ポルシェ マカンはガソリン版が2026年7月末に生産終了 フル電動の2代目へバトンタッチし後継ICE車は2028年頃
ポルシェの主力コンパクトSUV「マカン」は、2024年1月に歴代初のフルモデルチェンジを受けてフル電動(BEV)専用の2代目へ移行しました。そして初代のガソリンモデルは、2026年7月末をもって生産を終了します。2014年の発売から約12年、累計100万台を売り上げた稼ぎ頭が、後継車の登場を待たずにラインオフするという異例の幕引きです。
2026年7月現在、日本のポルシェ公式サイトにはガソリンの「Macan」とフル電動の「Macan Electric」が併記されており、確保された在庫がある限りはガソリン版も選べる状況が続いています。ポルシェは在庫を積み増しており、米国や英国では2027年まで販売が続く見込みです。内燃機関を積む実質的な後継SUV(コードネーム「M1」)は2028年頃の登場が予定されていますが、「マカン」の名はEV専用となるため、別の車名を名乗る見込みです。
この記事はもともと2019年のマイナーチェンジを追いかけたものですが、以下では最新の動きから順に、当時の予想がどうなったのかも含めて整理していきます。
ガソリンのマカンが2026年7月末に生産終了 約12年の歴史に幕、後継の内燃機関SUV「M1」は2028年頃
ポルシェは2026年7月、英国で開かれたグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードの場で、ガソリンエンジンを搭載するマカンの生産を2026年7月末で終了することを認めました。同年4月の決算説明会で最高財務責任者のヨッヘン・ブレックナー氏が「2026年半ばまで生産し、サプライヤーからの部品供給に基づいて可能な限り在庫を確保する」と述べていた内容が、正式に日付として固まった形です。
興味深いのは、これが売れないから終わるわけではないという点です。2026年上半期のマカン世界販売は合計35,315台で、内訳はガソリン車19,695台に対してEVが15,620台。欧州ではすでにガソリン版が買えないにもかかわらず、グローバルではガソリン車が数を上回っています。第1四半期だけを見てもガソリン10,130台/EV 8,079台で、ガソリン版は前年同期の9,370台から台数を伸ばしてすらいました。ポルシェが自ら最大の資金源を断つ格好になっています。
ブレックナー氏によれば、残る在庫の多くは内燃機関車の需要が高い地域に振り向けられ、とくに米国が最優先とされています。米国政府がEVへの税制優遇(1台あたり7,500ドル)を停止したことで、マカン・エレクトリックの販売にはむしろ逆風が吹いているためです。英国部門は2027年まで購入可能であることを認めており、日本でも当面は在庫の範囲で選べると見ています。
後継となる内燃機関SUVはコードネーム「M1」として開発が進んでおり、2028年頃のデビューが見込まれます。プラットフォームは3代目アウディQ5と共通のPPC(プレミアム・プラットフォーム・コンバッション)で、現行マカンが初代Q5とMLBを共有していた関係とよく似た構図です。パワートレインは最新のガソリンターボとPHEVが中心になると見られています。ブレックナー氏は「アウディからプラットフォームを採用する場合、変更を加えずにそのまま使うことは決してない」とも述べており、味付けはポルシェ独自になるはずです。
つまりマカンというセグメントには、2026年から2028年まで約2年の空白が生まれます。この間、ガソリンSUVを求める顧客は在庫車を探すか、より大きく高価なカイエンへ行くか、EVのマカンを受け入れるかの三択を迫られることになります。ポルシェの2025年通期決算では税引後利益が前年の約36億ユーロから約3.1億ユーロへと90%以上減少しており、この空白が収益に響く懸念は小さくないというのが率直な見立てです。
ポルシェが「マカンのEV専用化は見誤った」と認めて戦略転換 2025年に内燃機関SUVの開発を決定
そもそもポルシェは、マカンを2代目でEV専用にすれば顧客はそのまま移行してくれると想定しており、ガソリン版の後継を用意していませんでした。ところが実際には、手頃な価格帯のガソリンSUV需要が根強く残り、一方でマカン・エレクトリックの販売は想定を下回りました。
この誤算を受け、ポルシェは2025年上半期の業績発表で戦略の転換を明らかにし、内燃機関+ハイブリッドを積む新型SUVの開発を2028年目標でスタートさせています。当時CEOだったオリバー・ブルーメ氏は、「マカン」の名はEVが引き継ぎ、ガソリンモデルはまったく別の名前になるという趣旨の発言をしています。
さらに2026年に入ると、同年1月1日付でポルシェのCEOを退任したブルーメ氏(フォルクスワーゲングループCEOに専念)が独紙のインタビューで、マカンをEV専用に絞った判断について事実上の失策だったと認めました。当時の製品計画が前提としていた市場環境が、その後大きく変わったという説明です。2026年からポルシェの舵を取るのは、フェラーリのCTOやマクラーレンのCEOを歴任し、かつてポルシェでカイエンとマカンの開発責任者を務めたミヒャエル・ライタース氏。エンジニアリング畑出身のトップへの交代が、この路線修正を後押ししたという見方も出ています。
数字の推移を追うと、判断の難しさがよく分かります。2025年通期ではマカン・エレクトリックが45,367台を売り、ガソリン車の38,961台をわずかに上回りました。EV移行の正当性を示す材料に見えたわけですが、翌2026年上半期にはガソリン車が再びリードを奪い返しています。EV需要の伸びは市場によってばらつきが大きく、単純な右肩上がりではなかった、というのが結論でしょう。
フル電動のマカンGTSが2025年10月22日に追加 571psで1,396万円
ポルシェジャパンは2025年10月22日、フル電動マカンの第5の派生モデルとなる「マカンGTS」の予約受注を開始しました。価格は1,396万円です(同年10月時点)。
最高出力は420kW(571PS)、最大トルクは955N・m。0-100km/h加速は3.8秒、最高速度は250km/hに達します。パワートレインはマカンターボと同じくシリーズ内で最もパワフルなリアアクスル電気モーターを搭載し、電源ユニットは直径230mm・有効長210mm、高効率の900A炭化ケイ素(SiC)パルスインバーターを組み合わせます。バッテリーの冷却とパフォーマンスを最適化するサーキットモードを備える点が新しく、スポーツエアサスペンションの専用チューニングと電子制御式リアデファレンシャルロックも与えられました。
ボディサイズは全長4,784×全幅1,938×全高1,622mm。内装はRace-Tex(レーステックス)の拡張アップホルスタリーとブラックスムースレザーの組み合わせで、GTSらしくブラックアクセントが外装の随所に配されます。
価格の位置づけは巧妙で、マカン4S(1,196万円)とマカンターボ(1,525万円)の間を埋めています。ターボより約130万円安く、それでいてサーキットモードなどGTS専用の走り装備が入るため、初代のGTSが担っていた「玄人好みの一台」というポジションは電動化後もきちんと再現された、と評価できます。
2代目マカンの日本予約受注が2024年7月17日にスタート 998万円から
ポルシェジャパンは2024年7月16日に後輪駆動の「マカン」と四輪駆動の高性能版「マカン4S」を追加設定し、7月17日から2代目マカンの全ラインナップの予約受注を開始しました。導入されたのはベースグレードの「マカン」、「マカン4」、「マカン4S」、「マカンターボ」の4モデルです。
| モデル | 最高出力 | 最大トルク | 0-100km/h | 駆動方式 | 日本価格 |
|---|---|---|---|---|---|
| マカン | 265kW(360ps) | 563N・m | 5.7秒 | RR(後輪駆動) | 998万円 |
| マカン4 | 300kW(408ps) | 650N・m | 5.2秒 | 4WD | 1,045万円 |
| マカン4S | 380kW(516ps) | 820N・m | 4.1秒 | 4WD | 1,196万円 |
| マカンGTS | 420kW(571ps) | 955N・m | 3.8秒 | 4WD | 1,396万円 |
| マカンターボ | 470kW(639ps) | 1,130N・m | 3.3秒 | 4WD | 1,525万円 |
ベースグレードの「マカン」は歴代初かつ唯一の後輪駆動で、マカン4より110kg軽量。フル電動化にあわせてポルシェの伝統的なRRレイアウトがSUVで復活した格好です。全モデルに新しい「オフロードデザインパッケージ」がオプション設定され、フロントバンパーの形状変更によりアプローチアングルは最大17.4度まで増加しました。
998万円というベース価格は、初代の後期型マカン(754万円)から見れば約240万円の値上げです。ただしパワーは265PS→360PS、0-100km/hは6.2秒→5.7秒と大幅に向上しているため、性能あたりの単価としては妥当なところに収まっている、というのが所感です。
2024年春に欧州でガソリンのマカンが販売終了 理由は排ガスではなくサイバーセキュリティ規制
2代目の登場と入れ替わるように、ガソリンのマカンは2024年春にEU域内での販売を終了しました。理由が興味深く、排ガス規制でも安全性能でもなく、サイバーセキュリティ規制への非対応です。
EUのGSR2(一般安全規制)は2024年7月1日から適用され、これに含まれるサイバーセキュリティ要件(UNECE WP.29/R155系)を満たさない車両は、以降EU域内で新車登録ができなくなりました。マカンは2013年に発表されたモデルで、規制の詳細が固まる前に開発された電子アーキテクチャを積んでいます。要件を満たすには電子アーキテクチャの全面的な再設計が必要で、ポルシェは採算が合わないと判断しました。適合しない車両を売った場合、1台あたり最高3万ユーロの罰金が科される仕組みだったことも大きいでしょう。
ポルシェは当時、EU以外の地域ではより長く販売を続けると説明しており、英国については2024年まで、実際にはその後も在庫で継続。日本を含む非EU市場での併売が、結果的に2026年まで2年以上も延びることになりました。10年選手のクルマを「規制のソフト面」が退場させたという点で、これはマカンに限らず今後の長寿モデルすべてに関わる先例だと考えています。
マカンが2024年1月25日に歴代初のフルモデルチェンジ 2代目はBEV専用モデルへ
2024年1月25日、シンガポールで2代目マカン(型式XAB)がワールドプレミアされました。2014年の初代発売から10年、マカンにとって歴代初のフルモデルチェンジであり、同時にタイカンに続くポルシェ2車種目のBEV専用モデルとなりました。ワールドプレミア時点で発表されたのは「マカン4」と「マカンターボ」の2モデルです。
プラットフォームはアウディと共同開発したPPE(プレミアム・プラットフォーム・エレクトリック)で、ポルシェとしては初の800Vアーキテクチャを備えます。この点だけは、本記事が2020年時点で書いていた予想がそのまま当たりました。バッテリーはアンダーボディに搭載される総容量100kWhのリチウムイオンで、うち最大95kWhをアクティブに使用可能。マカンターボの航続距離は613kmに達します。前後アクスルには最新世代の永久励磁型PSM電気モーターを配置しました。
ボディサイズは全長4,784×全幅1,938×全高1,622mmで、初代の後期型(4,726×1,922〜1,927×1,596〜1,621mm)から一回り拡大。ホイールベースは先代比86mm延長されましたが、前後のオーバーハングを詰めることで相殺しています。ポルシェアクティブエアロダイナミクス(PAA)によりCd値は0.25を達成しました。
ラゲッジは後席後方が最大540L、ボンネット下のフランクが84Lで、合計すると先代を127L上回ります。運転席・助手席は従来より28mm、後席は15mm低くなり足元スペースが増加。ダッシュボードには曲面デザインの12.6インチ自立型インストルメントクラスターと10.9インチセンターディスプレイが備わり、助手席前の10.9インチディスプレイもオプション設定。AR技術によるヘッドアップディスプレイはポルシェ初で、87インチ相当の画像をドライバーの10m前方に表示します。インフォテインメントはAndroid Automotive OSベースへ刷新されました。
走りの面では、電子制御ポルシェトラクションマネージメント(ePTM)が従来の4WDシステムの約5倍の速さで作動し、歴代初となる2バルブ技術のダンパー(PASM装着時)と最大操舵角5度のリアアクスルステアリングが用意されます。初代が「アウディQ5のMLBを流用したポルシェ」だったのに対し、2代目は素性からEV専用という、性格の根本的な入れ替えが起きたわけです。
ブレーキブースター警報装置の不具合で2022年10月26日にリコールを届出
ポルシェは2022年10月26日、ブレーキブースター警報装置の不具合により国土交通省へリコールを届け出ました。対象はマカンのほかカイエン、パナメーラを含み、規模は約2.4万台です。
ブレーキそのものの制動力に関わる不具合ではなく、警報装置側の問題でしたが、マカンの商品力や位置づけに影響を与えるような事案ではありませんでした。念のため、対象年式の中古車を検討する際は対策済みかどうかを販売店に確認しておくと安心です。
マカンに新グレード「マカンT」が2022年2月17日に追加 840万円でツーリングの名を初めて4ドアへ
ポルシェジャパンは2022年2月17日、マカンに新モデル「マカンT」を追加し、予約受注を開始しました。価格は840万円です。
ポルシェでは1960年代以来、「T」の文字はダイナミックな走行に特化した「ツーリング」を意味してきました。それまで911と718に限られていたこの名称が与えられた初めての4ドア車がマカンTです。位置づけはマカンとマカンSの中間になります。
パワートレインは軽量な2.0L直列4気筒ターボで、最高出力195kW(265PS)、最大トルク400N・m。マカンSとGTSの2.9L V6ツインターボと比べてフロントアクスルで58.8kgの軽量化を実現しており、これが優れた発進加速と素直なコーナリングにつながります。7速PDKと4WDのPTMを組み合わせ、標準装備のスポーツクロノパッケージ使用時で0-100km/h加速6.2秒、最高速度232km/hです。
特筆すべきは足まわりで、車高を15mm低く設定した専用チューニングのPASM付スチール製スプリングサスペンションを標準装備する唯一のポルシェでした。エアサスではなくスチールを選んだ点に、軽さと素直さを優先するというメッセージが読み取れます。外装ではフロント・サイド・リアのディテールがアゲートグレーメタリックで塗り分けられ、専用のデザインエレメントが与えられました。V6の速さではなく身のこなしを買う一台で、マカンのラインナップに珍しく「引き算」の思想を持ち込んだグレードだったと評価しています。
マカンが2021年7月20日に2度目のマイナーチェンジ 754万円から マカンSは2.9L化、マカンターボは廃止
2021年7月20日、マカンは2度目のフェイスリフト(後期型/通称Macan III)を発表し、日本でも同日から予約受注が始まりました。これが初代マカンにとって最後の大きな改良となります。
前後のエクステリアデザインが再び変更され、新しい立体構造のフロントバンパーが標準装備に。LEDヘッドランプ「ポルシェダイナミックライトシステム(PDLS)」とスポーツデザインエクステリアミラーが全モデル標準となり、ホイールも大径化されて19〜21インチの7種類の新デザインが用意されました。インテリアの刷新はさらに大きく、タッチパネル式の新しいセンターコンソール、コンパクトになったシフトセレクターレバー、新デザインのマルチファンクションGTスポーツステアリングホイールが採用され、兄貴分のカイエンに近い操作系へと一気に現代化されています。
パワートレインの変更は見逃せません。マカンSのエンジンが従来の3.0L V型6気筒から2.9L V型6気筒へ変更され、ベースグレードとGTSも出力が大幅に向上しました。そしてこの改良でマカンターボは廃止され、440PSのマカンGTSがシリーズの頂点になります。本記事の後半で紹介している「マカン・ターボがマイナーチェンジ」の項は、この2021年の改良でターボそのものが姿を消したため、初代における最後のターボの記録ということになります。
| モデル | 中期型の最高出力 | 後期型の最高出力 | 後期型の日本価格 |
|---|---|---|---|
| マカン(2.0L 直4ターボ) | 245PS | 265PS | 754万円 |
| マカンT(2.0L 直4ターボ) | 設定なし | 265PS | 840万円(2022年2月追加) |
| マカンS | 354PS(3.0L V6) | 380PS(2.9L V6) | 977万円 |
| マカンGTS | 380PS(2.9L V6) | 440PS(2.9L V6) | 1,188万円 |
| マカンターボ | 440PS(2.9L V6) | 廃止 | – |
ボディカラーは新色の「パパイヤメタリック」「ゲンチアンブルーメタリック」「パイソングリーン」を含む全14色。後期型のボディサイズは全長4,726×全幅1,922〜1,927×全高1,596〜1,621mm、ホイールベース2,807mmで、中期型からホイールベースは変わっていません。2021年時点でマカンは全世界で60万台以上を販売しており、購入者の約80%がポルシェの新規顧客、さらに全ラインナップ中で女性比率が最も高いモデルでもありました。ポルシェにとってマカンがどれだけ重要だったかを、この数字がよく物語っています。
次期型マカンに電気自動車が新設定!取り回しの良いフルエレクトリック小型SUVに
2020年3月20日、ポルシェはマカンに電気自動車をラインナップすると発表しました。
2014年に発売されたポルシェ・マカンは、ポルシェ・カイエンの下位モデルにあたる一台。マカンEVはドイツのライプツィヒ工場にて生産予定で、生産開始は2020年代の初めになる見込みとされていました。なお、プラットフォームにはアウディとの共同開発プラットフォーム「PPE(プレミアム・プラットフォーム・エレクトリック)」が採用されます。
結果からいえば、この発表は「マカンにEVを追加する」という形では実現しませんでした。2024年1月に登場した2代目マカンは、EVを1グレード加えるのではなくシリーズ全体がBEV専用になるという、より徹底した形で電動化されています。PPEの採用とライプツィヒ工場での生産は予告どおりでしたが、生産開始は2024年で、当時見込まれていた「2020年代の初め」から実質4年ほど後ろにずれ込みました。バッテリーとソフトウェアの開発難航が主因と見られており、この遅れの間にEV市場そのものの前提が変わってしまったことが、後述する戦略転換につながっていきます。
ポルシェマカンのスポーティーモデル「マカンGTS」が登場
2019年12月17日、ポルシェマカンにスポーティーモデル「GTS」が新設定されました。日本国内では2020年1月15日より予約受付を開始。マカンGTSの価格は7万7,880ユーロ、日本での販売価格は10,388,889円でした。
パワートレインは380ps/520Nmに到達する2.9リッターV型6気筒ツインターボエンジンを搭載し、トランスミッションは7速PDK。右ハンドルで最高速度は261km/h、0-100km/h加速タイムは4.9秒に到達します。
フロントエプロンには大型エアインテークを搭載し、ダイナミックライトシステムを組み込んだLEDヘッドライトを標準装備。GTSロゴ付きのサイドプレートや20インチのサテンブラックアルミホイール、ブラック塗装のディフューザーなども装着します。
車内にはGTSモデル専用デザインのスポーツシートを用意。ドア周りやコンソールにはアルカンターラを使用しています。ステアリングホイールやシフトレバーにはスムースレザーを採用します。オプションではBOSEサラウンドサウンドシステムが用意されていました。
リヤビューカメラとサラウンドビュー機能付きパークアシスト、アダプティブクルーズコントロール、レーンチェンジアシストなどの運転支援システムが標準装備となっています。
なお、このGTSは中期型の仕様です。2021年7月の後期型では出力が440PSまで引き上げられ、マカンターボの廃止にともなってシリーズの頂点へ昇格しました。
高性能モデルのマカン・ターボがマイナーチェンジ!心臓部にカイエンSと同じエンジンを搭載
マイナーチェンジ版2020年型「マカン・ターボ」がフランクフルトモーターショー2019で初公開されました。
マカン・ターボはポルシェ・マカンのハイパフォーマンスモデルで、排気量2.9L V型6気筒ターボエンジンに7速PDKデュアルクラッチトランスミッションを組み合わせます。最高出力は440hp/5,700rpm〜6,600rpm、最大トルクは549Nm/1,800rpm〜5,600rpmを発揮するパワフルな一台です。
スポーツクロノパッケージを装備することで、0-100km/hの加速時間は4.3秒、最高時速は270km/hとなります。
足元には大口径20インチアルミホイールを装着しているマカン・ターボ。リア左右には2本出しのクワッドテールパイプがレイアウトされています。
マカン・ターボのインテリアはシンプルで飽きのこないグレーカラーを採用。インフォテインメントシステムは大型10.9インチタッチスクリーンで操作可能となっていて、助手席には18way式電動パワースポーツシートを装備します。オプション扱いとなりますがワイヤレスチャージャーも装備可能で、先進装備も充実していました。
当時、マカン・ターボの国内発売日は未定で、アメリカなどでは2020年初頭を目途に発売される見込み、価格は12,191,667円とお伝えしていました。その後、このマカン・ターボは2021年7月の後期型への移行にともなって廃止されています。440PSという出力はマカンGTSが引き継いだため、性能面で失われたものはありませんでしたが、初代マカンにおける「ターボ」の名は、この2020年型が最後となりました。
ポルシェが主力SUV「マカン」の次期型にEVを設定すると発表!生産は2020年初旬から
ポルシェは、主力SUV「マカン」の次期型モデルにEVを設定すると発表しました。2014年の発売以来売り上げを伸ばし続けているマカンですが、次期モデルのEVはフルエレクトリックのコンパクトSUVで、ポルシェでは初となり、生産は2020年からドイツのライプツィヒ工場で開始される予定とされていました。
2019年発売予定のEV車、ポルシェ「タイカン」と同じ800ボルト技術を採用することになっており、プラットフォームはアウディと共同開発したPPEを使用します。
800V技術とPPEの採用、ライプツィヒ工場での生産、そして「ポルシェ初のフル電動SUV」という位置づけは、すべてそのとおりになりました。外したのは時期だけで、生産開始は2020年ではなく2024年。当時ポルシェが掲げていた「2022年までに新型車の50%を電動化」という目標も、実際の到達はもっと後ろにずれています。予告から実現まで6年かかったことになりますが、その6年でEV市場の空気が一変し、ポルシェ自身が路線を修正することになったのは前述のとおりです。
ポルシェ マカンの2019年マイナーチェンジ 当時の予想と6年後の答え合わせ
ここから先は、2018年7月の中期型公開を受けて本記事が書いていた「新型マカン」の予想です。当時の内容をできるだけ残したうえで、それぞれがどうなったのかを検証していきます。
マカンの新型モデルは3.6L V6エンジンを廃止して2.9L・3.0L V6ターボエンジンを搭載
2019年にマイナーチェンジが行われて誕生する新型マカンには、ポルシェ・パナメーラに搭載されるエンジンの改良モデルの導入が検討されています、と当時お伝えしていました。
前期型のターボモデルに搭載していた3.6L V型ツインターボエンジンは廃止され、代わりに2.9Lあるいは3.0L新型V6ツインターボエンジンを搭載する見通し。スタンダードモデルに採用される2.0L 4気筒エンジンはダウンサイジングが行われない、という読みでした。
この予想はほぼ的中しています。中期型では実際に3.6L V6が姿を消し、マカンSに3.0L V6(EA839型/354PS)、マカンGTSとマカンターボに2.9L V6が積まれました。2.0L直4も予想どおりダウンサイジングされず、燃焼室形状の最適化で出力を上げるにとどまっています。さらに2021年の後期型ではマカンSも2.9L V6へ統一され、初代マカンは最終的に「2.0L直4ターボと2.9L V6ツインターボの2本立て」という姿に落ち着きました。
駆動方式は電子制御のマルチプレートクラッチによるアクティブ4WDシステム、トランスミッションは7速デュアルクラッチ式「PDK」という予想も当たりで、初代マカンは最後まで全グレードが7速PDK+4WD。ポルシェとして初めて、全モデルにMTが設定されないシリーズでもありました。
新型「マカン」シリーズ別のパワートレーンと最高出力等の予測値(2018年当時)
以下は2018年当時に本記事が立てた予測値です。実際の数値とは異なる部分があるため、答え合わせは各表のあとにまとめました。
| エンジンタイプ | 直列4気筒 2.0L ツインターボエンジン |
|---|---|
| 最高出力 | 245ps |
| 最大トルク | 370Nm |
| トランスミッション | 7速デュアルクラッチミッション PDK |
| 0-100km/h加速 | 6.7秒 |
| 最高速度 | 225km/h |
| 駆動方式 | 4WD |
| エンジンタイプ | V型6気筒 3.0L ツインターボエンジン |
|---|---|
| 最高出力 | 340ps |
| トランスミッション | 7速デュアルクラッチミッション PDK |
| 0-100km/h加速 | 5.4秒(スポーツクロノパッケージは5.2秒) |
| 最高速度 | 254km/h |
| 駆動方式 | 4WD |
| エンジンタイプ | V型6気筒 3.0L ツインターボエンジン |
|---|---|
| 最高出力 | 380ps |
| トランスミッション | 7速デュアルクラッチミッション PDK |
| 駆動方式 | 4WD |
| エンジンタイプ | V型6気筒 2.9L ツインターボエンジン |
|---|---|
| 最高出力 | 420ps |
| トランスミッション | 7速デュアルクラッチミッション PDK |
| 駆動方式 | 4WD |
| エンジンタイプ | V型6気筒 2.9L ツインターボエンジン |
|---|---|
| 最高出力 | 440ps |
| 最大トルク | 450Nm |
| トランスミッション | 7速デュアルクラッチミッション PDK |
| 駆動方式 | 4WD |
| エンジンタイプ | V型6気筒 2.9L ツインターボエンジン |
|---|---|
| 最高出力 | 460ps |
| 最大トルク | 548Nm |
| トランスミッション | 7速デュアルクラッチミッション PDK |
| 駆動方式 | 4WD |
答え合わせです。実際の中期型はマカン245PS、マカンS 354PS(3.0L V6)、マカンGTS 380PS(3.0Lではなく2.9L V6)、マカンターボ440PS(2.9L V6)でした。ベースグレードとGTSの出力は予測どおりでしたが、GTSの排気量を3.0Lと読んだ点、そしてターボを420PSと440PSの2本立てと想定した点は外れです。「ターボ パフォーマンス」「ターボ エクスクルーシブパフォーマンスエディション」という細分化されたグレードは、中期型では設定されませんでした。前期型に存在した派生の名残を引きずってしまった格好です。
新型マカンは左右独立していたテールランプを一体化してホイールデザインを刷新してスポーティモダンを完成
中期型と前期型のエクステリアを比較すると、フロント部ではヘッドライトがLEDの4灯式へと変わり、中期型の方がグリルの上下幅が若干縮まりコンパクトとなっています。
ポルシェ最新のデザインを取り入れたフロントバンパーによって、新型マカンのスポーティモダンなエクステリアは完成します。
上下左右の等間隔に配置されるLED光源から放たれる光は、夜間走行時の安全性に貢献します。ヘッドライトはシャープさを増して、フロントマスクに更なるスポーティさを与えます。
前期型のテールランプは左右独立型であるのに対して、中期型は左右を一体化させた水平基調の新デザインを採用しました。ブレーキランプはヘッドライトと同様に4灯式です。この予想は的中で、911やカイエンと共通するリアのLEDライトストリップはその後ポルシェ全車に広がり、2代目マカンでは3Dのポルシェレタリングを組み込んだライトストリップへとさらに発展しています。
中期型のマカンは両サイドにデュアルマフラーを配置し、マフラーカッターはバンパー下部と同色のブラックカラー塗装を施します。当然ながら、フル電動となった2代目にマフラーはありません。
中期型は横方向のグリップ力を高めた新開発のタイヤを採用し、運動性能を最適化するために前後で異なるサイズのタイヤを装着しました。
同タイヤに組み合わせる20インチアルミホイールと21インチホイールは、センターキャップにポルシェのエンブレムを配置し、1本1本のスポークのワイルドさをアップさせた新デザインを導入しています。
中期型では、エアロパーツの一種であるスプリッターの形状を見直し、シャシーをリセッティング。フロントサスペンションの一部をアルミ化して1.5kgの軽量化を達成し、アンチロールバー・スプリング・ダンパーの設定を見直すことで、シャープなハンドリングとバネ下荷重の低減による乗り心地の改善を両立させました。
新型マカンは大型サイズのフルHDディスプレイを採用してインフォテインメントシステム充実
中期型マカンのコックピットは、パドルシフトが装備されるスポーツステアリングや、視認性の高いクリアな映像で運転をサポートするフルHDディスプレイを採用し、シフトレバー周辺に各種操作スイッチを配備する事で、スタイリッシュな空間を完成させてドライバーのスポーツマインドを刺激します。
マカンのステアリングホイールは、ポルシェ911シリーズをイメージさせるスポーツタイプを選択可能とされました。同ホイールはドライブモードスイッチとスポーツレスポンススイッチ等を備えて運転時の爽快感を向上させます。
シフトレバーの左右に設置されるスイッチを押せば、運転をサポートするシステムを起動できるだけではなくて室内を過ごしやすい環境設定とすることも可能です。この物理スイッチ主体のセンターコンソールは、2021年の後期型でタッチパネル式に置き換わり、コンパクトなシフトセレクターレバーとともに一気に現代化されました。
7インチから10.9インチに拡大された大型フルHDタッチスクリーンは操作性に優れ、アップグレードされるポルシェのインフォテインメントシステムであるPCM(ポルシェ・コミュニケーション・マネージメント)との相性も抜群です。
同システムは音声認識に対応するほか、オフロード走行中にカメラに映る映像を記録・分析可能なアプリにも対応します。2代目ではこのPCMがAndroid Automotive OSベースへ刷新され、「Hey Porsche」の音声アシスタントを備えるまでに進化しました。
10.9インチHDタッチスクリーンの下部エリアには、デザイン性と機能性に優れたイオンも通過する通風孔を配置しています。
マカンはスポーツ走行時に負担がかかりやすい首や背中、腰回りをしっかりとホールドして体にストレスを与えないスポーティシートを採用します。
新型マカンはボディカラーを4色追加してボディサイズは全長が16mmアップ
2019年に登場した中期型マカンは、ボディカラーに「マイアミ・ブルー(Miami Blue)」「マンバ・グリーン・メタリック(Mamba Green Metallic)」「ドロマイトシルバー・メタリック(Dolomite Silver Metallic)」「クレヨン グレイ(Crayon Gray)」の4色を新たに追加しました。その後、2021年の後期型では「パパイヤメタリック」「ゲンチアンブルーメタリック」「パイソングリーン」を含む全14色へと展開が広がっています。
中期型と前期型のボディサイズを比較すると、中期型の方が若干ボディサイズはワイド化されて全長が16mmアップしました。
| 中期型マカン | 前期型 | |
|---|---|---|
| 全長 | 4,697mm | 4,681mm |
| 全幅 | 1,923mm | 1,923mm |
| 全高 | 1,624mm | 1,624mm |
| ホイールベース | 2,807mm | 2,807mm |
| 初代 後期型 | 2代目 マカン エレクトリック | |
|---|---|---|
| 全長 | 4,726mm | 4,784mm |
| 全幅 | 1,922〜1,927mm | 1,938mm |
| 全高 | 1,596〜1,621mm | 1,622mm |
| ホイールベース | 2,807mm | 初代比+86mm |
新型マカンは2019年に行うマイナーチェンジで予防安全性能を強化
中期型マカンはPSM(ポルシェ・スタビリティ・マネージメントシステム)をアップグレードし、アダプティブクルーズコントロール機能を含む「トラフィックジャムアシスト」を新搭載して予防安全性能を強化しました。
日本仕様では2018年12月19日にマイナーチェンジが発表され、2019年夏から販売開始。LEDヘッドライトや10.9インチタッチスクリーンのインフォテインメントシステムに加え、ブレーキアシスト機能と歩行者検知機能を含む「アダプティブクルーズコントロール」、車線変更時に斜め後方の車両を知らせる「レーンチェンジアシスト」、「サラウンドビュー付きパークアシスト」を標準装備としています。渋滞時に停止と発進を自動的に繰り返す「トラフィックジャムアシスト」と、65km/h以上で作動する「レーンキープアシスト」はオプション設定でした。標準グレードに先駆けて、装備を充実させた「ファーストエディション」と「シュポルトエディション」がデリバリーされています。
それら安全装備と、標準装備するコネクティビティサービス「ポルシェ・コネクト」との連動性を高め、リアルタイムで周囲の交通データを共有する新機能を導入する事でも安全性を向上させました。皮肉なことに、この世代の電子アーキテクチャこそが、2024年にEUのGSR2へ適合できず欧州撤退を招いた当のものです。2018年の設計としては十分に先進的だった装備が、わずか6年でサイバーセキュリティ要件に届かなくなった――規制のスピードの速さを示す実例といえます。
2019年に誕生した新型「マカン」の価格帯は現行モデルに50万円を加算した750万円~1,250万円台
2019年にマイナーチェンジが行われて誕生した新型「マカン」シリーズの価格帯は、当時のモデルに50万円を加算した750万円~1,250万円台になると予測していました。
エンジンのアップサイジングを行う等の大幅な変更はなく、予防安全性能の強化・内外装のデザインに改良を加える事が主な変更点であるのが、50万円を加算した理由です。
この価格予想は、驚くほどよく当たりました。2021年7月の後期型における日本価格は、マカンが754万円、マカンSが977万円、マカンGTSが1,188万円。予想した「750万円~1,250万円台」のレンジにきれいに収まっています。ただし最上限に想定していた1,250万円という数字は、マカンターボが廃止されたことで初代では到達せず、実際に超えたのは2代目のフル電動マカンターボ(1,525万円)でした。
| シリーズ | 販売価格 |
|---|---|
| マカン | 7,119,444円~ |
| マカンS | 8,719,074円~ |
| マカンGTS | 10,388,889円~ |
| マカンターボ | 12,191,667円~ |
カイエンの走行性に911シリーズのデザイン的魅力も加わったマカンは、ポルシェを支えた稼ぎ頭だった
マカンは2002年に初代モデルが誕生したポルシェ初のSUV「カイエン」のコンパクト版として、2014年に発売されました。カイエンの走行性能に911シリーズの洗練されたデザイン的魅力が加わったマカンは、当初の予想どおりポルシェを代表する車になりました。それどころか、予想を大きく超える存在になったといえます。
2021年には全世界で60万台以上、2024年には80万台以上を販売し、購入者の約80%がポルシェの新規顧客。全ラインナップ中で女性比率が最も高いモデルでもありました。2023年には87,355台を売り、わずか198台差でカイエンに次ぐブランド第2位。そして2025年、初代からの累計生産は100万台を突破しています。マカンは間違いなく、ポルシェの販売構成と収益性を一変させた一台でした。
そのマカンのガソリン版が、2026年7月末で生産を終えます。EVへの需要移行を見込んで後継を用意しなかった判断は、ポルシェ自身が「見誤った」と認めるところとなり、内燃機関の後継SUV(コードネームM1)が2028年頃に登場するまで、このセグメントには約2年の空白が生まれます。マカンという名前はフル電動のマカン エレクトリックが引き継ぎ、ガソリンの系譜は別の名前で再出発する見込みです。
マカンを名乗るクルマはこれからも続きます。ただし、2014年から12年にわたってポルシェの屋台骨を支えた「エンジンを積んだマカン」は、2026年7月をもって歴史を閉じました。在庫のある今が、その最後の機会ということになります。