オートレベリングとは

オートレベリング機能とは?HID・LEDヘッドライトに必須の役割と車検基準

ヘッドライトの照射軸を自動的に調整するオートレベリング機能(オートレベライザー)の役割を解説。HID・LEDヘッドライトには保安基準で搭載が義務付けられているため、新車購入時の見積もりで、この機能のないHID・LEDヘッドライトを選択することはできません。マニュアルレベリング機能との違いや、ローダウンカスタム時の光軸調整についても説明します。

オートレベリング機能とは?意味や機能まとめ

車の見積もりをとる時に、ヘッドライトの項目で見かける「オートレベリング」という機能があります。これは本当に必要なものなのか、もし見積もりから外せるなら少しでも見積額が安くなるのでは、と思った方もいらっしゃるでしょう。

オートレベリング機能の意味や必要性、見積もりから外すことができるのかどうか、そしてオートレベライザーに関する一般的な疑問について詳しく解説しますので、ぜひチェックしてみてください。

オートレベリング機能とは、照射軸を自動調整する機能のこと

オートレベリング機能とは、ヘッドライトの照射軸(光の中心位置)を自動的に調整してくれる機能のことです。照射軸の位置が高すぎると、ロービームであっても対向車のドライバーにとって眩しすぎて、ハイビームを浴びたかのように前が見えなくなり、非常に危険な状況にさらすことになります。

特に光量が多く、ドライバー側からは明るくて見やすい「ディスチャージドヘッドライト(HID)」や「LEDヘッドライト」では、照射軸が上向きになっている時、ロービームでも地面ではなく対向車を照らしてしまい、他のドライバーにとってヘッドライトが眩しすぎて迷惑になる可能性が高くなります。これは、HIDやLEDの強力な光が、わずかな角度の変化でも対向車に大きな影響を与えるためです。

そのため、新車時から「ディスチャージドヘッドライト(バイキセノンヘッドライト・HID)」や「LEDヘッドライト」を装備している車種には、ヘッドライトの照射軸を自動的に調整してくれるというオートレベリング機能が必ず備わっています。車種によっては「オートレベライザー」と呼ぶ場合もありますが、これは同じ機能を指しています。

HID・LEDヘッドライトにはオートレベリング(オートレベライザー)の搭載義務がある

HIDヘッドライト(ディスチャージドヘッドライト・バイキセノンヘッドライト)とLEDヘッドライトには、オートレベリング(オートレベライザー)を装着しなければならない義務が保安基準によって定められています。これは新車販売時の義務であり、販売するメーカーが必ず守らなければならないルールです。

したがって、新車を購入する際にLEDヘッドライトやディスチャージドヘッドライト(バイキセノンヘッドライト)を選択していると、このオートレベリング機能は必ずついてくる機能となります。ヘッドライトの明るさが対向車に与える影響を考慮した、重要な安全装備の一つなのです。

ハロゲンヘッドライトの場合、オートレベリング機能がない場合と付いている場合があります。また、オートレベリング機能がないヘッドライトの場合は、マニュアルレベリング機能がついているパターンが多くあります。ハロゲンであっても、レベリング機能自体は安全性を確保するために重要な役割を果たします。

「オートレベリング」と「マニュアルレベリング」の違い

オートレベリング機能がヘッドライトについている車両は、照射軸を自動的に調整してくれます。一方、ハロゲンヘッドライトでマニュアルレベリング機能がついている場合は、ドライバーが自分で調整する必要があります。その調整は、運転席付近にあるマニュアルレベリングのダイヤルやスイッチを操作して行います。

後部座席に人を乗せた際やトランクに荷物を積んだ際には、車体のリヤ(後部)が沈んだまま走行することになります。このとき、ヘッドライトの向きは上向きになり、そのまま走行していると周りの車にとってハイビームのように眩しい車になり、迷惑だと感じられるでしょう。

そこで、車の後部が下がった姿勢でライトの照射軸が上向きになる場合に、マニュアルレベリングのダイヤルを操作して下向きに調整します。これにより、対向車にとって眩しくないライトに調整し、安全運転を支援します。

オートレベリング機能がついていれば、車のリヤが下がっていることをセンサーが感知し、車が自動的に調整してくれるので、ドライバーは操作する必要はありません。しかし、マニュアルレベリングヘッドライトの車だと、乗車人数や積載量が変わるたびに自分で調整しなければならないという違いがあります。

マニュアルレベリングのダイヤル数値の設定は、車両の取扱説明書に適正位置が記載されていることが多いので、ドライバーの方は事前に確認しておきましょう。レベリング機能は、安全に運転するために欠かせない機能です。

車高を下げるとオートレベリングが搭載されていても照射軸がズレる可能性も

オートレベリングのセンサー

オートレベリング機能のセンサーは、多くの場合、リヤの沈み込み具合を検知して車が「車両のリヤが下がっている」と判断し、ヘッドライトを自動的に下向きに調整します。しかし、ローダウンカスタムをした場合、トランクに荷物を積んでおらず車両の姿勢が水平であっても、標準の車高より下がっているので「沈み込んでいる」と誤って判断し、ライトを下向きにしすぎる可能性もあります。

車高を極端に下げたローダウンカスタムをした場合には、タイヤのホイールのアライメント調整だけでなく、ヘッドライトの照射軸調整もあわせて行うことをおすすめします。適切な光軸調整を行わないと、夜間の走行に支障をきたし、安全性を損なうことになりかねません。カスタムを行う際は、オートレベリングへの影響を考慮することが重要です。

オートレベリング機能はHID・LEDヘッドライトに装着義務がある装備

車の見積もりをとる際に見かける「オートレベリング機能」は、ディスチャージドヘッドライト(バイキセノンヘッドライト)やLEDヘッドライトを装備する際に必要な機能です。ハロゲンヘッドライトに比べて何倍も明るく見やすいHIDやLEDヘッドライトは、ドライバーにとって夜間の視界を確保する上で非常に便利ですが、その分、自分以外のドライバーにとって眩しいと感じることが多いのです。

後部座席に3人以上乗車している時や、トランクに荷物を満載に積んでいる時などは、車体後部が重くなるため車両のリヤが下がり、車の姿勢がフロント上がりになります。結果として、ヘッドライトはロービームでも上向きになります。この状態だと、ハイビームにしていなくても周りの車両からは眩しく感じられ、幻惑させてしまい事故を誘発するかもしれません。

上記の理由により、新車販売のHID・LEDヘッドライトにはオートレベリング機能が義務付けられています。そのため、その機能だけを外すということはできません。どうしてもオートレベリング機能を避けたい時は、ハロゲンヘッドライトを標準装備しているグレードを選ぶしかありません。その場合、ライトの向きを自分で調整するマニュアルレベリング機能がついてくることが一般的です。

オートレベリング機能は、リヤが下がった車両姿勢でも自動的にライトの向きを調整して、適切に地面を照らしてくれる便利な装備です。マニュアルレベリングでは乗車や積載のたびに自分で調整しなければなりません。「荷物を積んだ状態」や「後部座席に人を乗せている状態」など、条件によりダイヤル数値が変わるため、その都度設定を覚える必要があり、ドライバーの手間となります。

新車販売では、HID・LEDヘッドライトを装備したい場合に必ずついてくる装備であり、オートレベリング機能だけを外すことはできませんので、購入の際は注意しましょう。安全を担保する重要な機能として認識してください。