れ、現在は正規ディーラーでの新車販売を終了しています。したがって今このモデルを新たに手に入れるなら、中古車が中心となります。
一方で本国(欧州)のマルコポーロは2023年に新型へ切り替わり、現在も現行モデルとして販売中です。ただしこの最新型は日本には正規導入されておらず、乗るには並行輸入という選択になります。ここでは、空白期間に起きたこうした変化を整理したうえで、日本仕様マルコポーロ ホライゾンの中身をあらためて振り返っていきます。
日本の改良新型Vクラス(2024年10月受注開始)にマルコポーロ ホライゾンは設定されず
メルセデス・ベンツ日本は2024年10月1日、内外装と装備を刷新した改良新型「Vクラス」の受注を開始しました。配車は同年10月上旬以降、V220dは11月下旬以降とされ、価格は940万円から1,370万円です。ボンネットにはスリーポインテッドスターのマスコットが与えられ、AIRMATICサスペンション、ステアリングヒーターやキーレススタートの標準化、アクティブステアリングアシストやセンターエアバッグ、デジタルルームミラーの採用など、快適性・安全性の両面で大きく手が入りました。
ただし、この改良新型のラインナップは「V220d」「V220d long」「V220d EXCLUSIVE long プラチナスイート」「V220d extra long」「V220d EXCLUSIVE extra long ブラックスイート」で構成され、キャンピング仕様のマルコポーロ ホライゾンは含まれていません。つまり日本におけるマルコポーロ ホライゾンの正規新車販売は、旧型(W447ベース)をもって実質的に幕を閉じた格好です。メーカーから日本向け後継の明確なアナウンスは出ておらず、当面は中古市場が主戦場となります。中古の相場はおおむね425万円から818万円あたりで、程度の良い後期モデルほど高値で取引される傾向がうかがえます。
欧州は2023年に新型へ刷新、2026年には小変更も~将来は電動VAN.EAへ
本国では2019年のVクラス改良でエンジンが直噴2.0L直4ディーゼル+9速AT「9G-TRONIC」へと刷新され、車載インフォテインメント「MBUX」も導入されました。さらに2023年にはVクラス自体が実質フルモデルチェンジと呼べる規模で改良され、マルコポーロも同時に新型へ移行しています。グリル周囲が光るイルミネーテッド・ラジエーターグリル、アダプティブ・マルチビームLEDヘッドライト、ボンネット上のスリーポインテッドスター、そして12.3インチディスプレイを2枚組み合わせたワイドスクリーンコクピットなど、内外装ともに大きく格が上がりました。
2024年には、あえてミニキッチンなどを省き、よりミニバン的に日常使いしやすくした新グレード「マルコポーロ ホライズン」が本国で追加されました。名称こそ日本でおなじみの「ホライゾン」と同じですが、これは新世代をベースにした別物という位置づけです。直近では2026年2月3日に欧州向けの小変更モデルが発表されており、細部のアップデートが続いています。
さらにその先には電動化が控えます。メルセデスはバッテリー駆動専用の新アーキテクチャ「VAN.EA」を2026年から導入する計画で、今後の中型・大型バンはこれをベースに刷新されていく見込みです。マルコポーロを含むVクラス系も、いずれ電動モデルへと橋渡しされていく可能性が高いとみられます。現時点では日本導入の具体的な計画は示されていませんが、動向は注視したいところです。
2021年1月の一部改良でMBUXを搭載、価格は957万円に
日本仕様のマルコポーロ ホライゾンは2021年1月に一部改良を受け、対話型インフォテインメントシステム「MBUX」を搭載しました。「ハイ、メルセデス」の呼びかけで起動する音声操作や、学習・予測機能を備えた使い勝手が魅力で、キャンピングカーとしての快適性に加えて先進性も一段と高められています。この改良にともない車両本体価格は957万円となりました。
2020年5月、新型Vクラスベースで再設定~938万円、サイドオーニングを追加
2020年5月21日、メルセデス・ベンツ日本は2019年3月にフェイスリフトした新型Vクラス(W447後期)をベースとする「V220d マルコポーロ ホライゾン」を再設定し、938万円で発売しました。ボディ右側にはロールアップ式のサイドオーニングが備わり、日差しよけやアウトドアの雰囲気づくりに活躍します。ほかにも2列目にシートベンチレーターを追加、開口部を大きく取った新デザインのバンパー、対向車・先行車を検知して照射範囲を自動制御する「LEDインテリジェントライトシステム&アダプティブハイビームアシスト・プラス」を採用しました。
このタイミングでパワートレインも刷新され、従来の2.2Lディーゼル+7速ATから、直噴2.0L直4ディーゼル(OM654)+9速AT「9G-TRONIC」の組み合わせへ移行しています。ボディサイズはロングボディをベースに全長5,150mm×全幅1,930mm×全高1,960mm(ポップアップルーフ閉時)で、多くの立体駐車場が利用できる高さに収まる点も日常使いでは見逃せません。以下では、こうした改良を経てきたマルコポーロ ホライゾンの装備やパッケージを、日本仕様を中心にあらためて見ていきます。
ベンツ マルコポーロ ホライゾン(日本仕様)の実力を振り返る
マルコポーロ ホライゾンは、7人乗りのプレミアムミニバンとして使いながら、ポップアップルーフや向かい合えるシートアレンジで3人以上での旅やキャンプも快適にこなす一台です。場所を無駄にしないポップアップルーフ、仲間と語り合える回転シートなど、グランピングにぴったりの装備が詰め込まれています。ここからは、右ハンドルで扱いやすい日本仕様を軸に、エクステリア・インテリア・装備・エンジンを順に確認していきましょう。
ベンツ マルコポーロ ホライゾンのエクステリア
ベンツ Vクラスのエクステリアは、2014年1月に発表された3代目W447型をベースに開発されたモデルで、LEDインテリジェントライトシステムを備えたLEDヘッドライト、乗り込みやすい電動スライドドア、停止位置をメモリーできるEASY-PACK自動開閉テールゲートを搭載します。
リアビューは、リヤゲート左側にモデル名の「Marco Polo」が刻まれ、狭い場所でもトランクの荷物にアクセスできるようガラスハッチを採用しています。
初代日本仕様の全長は5,140mm、全幅は1,928mm、全高は1,980mmで、ポップアップルーフを開いたときの高さは2,839mmになります。屋根を開くと3メートル近い全高になるため、天井の低い屋内では開けずに、2列目・3列目のフルフラットシートを使うほうが無難です。
| 全長 | 5,140mm |
|---|---|
| 全幅 | 1,928mm |
| 全高(ルーフ全閉) | 1,980mm |
| 全高(ルーフ展開) | 2,839mm |
| ホイールベース | 3,200mm |
ホイールは18インチの5ツインスポークアルミホイールで、前後とも245/45R18のタイヤを装着します。駆動方式はFRで、日本仕様に4MATICの設定はありません。欧州仕様の左ハンドル車には4MATIC(4WD)が用意されていますが、日本には正規導入されないまま、マルコポーロ ホライゾンそのものの正規新車販売が終了しています。当時「日本では正規販売されないだろう」と見ていたとおりの結末となりました。
ベンツ マルコポーロ ホライゾンのインテリア
乗員定員は7人乗りで、1列目2人・2列目2人・3列目3人の配列です。2列目を180度回転させて3列目と向かい合わせにしたり、2列目を取り外して3列目を前へ出すことで5人乗りにしてトランクルームを広げたりと、多彩なアレンジが可能です。
運転席と助手席を後方へ回転させられるため、後席の乗員と向かい合って会話を楽しめます。ただし運転席・助手席のシートベルトはシートではなくピラー側に備わるため、回転させた状態ではベルトを装着できず、その姿勢で運転することはできません。
ポップアップルーフを展開した中のベッドルームは、大人2人が眠れるサイズ(2,050mm×1,130mm、最大荷重160kg)で、電球色の読書灯が2つ設置されています。
さらに標準でカーテンが備わるため、車中泊の際もある程度の防寒・防熱効果があり、外からの視線も防げます。
ベンツ マルコポーロ ホライゾンの搭載装備
マルコポーロ ホライゾンには、LEDインテリジェントライトシステムやレーンキーピングアシスト、衝突警告システム「CPA」、乗員保護を高める「PRE-SAFE」、0km/h〜200km/hの速度域で作動する「ディストロニック・プラス」など、数多くの先進装備が備わります。
ベンツ Vクラス マルコポーロ ホライゾンの搭載装備
- フルフラットベンチシート(3列目)
- ポップアップルーフ内ベッド
- カーテン
- 電動デュアルスライディングドア
- 自動開閉テールゲート
- アクティブパーキングアシスト(縦列・並列)
- CPA(衝突警告システム)
- ディストロニック・プラス
- ブラインドスポットアシスト
- レーンキーピングアシスト
- PRE-SAFE
- クロスウィンドアシストなど
クロスウィンドアシストは、約80km/h以上での走行中に強い横風を受けても大きくレーンからはみ出さないようサポートするシステムです。箱型で横風の影響を受けやすいボディでも、高速道路での横ブレに強くなります。
ベンツ マルコポーロ ホライゾンの搭載エンジン
初代日本仕様(2018年)に搭載されたのは、BlueTECを備えた直列4気筒ディーゼルで、排気量2.2L・最高出力120kW・最大トルク380Nmというスペックでした。トランスミッションは電子制御7速ATです。なお前述のとおり、2020年5月の再設定以降は直噴2.0L(OM654)+9速AT「9G-TRONIC」の組み合わせへ移行しています。ここでは初代日本仕様のスペックを整理しておきます。
| 種類 | 直列4気筒ターボ |
|---|---|
| 燃料 | 軽油 |
| 排気量 | 2,143cc |
| 最高出力 | 120kW/3,800rpm |
| 最大トルク | 380Nm/1,400~2,400rpm |
1,400rpmの低回転から380Nmを発生するディーゼルは、多くの荷物や人を乗せて走るミニバンにうってつけで、信号待ちからの発進もストレスなく加速します。
また、AdBlueインジェクターを備えたディーゼルのため排気はクリーンで、NOxやPMの排出を抑えます。アドブルータンクの残量がなくなるとエンジンが始動できなくなることがあるため、残量には注意しておきたいところです。
初代の7速ATはスムーズな変速でショックが少なく、快適なドライブを実現します。ATオイルの交換時期も125,000kmに設定されており、かなりのロングライフです。
2018年2月2日に受注開始、当時の価格は846万円
日本仕様のマルコポーロ ホライゾンは、2018年2月2日に受注が始まりました。当時の価格は846万円からで、駆動方式はFR、エンジンは2.2Lディーゼルのみという構成でした。その後、価格は2020年5月の再設定で938万円、2021年1月の一部改良で957万円へと推移しています。
| 2018年2月(受注開始時) | 8,460,000円 |
|---|---|
| 2020年5月(再設定) | 9,380,000円 |
| 2021年1月(MBUX搭載) | 9,570,000円 |
駆動方式はFRの2WDで、日本では4WD(4MATIC)が正規設定されませんでした。積雪路での発進などは4WDに一歩譲る場面もありますが、右ハンドル仕様で日本でも扱いやすく、舗装路ならどこまでも快適に走れる一台でした。
ベンツ マルコポーロ ホライゾンはグランピングに最適な車
マルコポーロ ホライゾンは、7人乗りのプレミアムミニバンとして使いながら、ポップアップルーフとフルフラットになるベンチシートで大人4〜5人が眠れるスペースを確保する、車旅にうってつけの一台でした。ディーゼルらしいパワフルな走りとFRらしい素直な挙動を備え、舗装路ならどこまでも快適に移動できます。
日本仕様の受注は2018年2月2日に846万円から始まり、2020年5月に新型ベースへ刷新(938万円)、2021年1月にMBUX搭載(957万円)と進化しました。しかし2024年10月の改良新型Vクラスではラインナップから外れ、現在は正規新車としては手に入らず、中古車が中心となっています。本国では2023年に新型へ移行して現行販売が続いており、その最新型は並行輸入で狙う形になります。将来的にはVAN.EAによる電動化も控えており、メルセデス純正キャンパーの次の一手が気になるところです。中古で探すなら、サイドオーニングやMBUXを備えた後期モデルが装備面では有利といえるでしょう。