超小型車(超小型モビリティ)

超小型車の実用化はどうなった?市販化に期待したい超小型モビリティ7選

超小型車(超小型モビリティ)とは、排気量125cc以下で2人乗りも可能な原付・マイクロカー以上軽自動車以下の規格の乗り物です。免許制度や税金を含めて法整備の問題があり、実用化には至っていませんが、メーカー等が開発し、販売を待つ超小型モビリティを紹介。超小型車の時代は本当に来るの?

超小型車の実用化はどうなった?市販化に期待したい超小型モビリティ7選

超小型車(超小型モビリティ)とは?実用化のメリットやマイクロカーとの違い

超小型車(超小型モビリティ)とは、1~2人乗りでの移動を可能にする、軽自動車より小さい新規格の乗用車のことです車両規格は曖昧な部分もありますが、二輪車や1人乗り専用のマイクロカー(ミニカー)より大きく、軽自動車より小さい三輪or四輪車という位置づけです。

2012年頃に政府が「超小型車(超小型モビリティ)を実用化に向けて法整備をすすめる」という報道がなされ、新しい車社会の到来か!?と話題になりましたが、、市販化・量産化には至らず。
しかし、2019年に高齢ドライバーの増加が社会問題として大きく取り上げられるようになり、再び注目を浴びるようになりました。

東京モーターショー2019でトヨタが超小型EVを発表!発売は2020年冬を予定

トヨタ 超小型EV中央がTMS2019で初公開される超小型EV 右はビジネス向けコンセプトモデル

2019年10月17日、トヨタは第46回東京モーターショーに2020年冬に市販化を予定している電気式の超小型車を出展することを明らかにしました。

2020年市販化予定の超小型EVは、全長2,490mm×全幅1,290mm×1,550mm、乗車定員は2名で、最高時速は60km/h。1回の充電で100kmの移動可能で、最小回転半径は3.9m、買い物など高齢者の近距離移動や業務用車両としての購入を想定しています。

トヨタは超小型EVの普及に向けて、今後も企業や自治体との連携を強化。新たなビジネスモデルを構築していく意向を示しており、新型モデルの開発にあたっては国土交通省の超小型モビリティの安全基準案を参照しているとのことです。

トヨタ 歩行領域EV歩行領域EV 空港や工業での業務 体が不自由な方の観光地などでの活用を視野に開発中

東京モーターショーには、他にも立ち乗りタイプ・座り乗りタイプ・車椅子連結タイプの1人乗り「歩行領域EV」が出展されます。いずれも2020~2021年の市販化を目指して開発中で、東京モーターショーでは試乗も受け付けています。

超小型車の実用化が加速!2020年からは購入に助成金がでる可能性も!

2019年8月、経済産業省は高齢ドライバーによる事故増加を受けて、超小型車の購入代金に補助金を出す方針を固めました。
2019年6月には、トヨタが電気式の超小型車を2020年中に市販化すると既に発表しています。

超小型車には、長年法整備の問題あり、この点は本記事でも詳しく説明しています。
しかし、国が本腰を入れ始めたことで、公道走行に関する規制は更に緩和されるでしょうし、「超小型車」という新区分が生まれる日も遠くなさそうです。
税金や免許制度などの課題はまだ残りますが、カーシェアリング以外に「超小型車」を一般の人が買って運転する時代がやってきます。

「超小型車」の定義は定まっていませんが、経済産業省は「最高速度60~80km前後の1~2人乗り車両」に対し、上限を設けて助成する方針を明かしています。

超小型車(超小型モビリティ)が実用化されたらどうなる?

コムスのエクステリアトヨタ車体が開発した「コムス」

超小型車を導入するメリットと、導入するのなら考えなくてはならないデメリット・課題を解説します。軽自動車が公共交通が十分ではない地方の人たちの足となっているように、超小型車も低価格で維持費の安い移動手段としての役割が期待されています。

メリットは「車がないと不自由」な人たち全体の利益&観光業での活躍

  • 高齢者や子育て中の人も移動が楽になる
  • 買い物難民の解消
  • 軽自動車以上に維持費が安いため、地方在住者の負担が減る
  • 観光業での活躍も期待できる(環境にやさしいと尚良い)

デメリットは安全性確保のための法整備

  • 道路交通法、道路運送車両法などの法整備が必須
  • 衝突安全性が低く、公道走行する場所によっては危険を伴う(道路整備が必要)
  • 暑さ・寒さなどの問題もあり、軽自動車ユーザーにとっては快適性が低く魅力がない

超小型車を作るのは技術的には問題なし!電気自動車で環境にもやさしい

日本の自動車メーカーの技術的には、超小型車を作ることは難しくはありません。既に国内のモーターショーでは、家庭用コンセントで充電可能なEV式の超小型モビリティがお披露目されていますし、実証実験も行われています。

トヨタ車体は、超小型車として開発した「コムス」を、公道走行なミニカー規格に改良して販売しています。超小型車時代にはコストの問題もありますが、コムスは1台785,000円~。
軽自動車との価格の差を考えると難しい側面もありますが、技術的には難しくないようです。

超小型車とマイクロカー(ミニカー)の大きな違い3点

街を走る小型の三輪か四輪の車を見かけたことがある方もいるでしょう。あれはマイクロカー(正式名称「ミニカー」)と言い、道路交通法では普通乗用車の一種、道路運送車両法では原動機付自転車の一種とみなされています。
超小型車そのものの定義が曖昧なのですが、現段階での大きな相違点を3つ解説します。

超小型車は2人乗りまでOKで実用検討だが、マイクロカーは1人乗り専用

超小型車は1~2人乗り程度の車両を想定していますが、マイクロカーは1人乗り専用であり、同乗者を乗せることはできません。

超小型車は公道走行に自治体の許可が必要、マイクロカーは公道走行可能

超小型車(超小型モビリティ)は法整備が整っていないため、国産車はカーシェアリング用車両などを除き、市販化されていません。仮に個人で車両を購入できたとしても、軽自動車登録のうえで、公道走行には自治体の許可が必要です。
マイクロカーは、自動車専用道路や高速道路を除き、公道走行が認められている車両です。

超小型車は排気量125cc以下、マイクロカー(ミニカー)は50cc以下が条件

超小型車はエンジン排気量125cc以下、電気自動車の場合は定格出力8kWと規定される可能性が高く、開発している自動車メーカーもこの規格を参考にしています。

一方で、ミニカーのエンジン排気量は50cc以下と一般的な原動機付自転車と同水準。EV式の場合は定格出力は0.6kW以下と定められています。

自動車メーカーやベンチャーが開発した量産化を待つ超小型モビリティ7選

トヨタ、日産、ホンダ、ダイハツ、スズキは、超小型車(超小型モビリティ)規格の自動車をすでに開発済みで、モーターショー等で公開、一部実証実験もしています。
また、自動車メーカー以外にも、ベンチャー企業などが新たに超小型モビリティを開発した例もあります。これらは法整備が整えば、量産化が可能なものも少なくありません。

トヨタの「i-ROAD」はスポーティーな走りが楽しめる近未来の超小型車らしさ全開!

i-ROADのエクステリアトヨタのEV式超小型車i-ROAD 2020年に市販化予定!

コムスを1人乗りのミニカー規格として販売しているトヨタですが、コムスとはまた違った乗り心地の3輪小型モビリティ「i-ROAD」を実用化に向けて開発中です。

i-ROADは超小型の電気自動車(EV)で環境にも配慮されている

動力は電気のため、CO2が発生せず環境にやさしいモデルです。また、三輪でコーナーではバイクのように傾きます。実用性の高さだけでなく、「未来にはこういう車があっても良いよね」という楽しさや面白さを追求していることが感じられる車です。

日本のトヨタ市やフランスで実証実験を行っており、i-ROADを進化させた「i-TRAIL」もすでに海外のモーターショーでコンセプトカーとして発表しています。

i-ROADは北海道などの自然豊かな観光地でも活用中

量産化はされていないものの、カーシェアリングやレンタルといった形で、超小型車を運転できる場所は全国にいくつか存在します。トヨタi-ROADは、北海道の清里町や斜里町で「ひがし北海道ネイチャーパス」の利用者限定で有料レンタルされています。

雄大な自然を満喫したいと思ったとき、バスや車では速度が早すぎる、自転車では移動が大変すぎると感じることがあります。

しかし、超小型車なら、のんびり走りながら景色を味わえますし、CO2を排出しないEV式なら環境への負荷も小さいはずです。また、超小型車そのものが「新しい形の車」として珍しい存在です。観光業での活躍は、今後も期待できるでしょう。

i-ROADベースにした超小型モデルが2020年中に登場予定!

2019年6月7日に、トヨタはi-ROADをベースにした電気式超小型モデルを2020年に市販化すると発表しました。

発売予定のi-ROADベースの新型車スペック
全長 2,500mm
全幅 1,300mm
全高 1,500mm
乗車定員 2名
最高速度 60km/h
1充電走行距離 約100km

全長2.5m×全幅1.3mは、現行の軽自動車規格である「全長3.4m以下×全幅1.48m」よりもかなり小さいボディサイズです。軽自動車より小さい「マイクロカー(ミニカー)」という区分も存在しますが、マイクロカーの定義は乗車定員1名までなので、i-ROADは合致しません。

現状では、超小型車であるi-ROADは、軽自動車として発売するしかありません。しかし、2020年までに法整備が整えば、新規格の車となり、軽自動車とは異なる存在として登録される可能性もあります。

日産「ニューモビリティコンセプト」はルノーの超小型車をベースに最高速度80km/hを実現

ニューモビリティコンセプトのエクステリア最高速度80km/hで充電時間が4時間の実用的な超小型車

日産「ニューモビリティコンセプト」はEV式で、二人乗りが可能な超小型車です。実際に試乗した人からは、機動性が高く、運転や駐車がしやすいと好評。最高速度80km/hで充電時間が4時間と、市販化されればかなり高性能な超小型モビリティとなるでしょう。

ニューモビリティコンセプトは、ルノーが欧州で販売している「Twizy(トゥイジー)」がベース車となっています。欧州では超小型モビリティの販売が既にはじまっており、「Twizy」はフランスでは検定を終了すれば14歳から運転できます。

ホンダ「MC-β」はバイクのようなスタイリッシュで居住空間の広い超小型車

MC-βのエクステリアホンダMC-βは航続距離80kmで中距離移動も可能

熊本県、さいたま市、宮古島市などで実証実験が行われたホンダの「MC-β」。二人乗り仕様の超小型車ですが、バイクのように前後に人が座るタンデム式の乗車で居住スペースを広くとれるように工夫しています。

最高速度70km/hで、最大航続走行距離が80km程度なので、フル充電しておけば中距離の移動も可能です。デザインもスタイリッシュです!

rimOnO(リモノ)は外装を発泡ウレタンで覆ったゆっくり走りたい人向けの超小型車

リモノのエクステリアリモノは着せ替えもできる個性的なモビリティ

乗り物(NORIMONO)から、「NO」をとって名付けられた「rimOnO(リモノ)」。外装がクッション性の高いウレタン素材でおおわれており、着せ替えも可能です。

rimOnOは高齢者など歩行が困難な人に使ってもらうコンセプトなので、重量は軽量、スピードはあまり出ないようにし、安全性に配慮しています。現在は開発を休止していますが、ゆっくり走りたい人にはおすすめの超小型モビリティになりえます。

Piana(STYLE-D)は「フロントドア」から乗り込む個性的なスタイルの超小型車

元トヨタのデザインプロディーサーだった山下泰弘氏が開発した超小型車「Piana(ピアーナ)」は、前方が開き、そこから乗り込むという独創的なデザイン!
リチウム電池とマグネシウム電池のハイブリッドで、充電3時間で120キロほど走れます。

ULV(早稲田環境研究所)は重量わずか82kgの超軽量小型モビリティ

ULVのエクステリア大学が研究して開発した軽量モビリティULV

早稲田大学の研究室で開発されたULVは、車両重量がわずか82kgのリチウム電池式の超小型車です。墨田区で業務用車両や観光用モビリティとして実証実験もされており、イベントカーとしても人気の車両ですが、現在は被災地などでの活用も視野に入れて研究が進められています。

キューモ(NTN)はその場での左右移動を可能にした新しい超小型EVモビリティ

キューモのエクステリア回転や横移動ができる利便性が特徴のキューモ

NTNが開発したQ’mo、Q’mo II最大のポイントは、その場での回転や左右移動が可能なこと。「小回りがきく」以上の方向転換の良さはまさに新時代のモビリティです。

超小型車(超小型モビリティ)の時代は本当にやってくるの?

「政府が検討をすすめている」と言いつつ、いまひとつ進展の見えない超小型車。果たしてマイクロカーでも、軽自動車でも、原付バイクでもない、「超小型モビリティ」が街を走ることはあり得るのでしょうか。

超小型車の課題は法整備!運転資格や税金はどうする?

超小型車がどの程度普及するかどうかは一度置いておいて、車両規格を決め、法整備をしないことには量産化に至らないのが現実です。

超小型車の個人購入は難しく、実証実験をしている企業等から借りるのが一般的

2019年現在、超小型車に乗ってみたいのなら、実証実験をしているカーシェアリングやレンタカー会社から借りるという方法がもっとも一般的です。
その他、メーカーに直接問い合わせて購入するという方法もありますが、その場合は自分で自治体へ申請し、運輸局からの許可がなくては公道走行はできません。

2017年10月に国土交通省は、「超小型車」の公道走行に関する手続きを簡略化しました。ただこれはカーシェアリングやレンタカーの事業者が自治体を通さず直接運輸局に申請できるようにしたものです。

運転資格は普通運転免許だが、「限定免許にすべき」という意見もある

現在、超小型車を運転するためには、普通自動車運転免許(AT限定も可)が必要です。

しかし、欧州の一部の国では、そもそも超小型車の運転には免許がいりません。日本人の感覚でいうとまったくの無免許も怖いですが、「手軽な乗り物」と位置づけるなら取得に高額な費用がかかる「普通運転免許が必須」というのは議論の余地が残ります。

三輪の超小型車は、クルマよりもバイク操作に近いとも言われるので、専用講習を実施し「限定免許にすべき」という意見もあります。

AT限定免許が誕生し、70歳以上のドライバーに高齢者講習が義務付けられたように、時代に合わせて免許制度が変更されるのはおかしなことではありません。超小型車を本格導入するのなら、既存の免許制度の見直しを検討しても良いはずです。

超小型車の税金はどうする?年7,200円は高い?

個人が超小型車を所有するようになると、気になるのが税金です。超小型車の自動車税は7,200円と検討されているようですが、まだ確定ではありません。

軽自動車の自動車税は10,800円、公道走行可能な1人乗りミニカーは3,600円、原付バイクの自動車税は2,000円です。この価格を高いと見るか、安いと見るかは意見が分かれるところでしょう。

2020年のトヨタ超小型EV登場で超小型モビリティ開発が加速する可能性

トヨタは、2020年に超小型EVの発売を明言しています。
これまで超小型車は、軽自動車より小さく乗車定員も2名程度、最高速度が低いにもかかわらず、現行の自動車規格では軽自動車として発売するしかない存在でした。

そのため「規格や法律が整えば、量産化する」というメーカーが多いなか、2020年発売を明言したトヨタは、法整備を待たずに先陣を切った形にみえます。

規格改定などの情報を掴んでいる可能性もありますが、1番の理由は、近距離移動と相性が良い超小型EV車にビジネスチャンスを見出しているからでしょう。欧州や新興国での展開を視野に入れて、開発を本格化したいという思惑も考えられます。

近年では、高齢者ドライバーによる自動車事故も社会問題化しており、超小型車への注目も再び増してきています。トヨタの超小型EV発売によって、超小型モビリティ市販化に向けた動きが加速し、法改正がなされる可能性も十分にあり得ます。

超小型車を普及させるならドライバーや歩行者の安全性を真剣に議論すべき

2020年以降の市販化、普及に期待のかかる超小型車ですが、安全性の問題は十分に議論すべきです。超小型車が仮に一般の公道を走ることになった場合、当然そこには普通車や中には大型トラックも走行しています。

「車の運転が厳しくなってきた高齢者に超小型車に乗り換えてもらう」は安易

超小型モビリティは、「高齢者のための新しい乗り物」とよく言われています。経済産業省も2020年以降、高齢ドライバーの事故増加を受けて、超小型車の購入に助成金を出す方針を固めました。
助成金対象が、超小型車の購入者全員なのか、それとも高齢者を対象にしているのかはまだ明らかになっていません。

しかし、普通車(軽自動車含む)からの乗り換えを安易に進めるのには疑問が残ります。
超小型車の多くは、最高時速60km/h程度に設定されています。もっと速度を制限することもできますが、「運転」という行為に危険が伴うのは、超小型車も自動車も変わりありません。

「超小型車」という選択肢があっても良いとは思いますが、超小型車の普及によってすべての問題が解決するわけではないのです。

超小型車が都市部を走る姿は想像しづらいが、限定活用ならあり得るのでは?

超小型モビリティが日本の都市部を普通自動車のようにたくさん走る光景は想像しづらいものです。「2020年の東京オリンピックまでに規制緩和があるのではないか」といった話もありましたが、すでに間に合わないようです。

安全性の問題がありますので、仮に法整備がされた場合も、超小型モビリティは交通量の少ない地方から、試験的に少しずつ普及していくことが予想されます。

離島や過疎地域では、原付バイクや1人乗りのミニカーに乗っている高齢者がいますので、それが超小型モビリティに代わるといのは想像しやすいです。

更に豊かな自然があり、外国人観光客も多く訪れるような観光地。乗用車でのドライブだと景色を見るにはスピードが早すぎるので、エコな乗り物としてEV式の2人乗りも可能な超小型モビリティは需要が高そうです。