ローダウンの方法・費用・注意点

ローダウンの方法やメリット・デメリット・費用・注意点

ローダウンは若い人に人気のカスタマイズ方法で、スポーツカーはもちろんのこと高級セダンからコンパクトカー・軽自動車、SUVまで車高を下げるパーツが豊富にある。見た目が良くなり運動性能が上がる車高短のやり方などを紹介。

ローダウンの方法やメリット・デメリット・費用・注意点

ローダウンの意味・カスタム方法の種類と費用、注意点

車高を低くした迫力のある車

「ローダウン」とは、車高(地面からの高さ)を下げて車両全体を低く見せるカスタム手法です。俗に「シャコタン(車高短)」とも呼ばれ、ノーマル車と差をつけられるスタイル面のメリットに加え、車の重心が下がることで運動性能の向上が見込める場合もあります。

ここでは、ノーマル車高からローダウンを行う具体的な方法、メリット・デメリット、そしてカスタム時に守るべき保安基準などの注意点をご紹介します。

ローダウンとはサスペンションを変更して車高を下げるカスタム

重心を低くしてスポーティーさを演出した車※BMWのローダウンカスタム

ローダウンカスタムは、サスペンション(懸架装置)の構成部品であるスプリング(バネ)やショックアブソーバーを、車高を下げるための専用品に交換することで行います。

かつてはスプリングを切断するなどの危険な手法も行われていましたが、現在では様々な車種に対応したローダウン専用のスプリングやサスペンションキットが販売されており、安全かつ手軽にカスタムを楽しめるようになっています。高級セダンからコンパクトカー、軽自動車、SUVまで、幅広い車種で人気のカスタム手法です。

ローダウンのカスタマイズ方法と費用の目安

ローダウンカスタムは、主に「スプリングのみ交換」「サスペンション一式交換」「エアサスへの変更」の3つの方法があります。それぞれで費用や調整の自由度が大きく異なります。

1.ダウンサスペンション(ダウンサス)

ノーマル車に追加されたダウンサス

ダウンサスとは、純正のスプリング(バネ)を、車高を下げる目的で作られた短いスプリングに交換する方法です。サスペンションの構成部品のうち、スプリングのみを交換し、ショックアブソーバー(バネの伸び縮みを制御する部品)は純正品をそのまま使用します。

ダウンサスは他のカスタムパーツに比べて価格が比較的安価で、スプリング4本で1万円台から購入できます。カー用品店などに交換作業を依頼した場合、工賃はおよそ2万円~4万円ほどかかるため、総合費用は5万円程度からローダウンが可能です。

しかし、短いバネに交換することで乗り心地が悪化したり、ショックアブソーバーとのバランスが崩れて走行性能が低下したりする場合があります。手軽にローダウンできる反面、車高の下げ幅は固定で、後から変更できない点がデメリットです。

ダウンサス
パーツ価格 1万円〜2万円ほど
工賃 2万円〜4万円ほど
総合費用(目安) 3万円〜6万円ほど
メリット 比較的安価で手軽にカスタムできる
デメリット 車高調整ができない(下げ幅が固定)、乗り心地が悪化しやすい

2.車高調整式サスペンション(車高調)

車高を低くするための最新の車高調

車高調とは、スプリングとショックアブソーバーが一体となったサスペンションキット全体を交換する方法です。最大の特徴は、サスペンションの長さをネジなどで調整することで、車高を自由に細かく設定できることです。

また、製品によっては減衰力(ショックアブソーバーが伸び縮みする速さや強さ)を調整できる機能が備わっています。減衰力を強くすれば硬めのスポーティな乗り心地に、弱くすればソフトで乗り心地の良いフィーリングに調整でき、好みに合わせて走行性能を追求できます。

車高調の価格は10万円前後からと高額で、工賃を含めると12万円以上かかることが多いですが、車高の微調整が簡単で、純正車高に戻す作業も容易であるという大きなメリットがあります。

車高調
パーツ価格 8万円〜20万円ほど
工賃 2万円〜5万円ほど
総合費用(目安) 10万円〜25万円ほど
メリット 車高や乗り心地(減衰力)を自由に調整できる
デメリット ダウンサスに比べて初期費用が高額

3.エアサスペンション(エアサス)

ラグジーな乗り心地のエアサスペンション

エアサスとは、金属製のスプリングの代わりに、空気の力で車体を支えるエアスプリング(空気バネ)を使用したサスペンションのことです。レクサスLSなどの高級車や、乗り心地を重視するバス・トラックに採用されています。

カスタム用のエアサスは、車内のコントローラーを操作することで、車高を瞬時に自由自在に上げ下げできる点が最大の魅力です。これにより、普段は極限まで車高を下げてスタイリングを楽しみ、段差や坂道では車高を上げて干渉を防ぐといった使い分けが可能です。

非常に乗り心地が良いというメリットがありますが、システム全体を組み込むため価格が非常に高価で、取り付けにも手間がかかります。

エアサスペンション
パーツ価格 50万円〜100万円ほど
工賃 10万円〜20万円ほど
総合費用(目安) 60万円〜120万円ほど
メリット 乗り心地が良く、車高を瞬時に自由に調整できる
デメリット 初期費用が非常に高額

ローダウンのメリット

車高を低くしたオープンカー

車両をローダウンして車高を下げることには、主に以下のメリットがあります。

1.スタイルの向上と個性の演出

ローダウンすることで車体が低く締まって見えるため、スタイリッシュな印象になります。下げ幅やエアロパーツの有無、ホイールとフェンダーの隙間などで調整することで、ノーマル車とは異なる個性を演出できます。

低車高のエアロを付けたレーシングカー

2.運動性能の向上

車高を下げることで車両の重心が下がり、コーナリング時の車体の傾き(ロール)が減少します。これにより、走行時の安定性が増し、よりスポーティな走行性能を得られる場合があります。

海外で展示された車高の低い車

3.荷物の積み下ろしが容易に

車高が低くなることで、トランクやバックドアへの荷物の積み下ろしの際、持ち上げる高さが少なくなり、作業が容易になるという実用的なメリットもあります。

ローダウンの主なメリット

  • スタイルが向上し、個性が演出できる
  • 重心が下がり、運動性能(安定性)が良くなる
  • 荷物の積み下ろしがしやすくなる

ローダウンのデメリットと注意点

ローダウン中の車

ローダウンには多くのメリットがある一方で、デメリットや注意すべき点もあります。

1.費用がかかる

ノーマルからローダウンするためには、必ず専用のパーツ代と工賃がかかります。ダウンサスであれば数万円から済みますが、車高調やエアサスを組むとなると、数十万円の費用が必要になります。

2.乗り心地の悪化リスク

特にダウンサスの場合、純正よりバネレート(バネの硬さ)が高いスプリングに交換されることが多く、乗り心地が固くなり、段差を乗り越えた際に突き上げ感が増すなど、乗り心地が悪くなるパターンが多いです。車高調であれば調整で改善できる可能性があります。

3.車両への負担増とトラブルのリスク

車高を下げることで、メーカーが想定していない角度でサスペンションやドライブシャフトが稼働することになり、純正部品のドライブシャフトブーツなどが破れやすくなるなど、耐用年数より早くトラブルが起きる可能性があります。

4.最低地上高と道路環境への配慮

地面すれすれでローダウンしたセダン

車高を下げる際に最も注意しなければならないのが、最低地上高です。道路運送車両法では、地面から車の最も低い部分までの距離が90mm以上(計測方法に規定あり)なければ車検に通りません。89mm以下になると不正改造車と見なされます。

また、最低地上高をクリアしていても、車道から店舗に入る時の段差やデコボコした踏切などで、エアロパーツや車体の底を擦るトラブルが多発します。最低地上高ギリギリの車高の場合、大きな段差を乗り越える際は、車体を斜めにして進入・出庫するなど、十分な注意が必要です。

雪国でのローダウン走行は大きなデメリットがあります

ローダウンし過ぎて雪道にはまる車

雪の降る地域でローダウンしたまま走行すると、大きな問題が発生します。積雪がある状況で車高が低いと、雪が車体の底に引っ掛かって走行できなくなる「亀の子状態」になりやすいほか、溶けかかった雪のぬかるみに埋まって動けなくなるリスクが高まります。

また、路面が近いため、融雪剤(塩化カルシウムなど)による塩害も受けやすく、車体や足回りのサビの進行が早まる可能性もあります。雪が積もる時期だけ車高を戻す手間や費用がかかるなど、雪国ではローダウンは大きなデメリットとなりえます。

メーカー純正でローダウンされたモデルもあります

近年では、自動車メーカー自身がサスペンションを変更し、他のグレードよりも車高を低く設定した「ローダウン仕様」の車両を販売しているケースが増えています。

ローダウンした状態で売り出される市販車

例えば、ホンダが販売している軽自動車「N-ONE」には、通常モデルよりも全高や最低地上高を下げた「Lowdownパッケージ」があります。純正品であるため、車検適合性が保証され、乗り心地と走行性能のバランスも高いレベルで確保されている点が魅力です。

N-ONE ローダウンモデル価格表(例)
Premium Tourer・Lowdown 1,645,000円
Premium Tourer 特別仕様車
SSアーバンブラックパッケージ
1,698,000円
Premium Tourer 特別仕様車
SS Neo Classic Racer Package
1,798,000円

※価格は当時のものであり、現在の販売価格とは異なる場合があります。

適度にローダウンすることでスタイルと走行性能を楽しめます

ローダウンでキメた日産GTR

フェンダーとタイヤの隙間が適度に埋まるなど、バランス良くローダウンすることで、車は全体的に締まったスタイリッシュな印象になります。

しかし、極端すぎるローダウンは、段差での走行が困難になったり、エアロパーツの破損リスクが高まったりするだけでなく、車両と地面の間に指1本も入らないような状態では、冬の雪道はもちろん、夏でもトラブルの原因になり、周囲の通行車両に迷惑をかけることにもなりかねません。

最低地上高(90mm)などの保安基準を守り、適度な下げ幅でスタイリッシュに、かつ走行に支障のない車高でローダウンカスタムを楽しんでください。