日本最高金額の車 レクサスLFAの価格の理由
これまで販売された車の中で、日本で一番高い車はレクサスLFAです。
現在レクサスで販売されるF スポーツの頂点に立つべく、2010年12月から2012年12月までの2年間に限定500台生産され、日本では200台販売されました。
1台3,750万円もする日本の自動車メーカー初の本格的スーパーカーの秘密、そしてレクサスLFAの後継モデル登場の可能性についても紹介します。
レクサスLFAに後継モデルが登場する可能性はユーザーの声次第?2025年以降LFA2として発売の噂も
2012年に完売後も、レクサス北米の在庫が2018年に2台、2019年に3台発売されるなど、高い人気を誇るレクサスLFA。そんなレクサスLFAに後継モデルが登場することを心待ちにしているユーザーも多いでしょう。
レクサスLCのチーフエンジニア佐藤恒治氏によると、「レクサスLFAに後継モデルを誕生させたい気持ちはあるが、やはりユーザーの希望なくしては実現できない」とのこと。
もし後継モデルが発売されたとして、現行型LFAを超える一台となり売れるのかといった点も大きな課題となるでしょう。
そんなLFAに2025年以降後継モデルLFA2が登場するという噂も。
LFA2のパワートレインは4.0LのV8ツインターボエンジンとモーターを組み合わせたプラグインハイブリッド(PHEV)、もしくは100%モーター走行の電気自動車(BEV)になるとも言われています。
天使の咆哮と言われるエンジンサウンドの再現はどうなるのか、LFA2は楽しみなモデルになりそうです。
レクサスLFAが3,570万円のワケ
世界限定500台で販売されたレクサスLFA
テールランプとエアダクトが一体になったリヤは迫力満点
ヤマハと共同開発したエンジンは最高出力560psを発揮
販売価格3,750万円は過去日本で販売された車の中では最高額になります。
ではなぜこんなにも販売価格が高くなったのでしょうか。その訳は「全てがLFAのために新たに設計された」からです。
エンジンやプラットフォームで共通する車の開発費用は約300億円から500億円、全てを新規開発する新型車の場合は1,000億円を越えることもあります。
そして開発にかかった費用を自動車メーカーが販売目標に掲げる台数で割り、○年で回収する計算をします。
目標以上の販売台数であれば利益になり、目標台数を下回る場合は開発費を回収する見込みが立った場合に販売終了します。
しかし中には全く売れない車もあり、その場合は他の車種で補てんすることもあります。
これは台数が見込める量産車ができることで、限定車ではこの開発費をそのまま車両価格に乗せなければなりません。
LFAの場合は車の根幹を成すプラットフォーム、心臓部のエンジン、国産初のスーパーカーに相応しいデザイン、全てが限定500台のLFAのために新たに用意されました。
車の開発費を限定500台に乗せて販売したため3,750万円という高額な価格設定になっています。
LFAの販売は赤字でも全世界へ向けたアピールは大成功
LFAは全世界へトップレベルの走行性能をアピールした
しかし全て新しく設計されたLFAは3,750万円で500台販売しても187億5,000万円にしかならないため、採算は取れず赤字でした。
途中で開発終了もできましたが、それでも販売したのは、技術を今後に活かすため、技術力を世界にアピールしレクサスの価値を高める目的もありました。
LFAはスーパーカーとして異例のFR駆動(フロントエンジン・リヤ駆動)で開発されています。これは量産スポーツカーで多く採用される駆動方式で、この技術は現在レクサスやトヨタのスポーツカーの技術へ活かされています。
またLFAを発表したことにより、フェラーリやランボルギーニ、マクラーレンやポルシェなど世界のスーパーカーやレーシングカーを作る自動車メーカーにも、レクサスの高い技術力をアピールできました。
LFAの販売価格3,750万円は破格の安さ
市販車世界最高額のシロン 価格は約3億円
今後の車作りに活かすため、技術力を示しブランド価値を高めるために販売されたLFAは開発費を考慮すると、実はお買い得でコストパフォーマンスの高い車だったと言えます。
スーパーカーを販売する海外ブランドへ目を向けると、フェラーリが販売するラ・フェラーリは500台限定生産で約1億6,000万円、世界一高い市販車と言われるブガッティのシロンは500台限定生産で約3億円になっています。
この値段を考えるとLFAの3,750万円が良心的な値段に見えてくるかもしれません。
国内初のスーパーカー レクサスLFAを振り返る
LFAはレクサスFシリーズの頂点に君臨
レクサスFシリーズのフラッグシップモデルとして登場した新型LFAは2シーターのスーパーカーで、世界56ヵ国へ500台限定で販売されました。
国内外から想定以上の予約が入ったため、締め切りを2ヶ月早く切り上げるなど、発表から販売までモーターファンに注目された車です。
ヤマハと共同開発したV型10気筒4.8Lエンジンは、最高出力560ps、最大トルク48.9kgmのハイパワーを発揮、1,480kgの軽量高剛性ボディで0-100km/hは3.7秒を達成します。
このようにフェラーリやランボルギーニなど、世界のスーパーカーブランドに匹敵する走行性能をもっていて、特に加速力は全世界屈指の性能をもっています。
ヤマハとは伝説的なトヨタの名車2000GTやセリカ1600GTでタッグを組んでおり、LFAでは室内に聞こえるエンジンサウンドもチューニングしています。
駆動形式 | FR |
---|---|
全長 | 4,510mm |
全幅 | 1,900mm |
全高 | 1,220mm |
前トレッド | 1,580mm |
後トレッド | 1,570mm |
ホイールベース | 2,610mm |
最低地上高 | 120mm |
最小回転半径 | 6.1m |
車両重量 | 1,480kg |
総排気量 | 4,805cc |
最高出力 | 560ps |
最大トルク | 480Nm(48.9kgm)/6,800rpm |
乗車定員 | 2名 |
販売価格 | 37,500,000円 |
LFAの後継車種はレクサスLC
後継車種のLCは加速性能も世界トップレベル
国産車初のスーパーカーLFAの技術を活かした後継車種がレクサスLCです。
スーパーカーのLFAほどのインパクトはありませんが、レーシング仕様のLFAに対して街乗りでも快適なドライブが楽しめるLCは2017年3月の発売から1ヶ月で1,800台の受注を記録し話題になりました。
5.0L V8エンジンは世界最速レベルの10速ATを採用、3.5Lハイブリッドエンジンは4速ATを追加したマルチステージハイブリッドを採用、LFAで培った技術とレクサスの最新技術を融合した次世代フラッグシップクーペになっています。
0-100km/h加速は4.6秒でLFAには敵いませんが、世界的に見てもトップクラスの性能をもっています。
駆動形式 | FR |
---|---|
全長 | 4,770mm |
全幅 | 1,920mm |
全高 | 1,345mm |
前トレッド | 1,630mm |
後トレッド | 1,635mm |
ホイールベース | 2,870mm |
最低地上高 | 135mm |
最小回転半径 | 5.4m |
車両重量 | 1,940kg |
総排気量 | 4.968cc |
最高出力 | 351kW (477ps)/7,100rpm |
最大トルク | 540Nm(55.1kgm)/4,800rpm |
乗車定員 | 4名 |
販売価格 | 13,500,000円 |
LFAの中古車はプレミア価格の5,400万円
限定500台で販売されたLFAは当時でも抽選になるほど、国内外で大人気になりました。
お金はあっても買えなかった方も多く、6年経った2018年では新車価格を上回るプレミア価格で中古車市場に出回っています。
大手中古車サイトの平均価格は5,400万円、LFAの当時の新車価格が3,750万円だったことから約1.5倍まで跳ね上がっています。
LFAの中古車価格は年々上昇する傾向なので、5年後には新車価格の倍額になることもあり得るでしょう。
LFA生誕10周年を祝う特別にペイントされたアートカーが登場
2009年に行われたレクサスLFAの公開から約10年が経ち、海外ではポルトガルのアーティスト「ペドロ・ヘンリクエス」によりLFA生誕10周年を祝う特別にデザインされたアートカーが公開されました。
使用されたのは世界限定500台のうち、わずか50台しか製造されていない正真正銘のプレミアムなLFA「ニュルブルクリンクパッケージ」がベースになっています。
線を用いた不規則的なデザインが「現代の生活の中に存在する流動性」を表現
LFAのアートカーは2018年7月28日から29日かけて行われるスパ・フランコルシャン24時間レースに登場
今回登場したアートカーからも「天使の咆哮」を聞くことができる
レクサスの頂点に立つニュルブルクリンクパッケージは2017年にアメリカのオークションに出品されると世界中で大きな話題となりました。2021年8月にはアメリカで行われたサザビーズオークションでは驚きの約170,000,000円で落札されました。
車両全体を大胆にデザインされた今回のアートカーは世界三大耐久レースの「スパ・フランコルシャン24時間レース2018」に登場します。
LFAは性能や造りを考えると意外とコストパフォーマンスが高い
量産車ではない限定車、こだわり抜いた造り、海外のスーパーカーの相場、走行性能を考慮するとLFAの新車販売価格3,750万円は決して高額ではないことがわかったかと思います。
そして価格以上に価値があったのが、LFAによってジャパンブランドの価値が上がったことです。
日本は今までスーパーカーを作る技術があるとしてきましたが、実際に形にすることはありませんでした。
LFAは海外のトップブランドにも負けない技術を結果として残した、革新的な車と言えるでしょう。