パジェロ ファイナルエディションは700台が完売 2019年8月の国内向け生産終了で4代目は幕を閉じた
三菱パジェロの最後を飾った特別仕様車が「ファイナルエディション」です。2019年4月24日に700台限定・4,530,600円(消費税8%込)で発売され、同年8月の国内向け生産終了をもって、パジェロは37年の歴史に区切りをつけました。限定枠はほどなく完売し、中古市場では新車価格を上回る値が付く個体も珍しくありません。
その後、海外向けパジェロも2021年7月に生産を終え、生産を担ってきたパジェロ製造は同年8月末で閉鎖。4代目パジェロは名実ともに役目を終えました。一方で車名そのものは生き残り、2026年5月29日には新型クロスカントリーSUVの車名が『パジェロ』に決定したと正式発表されています。このページは、日本のパジェロが幕を下ろした当時の記録として、ファイナルエディションの中身を中心に整理したものです。
2026年5月29日に「パジェロ」の車名復活が正式決定 ファイナルエディションが担った”最後のパジェロ”の役目は約7年で終了
三菱自動車は2026年5月29日、開発中の新型クロスカントリーSUVの車名を『パジェロ』に決定し、2026年秋に世界初公開すると発表しました。日本仕様の生産終了が2019年、海外向けが2021年ですから、国内では約7年ぶりの車名復活です。新型はピックアップトラック『トライトン』のラダーフレームをベースに改良を施し、キャビンと前後サスペンションを専用開発することで、悪路走破性と乗り心地の両立を狙うとされています。あわせて、今後は「パジェロシリーズ」として車格違いの製品を追加していく方針も示されました。
2026年7月17日にはティザーサイトが更新され、ラリー由来の補助メーターとしてパジェロを象徴してきた「3連マルチメーター」を、次世代のデジタル表現で受け継ぐことが明かされています。発売時期や価格は2026年7月時点で正式発表されていませんが、世界初公開が秋である以上、日本での発売は年内から年明けにかけてとなる見込みです。
いずれにせよ、ファイナルエディションが背負ってきた「最後のパジェロ」という肩書きは、約7年で解かれることになりました。ただし新型はラダーフレーム構造もパワートレインも別物であり、ビルトインラダー+3.2Lディーゼルという4代目の成り立ちを継ぐモデルではありません。ファイナルエディションは、あくまで4代目までのパジェロを締めくくった一台という位置づけです。
海外向けパジェロは2021年7月に生産終了 パジェロ製造も同年8月31日で閉鎖され4代目は完全に姿を消した
国内向けが2019年8月で終わったあとも、パジェロは東南アジアやオーストラリア、中東向けなどに供給が続いていました。その流れが変わったのが2020年7月27日です。三菱自動車は構造改革の一環として、生産子会社であるパジェロ製造(岐阜県坂祝町)を2021年度上期をめどに閉鎖すると発表し、閉鎖に伴う費用81億円を第1四半期の特別損失に計上しました。同社の従業員は2020年5月時点で1,223人を数えています。
パジェロを組み立てていたのは事実上この一拠点だけだったため、工場の閉鎖はそのままパジェロの終幕を意味しました。海外向けパジェロの生産は2021年7月に終了。パジェロ製造は同年8月6日に全車種の生産を停止し、8月31日をもって生産活動を終えて工場を閉じています。1982年から積み上げた累計生産台数は396万台に達しました。併産していたデリカD:5は岡崎製作所へ移管され、パジェロの販売は在庫がなくなり次第終了という扱いになりました。
パジェロ終幕までの流れ
- 2019年4月24日:特別仕様車「ファイナルエディション」を700台限定で発売
- 2019年8月:国内向けパジェロの生産を終了
- 2020年7月27日:パジェロ製造の閉鎖を発表(特別損失81億円)
- 2021年7月:海外向けパジェロの生産を終了
- 2021年8月31日:パジェロ製造が生産活動を終了し工場を閉鎖(累計396万台)
- 2026年5月29日:新型クロスカントリーSUVの車名を『パジェロ』に決定と発表
2019年8月の国内向け生産終了は歩行者保護基準が引き金 700台は完売し中古相場は総額420万〜580万円前後
国内向けパジェロが2019年8月で打ち切られた直接的な理由は、販売不振そのものよりも法規対応にありました。歩行者保護基準は頭部保護に加えて脚部保護が追加され、新型車には早い段階から義務づけられていたものが、継続生産車にも2019年9月から適用されることになっていました。これに適合させるにはフロントまわりの骨格とデザインを大きく作り直す必要があり、三菱自動車は同時期にi-MiEVやデリカD:5で大がかりな改良を実施しています。パジェロだけがそれを見送ったということは、投資に見合う販売台数を見込めなかったということにほかなりません。国内販売が年間1,000台を割り込んでいた以上、避けがたい判断だったといえます。
ファイナルエディションの700台は完売しました。発売から間もない時期に、走行距離が数十kmという個体が中古車サイトに並んだことも当時話題になっており、限定車として投機的な動きがあったことは否めません。2026年7月時点でも流通量は少なく、支払総額でおおむね420万円台から580万円前後という価格帯で取引されています。新車価格が4,530,600円だったことを踏まえると、7年落ちで新車価格前後、あるいはそれを上回る水準を保っている計算です。
値落ちが起きない理由は複数あります。700台という母数の小ささに加え、ラダー構造とディーゼルを備えた本格クロカンそのものが国内市場から減り、ランドクルーザー系をはじめとする同種のモデルが軒並み高値で推移していること。さらに2026年の車名復活が発表されたことで、旧型パジェロ全体への注目が改めて集まったことも影響しているとみられます。程度の良い個体を狙うなら、値下がりを待つより、記録簿の残る車両を早めに押さえる判断が現実的でしょう。
パジェロファイナルエディションが2019年4月24日発売 販売価格4,530,600円で700台限定販売
ここからは、ファイナルエディションがどのような一台だったのかを詳しく見ていきます。日本仕様に先行して、2018年にはドイツでもファイナルエディションが1,000台限定で設定されていました。日本仕様とドイツ仕様では中身が大きく異なるため、両方を並べて確認します。
パジェロがファイナルエディションを発表 ランエボに次ぐ第2弾のファイナルエディションが登場
限定700台のファイナルエディションを最後に、パジェロは2019年8月で日本市場から退いた
三菱自動車は2019年4月24日、パジェロの国内販売を同年8月に終える方針を明らかにするとともに、最後の特別仕様車「パジェロ ファイナルエディション」を発売しました。三菱自動車自身が「進化の最終形」と表現した一台で、37年におよぶパジェロの歩みを締めくくる役割を担っています。
ベースとなったのは、3.2Lクリーンディーゼルを積む上級グレードのエクシードです。販売価格は4,530,600円(消費税8%込)で、700台の限定販売でした。ランサーエボリューションに続く、三菱にとって2度目の「ファイナルエディション」という位置づけになります。
パジェロ特別仕様車ファイナルエディションの特別装備
- ルーフレール
- 電動ロングサンルーフ
- 本革シート
- 運転席/助手席パワーシート
- 寒冷地仕様
- リアデフロック
- SRSサイドエアバッグ
- カーテンエアバッグ
- シリアルナンバー入り専用スカッフプレート
- 専用オリジナルウォッチ・ステッカー
特別装備で目を引くのはルーフレールと電動ロングサンルーフです。パジェロは装備を単体のメーカーオプションとして選ぶことができず、電動ロングサンルーフが欲しければ407,160円のフルパッケージBを付ける必要がありました。
ベースのエクシードとファイナルエディションの価格差は248,400円ですから、電動ロングサンルーフだけを見ても差額を上回っている計算になります。そこへ本革シート、パワーシート、寒冷地仕様、リアデフロック、サイド&カーテンエアバッグまで加わるのですから、限定車としては素直にお得な設定でした。加えて、シリアルナンバーが刻まれた専用スカッフプレートと、専用のオリジナルウォッチ・ステッカーが所有欲を満たす小道具として用意されています。
ボディカラーはモノトーンのウォームホワイトパール、ブラックマイカ、スターリングシルバーメタリックに、3way2toneのスターリングシルバーメタリック&アイガーグレーメタリックを加えた全4色でした。
パジェロ特別仕様車ファイナルエディションのボディカラー一覧
- ウォームホワイトパール(32,400円高)
- ブラックマイカ
- スターリングシルバーメタリック
- スターリングシルバーメタリック&アイガーグレーメタリック(3way2tone)
パジェロ ファイナルエディション(日本仕様)の主要スペック
- 型式:LDA-V98W
- ボディサイズ:全長4,900×全幅1,875×全高1,900mm
- エンジン:3.2L 直列4気筒DOHCコモンレール式クリーンディーゼルターボ
- 最高出力:190PS/最大トルク:441Nm
- トランスミッション:INVECS-II スポーツモード5速AT
- 駆動方式:スーパーセレクト4WD-II
- 乗車定員:7名(5ドアロングボディ)
- 車両本体価格:4,530,600円(消費税8%込)/700台限定
4代目パジェロは2006年10月に登場したモデルで、ファイナルエディションが出た2019年時点で13年目に入っていました。そのため、現在なら当たり前になっている衝突被害軽減ブレーキなどの先進安全支援装備は搭載されていません。この点は中古で狙う場合の注意点になります。一方で、通常グレードではオプション扱いだったSRSサイドエアバッグとカーテンエアバッグが標準装備されており、当時のパジェロとしては最も安全装備が充実した仕様でした。
ドイツ三菱でパジェロの販売終了が決定!2018年には1,000台限定でファイナルエディションが発売されていた
左がロングのファイナルエディションで、右がショートのファイナルエディション
日本より一年早く終幕を迎えたのがドイツ市場です。三菱のドイツ法人は2018年4月13日、生産終了に合わせた特別仕様車「Final Edition」を発表しました。3ドアと5ドアの両方に設定され、合計1,000台限定という内容です。欧州での撤退理由は販売不振というより、年々厳しさを増すEUの型式認証・排出ガス規制への対応が難しくなったことにありました。日本の歩行者保護基準と同様、法規が旧世代のクロカンを追い詰めたかたちです。
1,000台の配分は3ドアのショートが300台、5ドアのロングが700台とされ、ファミリーでも使える5ドアに多くが割り当てられました。搭載エンジンは日本仕様と同じ3.2Lディーゼルで、最高出力190PS・最大トルク441Nm。組み合わされるトランスミッションも5速ATのみでした。牽引能力は3ドアが3t、5ドアが3.5tに設定されています。
価格は3ドアが40,990ユーロから、5ドアが52,990ユーロからというもので、ベースグレードは3ドアが標準仕様の「Basis」、5ドアが最上級の「TOP」です。つまり3ドアは走破性を、5ドアは快適性を伸ばす方向で味付けが分けられていました。カンガルーバーを備える3ドアはアウトドア志向、20インチを履く5ドアは街乗り志向と、性格の違いがはっきりしています。
パジェロショートファイナルエディションはカンガルーバーを装備しオフローダーなホイールがカッコいいエクステリア
パジェロショートのファイナルエディションはスチール製ブルバーを装備し18インチホイールを履いている
3ドアのショートは、日本では2018年2月に生産を終えており、国内のファイナルエディションには設定されませんでした。日本仕様が5ドアロングのみになったのはこのためです。ドイツ仕様のショートは、日本ではまず見かけないマットブラック仕上げのスチール製ブルバー(カンガルーバー)を装着しており、保安基準の関係から日本仕様に導入される可能性はもとよりありませんでした。
足まわりと下まわりの武装も本格的です。厚さ4mmのアルミ製フロントスキッドプレートに加え、オフローダーらしいデザインのブラックアルミホイールと265/60R18のオールテレーンタイヤ、ルーフレールを装備。ルーフの積載可能重量は100kgまで引き上げられ、100%ロック可能なリヤデフも組み合わされます。
パジェロショートファイナルエディションの特別装備
- ルーフレール(ルーフ積載重量100kgまで対応)
- フロントシートヒーター(2段階)
- アルミ製フロントスキッドプレート(4mm厚)
- 265/60R18のオールテレーンタイヤ
- 18インチアルミホイール(ブラック・オフロードデザイン)
- スチール製カンガルーバー(マットブラック仕上げ)
- リヤデフロック(100%ロック)
- ボディ同色ドアミラー&ドアハンドル、ドアミラーLEDウインカー
快適装備としては、ヘッドライトウォッシャー、2段階調整式のフロントシートヒーター、クルーズコントロール、Bluetooth、本革巻きステアリングなどが与えられました。キャンプ場までの移動や高速走行ではクルーズコントロールが効き、暖房の立ち上がりが鈍い冬の朝もシートヒーターがあれば体はすぐに温まります。後席のガラスは濃色化され、プライバシー面にも配慮されていました。
パジェロロングファイナルエディションは街乗り重視の煌びやかなエクステリアで大径ホイールを装備
パジェロロングのファイナルエディションは20インチアルミを装備した街乗り重視のモデル
5ドアのロングは、日本仕様のファイナルエディションでも唯一のボディタイプとなった7人乗りモデルです。ドイツ仕様のロングは最上級の「TOP」をベースにしており、そこへレザー内装や加飾を積み増した構成でした。日本仕様が中間グレードのエクシードをベースにしていたのに対し、ドイツ仕様は最初から最上級から出発している点が違います。
装着するホイールは20インチの大径タイプで、イルミネーション付きのドアシルプレート、フロントスキッドプレート、リアスポイラー、電動サンルーフ、クローム調のスペアタイヤカバーが与えられました。3ドアと同じくルーフレールも備わるため、ルーフキャリアなどの拡張にも対応します。
パジェロロングファイナルエディションの特別装備
- 本革シート
- ルーフレール
- リアスポイラー
- 電動サンルーフ
- イルミネーション付きドアシルプレート
- フロントスキッドプレート
- 20インチアルミホイール
- クローム調スペアタイヤカバー
- ナビゲーション付きインフォテインメントシステム
ロングには電動サンルーフが備わり、3ドアショートより快適性が一段上がっています。本革シートとピアノブラック調・メタル調の加飾が組み合わされ、室内の質感も引き上げられました。20インチアルミホイールはシルバーとブラックに塗り分けられたスタイリッシュなデザインで、悪路よりも舗装路が似合う仕上がりです。同じ「ファイナルエディション」でも、3ドアと5ドアで狙いをはっきり分けたところに、最後まで二つの顔を持っていたパジェロらしさが表れています。
日本のパジェロは2019年4月24日にファイナルエディションを発売 国内販売は2019年8月に終了

日本仕様のパジェロは2018年の販売台数が747台と、年間1,000台を割り込んでいました。売れ行きが細った車種が姿を消す流れは当時から珍しくなく、RVブームをけん引したパジェロも2019年8月に国内向けの生産を終えています。累計では国内だけで64万台以上(2019年3月時点)、世界170以上の国と地域で4世代あわせて325万台以上を売った、三菱自動車を象徴する一台でした。
2016年に販売を終えたランサーエボリューションと同じく、パジェロにもファイナルエディションが用意され、限定700台で発売されました。ベースは上級グレードのエクシードで、通常はオプション扱いだったルーフレールや電動ロングサンルーフ、そしてリアデフロックまで標準装備され、悪路での実力も損なわれていません。
価格は4,530,600円。ベースとなるクリーンディーゼルのエクシードから248,400円高い設定でしたが、装備内容を照らし合わせれば十分に納得できるパッケージでした。3.2Lクリーンディーゼルを積み、悪路走破性に長けたパジェロを新車で買える最後の機会は2019年8月に閉じ、700台はすべて売り切れています。
ダカールラリーでの通算12勝(7大会連続優勝を含む)や、1990年代のRVブームの中心にいたことなど、パジェロが日本の自動車史に残したものは決して小さくありません。その生まれ故郷である日本から一度姿を消したのは寂しい出来事でしたが、記事の締めくくりに書いた「いつの日か復活してほしい」という願いは、2026年5月29日の車名復活発表というかたちで現実になりました。ファイナルエディションは、その約7年の空白を挟んで前後をつなぐ、記憶されるべき最終型です。






















