WRX STI S209は2019年に米国限定209台で完結 Sシリーズは2025年の「S210」で日本へ戻ってきた
WRX STIの頂点に立つコンプリートカー「WRX STI S209」は、2019年1月のデトロイトモーターショーで公開され、同年11月に北米で209台限定・63,995ドルで販売されました。日本には正規導入されず、Sシリーズ唯一の海外専売モデルとして完結しています。
そのS209を最後に、EJ型エンジンを積むWRX STIそのものが姿を消しました。日本仕様のカタログモデルは2019年12月23日で注文受付を終了し、2022年には米国スバルが「当面、現行WRXのプラットフォームで内燃機関の次期型WRX STIは作らない」と明言しています。ただし物語はそこで終わらず、2025年にはWRX S4をベースとする「S210」が870万円・500台限定で登場し、2026年4月には現行WRXの日本仕様として初の6速MTを積む「WRX STI Sport♯」が600台限定で発表されました。
S209のパワートレインは、専用開発の大径ターボチャージャーを備えた2.5L水平対向4気筒「EJ25」。最高出力は歴代STIモデル最高となる341hp(約345.7ps)、最大トルクは447Nm(45.6kgm)を発生します。トランスミッションはクロスレシオ化された6速MT、駆動方式はAWDです。ボディカラーは「WRブルー・パール」と「クリスタルホワイト・パール」の2色でした。
ここでは、S209以降にWRX STIとSシリーズがたどった道のりを新しい順に整理したうえで、S209そのものの中身を振り返ります。
2026年 次期WRX STIの復活が現実味 2027年までにMTモデル3台の投入を予告
2026年に入り、途絶えていたWRX STIの系譜をめぐる動きが一気に活発化しています。
起点となったのは2025年10月のジャパンモビリティショー2025で、スバルはBEVの「Performance-E STIコンセプト」と内燃機関を積む「Performance-B STIコンセプト」の2台を世界初公開しました。翌2026年3月12日には、スーパー耐久シリーズ2026の開幕戦から新型車両「SUBARU HIGH PERFORMANCE X Version II」で参戦すると発表。この車両はFA24型ツインスクロールターボを375ps/525Nmまで引き上げ、3速から6速のギヤ材質変更とWショットピーニング処理でギヤ強度を22%向上させるなど、量産車への技術還元を前提とした内容になっています。
そして2026年6月6日、富士24時間レースの会場でスバルは記者会見を開き、2026年4月に新設した「スポーツ車両企画室」の下で、2027年までに3台のMTモデルを市場投入する方針を明らかにしました。公開されたシルエット画像は4ドアセダン、クーペ、5ドアハッチバックの3台です。公式サイトでは、このうち1台がかつてのWRX STIにも使われた「TY85」型トランスミッションを積むカタログモデルであり、「WRX」の復活を目指していると説明されています。
ここから先は正式発表のない領域ですが、次期WRX STIは現行インプレッサ系の5ドアハッチバックボディを採用するとの見方が有力です。6代目インプレッサで国内セダンが廃止され、ラリーカー「WRX ARA25」の公道仕様レンダリングが公開され、新型と目される特許図面も出回っていることが根拠になっています。搭載エンジンについては新世代の水平対向6気筒・359馬力級とする予想もありますが、こちらは根拠が予想CGにとどまるため、現時点では確度の低い話として受け止めておくのが妥当でしょう。いずれにせよ、2022年の「当面作らない」から潮目が変わったことは間違いありません。
2026年4月9日 WRX STI Sport♯が600台限定で登場 現行WRX日本仕様初の6速MT
次期型を待つ前に、現行WRXにも大きな動きがありました。STIは2026年1月9日の東京オートサロン2026でコンプリートカー「WRX STI Sport♯(シャープ)」を初公開し、4月9日に正式発表しています。
| 発表日 | 2026年4月9日 |
|---|---|
| 価格 | 610万5000円(税抜555万円) |
| 限定台数 | 600台(抽選申し込み:2026年4月9日〜5月17日) |
| トランスミッション | 6速MT(現行WRXの日本仕様として初採用) |
| 主な特別装備 | バランスドエンジン(ピストン&コンロッド、クランクシャフト)、バランスドクラッチカバー&フライホイール、STI製フレキシブルドロータワーバー フロント、STI製フレキシブルドロースティフナー フロント/リヤ |
| 応募状況 | 9,000件を超えるエントリー(スバル発表) |
税抜価格を555万円に設定したあたりに、EJ20 Final Editionの555台と同じくスバルらしい遊び心がのぞきます。回転系パーツの重量公差・回転バランス公差を詰めたバランスドエンジンは、S208やEJ20 Final Editionで用いられた手法そのもので、Sシリーズの流儀が現行型にも受け継がれていることが分かる一台です。600台に対して9,000件超という倍率は、S208の450台に2,619件という数字を大きく上回り、MTを求める声の強さを裏づけました。
2026年 WRX S4のカタログモデルは5月18日で受注終了 STI Sportグレードも展開終了へ
一方で、現行WRXのカタログモデルには厳しい知らせも届いています。スバルは2026年3月、WRX S4について同年5月18日をもって新規注文受付を終了すると告知し、あわせて「現行モデルをもってWRX S4 STI Sportグレードの展開を終了する」と明記しました。
受注終了時点のラインナップは、ベースの「GT-H EX」と「STI Sport R EX」「STI Sport R-ブラック リミテッド」「STI Sport R-ブラック リミテッドII」の4グレードで、価格帯は447万7000円から530万2000円でした。搭載エンジンは2.4L水平対向4気筒ターボのFA24で、最高出力275ps・最大トルク375Nmを発生します。
これは車名そのものの消滅を意味するものではなく、2026年秋に予定される改良に向けた一時的な受注停止という位置づけです。ただしFA24搭載車が環境法規や騒音規制の節目を迎えていること、CAFE規制の下で高性能ターボ車の販売枠が限られることは、背景として無視できません。受注再開は2027年初頭になる見通しで、その際はGT-H EXと6速MTのSTI Sport♯が中心になるとみられます。STI Sport系の通常グレードが姿を消す一方で、MTが返り咲くという入れ替わりが起きようとしているわけです。
2025年 Sシリーズが「S210」で復活 500台限定・870万円でついに日本仕様が実現
S209の記事が書かれた当時、「日本にもS209に代わるコンプリートカーが用意されるらしい」という話がありました。その答えのひとつが、2025年に登場したS210です。
STIは2025年1月10日、東京オートサロン2025でS210のプロトタイプを初公開しました。ベースはWRX S4 STI Sport R EXで、ニュルブルクリンク24時間レースの参戦車両「SUBARU WRX NBR CHALLENGE」直系のモデルという位置づけです。エンジンはFA24型直噴ターボをベースに、エアクリーナー・吸気ダクト・ターボ前ダクトを新開発し、大口径テールパイプを備えた低背圧パフォーマンスマフラーと砲弾型チャンバー付きエキゾーストパイプリヤを採用。専用ECUと組み合わせて最高出力300PS(開発目標値)を発揮します。
| プロトタイプ初公開 | 2025年1月10日(東京オートサロン2025) |
|---|---|
| 公式ページ公開 | 2025年3月31日 |
| 抽選エントリー期間 | 2025年5月22日〜6月29日 |
| 価格 | 870万円 |
| 限定台数 | 500台 |
| ベース車 | WRX S4 STI Sport R EX |
| 最高出力 | 300PS(開発目標値) |
| トランスミッション | スバルパフォーマンストランスミッション(CVT) |
Sシリーズとしては初めてMTを持たないモデルとなったため、「なぜMTを積まないのか」という声も少なくありませんでした。S209が6速MTだっただけに、その落差を惜しむ意見が出たのは自然なことでしょう。もっとも、870万円という価格はS208の710万6400円、S209の63,995ドル(当時のレートで約691万円)をいずれも上回り、Sシリーズが依然としてスバルの最上級として扱われていることを示しています。翌年のSTI Sport♯で6速MTが用意されたことを考えると、S210はCVT時代のSシリーズを完結させ、MT復活への橋渡しをした一台と位置づけられます。
2024年1月 WRX S4 STI Sport♯でSTIのコンプリートカーが再始動
S210へ至る前段として、2024年1月12日の東京オートサロン2024でプロトタイプが公開された「WRX S4 STI Sport♯」があります。こちらもSTI Sport R EXをベースとする500台限定の特別仕様車で、価格は623万7000円。抽選エントリーは2024年1月12日から1月28日まで受け付けられ、2月1日に結果が発表されました。
STIパフォーマンスパーツを含む特別装備と専用チューニングにより、操縦安定性と乗り味を引き上げた内容で、Sシリーズほどエンジン内部には踏み込まないものの、空白期間に入っていたSTIコンプリートカーの系譜を再び動かした一台といえます。この「♯」というサブネームは、2026年のWRX STI Sport♯へそのまま引き継がれました。
2022年3月 「次期型WRX STIは作らない」米国スバルが声明を発表
WRX STIというブランドにとって、最も重い一日は2022年3月11日(米国時間)でした。スバル・オブ・アメリカが「STATEMENT ON SUBARU STI」と題した公式リリースを出し、電動化や温室効果ガス・ZEV・CAFEといった規制環境の変化を踏まえ、電動化を含む次世代WRX STIの可能性を検討しているとしたうえで、当面の間、新型WRXのプラットフォームをベースとする内燃機関の次期型WRX STIは生産しないと明言したのです。
2019年末にEJ20搭載のWRX STIが受注を終えた時点では、開発関係者から次期型に前向きな声も聞こえていました。それが覆った最大の要因は、企業別平均燃費(CAFE)規制への対応です。スバルは販売規模が大きくないうえ、燃費で稼げる量販モデルを持たないため、高出力ターボ車を1車種増やす負担が相対的に重くなります。この声明によって、WRX STIの名を冠する市販車は約4年にわたって不在となりました。
2021年 新型WRX(VB型)が登場もSTIは設定されず 海外にはEJ25 Final Edition
2021年9月10日、新型WRXが北米でワールドプレミアを迎え、11月25日には日本仕様の「WRX S4」が発表されました。エンジンは2.4LのFA24型直噴ターボ、組み合わされるのはスバルパフォーマンストランスミッションと呼ばれるCVTで、MTもSTIグレードも用意されないままのスタートです。当時は「次期WRX STIの登場は秒読み」というのが業界の共通認識でしたが、実際には翌年に前述の声明が出ることになります。
その一方で海外市場向けには、EJ25型の最終記念モデルとして「WRX STI EJ25 Final Edition」が世界75台限定で設定されました。BBS製19インチ鍛造ホイールにシルバーのブレンボキャリパー、ブラックのドアミラーカバー、STIのチェリーレッドを差したフロントグリル、シリアルナンバー入りのバッジといった構成で、S209とは別の形でEJ型の幕引きを担った存在です。
2019年末 日本ではEJ20 Final Edition 555台とWRX STIの受注終了
S209が北米で発売されたのとほぼ同じ時期、日本では別の「最後」が進行していました。STIとスバルは2019年10月23日、東京モーターショー2019でWRX STI 特別仕様車「EJ20 Final Edition」のプロトタイプを公開します。1989年の初代レガシィから続いたEJ20型水平対向エンジンが2019年度内に生産を終えることに伴い、これを積む日本市場向けWRX STIは2019年12月23日をもって注文受付を終了すると同時に発表されました。
| 発表 | 2019年10月23日(東京モーターショー2019で公開) |
|---|---|
| 限定台数 | 555台(抽選、エントリー期間2019年10月24日〜11月11日) |
| 価格 | 452万1000円/フルパッケージ485万1000円 |
| ベース車 | WRX STI Type S |
| 主な特別装備 | バランスドエンジン、ゴールド塗装のBBS19インチ鍛造アルミホイール、チェリーレッドのアクセント、ウルトラスエード巻ステアリング、シルバーの3点式ELRシートベルト |
本記事はかつて「S209の替わりに日本限定のハイパフォーマンスモデルが用意されるという噂」「350〜380psのS209ではないコンプリートカーが日本で用意されるという情報」を紹介していましたが、実際に用意されたのはこのEJ20 Final Editionでした。出力を上乗せするのではなく、回転バランスを煮詰めてEJ20の気持ちよさを磨き上げる方向だった点で、噂の内容とは性格が異なる着地だったといえます。
米国でも同じ時期、2019年11月のロサンゼルスオートショーで2020年モデルの「WRX STI Series.White」が公開されました。セラミックホワイト専用色にマットブロンズのBBS19インチ鍛造ホイール、ミシュラン パイロットスポーツカップ2、ビルシュタイン製サスペンションを組み合わせた500台限定モデルで、価格は42,695ドル。結果的に、この2台とS209がEJ型WRX STIの見送りを飾ることになりました。
2019年11月 S209は209台・63,995ドルで発売 確定仕様の中身
スバルテクニカインターナショナル株式会社は2019年秋、209台限定で販売される北米仕様「SUBARU WRX STI S209」の確定仕様を公表しました。価格は63,995ドル(当時のレートで約691万円)で、これに885ドルのデリバリーチャージが加わります。北米のWRX STIが36,995ドル、ウイング付きが41,695ドルでしたから、300万円ほど上乗せされた計算です。
エクステリアはS209オーナメント付きのメッシュタイプフロントグリルを装着し、サイドガーニッシュにはS209のロゴが入ります。ドライカーボンのルーフとリヤスポイラーがスポーティーなスタイルです。足まわりにはSTI製BBSの19インチ9.0J鍛造アルミホイールとダンロップ製265/35R19タイヤを装着し、これは歴代STIモデルで最大の幅にあたります。
インテリアにはS209専用デザインのRECAROフロントシートを装備。リヤシートはシルバーカラーをアクセントとしたスタイリッシュなデザインです。
インパネ周りにはルミネセントメーターやマルチファンクションディスプレイなど先進装備を搭載します。ステアリングはウルトラスエード、シフトノブは本革巻で握り心地もよく、操作性に優れています。車内には6スピーカーを配置し、スターリンク7.0インチマルチメディアオーディオを備えます。
| ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 181.9 × 72.4 × 58.1in.(約4,620×1,838×1,475mm) |
|---|---|
| トレッド(前) / トレッド(後) | 60.8in. / 61.2in. |
| 最低地上高 | 4.9in. |
| 車両重量 | 3485 lb.(約1,580kg) |
| エンジン | EJ25・水平対向4気筒ターボ |
| 最高出力 | 341 hp(約345.7ps) |
| 最大トルク | 447Nm(45.6kgm) |
| トランスミッション | 6速MT(クロスレシオ) |
| 燃料タンク容量 | 15.9 gal |
| 燃料種類 | 無鉛プレミアムガソリン |
S209はどのように生まれたか アメリカ市場限定で企画された初のSシリーズ
スバルのアメリカ法人は、2018年12月12日に「WRX STI S209」と思われる商標登録の申請を米国特許商標庁(USPTO)に対して行いました。申請内容は「自動車および構造パーツとそのアクセサリー」に関する事柄で、かねてより噂のあったSTIコンプリートカーの新型が現実味を帯びた瞬間です。ここからは、S209が企画され、発表され、そして北米限定モデルとして送り出されるまでの流れを振り返ります。
アメリカに先行してスバル南アフリカが限定車Diamond Editionを発表
北米仕様のS209に先立って、2018年11月にはスバル南アフリカが独自の限定車「WRX STi Diamond Edition」を発表していました。納車は2019年1月から始まっています。
STI設立30周年を記念して30台のみが販売された超レアな1台で、ECUのリマップと専用エキゾーストにより2.5L水平対向4気筒ターボの出力は260kW(約354PS)、最大トルクは464Nmに到達。0-100km/h加速は5.03秒と、標準のWRX STIより0.7秒短縮されました。当時、正規のスバル部門が売った中で最強クラスのWRX STIという触れ込みでした。
トランスミッションは6速MTで、外観はフロントリップスポイラーとサイドスカート、リアアンダースポイラーにハイビズイエローを施し、とても目立つ存在です。ホイールスペーサーによりトレッドは標準比20mm拡大され、19インチのYデザインホイールに245/35タイヤを組み合わせます。価格は799,000ランドでした。
S209はアメリカ市場限定で販売 STIの頂点「Sシリーズ」初の海外専売モデルに
S209はデトロイトモーターショー2019で発表され、アメリカ市場限定で販売されることが決定しました。それまでSTIの最高峰に位置するSシリーズは日本国内のみで発売されてきましたが、スバルの主戦場である北米で初めてSシリーズが送り出されたことになります。米国向けのSTIチューンドモデルとしては、2018年のWRX STI Type RA、SUBARU BRZ tSに続く第3弾という位置づけでした。
生産数はわずか209台。過去に日本で販売されたS208などは人気が集中して抽選販売になりましたが、S209はスバル人気の高いアメリカ市場で、なおかつ台数が絞られたことから、歴代でも屈指の手に入りにくいコンプリートカーとなりました。実際、1日に生産できるのは3台程度とされ、S208の450台と比べても半分以下の規模です。
| S209 | S208 | |
|---|---|---|
| 全長 | 4,620mm | 4,635mm |
| 全幅 | 1,838mm | 1,795mm |
| 全高 | 1,475mm | 1,470mm |
| ホイールベース | 2,650mm | 2,650mm |
| 車両重量 | 1,580kg | 1,510kg |
| 駆動方式 | AWD | AWD |
| トランスミッション | 6MT | 6MT |
| エンジン型式・種類 | EJ25 2.5L水平対向4気筒ターボエンジン | EJ20 2.0L水平対向4気筒ターボエンジン |
| 最高出力 | 341hp(約345.7ps) | 242kW(329ps)/7200rpm |
| 最大トルク | 447Nm(45.6kgm) | 432Nm(44.0kgm)/3200-4800rpm |
| 限定台数 | 209台 | 450台 |
| 価格 | 63,995ドル | 626万4000円〜710万6400円 |
全幅がS208より43mm広いのは、専用のワイドフェンダーによるものです。排気量が0.5L大きいぶん車両重量は70kg増えていますが、出力とトルクの上乗せ幅がそれを上回っており、動力性能では明確にS209が上回ります。
WRX STI S209の主要装備
- S209オーナメント付メッシュタイプフロントグリル
- フロント・サイド・リヤアンダースポイラー
- バンパーサイドベゼル
- バンパーサイドカナード
- ワイドフェンダー
- フロントフェンダーエアアウトレット
- S209ロゴ入りサイドガーニッシュ
- リヤバンパー
- S209リヤオーナメント
- ドライカーボンルーフ
- ブラックカラードドアミラー
- ドライカーボンリヤスポイラー
- 6スピーカー
- スターリンク7.0インチマルチメディアオーディオ
- ブラックカラードシャークフィンアンテナ
- レカロフロントシート
- S209ロゴ付インパネ加飾パネル
- S209ロゴ付サイドシルプレート
- シルバーステッチドアアームレスト
- シルバーステッチセンターコンソール加飾パネル
- シリアルナンバープレート
- サブトランク
- STI製ビルシュタイン フロントストラット(倒立式)&コイルスプリング
- STI製ビルシュタイン リヤダンパー&コイルスプリング
- STI製BBS19インチ×9.0J鍛造アルミホイール
- ダンロップ製265/35R19タイヤ
- ブレンボ製フロントベンチレーテッドディスクブレーキ(6ピストンモノブロックキャリパー)
- ブレンボ製リヤベンチレーテッドディスクブレーキ(2ピストンモノブロックキャリパー)
- STI製フレキシブルタワーバーフロント
- STI製フレキシブルドロースティフナー
- STI製ピロボールブッシュ・リヤサスリンク
- STI製サポートフロント
- 鍛造ピストン
- 鍛造コネクティングロッド
- 強化バルブスプリング
- 強化クラッチ
- 大容量インジェクター&燃料ポンプ
- 専用低圧損インテークダクト
- 大型エアクリーナー&専用エアクリーナーボックス
- 大径吸気パイプ
- 低圧損ダクトブーツ
- 大径ターボチャージャー
- STIロゴ入り低背圧パフォーマンスマフラー
- 専用ECU
- パフォーマンスシュラウド
- パドルスイッチ付インタークーラーウォータースプレイ
- MOTUL製5W-40エンジンオイル
- シリアルナンバー付きエンジンソレノイドブラケット
- VDC
- アクティブ・トルク・ベクタリング
- STI製ショートストロークギヤシフトレバー
- STIロゴ入りルミネセントメーター
- マルチファンクションディスプレイ
- インパネセンターバイザー
- ウルトラスエード®巻ステアリングホイール
- STIロゴ入りSTI製プッシュエンジンスイッチ
- STIロゴ入りSTI製本革巻MTシフトノブ
日本のスバルファンにとっては残念な結果でしたが、S209が日本で手に入ることはありませんでした。当時「S209の替わりに日本限定のハイパフォーマンスモデルが用意されるらしい」という話も流れており、その答えは同じ2019年秋のEJ20 Final Editionという形で示され、さらに時間を置いて2025年のS210へとつながっていきます。
S209はデトロイトモーターショー2019で世界初公開 ハニカムメッシュグリルと専用エンブレムを先行公開
WRX STIをベースにしたコンプリートカー「S209」を、2019年1月14日〜1月27日の日程で行われたアメリカのデトロイトモーターショーでワールドプレミアすると、スバルテクニカインターナショナル(STI)が発表しました。
このアナウンスと同時に、S209の専用エンブレムを装備したハニカムメッシュグリルが先行公開されています。日本時間2019年1月15日2時40分からはSTI社長の平川良夫氏がスバルブースでプレスカンファレンスを行い、その様子はライブ配信されました。
SシリーズはスバルとSTIが共同開発する「究極のドライビングカー」をコンセプトに誕生しました。2017年にはS208が450台限定で販売され、2,619件(重複含む)ものエントリーが集まるなど、スバリスト憧れのスペシャルモデルです。
S209も限定販売とみられていましたが、蓋を開ければ209台と、S208の半分以下という数字でした。
WRX STI Sシリーズはスバルのスポーティなイメージをリードしてきたコンプリートカー
WRX STI S207やWRX STI S208などのSシリーズは、スバルのスポーティなイメージをリードしてきたコンプリートカーです。
WRXという名称は、もともとはインプレッサのスポーツバージョンに付けられていたグレード名でした。3代目インプレッサの時代に人気グレードを独立させる流れが始まり、2014年の4代目(VAB型)で「インプレッサ」の車名が外れて「WRX STI」と「WRX S4」という独立した車種になりました。
WRXの後に続くアルファベット3文字「STI」は、スバルテクニカインターナショナルの略称です。スバルテクニカインターナショナルは1988年4月に設立されたスバルの子会社で、モータースポーツに積極的に参戦する中で蓄積された技術力を活かした専用パーツの開発や、エンジンのチューニングを得意とします。
世界ラリー選手権などのモータースポーツで輝かしい功績を収めてきたインプレッサWRXの遺伝子を受け継ぎながら、STIの専用パーツを装備してチューニングも行う「WRX STI」は、スバルのスポーティなイメージをリードしてきました。その頂点にあたるWRX STI Sシリーズは、スバリスト以外の評価も高いコンプリートカーです。
S209の登場は2019年 エンジンはEJ20ではなくEJ25 最高出力341hpは歴代STI最高値
本記事はかつて「WRX STIの次期フルモデルチェンジは2019年と予想」「S209はその1年ほど後になる」と書いていましたが、結果からいえばWRX STIのフルモデルチェンジは行われませんでした。2014年8月にインプレッサから独立して誕生したVAB型が最後のWRX STIとなり、S209はその最終世代をベースとするモデルだったわけです。
現行モデルだったWRX STIは2014年8月に誕生し、そのタイミングから約1年後の2015年10月に特別仕様車「S207」が発売されました。2017年のS208、2019年のS209と、およそ2年おきにSシリーズが投入されてきたリズムは最後まで保たれています。
搭載されるパワートレインは、日本のWRX STIに積まれていた2.0LのEJ20型ではなく、北米で販売しているWRX STI用の2.5L・EJ25型です。
このEJ25型に専用チューニングを施し、最高出力341hp(約345.7ps)、最大トルク447Nm(45.6kgm)を発揮するモンスターエンジンに仕上げられました。341hpは歴代STIモデルの最高値です。吸気側には専用の大型エアクリーナーと吸気ダクトを採用して吸気抵抗を抜本的に低減し、専用開発の大径ターボチャージャー(HKSの技術が用いられたと伝えられます)と大口径テールパイプ付きの低背圧マフラーを専用ECUで制御しています。
そのほか、鍛造ピストンや鍛造コネクティングロッド、強化バルブスプリングでエンジン内部の耐久性を高め、ビルシュタイン製の専用ダンパーと強化ブッシュ、ドライカーボンのルーフとリヤスポイラーで低重心化と軽量化を図りました。ニュルブルクリンク24時間レース車両で実証されたフレキシブルタワーバーやドロースティフナーも投入されています。
限定台数について、本記事は当初「S207やS208と同様に400台〜500台程度になる可能性が高い」と予想していましたが、実際は209台にとどまりました。車名の数字に台数を合わせるという演出に加え、1日3台程度という生産ペースが背景にあったとみられます。
S209は米国市場限定で販売され日本では販売されなかった
WRX STIのハイパフォーマンスモデルであるSシリーズは、S208まで日本での限定販売が続いていました。その希少性の高さから、日本以外の市場でも販売を望む声が根強くありました。
S209の商標登録がアメリカで行われたこと、商品企画を米国の「スバルオブアメリカ」が主導したこと、そして発表の場がデトロイトモーターショー2019だったことから、Sシリーズとしては初めて米国市場限定で販売されました。
水平対向エンジンとシンメトリカルAWDを備えたWRX STIの認知度はアメリカ市場でも高く、特別装備を充実させた希少性の高いS209は209台を売り切りました。ただし価格は63,995ドルと、標準のWRX STIより300万円ほど高い設定です。本記事は当初「車両価格は約550万円を超えるのではないか」「600万円以上となる事が確実視される」と予想していましたが、いずれも実勢を下回る見立てでした。
Sシリーズとその周辺コンプリートカーの系譜
| 時期 | モデル | 台数・価格・要点 |
|---|---|---|
| 2015年 | WRX STI S207 | 400台限定。VAB型WRX STIをベースとするSシリーズ第1弾 |
| 2017年10月25日 | WRX STI S208 | 450台限定(うちNBR CHALLENGE PACKAGE 350台)。626万4000円〜710万6400円。最高出力329PS。エントリーは2,619件 |
| 2019年1月/11月 | WRX STI S209 | デトロイトモーターショー2019で公開、11月に北米で発売。209台限定・63,995ドル。EJ25型で341hp。Sシリーズ初の海外専売 |
| 2019年10月 | WRX STI EJ20 Final Edition | 555台限定・452万1000円/485万1000円。EJ20型の生産終了に伴う最終特別仕様車 |
| 2021年 | WRX STI EJ25 Final Edition | 世界75台限定。海外市場向けのEJ25型最終記念モデル |
| 2024年1月12日 | WRX S4 STI Sport♯ | 500台限定・623万7000円。現行型ベースのSTIコンプリートカー |
| 2025年5月22日 | WRX S4 STI S210 | 500台限定・870万円。FA24型を300PS(開発目標値)へ。Sシリーズ初のCVT車 |
| 2026年4月9日 | WRX STI Sport♯ | 600台限定・610万5000円。現行WRXの日本仕様として初の6速MT。応募9,000件超 |
S209のオーナーになるにはラッキーが必要だった そしてSTIの物語は再び動き始めた
STI Type Sをベース車として、エンジンや足まわりのチューニングを再設定し、内外装の専用装備を充実させた限定400台の特別仕様車「S207」は、瞬く間に買い手が決まりました。
強い横Gに対してもドライビング姿勢を安定させるRECAROシートを採用し、シリアルナンバープレートでオーナーに特別感を与えた「S208」は、限定450台に対して2,619件のエントリーが集まっています。
そしてS209は209台。63,995ドルという価格に加え、応募すら日本からはできないという条件が重なり、Sシリーズの中でも最も遠い存在になりました。手に入れるには、実力でも資金でもなく運が要る——本記事が当初書いた見立ては、台数と価格の予想こそ外れたものの、結論としては正しかったことになります。
その後、EJ20とともにWRX STIは一度舞台を降り、2022年には米国スバルが次期型を作らないと明言しました。しかし2025年のS210で日本にSシリーズが戻り、2026年にはWRX STI Sport♯で6速MTが復活。さらに2027年までにMTモデル3台を投入するという予告まで出ています。S209はEJ型WRX STIの最終章を飾った1台であると同時に、いま再び動き始めた物語の折り返し地点にある1台でもあるといえるでしょう。