スペイドのモデルチェンジ

スペイドはフルモデルチェンジせず販売終了 ポルテも同時に廃止され後継はルーミーへ

スペイドのモデルチェンジはなく2020年に廃止され、役割をルーミーへ引き継ぎました。スペイドはコンパクトとスライドドアを組み合わせた画期的なモデルとして誕生、乗り降りしやすく取り回しやすいモデルでしたが、次世代モデルのルーミーが誕生したことで、ポルテとともに生産終了。

スペイドはフルモデルチェンジせず一代限りで生産終了の可能性が高い?

2012年7月に登場したトヨタ・スペイドは、ラウムの後継車種で、2代目ポルテとは姉妹車関係にあたる小型トールワゴンです。

助手席側に1020mm×1250mmの大型電動スライドドアを標準装備している一方、運転席側は2枚のヒンジドアを採用している左右非対称の特徴的なレイアウト。子育て世帯やお年寄りにも優しい低床フラットフロアを採用しており、ファミリー層にも人気があります。
スペイドのモデルチェンジ、廃止などの噂やスペックなどの情報なども解説します。

スペイドはフルモデルチェンジせずポルテとともに生産終了へ

スペイドがモデルチェンジせず、2020年12月に1代限りで生産終了しました。兄弟車のポルテも同時に廃止され、ルーミーが後継車種になっています。これまでのスペイドの改良や、特別仕様車の変遷をまとめてみました。

年/月/日 内容
2012/7/23 スペイド発売
2014/4/1 特別仕様車「スペイドF"Jack"」発売
2015/7/1 一部改良
1.3Lエンジン搭載車は廃止
特別仕様車「スペイドF“Queen”」発売
2016/6/30 一部改良
特別仕様車「スペイドF“Queen II”」発売
2017/12/11 一部改良
特別仕様車「スペイドF“Queen III”」発売
2018/11/5 特別仕様車「スペイドF"Noble collection(ノーブルコレクション)"」発売
2019/7/3 一部改良
特別仕様車「スペイドF"Noble collection"」の新仕様モデルを再発売
2019/10/4 特別仕様車「スペイドF"GLAMPER(グランパー)"」発売

スペイドは2012年の発売から3年目以降は、ほぼ毎年のように一部改良と特別仕様車の販売が行われています。
一方で、発売から8年目に突入した2020年にもフルモデルチェンジの話は聞こえてこず、2020年12月に生産終了になりました。

スペイドがフルモデルチェンジなしで生産終了の場合の後継モデルは?

スペイドがフルモデルチェンジせず生産終了となった場合、後継として新型車種が登場する可能性はほとんどありません。
スペイドの後継モデルのポジションとなるのは、ポルテ、タンク(&ルーミー)、シエンタなどでしょう。

ポルテ:スペイドを廃止して一本化!スペイドらしさは特別仕様車に期待

スペイドが生産終了となりポルテに一本化される場合、当然ポルテにはスペイドの後継モデルとしての役割を担うことも期待されます。

ポルテとスペイドはフロントマスクが大きく違い、ポルテが大きくて丸みのあるヘッドライトがかわいらしいのに対し、スペイドは男性も違和感なく乗れるようなスタイリッシュなルックスです。
ボディカラーも、ポルテはクリームベージュやアクアブルーなど淡い色が多いのに対し、スペイドはボルドーマイカメタリック(濃紫)やフレッシュグリーンマイカメタリックなどが存在します。

黒いルーフが都会的でスタイリッシュなポルテ「F“Raffine」ブロンズマイカメタリック」

もっともポルテには、アウトドアテイストの「GLAMPER(グランパー)」や2トーンカラーの特別仕様車「F“Raffine(ラフィネ)」なども存在しており、これらは男性が乗っても違和感がありません。
スペイドがポルテに一本化された場合、ポルテからはよりスタイリッシュなデザインの特別仕様車が登場したり、新型へのフルモデルチェンジにはエクステリアが刷新されるでしょう。

タンク&ルーミー:スペイドより小さい両側スライドドアの小型トールワゴン

ルーミー ダイハツ・トールのOEM車でタンクの姉妹車

もし国内車種整理の影響で、スペイドだけでなく姉妹車ポルテもモデル廃止となる場合、トヨタ内での後継車種は「タンク」「ルーミー」が最も有力です。

タンク&ルーミーは2016年11月発売の小型トールワゴン。
スペイドよりボディサイズは小さく、エンジンも1.0L(ターボモデルあり)と明確にはスペイドより下のクラスに位置しますが、両側スライドドアを採用しており、乗降性の高さや多彩なシートアレンジがファミリー層に好評です。

スペイドとルーミーの比較(2020年モデルのスペック)
  スペイド(2WD・X) ルーミー(2WD・X)
エンジン総排気量 1,496cc 996cc
エンジン種類 直列4気筒DOHC 直列3気筒DOHC
全長 3,955mm 3,700mm
全幅 1,695 mm 1,670 mm
全高 1,690 mm 1,735 mm
最小回転半径 5.0m 4.6m
燃費(JCO8モード) 21.8km/L 24.6km/L
価格 1,862,300円 1,490,500円

なお、タンクとルーミーは販売店違いの姉妹車であり、ともにダイハツ・トールのOEMモデルです。今後、タンクとルーミーは一本化される可能性もあります。

シエンタ:スペイドより大きい7人乗り可能な小型ミニバン

シエンタ 7人乗りも可能な人気コンパクトミニバン

2015年に販売を開始した現行型2代目シエンタは、登録車の月間新車販売台数で常に上位をキープしているコンパクトミニバンの売れ筋モデルです。
「トヨタ最小ミニバン」のキャッチコピーがついており、全長は約4.2mm、全幅は1,695mmとギリギリ5ナンバーサイズを維持したうえで、両側スライドドアが採用されています。

シエンタは、ハイブリッドモデルや3列シート7人乗り仕様もラインアップしており、一般的にはスペイドより1ランク上のモデルと見なされます。

スペイドとシエンタの比較(2020年モデルのスペック)
  スペイド(2WD・X) シエンタ(G・7人乗り・ガソリン車2WD)
乗車定員 5名 7名
エンジン総排気量 1,496cc 1.496cc
エンジン種類 直列4気筒DOHC 直列4気筒DOHC
全長 3,955mm 4,260mm
全幅 1,695 mm 1,695mm
全高 1,690 mm 1,675mm
車両重量 1,160kg 1,320kg
最小回転半径 5.0m 5.2m
燃費(JCO8モード) 21.8km/L 20.2km/L
価格 1,862,300円 2,058,100円〜

しかし、スペイドが生産終了になれば、少し奮発してシエンタへの乗り換えを検討するファミリー層も少なからず出てくるでしょう。人気車のため、リセールバリューも期待できる点がスペイドとの大きな違いでもあります。

スペイドの魅力を再考!フルモデルチェンジ前の現行型スペイドの特徴

新型モデルが登場しない恐れもあるトヨタ・スペイド。
タンク&ルーミー、シエンタなど、後継として活躍できそうな車種も多いですが、「スペイドだからこその魅力」をもう1度確認してみましょう。

1枚の大型スライドドアこそスペイド最大の特長

大開口スライドドアの特徴を生かした福祉車両「スペイド助手席リフトアップシート車Aタイプ」

スペイド最大の特徴は、助手席側にある1枚の大開口スライドドアでしょう。スペイドは車椅子仕様など、トヨタのウェルキャブ(福祉車両)としても根強い人気を誇っています。加えて低床フラットフロアですから、助手席の乗り降りのしやすさは別格です。

1990年代のミニバンがそうだったように、子供の乗り降りのためならスライドドアは片側だけでも充分という声も意外によく聞きます。
そもそも1990年代のミニバンが片側スライドドアだったのは、剛性の問題もありましたが、「スライドドアは子供の飛び出しに気が付きにくい」と危険性が指摘されていたからです。

スペイドのようなコンパクトカーの場合、1人での買い物などの用途も多いはず。ヒンジドアを開けて後部座席にさっと買い物袋を置けるのはむしろメリットともいえます。

パワー不足を感じにくい必要十分なエンジン

利便性ばかりが取り上げられがちなコンパクトミニバン(プチバン)ですが、スペイドは1.5Lの直列4気筒エンジンを搭載しており、大型スライドドアを採用しているにもかかわらず車両重量は1.2t未満に抑えられています。
1.5Lの必要十分なスペイドのエンジンは、パワー不足を感じにくく、「走りを楽しむクルマ」ではないものの走行性能に大きな不満を感じる人は少数派でしょう。

なお、もともとは1.3Lエンジン搭載モデルもラインアップされていましたが、発売3年目の2015年に廃止、エンジンは1.5Lの新型「2NR-FKE」に換装されています。
スペイドの中古車を狙いたい人は、この点に留意してください。

4ドアトールワゴン スペイドのモデルチェンジ遍歴

スペイドはトヨタが販売していた4ドアトールワゴンで、ポルテとは姉妹車になります。2011年に販売を終了したラウムの実質的な後継車種です。テールレンズ中央とヘッドランプレンズにはスペードマークがデザインされていて、さり気ないアクセントになっています。

スペイド NSP140/NCP14#型:2012年~2021年

2012年7月、2代目ポルテの発売と同時に新型スペイドが誕生しました。エンジンは1.3L 1NR-FE型と1.5L 1NZ-FE型を搭載。グレードは1.3L車が「V」と「X」、1.5L車がセパレートシートの「X」、ベンチシートの「Y」、セパレートシート+撥水タイプシート表皮の「F」、セパレートシート+運転席快適温熱シートの「G」のラインナップです。
2014年4月、「F」をベースとした特別仕様車「F”Jack”」を発売。
2015年7月、位置深い量と特別仕様車「F”Queen”」を発売。一部改良では1.3Lの廃止と1.3L専用グレードだった「V」を1.5Lとし、2WDのエンジンを1.5L 2NR-FKE型に換装しました。
2016年6月、一部改良と特別仕様車「F”QueenⅡ”」を発売。一部改良では安全性能が向上し、廉価グレードだった「V」を廃止しました。
2017年12月、一部改良と特別仕様車「F”QueenⅢ”」を発売。一部改良では「スマートパッケージ」が全車標準装備となりました。
2018年11月、特別仕様車「F”Noble collection”」を発売。
2019年7月、一部改良と共に特別仕様車「F”Noble collection”」を新仕様で再発売します。同年10月には特別仕様車「F”GLAMPER”」を発売。
2020年7月、安全性能が充実した特別仕様車「F”Safety Edition”」「G”Safety Edition”」を発売。
2021年1月31日、販売を終了し、9年続いた1台限りのスペイドの歴史に幕を降ろします。

スペイドのモデルチェンジ遍歴
スペイドのモデル 販売年表
NSP140/NCP14#型 2012年~2021年

スペイドは「ちょうどいい」が詰まった車 残念ながら新型誕生せず

スペイドは、走りがすごく良い、燃費がものすごく優秀、ものすごくたくさん荷物が詰めるなど、わかりやすい個性がある車ではありません。

しかし、やり過ぎないバランスの良さがスペイドの魅力でもあります。運転しやすく、乗り心地良く、室内の快適性も高い。天井に圧迫感はないけれど、背が高すぎるほどでもない。飽きのこないシンプルなデザイン。
左右非対称スタイルを楽しみながら、肩肘張らずに付き合える日常の相棒としては「ちょうどいい車」です。

残念ながら新型モデルは発表されませんでしたが、今後もしスペイドが復活したときは、予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」の内容を充実させるなど、「安全・安心なクルマ」として堅実な進化を遂げるはずです。