ポルテのモデルチェンジ

ポルテのフルモデルチェンジ情報 スペイドも同時に廃止されルーミーが後継車種に

ポルテは2020年に再産終了。2020年のモデル廃止が囁かれていた理由をトヨタ販売店や生産工場の問題、タンクやルーミーといった競合車種との関係から解説。モデル廃止を回避するにはポルテはどうあるべきか提案し、新型ポルテが誕生する場合どんな車になるのか予想。

ポルテのフルモデルチェンジ情報 スペイドも同時に廃止されルーミーが後継車種に

プチバンのポルテが生産終了 販売好調なルーミーへバトンタッチ

ポルテと兄弟車のスペイドが2020年12月に生産終了しました。かねてから廃止が噂されていた車種でしたが、両モデルとも廃止したことは驚きました。
今後は販売も好調な両側スライドドアを搭載するルーミーへ役割を引き継ぎます。ポルテ生産終了までに噂されたモデルチェンジや廃止の情報などを紹介します。

ポルテのフルモデルチェンジはある?2020年モデル廃止スペイドと共にモデル廃止

ポルテは、2004年に初代モデルが誕生したトヨタのトールワゴンです。コンパクトカーでありながらスライドドアや低床フラットフロアを採用した乗降性の良さが特長で、「プチバン」と呼ばれるミニバン的要素のある小型車のジャンルを築いた車の1つです。

ポルテのエクステリアポルテ フロントマスクが可愛らしいイメージ

スペイドのエクステリアポルテの姉妹車スペイド フロントマスクの印象がポルテとは異なる

2012年に現行型2代目が発売され、姉妹車スペイドもデビュー。ポルテが丸みを感じる可愛らしいエクステリアなのに対し、スペイドはスタイリッシュで若者受けを意識したデザインで差別化が図られています。

ポルテがフルモデルチェンジなく廃止になると考えられていた3つの理由

シンプルで可愛らしいエクステリアに、スライドドアなどの使い勝手の良い機能が揃ったポルテですが、2012年7月の2代目発売以降、フルモデルチェンジの話は聞こえてこず、現行型は一部改良や特別仕様車の発売が時折実施されるだけです。

2020年にはモデル廃止されたトヨタ・ポルテ。なぜポルテはフルモデルチェンジしなかったのか、以下の3つの理由が考えられます。

トヨタ車は全店舗全車種取り扱いが基本となるため、ポルテは車種整理の対象となる可能性が高かった

トヨタ自動車は、トヨタ店、トヨペット店、カローラ店、ネッツ店の4つの系列ディーラーによる販売体制を長らく敷いてきました。一部の人気車を除いて販売店ごとに専売車種が存在しており、ポルテはトヨタ店とトヨペット店での取り扱い、姉妹車スペイドはカローラ店とネッツ店での取り扱いとなっていました。

しかし、2020年5月からは基本的に全販売店で全車種を取り扱うことが決定。それに伴い、国内の車種を60車種から約半分の30車種に削減する方針を打ち出しています。

これにより、姉妹車のある車種は一本化。顧客層が被っている車も統合・モデル廃止が促進されます。ポルテは人気車とは言えませんから、モデル廃止となっても不思議はありませんでした。

ポルテの生産拠点であるトヨタ自動車東日本の東富士工場が2020年に閉鎖

ポルテの生産拠点は、静岡県裾野市にある東富士工場ですが、この工場は2020年いっぱいでの閉鎖が決定済み。

2018年の工場閉鎖発表時には、ポルテの生産は宮城大衡工場・岩手工場に移管すると発表されましたが、上述の車種整理の問題もあり、工場閉鎖に伴いモデル廃止に。

ポルテは後続モデル「ルーミー」との差別化に苦戦中

ポルテのスライドドアポルテ 助手席側に大きなスライドドア

後ろから見たポルテポルテ 運転席側は2枚のヒンジドアの左右非対称レイアウト

トヨタ・タンクは2016年に発売された小型トールワゴンで、ルーミーはカローラ店販売の姉妹車です。両車ともダイハツ・トールのOEM車であり、スバルもジャスティの車名で販売しています。

タンクとルーミーは「乗降性の良い小型トールワゴン」という点で、ポルテと類似点が多く、ファミリー層など販売の主要ターゲットも被っています。
しかも、ポルテ(スペイド)が片側スライドドアなのに対し、タンクとルーミーは両側スライドドアを採用しています。片側スライドドアだからこその使い方もありますが、大多数にとってわかりやすく、使いやすいのは両側スライドドアなのは否定できません。

タンクのエクステリアタンク 後部座が両側スライドドアなのがポルテとは大きく違う点

ポルテの丸みを帯びたデザインを古臭いとも思いませんが、2016年発売のタンク&ルーミーは後続モデルゆえにやはり現代的なデザインです。

ポルテとタンクの比較(2020年市販モデル)
  ポルテ(2WD・X) タンク(2WD・X“S”)
全長 3,955mm 3,700mm
全幅 1,695 mm 1,670 mm
全高 1,690 mm 1,735 mm
最小回転半径 5.0m 4.6m
エンジン総排気量 1,496cc 996cc
エンジン種類 直列4気筒DOHC 直列3気筒DOHC
燃費(JCO8モード) 21.8km/L 24.6km/L
価格 1,862,300円 1,490,500円

ボディサイズや搭載エンジン、価格帯などを考えると、基本的には「ポルテ&スペイド>タンク&ルーミー」としてラインアップされていることがうかがえます。

しかし、明確に差別化されているかは疑問が残ります。
「タンクやルーミーは、ポルテの実質的な後継モデルとして誕生したのでは?」と言われると、否定できないところです。

ポルテのフルモデルチェンジは本当にない?モデル廃止を回避する方法を考えてみた

モデル廃止説がささやかれていたポルテですが、生き残りの道はないのか、ポルテが存続するための方法を考えてみました。
ポルテはファミリーカーや介護に向いた車と言われてきましたが、この際ファミリー層はタンク&ルーミーに譲って、高齢者が使いやすい車・介護に役立つ車として特化するのはどうでしょうか。

戦略1:新型ポルテは福祉車両並の装備を持つ「介護におすすめの車」として個性を出す

ポルテのウェルキャブ福祉車両として活躍するポルテ(ウェルキャブシリーズ/助手席回転チルトシート車)

トヨタには、車椅子の乗降や助手席回転チルトシート車などを備えた「ウェルキャブ」と呼ばれる福祉車両かラインアップされています。ポルテは、低床フラットフロアや助手席側大型スライドドアがお年寄りにやさしく、大きすぎないボディサイズが介助者にも受け入れやすいため、福祉車両(ウェルキャブ)の中で根強い人気があります。

しかし、「福祉車両(ウェルキャブ)」と聞くと敬遠する人も多いのが現状。
あえて「福祉車両」ではなく、標準車に「福祉車両」のような最先端の装備を搭載することで、足腰が弱ってきた家族を持つ人たちに「福祉車両ではないけれど、介護にも使えるクルマ」として訴求していくのです。

戦略2:新型ポルテは60代前後のドライバーが運転しやすい車として予防安全システムを充実

高齢化が進む日本では、60歳以上が80歳以上の親などの介護をするのも珍しい光景ではありません。介護を行っている人も、そう遠くないうちに年齢的には「高齢者」の区分に含まれていきます。

60代なら運転にも支障なく、免許返納を考えるのはまだ先という人が多いでしょう。
しかし、若いころに比べると判断能力の衰えを意識する瞬間はあるはずです。
そのため、自分にとって安全で使いやすく、自分より上の世代を乗せる際に便利な車には一定のニーズがあると予想されます。

新車購入なら、10年以上、同じクルマを運転して過ごす人もいるはず。人間は加齢による衰えから逃れることは困難ですが、そうした不安をフォローしてくれるのが、予防安全システムです。衝突被害軽減ブレーキやペダル踏み間違い装置などはぜひ標準装備したいところです。

戦略3:ポルテ存続のためにはスペイドは統合やむなし

ポルテを残す場合、スペイドはモデル廃止して統合するのが現実的です。「ポルテを廃止し、スペイドを残す」逆パターンもなくはありませんが、「とにかく予防安全機能が充実した、介護にもおすすめの車」としてPRするのなら、やさしげで柔らかいデザインの方がベター。これまで培ってきた車種のイメージ的にも、ポルテの方が良いはずです。

新型ポルテを予想!ターンチルトシートやトヨタセーフティセンスを搭載

新型ポルテは、低床フラットフロアや大きなスライドドア、圧迫感のない天井、落ち着いた内装デザインなどは、キープコンセプトとするのが良いでしょう。
一方で、装備に関しては、意外にも2020年2月に発売された新型ヤリスがヒントとなりそうです。

新型ポルテはヤリスに設定された「ターンチルトシート」を標準装備

2020年2月に発売された新型ヤリスには「ターンチルトシート」と呼ばれる新装備が前席にオプション設定可能です。操作レバーを引くと、シートが外側にくるりとターンするので、腰や膝に負担をかけずに車から降りられます。

「ターンチルトシート」は、ウェルキャブ(福祉車両)の回転シートの技術を改善した新機構で、新型ヤリスでは通常オプションで装備可能な点が特長です。「福祉車両」とすると敬遠する高齢者が多いため、「通常オプションにし、気軽に選択できるように」というのがトヨタの狙いであり、高齢化が進む日本市場における実験でもあります。

もし新型ポルテを高齢者にやさしい車として特化するなら、この「ターンチルトシート」は標準装備するのがベストでしょう。通常シートに不満がない人でも非常に快適で、女性はスカート丈の乱れを気にしなくて良いなどのメリットもあります。

新型ポルテは最先端の安全システムを装備して全車「サポカー」に!

サポカーとは、自動被害軽減ブレーキや車線逸脱警報などを搭載した「安全運転サポート車」のことです。政府は、高齢ドライバーの免許制度に関して、安全運転サポート車(サポカー)のみの運転を認める限定免許の検討も進めており、今後サポカーであるか否かは、購買への重要な指針になると考えられます。

現行型ポルテは、特別仕様車「F"Raffine"」のみがサポカーS(自動被害軽減ブレーキ+踏み間違い防止システム搭載車)としての認定を受けています。
全グレードではありませんが、同じコンパクトカーであるタンクやルーミーなども「サポカーS」として認定されていますので、新型ポルテは全車「サポカーS」、その中でも最も多機能な「サポカーSワイド」に該当するような安全装備を搭載することが期待されます。

ユニバーサルデザインのポルテのモデルチェンジ遍歴

ポルテはトヨタが販売していたトールワゴンで、初代のモデルは福祉車両ウェルキャブのベース車として採用されている、トヨタのユニバーサルデザインのモデルです。2代目では「プチバン」と呼ばれるミニバン要素のあるコンパクトカーになりました。

ポルテ 初代 NNP1#型/2004年~2012年

2004年7月、乗降性抜群の新型車、ポルテが誕生します。発売開始の1か月で1か月の販売目標の4倍を達成します。
2005年12月に一部改良でデザインの一部変更と共に4WD仕様「150i」が追加されます。
2006年10月、特別仕様車「130i Cパッケージ/150r/150i Cパッケージ モカselection」を発売。
2007年6月、マイナーチェンジが施され、ボディカラーの追加と一部デザインの変更。「Gパッケージ」の追加と「150i Cパッケージ」を廃止しました。
2009年6月、特別仕様車「130i/130i Cパッケージ/150i HID Selection」を発売。
2010年8月に一部改良で排出ガスを低減。ボディカラーの追加も実施されました。
2012年7月、2代目へモデルチェンジのために販売を終了。

ポルテ 2代目 XP14#型/2012年~2021年

2012年7月、フルモデルチェンジでポルテは2代目になります。エンジンはこれまで採用している他に1.3L車に新型の1NR-FE型と、1.5L車に1NZ-FE型の改良型を搭載。「1.3X」に「Toyota Stop&Start System」を標準装備し、1.5Lの2WDではメーカーオプションとなりました。グレードは1.3L車が「V」と「X」、1.5L車はセパレートシートの「X」、便利シートの「Y」、撥水タイプのセパレートシート「F」、セパレートシートで運転席に温熱シートを搭載した「G」になります。
2014年5月、「F」をベースとした特別仕様車「F”a la mode”」を発売。
2015年7月、一部改良と共に、キャッチフレーズが「家族愛がありあまる」で特別仕様車「F”a la mode Deux”」を発売。
2016年6月、一部改良と共に特別仕様車「F”a la mode Trois”」を発売。一部改良では廉価グレードの「V」が廃止されました。
2017年12月、一部改良と共に特別仕様車「F”a la mode Brun”」を発売。一部改良ではそれまでオプション設定だった「スマートエントリーパッケージ」が全車標準装備になりました。
2018年11月、特別仕様車「F”Raffine”」を発売。
2019年7月、一部改良と共に特別仕様車「F”Raffine”」が再発売されます。同10月には特別仕様「F”GLAMPER”」を発売。
2020年7月、特別仕様車「F”Safety Edition”」「G”Safety Edition”」を発売。
2021年1月31日、販売終了となり、その座をルーミーへと引き継ぎます。

ポルテのモデルチェンジ遍歴
ポルテのモデル 販売年表
初代 NNP1#型 2004年~2012年
2代目 XP14#型 2012年~2021年

フルモデルチェンジも予想されたが2020年にポルテは生産終了

ポルテ

前述したように、ポルテは生産拠点の東富士工場が2020年末で閉鎖、スペイドと同じく生産終了しました。
それまでモデルチェンジ噂もありましたが、安全装備や両側電動スライドドアなどを、ポルテと比較すると充実する装備内容のルーミーがあるため、スペイドとポルテはルーミーに統合するのが自然な流れだったのかもしれません。