カーコーティングの撥水・親水・滑水・疎水の違いと特徴、メリット・デメリット
カーコーティングや洗車用品を選ぶ際によく目にする「撥水」「親水」「滑水」「疎水」という言葉は、車の塗装面に水がかかった際の水の挙動を示すものです。ここでは、これらの水弾きの違いと、それぞれのメリット・デメリットを水接触角を基に詳しく解説します。
「撥水」「親水」の違いと「滑水」「疎水」の位置づけ
水接触角により、撥水・親水などの種類に分けられます
カーコーティングは、水を玉状にして弾く「撥水」タイプと、水になじんで薄い膜状に広がる「親水」タイプに大別されます。しかし、近年では「滑水(かっすい)」や「疎水(そすい)」といった名称のコーティングも登場しています。
これらの呼び方の違いは、メーカーや施工業者による製品のブランディングが理由であり、厳密な業界統一の定義はありません。一般的には、水滴と塗装面が接する角度である「水接触角」によって、以下のように分類されます。
- 撥水:水接触角が90度以上。水が玉状(水玉)になり、転がり落ちます。
- 親水:水接触角が40度以下。水が薄く広がり、膜状になって流れます。
- 疎水・滑水:水接触角が40度〜90度程度。撥水と親水の中間的な性質を持ちます。
一般的に、滑水は撥水の中でも特に水切れが良い状態を指すことが多く、疎水は撥水と親水の中間で、水が引くように流れる状態(低撥水)を指すことが多いと覚えておくと理解しやすいです。
用途別に選ぶ:撥水は車庫保管・親水は青空駐車向き
コーティングの種類は、駐車環境や洗車頻度を考慮して選ぶことが重要です。
撥水コーティングは水が玉状になって流れ、見た目の美しさが際立ちますが、水玉がボディに残りやすく、水滴がレンズ効果を発揮することでイオンデポジットやウォータースポットの原因になる場合があります。そのため、頻繁に洗車できる方や車庫で保管できる方に向いています。
親水コーティングは水が広範囲に薄く広がり、水膜となって汚れを巻き込みながら流れ落ちる特性(セルフクリーニング効果)を持ちます。水滴が残りにくく、レンズ効果によるシミの発生を防ぐため、青空駐車や忙しく洗車できない方に適しています。
また、車の色によっても選択の参考になります。ホワイト系の明るい色はウォータースポットが目立ちにくいため撥水コーティング、ブラック系の濃い色はウォータースポットが目立つため親水コーティングが推奨されることがあります。ただし、どちらも「汚れたら洗車」を心がければ水シミは防げますので、あくまで参考程度に留めましょう。
コーティングタイプ | 特徴 | 適した駐車環境 | 選択のポイント |
---|---|---|---|
撥水コーティング | 水が玉状になって転がり落ちる。視覚的な美しさがある | 車庫保管や頻繁に洗車できる環境 | 水玉が残りやすく、イオンデポジットやウォータースポットの原因になりやすい。ホワイト系の明るい色の車に向きます。 |
親水コーティング | 水が薄く広がり、水膜になって流れ落ちる(セルフクリーニング効果) | 青空駐車や洗車頻度が少ない場合 | 水滴が残りにくく、ウォータースポットができにくい。ブラック系など濃い色の車に推奨されます。 |
撥水カーコーティング「撥水」「滑水」の特徴・メリット・デメリット
撥水コーティングは施工面が水を弾き、水を玉状にするコーティングで、水接触角が90度以上のものを指します。撥水コーティングを施した車は、水が滑らかに流れ落ち、見た目にも美しい艶と輝きが楽しめるため、非常に人気の高い種類です。
ただし、水玉はボディに残りやすく、雨の後はしっかりと拭き取る必要があります。そのため、屋外駐車よりも車庫やカーポートで保管できる方に適したコーティングです。
メリット:水が玉状になり「コーティング感」が得られる
撥水コーティングでは、水分がきれいな水玉となり、重力や車速で軽やかに転がり落ちます。雨の日のドライブも楽しく、ワックスのような独特の深い艶と輝きがあるため、コーティング施工の満足感を味わえる点も大きなメリットです。
さらに強撥水の「滑水」状態では、水と施工面の接触が最小限になり、より軽い力で水が滑り落ちます。少しの風でも水玉が流れ落ちるため、視覚的にも楽しめます。
デメリット:頻繁に洗車を行わないと雨ジミが残る
撥水コーティングは水玉になる性質があるため、汚れた車の上では水玉が汚れを含み、滑りにくくなります。その結果、ボディに残った水滴が乾燥すると、水滴がレンズ効果を発揮し、イオンデポジットやウォータースポット(雨ジミ・水ジミ)となりやすいのが最大のデメリットです。
滑水でも同様で、撥水より水弾きが良くても、残った水分を放置するとシミになりやすくなります。これを防ぐには、ボディの水分をこまめに拭き取り、洗車頻度を増やして汚れを溜めないことが重要です。
タイプ | 特徴 | メリット | デメリット | 適した環境 |
---|---|---|---|---|
撥水 | 水接触角90度以上。水を玉状にして流す | 水玉になり視覚的に美しい。ワックスのような艶と輝きが楽しめる | 水玉が残りやすく、ウォータースポット(水シミ)になりやすい | 車庫やカーポートでの保管、頻繁に洗車できる環境 |
滑水(強撥水) | 水接触角が高い(120度〜150度以上が目安)。水切れが非常に良い | より軽い力で水が流れ、視覚的に美しい。水切れが良く洗車時も便利 | 撥水と同様、水分を放置すると雨ジミ・水ジミの原因になる | 撥水効果と水切れの良さを両立したい場合に適します |
親水・疎水カーコーティングの特徴・メリット・デメリット
親水コーティングは水なじみが良く、撥水コーティングで玉状になる水滴が薄く広がり、膜状になって塊状に流れ落ちる特性を持っています。水の表面張力を分散させることで水滴のレンズ効果を防ぎ、ウォータースポットなどが発生しにくい状態を維持できます。
疎水は親水に近しい性質を持ちますが、水接触角が40度〜90度程度とされ、水が引くように(疎らに)流れ落ちるのが特徴です。親水コーティングは撥水コーティングほど艶感は強くありませんが、しっとりと自然な輝きを楽しめる点が魅力です。
メリット:塊状に広がる水でウォータースポットができにくい
親水コーティングは水が玉状にならないため、水滴のレンズ効果によるウォータースポットが発生しにくいのが最大のメリットです。青空駐車が多い方や、車庫を持たない方に適したコーティングです。
また、水が薄く広がり、汚れを巻き込みながら流れ落ちるセルフクリーニング効果が期待できるため、洗車する時間がなかなか取れない方にも便利です。疎水タイプも、水がまとまって流れ落ちる性質により、撥水タイプに比べてシミができにくい傾向があります。
デメリット:水弾きが弱く汚れが溜まりやすい
親水コーティングは水をまとめて落とす性質のため、水が玉状になる撥水コーティングに比べて、洗車時の汚れ落ちが弱い点がデメリットです。また、走行時にも水が飛びにくく、汚れが残りやすい傾向があります。艶感が撥水コーティングより控えめで、施工したかどうか分かりにくいと感じる場合もあります。
コーティング選びでは、水弾きの強さよりも、ご自身の駐車環境と洗車頻度に合わせて、シミになりにくい親水系を選ぶのか、視覚的な美しさを重視した撥水系を選ぶのかを検討することが大切です。
親水コーティングの人気商品:シュアラスター ゼロウォーター
親水コーティングで人気のシュアラスター ゼロウォーター
シュアラスター ゼロウォーターは、コストコなどで手軽に購入できる親水コーティング剤です。インターネット上の最安値よりもさらにお得に入手できる場合もあります。
シュアラスター ゼロウォーターはプッシュして拭くだけで施工可能です
使い方は簡単で、洗車後の濡れたボディに50cm四方を目安に1プッシュし、乾いたクロスで拭き上げるだけです。親水コーティングにより汚れが付きにくくなり、ウォータースポットを防ぎつつ、比較的長期間ボディの輝きを維持できます。
タイプ | 特徴 | メリット | デメリット | 適した環境 |
---|---|---|---|---|
親水 | 水接触角40度以下。水が薄く広がり、水膜になって流れる | 水滴のレンズ効果を防ぐため、ウォータースポットが発生しにくい。セルフクリーニング効果がある | 水弾きが弱く、洗車時の汚れ落ちや走行中の水切れが劣る | 青空駐車や車庫なしでの保管に適しています |
疎水(低撥水) | 水接触角40度〜90度程度。水が引くように流れ落ちる | 撥水に比べシミになりにくい。親水に比べ水切れが良く、洗車時の汚れ落ちも比較的良い | 撥水ほどの視覚的な美しさや強い水弾きはない | 撥水性と耐シミ性のバランスを求める方に適しています |
人気商品例 | シュアラスター ゼロウォーター | 洗車後の濡れたボディにスプレーして拭くだけで手軽に施工可能。ウォータースポット防止と輝き維持 | 特になし(一般的な親水コーティングのデメリットは残ります) | 家庭で手軽に親水コーティングを行いたい方に最適です |
カーコーティング選びは使用環境や洗車頻度を考慮してタイプを選びましょう
プロの業者による施工でも、自宅でDIYする場合でも、カーコーティングでは「撥水」か「親水」かの種類が必ず明記されています。
かつては撥水コーティングが主流でしたが、青空駐車や洗車頻度が少ない方に向けて、水シミができにくい親水コーティングが推奨され始め、人気が高まりました。
近年では、撥水性と耐シミ性を両立した疎水・滑水タイプを選ぶ方も増えています。
撥水・親水にはそれぞれメリット・デメリットがあるため、車の使用状況や洗車頻度に合わせて、水シミのリスクを最小限に抑える最適なコーティング種類を選ぶことが大切です。