ナンバープレートの外し方

ナンバープレートの外し方の手順や軽自動車に封印がない理由を徹底解説

ナンバープレートの外し方(フロント・リア)のコツや、関連情報も紹介。メガネレンチやプラスドライバー等の用意すべき工具類、軽自動車に封印が取付けられていない理由、錆対策に効果的なステンレス製のボルト、書類提出後の陸運局での作業の流れも。

ナンバープレートの外し方と封印の基礎知識:手順、必要な工具、法令上の注意点

東京オリンピック特別仕様のナンバープレートへの交換や、ネットオークションで購入した車に取り付けられているナンバープレートの変更・返納を行う際には、まず既存のナンバープレートを取り外す必要があります。

ナンバープレートの変更に伴う手続きは、代行業者に依頼することも可能ですが、ご自身で作業を行った方が費用を抑えられます。

ここでは、ナンバープレートを外す際の具体的な手順や必要な工具、錆対策に効果的なボルトの選び方をご紹介します。また、普通車に封印が付いている理由や、ナンバープレートを外した状態で運転した場合の法的な影響など、関連情報も併せて解説します。

ナンバープレートを外す必要がある主なケース

車のナンバープレートを取り外す、または交換のために返納する必要がある主なケースは以下の通りです。

ナンバープレートの取り外し・返納が必要なケース

  • 転居などによる他の都道府県への管轄変更
  • ネットオークションや個人売買で車を購入し、移転登録(名義変更)を行う場合
  • 特別仕様のナンバープレートへ交換する場合
  • 家族から車を譲り受け、移転登録(名義変更)を行う場合
  • 車を一時的に使用しない一時抹消登録を行う場合
  • 車を解体・廃車にする場合

これらのケースでは、車の前部および後部に設置されているナンバープレート(普通車は自動車登録番号標、軽自動車は車両番号標)を取り外す必要が生じます。

ナンバープレートの取り外し・取り付けの手順と必要な工具

ナンバープレートの変更手続きを行うには、まず既存のナンバープレートを取り外す必要があります。

ナンバープレートを外す際には、最低限「プラスドライバー」「ペンチ」「レンチ」を用意しておくと便利です。

ナンバープレートの取り外し・取り付けで準備したい道具

  • プラスドライバー(主に3号サイズ)
  • マイナスドライバー
  • メガネレンチ(10mm)
  • スパナ(10mm)
  • 六角レンチ
  • ペンチ
  • 軍手
  • ロックボルトを外すキーアダプター(設定されている場合)

ナンバープレートの取り外し・取り付け作業には、プラスドライバーや10mmのメガネレンチなどを準備しておくと便利です。運輸支局で作業する際は工具を借りられる場合もありますが、DIYで作業する場合は、普段使い慣れている工具を事前に用意しておくと安心です。

ナンバープレートの盗難防止のために、メーカーオプションでロックボルトを設定している場合は、ロック解除用の専用キーアダプターも必要です。運輸支局では用意されないため、車外で保管している場合は忘れずに持参してください。

車を廃車にする際もナンバープレートは取り外す必要がありますので、プラスドライバーなどの工具を必ず用意しておきましょう。

フロントのナンバープレートの外し方

ナンバープレートが六角ボルトやネジで固定されているかを事前に確認しておくと、作業効率が上がります。

フロントのナンバープレートは、上部左右の2箇所の固定具を緩めるだけで取り外せます。必要な工具さえ揃っていれば、DIY初心者でも簡単に作業可能です。

ネジで固定されている車の場合は、ネジ穴に合った3号サイズのプラスドライバーで緩めます。ネジが回りにくい場合は、力任せに回すとネジ山を痛める可能性があるため、10mmのメガネレンチやスパナを使って慎重に緩めましょう。

六角ボルトで固定されている車の場合は、最初から10mmのレンチを用いて左右のボルトを緩め、ナンバープレートを取り外します。

リアのナンバープレートの外し方と封印の取り外し方(普通車の場合)

フロントとリアで異なる器具によりナンバープレートを固定している車両もあります。

ナンバープレートを固定するボルトやネジにロック機能がなければ、3号のプラスドライバーや10mmのメガネレンチなど、一般的に市販されている工具で取り外せます。

純正アクセサリーなどのロックボルトを使用している場合は、専用のキーアダプターが必要です。

セキュリティ強化のためにロックボルトを追加設定している場合は、ナンバープレートを外す際に専用のキーアダプターを用意してください。

専用キーアダプターは、車のダッシュボードの収納BOXに保管されていることが多いため、保管場所を忘れている場合は収納BOXを確認するとよいでしょう。

ロックボルトは鍵穴部分に立体構造や幾何学模様を施し、専用キーアダプターでしか操作できない設計になっており、防犯性能を高めています。

キーアダプターの裏側にナットアダプターを差し込んで縦方向を延長すると、ロックボルトを緩めやすくなります。

普通車のリアナンバープレートには「封印」が設置されています。

リアの左側に封印が設置されている普通車の場合、ナンバープレートを外す際には封印も取り外す必要があります。

左側を固定する器具の上には、土台と蓋から成るアルミ製の封印が組み付けられています。封印は車の所有者を公的に証明する意味を持ち、運輸支局で名義変更などの申請を行った後に、施設の指定された場所で取り外すことが認められています

プラスドライバーを封印の蓋の中心部に当てて穴を開けるのがコツです。

封印を外すには、まず蓋を壊します。蓋の中心にプラスドライバーを当て、両手で持って体重もかけるように力を加えると穴が開きます。

穴が開いたら、ペンチを差し込み、缶詰を開けるようにして蓋を丁寧に剥がし、内側にある固定器具を露出させます。

固定器具が露出したら、プラスドライバーやキーアダプターを使って緩めると、リアのナンバープレートを取り外せます。

ナンバープレートの取り付け方と封印の設置までの流れ

車検証の名義変更や変更登録の申請を運輸支局で行い、新たにナンバープレートが発行された場合は、所定の位置に取り付ける必要があります。取り外しと同様に、ナンバープレートの取り付けも簡単で、上部左右をボルトやネジで固定するだけです。

外した時とは逆方向にプラスドライバーなどを回せば、ナンバープレートはしっかり固定されます。リアの左側に設置する封印の台やボルトの固定作業まではご自身で行えますが、封印の蓋を被せる作業(封印)は、ナンバープレートを交付した運輸支局の担当者または権限を委託された者(行政書士など)が行います。

運輸支局の担当者は、新たに発行された自動車検査証とナンバープレートを設置する車の車台番号が一致しているかを確認し、問題がなければ封印の蓋を取り付けます。

ステップ 作業内容 備考
1 運輸支局で車検証の名義変更などの申請を行う 申請後、新しいナンバープレートが発行される
2 ナンバープレートを所定の位置に取り付ける 上部左右をボルトやネジで固定するだけで簡単に設置可能
3 プラスドライバーで逆方向に回して固定 外した時の逆手順でしっかり固定される
4 封印の台やボルトの固定作業 リアの左側に設置、ご自身で作業可能
5 封印の蓋を取り付け(封印) 運輸支局の担当者が、自動車検査証と車台番号を確認後に実施

ナンバープレートの錆対策にはステンレス製ボルトの使用をお勧め

ボルトやネジが錆びると、ナンバープレートだけでなく車全体の外観も悪くなります。

ナンバープレートを固定しているボルトやその周辺が錆びると、外観が悪くなるだけでなく、取り外しにくくなったり、走行中に外れるリスクも高まります。

こうしたトラブルを避けるために、ナンバープレートの固定には錆に強いステンレス製ボルトの使用をお勧めします。多くの車に使われているボルトはスチールにメッキ加工されたタイプで、メッキが剥がれると鉄が露出して錆びやすくなります。

ステンレス製ボルトはカー用品店やホームセンターでも1,000円以下で入手可能で、固定力を保ちながら周囲の錆を防ぐことができます。

購入する際は、元のボルトと同サイズの商品を選びましょう。ほとんどの車はM6サイズのボルトで固定されていますが、ボルトの長さやピッチ幅が異なるタイプもあるため、ご自身の車に適合するか店員に相談することをお勧めします。

軽自動車の場合は、フロント・リア両方のナンバープレート固定ボルトをステンレス製に交換可能です。普通車の場合は、リアの封印が付いている左側を除き、他の固定ボルトをステンレス製に交換できます。

項目 内容 注意点・補足
錆の影響 ボルトや周辺の錆はナンバープレートの外観を悪化させ、取り外し困難や走行中の脱落リスクを高める 見た目だけでなく安全面にも影響
推奨ボルト 錆に強いステンレス製ボルト カー用品店やホームセンターで1,000円以下で入手可能
ボルトサイズ 元のボルトと同サイズを選ぶ ほとんどの車はM6サイズだが、長さやピッチ幅が異なる場合もあるため確認が必要
軽自動車の交換 フロント・リア両方のナンバープレート固定ボルトをステンレス製に交換可能 特に制限なし
普通車の交換 リアの封印が付いている左側以外の固定ボルトをステンレス製に交換可能 封印部分は交換不可

ナンバープレートを外した状態での運転は法令違反となります

フロントに設置されていたナンバープレートを外し、ダッシュボードの上などに置いた状態で運転すると、道路運送車両法に定める表示義務違反となり、50万円以下の罰金刑が科されます(道路運送車両法第109条)。

自動車登録番号標交付代行者から交付を受けた自動車登録番号標を国土交通省令で定める位置に、かつ被覆せず、その他当該自動車登録番号標に記載された自動車登録番号の識別に支障が生じない方法で表示しなければ、これを運行の用に供してはならない。

引用元:道路運送車両法第十九条

道路運送車両法では、普通車に対して第十九条、軽自動車に対して第七十三条において、交付されたナンバープレートは国土交通省が定めた位置に確実に取り付けられていなければ、公道での走行が禁止されています。

ダッシュボードやフロントガラス内側に置かれたナンバープレートは、登録番号を正確に識別できないため、法令違反となります。また、ナンバープレートの情報をドレスアップアクセサリーで隠す、泥や汚れで番号が読めない場合も取締りの対象です。

さらに、道路運送車両法施行規則では「ナンバープレートは自動車の前面および後面の見やすい位置に確実に取り付けること」と規定されています。ボルトではなく接着剤やガムテープで固定している場合、確実に固定されていないと見なされ、これも取締り対象となります。

普通車に設置されている封印の役割:国の財産権の公証と盗難等の不正使用防止

「封印」とは、普通車のリアナンバープレート左側を固定しているボルトの上にかぶせられたアルミ製のキャップです。封印には、以下の重要な役割があります。

  • 国の財産権の公証:その車が運輸支局で正式に登録された車両であることを示します。
  • 盗難等の不正使用防止:ナンバープレートの不正な取り外しや車両の盗難を防ぎ、車の同一性を担保します。

封印は、外部から力を加えて壊すと元に戻せない構造になっています。このため、封印が破損している、または封印が無い普通車に対しては、盗難車などの可能性があると判断され、警察による取締りが行われます。

万が一、バック駐車時や荷物の積み込みなどで封印を破損した場合は、速やかに運輸支局で再封印の手続きを行う必要があります。再封印の手続き費用は200円程度で、車検証や印鑑を持参し、再封印申請書に必要事項を記入すれば完了します。

項目 内容 備考・注意点
封印の設置場所 普通車のリアナンバープレート左側のボルト上にかぶせるアルミ製キャップ ナンバープレート固定ボルトの上に設置
封印の目的 国の財産権の公証、ナンバープレートの不正取り外しや盗難防止 正式に登録された車両であることを示す客観的証明
構造の特徴 外部から力を加えて壊すと元に戻せない構造 破損や未設置の場合、盗難車の可能性として警察が取締り対象と判断
破損時の対応 運輸支局で速やかに再封印の手続きを行う 手続き費用は200円程度、車検証・印鑑・申請書が必要

封印の取り外しは原則禁止:整備などのやむを得ない事由のみ認められる

封印は、車の所有権を国が認定する公的な制度であり、盗難防止の意味も持っています。自分の車だからといって封印を勝手に壊したり外したりすると、法令違反となるため注意が必要です。

何人も、国土交通大臣もしくは封印取付受託者が取り付けた封印、またはこれらの者が封印の取り付けをした自動車登録番号標は、取り外してはならない。ただし、整備のため特に必要がある場合や、その他国土交通省令で定めるやむを得ない事由がある場合は、この限りではない。

引用元:道路運送車両法 第十一条 第5項

封印の取り外しは、原則として運輸支局で手続きを行った後に支局内で行います。しかし、事故や故障などで整備のために封印を外す必要がある場合は、工場内などでの取り外しも例外的に認められています。

平日に運輸支局に行くのが難しい方のために、行政書士が出張封印サービスを提供

封印の取り付けは原則として、取付け権限を持つ担当者が運輸支局内で行います。しかし、道路運送車両法第二十八条の三に基づき、国土交通省が定める要件を満たした行政書士などに業務を委託して行う出張封印も可能です。

国土交通大臣は、登録自動車に取り付けた自動車登録番号標への封印の取り付けを、国土交通省令で定める要件を備える者に委託することができる。

引用元:道路運送車両法 第二八条の三

行政書士が提供する出張封印サービスは、車の個人売買や家族からの相続でナンバープレートを変更する場合、転勤などで他の都道府県に引っ越してナンバーが変わる場合、ご当地ナンバーへの変更などに対応しています。

平日に運輸支局へ行くのが難しい方には、自宅駐車場や職場の駐車場など指定場所まで来てもらえる行政書士の出張封印サービスがお勧めです。

軽自動車に封印が設置されていない理由:法律上の「届出車」扱いのため

普通車のナンバープレートには封印があるのに、軽自動車には設置されていない理由を疑問に思う方は多いでしょう。その背景には、軽自動車が普通車と異なり、法律上の「届出車」として扱われることが大きく関係しています。

普通車は「登録車」と呼ばれ、財産的価値のあるものとして、所有者や保管場所、車両の利用状況を運輸支局に申請し、国の登録・認可(公証)を受ける必要があります。封印は、この登録を公的に示すためのものです。

一方、軽自動車は「届出車」と呼ばれ、法律上の公証制度が適用されないため、所有者が軽自動車検査協会に使用の届け出をするだけで済みます。登録車と呼ばれる普通車と比べると、印鑑証明などの書類が不要で、ナンバープレートの変更などの手続きは簡素化され、スムーズに行えます。

軽自動車の手続きが簡略化されているのは、庶民の移動手段として開発され、事務手続きの混雑を避けるために登録制ではなく届出制を採用した過去のシステムを受け継いでいるためです。

なお、普通車のナンバープレートの正式名称は「自動車登録番号標」であり、軽自動車の黄色ナンバープレートの正式名称は「車両番号標」です。正式名称からも、普通車が登録制度を採用していることがわかります。

項目 普通車(登録車) 軽自動車(届出車)
封印の有無 あり(国の公証) なし
法律上の扱い 登録車(財産的価値があり、登録が必要) 届出車(公証制度の対象外)
手続き制度 登録制(運輸支局) 届出制(軽自動車検査協会)
ナンバープレートの正式名称 自動車登録番号標 車両番号標

ナンバープレートの外し方は簡単ですが、封印や法令に関わる制度は複雑です

ナンバープレートの取り外し・付け替え作業自体は簡単で、リアに封印がない軽自動車であればスムーズに行えます。しかし、封印が設置されている普通車では、道路運送車両法など複雑な諸制度が絡むため手続きのハードルは高くなります。

個人売買で普通車を購入するなど、ナンバープレートを交換する必要が生じた場合は、外し方だけでなく、関連する諸制度をあらかじめ確認しておくことをお勧めします。