車のバッテリーが上がる原因は何?対処法を知っておこう
バッテリー上がりは車の代表的なトラブルです。車を所有していると一度は体験するかもしれないバッテリー上がりは、車のトラブルを専門的に扱うJAFでは年間80万件もの事例に対応しています。
そんな、いつか自分の車にも起こってしまうかもしれないバッテリー上がりの原因と対処法、予防法も併せて紹介します!
「車のバッテリーが上がる」とはエンジンに供給する起電力が不足している状態を指す
「車のバッテリーが上がる」とは、車のエンジンがかからなくなることを言います。
エンジンをかけるには起電力が必要で、その電力を起こすためにバッテリーが必要です。バッテリーが「上がる」ということは、その起電力を起こせなくなっている状況を指します。
車のエンジンがかからなくなってしまうもう一つのメジャーな原因はガス欠ですが、どちらが原因であるかは燃料計を見るとすぐに判断がつきます。
燃料が十分入っているのにエンジンがかからない場合は、バッテリー上がりを疑います。バッテリーで発電されて蓄えられた電気の量よりも、カーナビやエアコンを使ったりした際の電気量の合計が上回ってしまうと、バッテリーが上がりやすくなります。
バッテリーに蓄えられている電気は、車内のオーディオ設備やエアコンシステムの起電力となるだけでなく、エンジンを動かすためにも必要な電気です。そのため、バッテリーが上がってしまうと、エンジンがかからなくなります。
自動車のバッテリー上がりの原因になる主な5つの理由
1.過放電
- 1日に何度もセルモーター(エンジンを動かすのに必要なモーター)を使用。
- エアコンやオーディオシステムなど、消費電力の大きな電飾品を利用。
- ライトや照明灯などの消し忘れ。(エンジン停止時)
2.充電不足
- 車のエンジンを頻繁にはかけていない。
- 1回の運転で走行する距離が少ない。
- 渋滞にはまっている時間が長い。
3.容量不足
- 本来使用するべき容量よりも、電気容量が少ないバッテリーを使用している。
4.バッテリーの劣化
- バッテリー内部で化学変化が起こりにくくなり、充電能力が低下する。
5.バッテリーの寿命
- 商品の種類にもよるが、3年~4年が耐用年数である。
※ドライバーの運転状況や住んでいる場所の環境にもよる。
バッテリーが上がってしまう主な原因の一つは、充電不足です。車にエンジンをかけて回転数を上げることで、バッテリー内部の化学反応が促進されて、充電が活発化します。
運転をするのは休日だけとか、冬は雪道運転が苦手なので運転を控えて車を放置する時間の長い方は、バッテリー上がりを起こしやすい傾向にあります。
また、バッテリーに蓄えられている電気を使いすぎてしまう事も主な原因です。特に、エンジンを停止している状態であれば充電が行われず、電気の消費だけが進んでしまうので、ヘッドライトをつけっぱなしにしていれば短時間でバッテリーが上がります。
下記の表は、JAFのロードサービスが調べた車の電力消費量のTOP5です。車から離れる際には、エアコンやヘッドライトを付けっぱなしにしないように注意が必要です。
車のバッテリー上がりの原因となりやすい電力消費量の多い装備TOP5
1位 エアコン
2位:ブレーキランプ
3位:リアデフォッガー(リアウインドウの曇りを取る装置)
4位:ヘッドライト
5位:ワイパー
自動車のバッテリー上がりを予防するために知っておきたいこと
車のバッテリーが上がってしまうと、上がった場所や選択する対処法によっては、協力者の助けが必要になります。出来れば起こしたくはないバッテリー上がりの予防法は、次の通りです。
バッテリー上がりの予防法
- 車から離れる時はライトを付けっぱなしにしていないか確認
- エアコンやオーディオシステムを多用し過ぎない
- 数年経過した古いバッテリーを交換
- 休日以外も運転する
- 数ヶ月放置する場合はマイナス端子を外す
自動車のバッテリーが上がっても冷静に!万が一の対処法
お買い物やレジャー帰りで、いざ出発!そんなときにバッテリーが上がりエンジンがかからないと慌ててしまいますが、冷静に対応しましょう。バッテリーが上がった時にやる対処法をまとめました。
バッテリーが上がったら迅速な対応が期待できるJAFを呼ぶ
バッテリー上がりなど、車のトラブルに迅速に対応してくれるのがJAFです。JAFを呼んだ時にかかる費用を会員である場合と、非会員である場合に分けて紹介します。
JAFの会員であるケースの費用
JAFの会員には、入会金2,000円(クレジットカードによるオンライン入会であれば1,500円)と年会費4,000円を納めることで、車両番号を届けるなどの面倒な手続きを経る事なく加入できます。
JAFの会員であれば、バッテリー上がりなどのロードサービスの多くを無料で受けられますが、バッテリー交換時のバッテリー本体の代金は実費となります。
JAFの非会員の場合にかかる費用
JAFに依頼するタイミングが、8時~20時までの昼間の時間帯であれば、基本料金が8,230円+作業量4,650円の合計12,880円が請求されます。夜間として区分される時間帯(20時~8時)に依頼をすれば、基本料金10,290円に作業量4,650円の合計14,940円が請求され、バッテリー交換時のバッテリー代金は実費となります。また、バッテリー上がりの場所が高速道路であれば、別途料金が加算されます。
任意保険会社のロードサービスでもバッテリー上がりは対応可能
車の任意保険を扱っている会社は、顧客満足度を高めるためにロードサービスを展開しています。契約されている保険会社の窓口に問い合わせれば、回数に制限はありますが、無料でバッテリー上がりに対応してくれるケースもあります。
ブースターケーブルでバッテリーを充電
バッテリーが上がった時の対処法として最もポピュラーな方法がブースターケーブルを使う方法です。自分の車のバッテリーと他の人の車のバッテリーをブースターケーブルで繋いでから、他車のエンジンをかけることで、充電を行います。
ブースターケーブルを利用する対処法の手順
1.救援車を呼んで、バッテリーが上がっている車の近くに駐車してもらう
家族や友人、職場の同僚など現場まで車まで来られる範囲に居住している方にお願いをしましょう。
依頼した人が現場まで駆けつけてくれたら、お互いの車のバッテリーをブースターケーブルでつなぐことが可能な近い位置に駐車してもらいます。
2.バッテリーをブースターケーブルでつなぐ
ブースターケーブルのクリップ部分に異常はないか、ケーブル部分に断線が起こっていないかを確認します。そして、バッテリー上がりの車と、救援車のボンネットを開けて、お互いのバッテリーが同じ電圧である事を確認します。
バッテリーの端子にブースターケーブルをつなぐ順番はとても重要です。以下の順番をしっかりと、守りましょう!
1.赤いケーブルを、バッテリーが上がっている車の+端子に接続する
2.もう片方のクリップを救援車の+端子に接続する
3.黒いケーブルを、救援車の-端子に接続する
4.もう片方のクリップをバッテリー上がりの車のエンジンブロックに接続する
3.救援車にエンジンをかけてもらう
救援車がAT車ならP(パーキング)、MT車だったらN(ニュートラル)の状態にある事を確認、サイドブレーキがかかっているか確認し、エンジンを始動します。アクセルを踏み込んでエンジンの回転数をあげると、充電能力が高まります。ある程度時間が経過したら、バッテリーが上がっている車のエンジンをかけてみます。
4.車のエンジンがかかったらブースターケーブルを外す
バッテリーが上がっていた車のエンジンがかかったら、ブースターケーブルを外します。その順番は次の通りです。
1.バッテリーが上がっていた車のエンジン部につなげていた黒いケーブルのクリップを外す
2.救援車の-端子に接続していた黒いケーブルのクリップを外す
3.救援車の+端子に接続していた赤いケーブルのクリップを外す
4.バッテリーが上がっていた車の+端子に接続していた赤いケーブルのクリップを外す
5.アイドリングやドライブで車のバッテリーに充電する
エンジンがかかったとしても、油断は禁物です。しばらく、アイドリングをしたり30分くらいドライブをして、バッテリーへの充電を忘れずに行いましょう!
完全にバッテリー上がりを起こしている場合は新品バッテリーと交換
バッテリーが完全に上がっていると、ブースターケーブルを利用しても、その他の方法で充電を行っても効果は期待できないため、バッテリー本体を交換することが求められます。交換するバッテリーは、車に適合している規格を選ばなければなりません。
バッテリーの規格(JIS形式)の見方
「60 E 25 L」という規格のバッテリーを例とします。
- 60:性能ランク(数字が大きいほど性能が良い)
- E:短側面のサイズ(A→Hの順にサイズアップ)
- 25:長側面のサイズ(この場合は25cmです)
- L:端子の位置(Lタイプ:プラス端子が左側、Rタイプ:プラス端子が右側)
バッテリー交換の一連の流れ
- スパナかソケットランチを使って-端子、+端子の順に取り外す
- ステイ取付金具とステイを外す
- 中の液体がこぼれないように、両手でしっかり古いバッテリーを持って取り外す
- 新しいバッテリーをセッティングする
- バッテリーをステイと取付金具で固定する
- 今度は、+端子を先の手順で取り付ける
ジャンプスターターを自動車に載せておくとバッテリー切れも安心
車のバッテリーの対処法の一つとして、最近増えつつあるのが、ジャンプスターターと呼ばれるポータブルタイプの発電機を利用した方法です。
充電方法は、ブースターケーブルを利用する手順と近く、救援車がいなくても行えるのが特徴です。付属されているケーブルでバッテリーとジャンプスターターをつないでいきます。
ジャンプスターターを万が一の事態に備えて車に積んでおけば、バッテリーが上がってもJAFに依頼をしたり、他の人に迷惑にかかってしまう事態は大いに避ける事ができます。どの商品もコンパクトサイズですし、最近ではスマホに充電することも可能なので、車に積んでおけば何かと便利です。
冬はエアコンなどの電力消費が多くバッテリー上がりになることが多い
バッテリーが上がりやすい主な季節は、気温が低い冬です。バッテリーは、電極版と電解液とが化学反応する際に発生するエネルギーを利用して、放電・充電を繰り返します。
気温が低下するにともなって、バッテリー内部で電解液が反応する力が弱まり、充電・放電が十分には行われないため、冬は他の季節に比べてバッテリー上がりやすくなってしまいます。
その他の理由としては、外が寒いとエンジンオイルなどの粘り気が増すため、エンジンを作動させるにはより大きな電気量が必要となることも、冬にバッテリーが上がりやすくなってしまう原因です。
車のバッテリー上がりは日頃の注意と運転を楽しむことで予防
バッテリーが上がってしまうと、車が動かなくなってしまうので、仕事に遅れてしまったり、休日の予定が狂ってしまいます。また、自分以外の方にも迷惑がかかってしまう場合もあります。
バッテリー上がりを予防するには、ライトなど電気系統の消し忘れがないように注意することと、日頃から運転を楽しんで充電をしっかりと行う事が大切です。