スマートアシスト搭載車種

スマートアシストとは何か 機能・搭載車種・進化の歴史をわかりやすく解説

軽自動車に初めて搭載された衝突回避支援システム「スマートアシスト」の仕組みと機能を徹底解説。衝突回避支援ブレーキや車線逸脱警報など各安全機能の作動条件・車速域もまとめています。

軽自動車の安全性を強化するスマートアシストの技術力

ダイハツが開発した予防安全機能「スマートアシスト」は、2012年12月に軽自動車へ初めて搭載された衝突回避支援システムです。その後も進化を重ね、搭載比率は約95%(2022年7月時点、ダイハツ調べ)に達するなど、ダイハツ車の安全性を支える中核技術として定着しています。

本記事では、スマートアシストの歴史と進化の流れを整理しながら、搭載可能な車種、衝突回避支援ブレーキや車線逸脱警報機能などの安全技術、さらにダイハツが推進する「みんなの安全・安心プロジェクト」について解説します。

スマートアシストとは:軽自動車の安全性を切り拓いたパイオニア

スマートアシストは2012年12月、マイナーチェンジしたムーヴに軽自動車として初めて搭載されました。当時、普通自動車では先進の衝突回避支援技術が普及し始めていましたが、軽自動車を主力とするダイハツはコスト面の課題を解決しながら、軽自動車でも手の届く安全装備を実現しました。

初代スマートアシストはレーザーレーダーによる衝突回避支援ブレーキを備えていましたが、その後の改良で機能は大きく広がっています。

バージョン 主な進化内容
初代(2012年12月) レーザーレーダーによる衝突回避支援ブレーキをムーヴに初搭載
スマートアシストII(2015年4月) レーザーレーダー+単眼カメラの複合検知方式を採用。車線逸脱警報機能を追加
スマートアシストIII(2016年11月) 小型ステレオカメラを搭載。歩行者検知対応の自動ブレーキ、オートハイビームを追加
次世代スマートアシスト(2019年7月〜) 4代目タントに初搭載。車線逸脱抑制制御など機能が大幅に拡充。現行モデルの主流

2019年7月の4代目タント発売以降は「次世代スマートアシスト」へと刷新され、現行モデルの多くにはこの次世代版が搭載されています。次世代スマートアシストでは、従来の予防安全機能に加え、車線逸脱抑制制御機能(ステアリング操作のアシスト)や駐車支援機能など、運転負荷の軽減を意識した機能が充実しています。

安全技術のスマートアシストはお仕事で使う商用車にも搭載

スマートアシストはかつて乗用車を中心に展開されていましたが、現在は商用車にも広く普及しています。2021年12月には軽商用車のハイゼット カーゴ・ハイゼット トラック・アトレーにも乗用車同等の機能が搭載されるようになりました。

2022年7月時点では、軽自動車12車種・小型車4車種の計16車種にスマートアシストが搭載されており(ダイハツ調べ)、累計販売台数は400万台を突破しています。下記の車種一覧は記事公開時点(2017年末)の情報であり、現在の搭載車種はダイハツ公式サイトでご確認ください。

車のタイプ 車の用途 車名(記事公開時点)
軽自動車
(8種類)
乗用車
(5種類)
ムーヴ
ミラ イース
タント
ムーヴ キャンバス
アトレーワゴン
商用車
(3種類)
ハイゼット キャディー
ハイゼット カーゴ
ハイゼット トラック
小型車
(1種類)
乗用車
(1種類)
トール

スマートアシストIIIがパッケージングする安全機能とその作動車速域

ダイハツの先進衝突回避支援システム「スマートアシストIII」は、2016年11月の一部改良で誕生した新型タントに初めて搭載されました。小型ステレオカメラの採用によって作動車速域が拡大し、歩行者への自動ブレーキ対応やオートハイビームが初めて実現しました。

なお、現行の新型モデルには後継の「次世代スマートアシスト」が搭載されています。スマートアシストIIIは現在も多くの中古車に搭載されているため、以下でその機能を詳しく解説します。

衝突回避支援ブレーキ機能:走行中に衝突の危険を感知して警報・自動ブレーキを発動

走行中にステレオカメラなどのセンサーで先行車・歩行者との距離を計測し、衝突の危険が高まると警戒音とモニター表示で注意喚起を行います。危険レベルが基準値を超えた場合は、自動ブレーキが作動して被害軽減をサポートします。

検知対象 先行車両および歩行者
警報方法 警戒音およびモニター表示による注意喚起
自動ブレーキ発動条件 危険レベルが基準値を超えた場合に作動

誤発進抑制制御機能:アクセルとブレーキの踏み間違いによる事故を防ぐ

周囲に障害物があるにもかかわらず急加速・急発進の動作が検知された場合に、システムが自動的に危険を判断し、ブザー音での警告と最長8秒間のエンジン出力制御を行います。ギアの入れ間違いやアクセルとブレーキの踏み間違いによる事故のリスクを低減します。

作動条件 周囲に障害物がある状況で急加速や急発進が検知された場合
システムの対応 警戒ブザー音の発生と最長8秒間のエンジン出力制御

先行車発進お知らせ機能:信号待ちでの発進遅れをドライバーに通知

信号待ちなどの停車中に前の車が発進したにもかかわらず、数秒間運転操作が行われない場合に発動します。警戒音とモニター表示で自車の発進を促し、渋滞の流れに乗り遅れるリスクを防ぎます。

発動条件 停車中に前車が発進後、数秒間ドライバーが動作しない場合
通知方法 警戒音とモニター表示で注意喚起

車線逸脱警報機能:ふらつきや不注意によるはみ出しを警告

ウィンカーによる車線変更の意思表示がないにもかかわらず走行車線からはみ出す恐れがある場合に発動します。警戒音でドライバーに知らせるとともに、逸脱回避のためのステアリングサポートも行います。

発動条件 ウィンカーなしで走行車線から逸脱しそうな場合
通知・対応方法 警戒音の発生とステアリング操作のサポート

オートハイビーム機能:対向車や周囲の明るさに応じてヘッドライトを自動切替

ステレオカメラが対向車のヘッドランプや進行方向の明るさを検知し、ハイビームの継続走行が適切かどうかを自動で判断します。対向車がいる場合などはロービームへ切り替わり、周囲への眩惑を防ぎながら夜間の視認性を高めます。

検知対象 対向車のヘッドランプと進行方向の明るさ
動作内容 ハイビームの適否を判断し、必要に応じてロービームに自動切替

スマートアシストIIIに搭載されている安全技術の作動車速域

スマートアシストIIIでは、ステレオカメラの採用によって前バージョンより作動車速域が大幅に拡大しました。歩行者への対応も追加され、より幅広い走行シーンで安全機能が機能するようになっています。

スマートアシストIIIの機能 作動対象 作動車速域
衝突回避支援ブレーキ機能 対車両 約4~80km/h
衝突回避:速度差約4~30km/h
被害軽減:速度差約30~80km/h
対歩行者 約4~50km/h
衝突回避:速度差約4~30km/h
被害軽減:速度差約30~80km/h
被害軽減ブレーキ 対車両 約30~80km/h
(速度差約30~80km/h)
対歩行者 約30~50km/h
(速度差約30~50km/h)
衝突警報機能 対車両 約4~100km/h
(速度差約4~50km/h)
対歩行者 約4~50km/h
(速度差約4~50km/h)
誤発進抑制制御機能 前方 約0~10 km/h
後方 約0~10 km/h
車線逸脱警報機能 約60km/h以上
オートハイビーム 約25km/h以上
先行車発進お知らせ機能

※車種によっては、作動車速域が異なります。

「みんなの安全安心プロジェクト」を実現するにはスマートアシストが必要

ダイハツが推進する「みんなの安全安心プロジェクト」は、誰もが安心してクルマと暮らせる社会を目指す取り組みです。エアバッグやシートベルトと同じように、予防安全機能が「あたりまえ」のものになる未来の実現に向け、スマートアシストは欠かせない役割を担っています。

ダイハツは「先進技術をみんなのものに」という考え方のもと、乗用車にとどまらず商用車を含む幅広い車種にスマートアシストを展開してきました。全国の販売店と連携したプロモーション活動や体感イベントも通じて、スマートアシストのさらなる普及促進に取り組んでいます。

プロジェクト名 みんなの安全安心プロジェクト
目的 誰もが安心して車と暮らせる社会の実現
重要技術 スマートアシスト
対象車種 軽自動車・小型乗用車・商用車
主な活動 全国販売店と共同でスマートアシストの普及促進

スマートアシストが進化することで軽自動車の安全性が高まる

スマートアシストの登場によって、軽自動車の安全性は大きく向上しました。急な体調不良や一瞬の注意散漫など、ドライバーの能力だけではカバーしきれないリスクを、センサーとシステムが補ってくれることは大きな安心につながります。

スマートアシストは危険度に応じて警戒音・モニター表示・自動ブレーキという段階的な対応でドライバーをサポートします。ただし、あくまでも運転支援を目的としたシステムです。悪天候・夜間・急カーブなどの条件下では正常に作動しない場合もあるため、システムを過信せず、常に安全運転を心がけることが重要です。

スマートアシストIIIから次世代スマートアシストへの進化に見られるように、車線逸脱抑制制御や駐車支援機能など、予防安全から運転負荷の軽減へと対応範囲は着実に広がっています。ダイハツはこれからも軽自動車を中心に安全技術の普及を推進していくと見られます。