パワステオイルの交換時期の目安や交換法・業者に頼んだ際の費用の目安
油圧式方式を採用するパワステ(パワーステアリング)にとって必要不可欠となるパワステオイルは、電動式パワステが主流となってきてからはニーズが少なくなりました。
しかし、油圧式パワステによるハンドル操作の爽快感を支持する人達も多くいます。そういった声に応えるために電動油圧式パワステが開発されました。
電動油圧式パワステにも用いられるパワステオイルの交換時期の目安や交換を業者に頼んだ際の費用の目安を紹介します!
パワステオイルの役割は油圧の素となりハンドル操作のサポートを行う
パワステオイルを圧力の素として利用する油圧式パワーステアリングは、エンジンの動力を利用してポンプを作動させ油圧を作り出します。その力はハンドル操作をサポートするエネルギーとして活かされます。
パワステオイルの状態が良く十分な量が確保されることで、運転中のハンドル操作が軽くスムーズな動きになります。パワステオイルは使用期間が長引けば劣化してしまいます。劣化状態を放置し続けるとオイル漏れなどのトラブルに発展し、パワステの故障となりうるトラブルへ結びつきやすくなります。
そういった事態を避けるためには、パワステオイルの適切な交換時期を知る事が大切です。
交換時期の目安は走行距離2万kmあるいは2年毎
油圧式パワステは、オイルによる圧力でハンドリングのサポートをおこないます。その圧力は、パワステを構成するパーツにも加わってしまうため長期間の使用によりその負担は蓄積します。
油圧の影響を強く受けることで、オイルの通り道であるホースが損傷したり、繋ぎ目がダメージを受けたりすることでパワステオイルが外側に漏れ出してしまうこともあります。パワステオイルが外側に漏れ出していれば、サポート力が弱まりハンドルが重く感じます。
ホース等の各パーツに損傷がおきていても、パワステオイルを継ぎ足すことで十分な場合もあれば、パーツそのものを交換しなければならないケースもあります。
パワステオイルの交換を考えなければならない時期は、走行距離2万km、または2年に1回のタイミングです。定期的に継ぎ足し交換のタイミングを設けることでパワステを構成する内部パーツは故障しにくくなります。
パワステオイルのメンテナンスチェック法
パワステオイルの継ぎ足しあるいは交換のタイミングは、走行距離2万kmあるいは2年に1回のタイミングですが、街中での走行が多く頻繁にハンドリングを行うなどの条件が重なればそのタイミングは早くなります。
パワステオイルの劣化や不足は、車の安全性の低下に直結します。そのため、もしも問題が起きていれば早い段階で気が付きたいものです。
ここでは、パワステオイルの異常の発見に役立つメンテナンスチェック法を紹介します。
- 運転中に「ウィーン」などの異音がする
- 運転中に焦げたような匂いがしている
- ハンドル操作を行った際に違和感がある
- パワステオイルに黒味が増している
- パワステオイルの残量が最低ライン以下となっている
該当する項目が多ければ、パワステオイルの状態等に異常が起きていてその影響がパワステにも及んでいると考えられます。
パワステオイルの交換手順
パワステオイルの交換方法には「全量交換」と「希釈交換」があります。全量交換を行う際には、オーバーフローなどのリスクが生じやすいため専門的な知識が必要となります。
ここでは、古いオイルを少しずつ抜いていきその都度、新しいオイルを注入していく希釈交換の方法を紹介します。不安を感じたら無理に自分で行わず、作業に慣れているカー用品店などのスタッフにお任せしましょう!
1.交換に必要な道具を揃える
パワステオイルを交換する時に必要となるアイテムは以下の通りです。
- 新しいパワステオイル
- 車を持ち上げるジャッキ
- オイルサクションガン(古いオイルの吸入・新しいオイルの注入に用いる)
- 軽量カップ
- 廃油を入れるための容器や処理パック
2.タンクから古いオイルを抜く
エンジンを切った状態でパワステオイルが混入されている容器のキャップを外して、オイルサクションガンを用いて古いオイルを吸入します。吸入したオイルは廃油を入れるために用意した容器へ移します。
抜き取る際の注意点は、タンク側面に記されている最低ライン(COLD MIN)以下とならないようにすることです。オイルを抜きすぎて最低ラインを超えてしまえば気体が混じるなどの問題が生じやすくなります。
3.新しいパワステオイルを注入
古いパワステオイルを抜いたら、その都度新しいオイルを注入します。新しいパワステオイルを注入するときの注意点はタンク側面に記載されている最大ライン(COLD MAX)を超えないようにすることです。
4.ハンドルを左右に数回まわす
新しいオイルを補充できたらタンクのキャップを閉めて、エンジンをつけてからオイルを機構内のパーツにうまく循環させるためにハンドルを数回まわします。ジャッキアップを行って前輪を浮かした状態で行うか、周辺をドライブすることでよりスムーズに循環が行われます。
5.抜き取ったオイルを処理
吸入した古いパワステオイルは、持参した容器に入れる、あるいは処理パック等に吸収させてから、燃えるゴミとして処理しましょう。
パワステオイルの交換費用は3,000円前後
パワステオイルの交換をカー用品店に依頼した時の交換費用の相場は3,000円前後となります。
カー用品店 | 交換費用 | 作業目安時間 |
---|---|---|
オートバックス | 軽自動車:3,780円~ RV・ワンボックス:4,860円~ |
20分~ |
イエローハット | 1,620円~ | 15分~ |
ジェームス | 3,140円~ | 15分~ |
パワステオイルの交換をしても、異音が続きハンドルが重いという状態が続けばパワステを構成するパーツの故障が考えられます。複数のパーツに故障が起こっているケースも想定され、そのときは費用がかさんでしまうため、車の買い替えを考える人も少なくありません。
パワステパーツの不具合 | 目安となる価格 |
---|---|
ホース交換(1本あたり) | 10,000円~ |
パワステギアボックス | 70,000円~ |
パワステポンプ交換費用 | 30,000円~ |
パワステコントローラ交換 | 70,000円~ |
パワステオイルのニーズは今後高まっていく
車を運転するときに、走行シーンに合わせて方向を決めるハンドリング。そのサポートを担うパワステにとって大切な液体のパワステオイルに不具合が起きていれば、車の安全性は低くなります。
今、販売されている車はパワステオイルが不要な電動式パワステが主流となっているので、以前と比べればそのニーズは減っています。
パワステオイルの力でハンドルのサポートを行う油圧式パワステの魅力は、ハンドリングをより気持ちよく行えるということです。
最近では、そのメリットを活かそうと電動式パワステと油圧式パワステを組み合わせた「電動油圧式パワステ」が誕生し、支持を集め始めています。
今後さらなる普及が予想される電動油圧式パワステを搭載した車が増えていくことでパワステオイルのニーズは高まっていきます。