革シートと布シートの違いとは

革シートと布シートどちらがおすすめ?それぞれの素材が持つメリット・デメリット

革シートと布シートの違いを解説。高級車や上級グレードのオプションとなる本革シートと一般的なファブリックシート、どちらにもメリット・デメリットがある。値段や生地の特性のほか、革シートと布シートのお手入れ方法の違いにも触れる。レザーシートか布シートかでお悩みのユーザーは参考に!

車には革シートと布シートのどちらがベスト?それぞれが持つメリット・デメリット

多くのユーザーが車選びの際に悩むポイントのひとつとして、シートデザインが挙げられます。基本的に通常の車に使用されるのはファブリック(布)が多く、値段が上がっていくにつれてレザー(本革)や人工の高級合成皮革が採用されるようになります。中には、ベースグレードでは布シートが設定されていても上級グレードを選ぶと革シートになったり、あるいはオプションでレザーシートが装備可能となっている車種もあります。

「なんとなく」でシートタイプを選んでしまう前に、革シートと布シートの違いやそれぞれのメリット・デメリットをしっかりと頭に入れておきましょう。ここでは特徴だけでなく、シートの種類ごとのお手入れ方法についても触れていきます。

革シートのメリットは天然素材ならではの高級感があってほこりが溜まりにくいこと

「アニリン」と呼ばれる染料で染め上げたのちに顔料を吹き付けるセミアニリン本革は、LEXUS車によく使用されている本革です。顔料を薄くして革ならではの風合いを強く引き出したナッパレザーは、マツダの上級グレード車やメルセデスベンツに採用されています。

このように本革シートの種類・製法は様々ですが、やはり本革の魅力といえばなんといってもその高級感漂う見た目でしょう。適切なお手入れを続ければ、本革ならではの質感の高さは月日が経っても衰えることなく、むしろ色褪せなどの変化も味わい深いものとして楽しむことができます。また、革調特有の匂いというのも車好きにはたまらないものです。

また、水濡れへの耐久性に優れている点も動物の革からできている革シートだからこそのメリットです。さらに、静電気が発生しにくくほこりが立たない性質のため、ファブリックでは座り心地を重視したいユーザーも快適に座れます。

革シートの場合は値段が高く蒸れやすい、汚れが付きやすいなどのデメリットがある

しかし、高級車に使用されるだけあって、革シートの値段は高額となるのが悩みどころです。さらに、通気性が悪く蒸れやすい(パーフォレーション加工されたレザーを除く)ことや、秋冬の寒い時期には座った時に冷たさが気になるといった難点もあります。

これらの問題を解決するためにシートヒーターを内蔵しているモデルが増えていますが、装備が増えることによってさらに値段が高くなってしまいがちです。また、布シートと比較すると滑りやすいこともデメリットのひとつでしょう。

さらに、デリケートな素材を使っている革シートは汚れが付きやすい点にも注意が必要です。革シートの汚れには様々な原因が考えられますが、手垢汚れなどのほか、雨の日に衣服が濡れた状態で乗車した際、革シートと衣服が擦れて着色してしまうケースが少なくありません。
洋服が濡れた状態での乗車はもちろん、デニム素材のような色落ちしやすい衣類を着用して乗車することも避けるのが得策でしょう。また、雨の日だけでなく、汗をかく夏場も汚れやすいので要注意です。

白系の革シートは特に汚れやすい!色落ちしやすい衣類に気を付けて

車へ乗り込む際に擦れて付きやすい革シートの座面サイドの黒い汚れ

革シートのアームレストや背もたれなど、衣類との接触が多い部分は特に汚れが付きやすい

車内がパッと明るい印象になるホワイト系の内装は清潔感があって人気なのですが、ホワイトやベージュの革シートの場合は汚れがつきやすいです。こちらの画像は革シートを使用して1年経過した状態を撮影したものですが、特にひじ掛けや背もたれなどの擦れやすい部分は汚れが黒く目立ちます。
もし革シートのカラーの選択肢が複数ある車種であれば、その中でも色が濃く、汚れが目立ちにくいブラックやブラウンなどのシートカラーを選ぶというのもありでしょう。

革シートにチャイルドシートを装着する場合は保護マットを必ず使用

子どもがいる家庭では必須のチャイルドシートですが、革シートに装着する際は要注意です。革の厚みや品質によってはもとに戻らない凹みや傷がついてしまうケースもあります。

革シートにチャイルドシートを装着する場合は、赤ちゃん用品店やカー用品店で売られている滑り止め加工の保護シート・保護マットを座面に敷くようにしましょう。傷を防止しつつ、ジュースやお菓子がこぼれた際に革シートが汚れるのも防げるので、一石二鳥のアイテムです。

革シートのお手入れ方法は意外と簡単!革を傷つけないよう丁寧に行うのがポイント

純正クリーナー以外ではシュアラスターの「レザークリーナーケアフォームS-61」が推奨される

マツダの公式サイトではナッパレザーや革シートのお手入れ方法が紹介されています。
純正専用クリーナーまたは中性洗剤を使用して汚れを落とし、綺麗な水で濡らした布で残りの洗剤を拭きとり、水分をとったのち日陰で乾燥させるというのがメンテナンスの大まかな流れになります。力任せにゴシゴシ拭くとレザー生地を傷めてしまう恐れがあるので、優しく丁寧にふき取るのがコツです。

《革製品のお手入れ》



  1. 純正専用クリーナーまたは水で薄めた中性洗剤(約5%)をやわらかい布に含ませ、汚れをふき取ります。
  2. きれいな水にひたした布を固くしぼり、残った洗剤をふき取ります。
  3. 乾いたやわらかい布で水分を取り、風通しのよい日陰で乾燥させます。雨などでぬれたときにも早めに水分をふき取り、乾燥させてください。

【注意】

・硬いブラシや布で強くこすると、傷がつくことがあります。
・シンナー、ベンジン、ガソリンなどの有機溶剤や、アルコール、塩素系漂白剤などでふかないでください。変色、シミの原因になります。
・直射日光に長時間さらすと、変質、縮みなどの原因になります。長時間駐車するときは、サンシェード (日除け) を使用するなどして直射日光をさえぎってください。
・シートがぬれたときはすぐに乾いた布で水分をふき取ってください。表面に水分が残っていると硬化、収縮など変質の原因になります。
・ビニール製品を長時間シートの上に置かないでください。変質、変色の原因になります。

引用元:シートなど内装の手入れはどのようにしたらよいですか?

なお、LEXUSでは専用のカーケアサービスがディーラーオプションとして用意されています。レザープロテクト/レザークリーニングやファブリックプロテクト/ファブリッククリーニングといったシートのお手入れのほか、ボディやホイールのコーティングなども行っています。

布シートは安価で丈夫なため多くの車に採用されている!多湿な日本では通気性が良いのも大きなメリット

ほとんどの車に使用されているのがファブリックシートです。
革シートよりも布シートが勝っている点として、まず値段の安さが挙げられます。低コストでの生産が可能な布シートは軽自動車から普通車まで多くの車種に使用されています。

多湿な気候の日本でも蒸れにくく、快適な座り心地を維持する通気性寒さが気になる冬場でも優れた保温性を発揮することも大きなメリットです。
また、布なので滑りにくくドライビングポジションが崩れにくい、耐久性が高く念入りな手入れがいらないといったメリットもあります。

布シートは「ホコリやニオイが気になる」「本革と比べてチープな見た目」といったデメリットがある

布シートは革シートよりも安価なぶん、見た目もそれ相応のものとなります。最近ではデザイン性の高いファブリックシートも増えてきてはいるものの、高級感という点ではどうしてもレザーよりは劣ってしまいます。

また、一度飲み物や食べ物などで汚してしまうと、これらの汚れを綺麗に落とすことはなかなか難しくなります。布なので静電気が立ちやすく、また繊維の中に砂やホコリなどの塵が溜まりやすいことも難点です。最近では消臭機能付きのファブリックシートもありますが、そうした機能がついていない布素材の場合はニオイが気になることもあります。

布シートのお手入れ方法は布シート用のスプレーが便利!汚れ防止なら丸洗いできるシートカバーの装着もおすすめ

布シートの場合、油汚れや古いシミといった頑固な汚れがついてしまうとなかなか落とせません。しかし、日頃からのお手入れとしては布シート用のスプレーを使用すると清潔を保てるのでおすすめです。

ソフト99の「布シート&マットクリーナートリガー400」は高い洗浄効果・消臭効果を持つ便利グッズ

布シート&マットクリーナートリガー400は布シート用の洗浄スプレーです。布シートに吹き付けて専用のブラシでブラッシングして乾拭きします。すっきりとしたミントの香りで消臭効果もあります。

なお、小さい子供がいて頻繁に布シートを汚してしまうのが心配という場合には、シートカバーを使用するのもひとつの手段でしょう。シートカバーやシートクロスを装着することで、汚れだけでなくタバコや飲食物の嫌なニオイからもシートを保護できます。

シートカバーは汚れたらサッと簡単に着脱できて丸洗いが可能なタイプが便利です。純正アクセサリーのほかに気になるものがあれば社外品でも問題ありませんが、サイドエアバッグ対応で自分の車のシートに適合するかどうか購入前にしっかり確かめておきましょう。

革シートと布シートの間を埋める人工皮革を使ったシートを採用するモデルも増えつつある

近年では、一目では本革と見分けがつかない人工皮革の開発が進み、車のシート素材として使われるようになっています。本革と比べると低コストなうえ、精巧で高い質感の見た目と優れた機能性を備えており、高級車のシートにも採用されています。ファブリックとのコンビシート素材として一部に人工皮革を使用している車もあります。

例えば東レ社の「ウルトラスエード」は、ホンダ車・スバル車・レクサス車・マツダ車などのシート素材として広く使用されています。セーレン社の「ネオソフィール」もスズキ・ジムニーの過去モデルや日産車のシートに使われています。

革シートと布シートはどちらも一長一短!好みや予算と相談して車のシートタイプを選ぼう

高級感を求めるなら革シートがおすすめですが、どうしても値段が高くなってしまい、夏場や冬場の温度変化も激しいという難点があります。それに対し布シートは安価で済みますが、レザーシートと比較すると高級感に欠けてしまうため、デザインについては妥協せざるを得ない部分があります。ニオイがついてしまったり、ホコリが溜まるなどのデメリットもあります。

革シートと布シートの各特徴を見てみると表裏一体で、どちらにもメリット・デメリットがあるものです。予算やデザインはもちろんですが、長く綺麗に維持していくためのお手入れの方法も違うため、それぞれの特徴をよく比較して選んでみてください。