スバル ヴィジヴ アドレナリン

スバル ヴィジヴ アドレナリン コンセプトの正体は現行クロストレック 2022年に市販化

ヴィジヴ アドレナリン コンセプトは結局どの車になった?次期XV・アウトバック後継・MR2など当時の予想と、実際にクロストレックへつながった経緯をわかりやすく解説します。

スバル ヴィジヴ アドレナリン コンセプトの正体は現行クロストレック 2022年にXV後継として市販化された

スバルは「スバル ヴィジヴ アドレナリン コンセプト(SUBARU VIZIV ADRENALINE CONCEPT)」を、2019年3月5日からスイスで開催されたジュネーブ国際モーターショー2019で世界初公開しました。同年10月開幕の東京モーターショーにも出展されています。

ヘキサゴングリルとコの字型ヘッドライトにスバルらしさが漂うこのコンセプトカーは、発表当時、既存車種のモデルチェンジを示すのか、まったく新しい新型車になるのか、さまざまに考察されました。結論から言えば、このコンセプトのデザインは2022年に登場した現行型クロストレック(GU系、旧XV)へと受け継がれています。以下では、その答え合わせを踏まえつつ、当時どのような見立てがあったのかを振り返ります。

ヴィジヴ アドレナリン コンセプトは現行クロストレック(旧XV)につながった

当時「次期XVではないか」と最有力視されていた見立ては、結果として的中しました。日本で販売されていたスバルXVは、2022年にグローバルでの車名を「クロストレック」に統一してフルモデルチェンジを受けており、このGU系クロストレックのデザインは、ヴィジヴ アドレナリン コンセプトの世界観をはっきりと受け継いでいます。

コンセプトカーで鮮やかなブルーが採用されていた点も、クロストレックの世界初公開時に日本仕様プロトタイプがブルーだったこととよく重なります。ボディラインやヘッドライトの形状にはコンセプトカーと近い部分が残り、一方でグリルからヘッドライトへ伸びるフロントの処理などは、市販化にあたって現実的にまとめ直されました。跳ね上げ式のような過剰なショーカー的機構は市販版に採用されませんでしたが、全体のたたずまいとデザイン思想はしっかりと引き継がれた格好です。なお、市販版のクロストレックはスバル初のストロングハイブリッド(Sハイブリッド)を搭載した点でも話題を呼びました。

一方、当時ささやかれていた「アウトバックの後継」や「トヨタと共同開発する新型MR2になる」といった見方は実現しませんでした。アウトバックはレガシィ系として独立して展開が続き、ミッドシップスポーツMR2の復活はこのコンセプトとは無関係に、後年あらためて話題にのぼることになります。

コンセプトカーとして公開された当時は次期XVが有力視されていた

ヴィジヴ アドレナリン コンセプトのリヤビュー

2019年のジュネーブモーターショーで初公開されたスバルのクーペSUV「ヴィジヴ アドレナリン コンセプト」は、公開当初から次期XVになるのではないかと予想されていました。当時は2021年から2022年ごろの市販化を見込む声もあり、実際にはこの読みどおり、2022年にクロストレック(旧XV)として結実しています。

ヴィジヴ アドレナリン コンセプトのボディサイズは全長4,490mm、全幅1,900mm、全高1,620mmで、アウトバックとXVの中間にあたるサイズ感でした。樹脂製のオーバーフェンダーがSUVらしく、シャープなヘッドライトが目を引くスタイルです。

パワートレインには、2.0L直噴NA水平対向4DOHCに電気モーターを加えた「e-BOXER」の採用が予想されていました。実際、e-BOXERは市販のXV/クロストレックに搭載されており、この見立ても大枠で当たっていたことになります。

ヴィジヴ アドレナリン コンセプトが世界初公開 「BOLDER」をテーマに大胆なオーバーフェンダーが特徴

ヴィジヴアドレナリンコンセプトは「ダイナミック×ソリッド」を進化させた「BOLDER」をテーマにしたコンセプトカー

スバル ヴィジヴ アドレナリン コンセプトは、2019年3月のジュネーブモーターショーでワールドプレミアされました。

スバルが中期経営ビジョン「STEP」で掲げた「ダイナミック×ソリッド」のデザイン言語を、さらに一段進化させた「ボルダー(BOLDER)」を示す初めてのコンセプトカーです。

大胆なオーバーフェンダーとホワイトレタータイヤで走りの楽しさを表現

エッジの効いた個性的な樹脂製オーバーフェンダーを採用し、足元にはホワイトレターのブリヂストン製タイヤ「デューラー」を装着。リヤのドアハンドルを目立たせないシャープなスタイルは、スバルが掲げる「安心と愉しさ」をうまく表現しています。

スバルらしいコの字型ライトやヘキサゴングリルもエッジの効いたデザインへ進化

ボディサイズは全長4,490mm・全幅1,900mm・全高1,620mmで、スバルXVに近いものの、全幅は100mmほど広くなっています。レガシィアウトバックと比べると全幅や全高は近い一方、全長はアウトバックのほうが330mmほど長い関係です。

ヴィジヴアドレナリンコンセプト・XV・アウトバックのボディサイズ比較
  アドレナリンコンセプト XV アウトバック
全長 4,490mm 4,465mm 4,820mm
全幅 1,900mm 1,800mm 1,840mm
全高 1,620mm 1,550mm 1,605mm

公開当時は、このコンセプトが既存車種のモデルチェンジなのか、新型車なのかは明らかにされていませんでした。ただ、サイズ感からは次期XVの可能性が高いと見られており、この読みは後にクロストレック(旧XV)として現実のものとなります。

当時は、「乗る人全員をさらに愉しい気持ちにしたい」というテーマから、2019年に登場したトヨタRAV4に通じるところがあるとして、まったく新しい新型車の可能性を指摘する声もありました。ボディサイズやテーマの近さから、独立した新型SUVとして市販されるのではないか、という見立てです。

コンパクトSUVの次期XVという見立て

コンセプトの市販化時期とXVのモデルチェンジ時期が重なることから次期XVが最有力とされた

既存車種のなかでは、スバルXVがヴィジヴ アドレナリン コンセプトをベースに開発されるという見方が有力でした。XVは2017年にフルモデルチェンジしており、当時はモデル末期ではなかったため、すぐのモデルチェンジは想定されていませんでした。

スバルのモデルサイクルを踏まえると、XVのモデルチェンジは最短でも5年後の2022年ごろと見込まれました。「フォレスターのコンセプトが2015年に発表され、3年後の2018年に市販化された」ことを踏まえると、コンセプト発表からおよそ3年で市販化される計算です。

ヴィジヴ アドレナリン コンセプトが2019年発表であることから、逆算すると2022年のXVモデルチェンジと時期が合致します。コンパクトなボディサイズと全高の高いSUVスタイルもXVに合っており、当時から「ヴィジヴ アドレナリン コンセプトは次期XV」という見立てが最有力でした。実際、2022年にXVはクロストレックへと生まれ変わり、この予想は的中しています。

レガシィから独立したアウトバック後継という見方もあった

北米でも人気のSUVアウトバックの後継になるという見方もあった

スバルのコンセプトカーは、市販車のモデルチェンジを示唆することが多々あります。たとえば2018年にフルモデルチェンジしたフォレスターは2015年のヴィジヴ フューチャー コンセプトが基とされ、レヴォーグは2018年のヴィジヴ ツアラー コンセプトにつながったと言われます。

ジュネーブ国際モーターショー2019で公開されたヴィジヴ アドレナリン コンセプトは、SUVでありながら全高が抑えられたクーペタイプにも見え、既存車種に当てはめるとレガシィアウトバックが候補に挙がりました。当時のアウトバックはモデル末期にあたり、2019年から2020年ごろのフルモデルチェンジが見込まれていたため、次期アウトバックになる可能性も指摘されていました。

ただし、アウトバックはレガシィの派生であり、次期レガシィはシカゴモーターショー2019で発表済みでした。そのため、アウトバックは次期レガシィをベースに開発されるという見方が強く、ヴィジヴ アドレナリン コンセプトがアウトバック後継になるという説は、結果的には実現しませんでした。

トヨタと共同開発する新型MR2になるという説もあった

トヨタは2019年にスポーツクーペのスープラを日本市場へ復活させました。当時のスポーツカーは86のみで、スープラが加わって2車種となり、将来的に3車種へ広げる構想が語られていたことから、「かつてのMR2を復活させるのではないか」という噂も広がっていました。

スープラはBMWと、86はスバルと共同開発していたことから、仮に小型スポーツを出すなら共同開発相手はスバルになるはず、という発想で、ヴィジヴ アドレナリン コンセプトがMR2につながる可能性を指摘する声もありました。もっとも、実際にはこのコンセプトはSUVのクロストレックへと結実しており、MR2説は実現していません。MR2復活の話題は、後年あらためて別の文脈で取り沙汰されることになります。

まったく新しい新型モデルになる可能性は低いとみられていた

スバル ヴィジヴ アドレナリン コンセプトの発表と同時に公開されたティザー画像

ヴィジヴ アドレナリン コンセプトが、既存車種にないまったく新しい新型モデルになる可能性も、当時は指摘されていました。同時に公開されたティザー画像は2ドアクーペにも、全高の高いSUVにも見え、全長が短めなことからコンパクトSUVを思わせる要素もありました。

ただし、スバルの歴代コンセプトカーはいずれも市販を前提としたものが多く、まったくの新型車という可能性は低いと見られていました。結果的に、このコンセプトはXVの後継であるクロストレックへとつながり、既存ラインの進化形として市販化されています。

スバル ヴィジヴ アドレナリン コンセプトは2019年3月5日のジュネーブ国際モーターショーでワールドプレミア

スバルのコンセプトモデル「スバル ヴィジヴ アドレナリン コンセプト」は、2019年3月5日にジュネーブ国際モーターショー2019で世界初公開されました。

スバルのコンセプトモデルは既存車種の次期モデルを示すことが多く、このヴィジヴ アドレナリン コンセプトも、最終的にはXVの後継であるクロストレックへと結実しました。当時は「XVではない第4のSUVとして市販化されるのでは」といった噂もありましたが、実際にはXVの正常進化として2022年に市販化された、というのが答え合わせの結論です。