軽自動車のマニュアル車まとめ
オートマ全盛のいま、「MT車はスポーツカーにしか残っていない」と思われがちですが、軽自動車にもマニュアルを選べる車種はまだ存在します。ただし、ラインナップは年々縮小しており、かつては普通の乗用軽自動車にも設定があったMTが、いまや商用車・本格クロカン・スポーツカーに限られつつあるのが実情です。
軽自動車でMTを選ぶメリットは、単純な「運転の楽しさ」だけではありません。エンジンブレーキの使いどころを自分で判断できること、峠道や雪道でギアを固定して走れること、そして「クルマと対話している」という感覚は、CVTやATでは得られないものです。実際のオーナーから聞かれるのは「一度MT乗ったらATに戻れない」という声で、とくに長距離ドライブや山道走行を楽しむ層に根強い支持があります。
以下では、マニュアルトランスミッションを設定している・いた軽自動車を車種ごとに紹介します。現在の販売状況についても各車種ごとに記載しているので、購入前にご確認ください。
コペン/ダイハツ:スポーツ走行が楽しめる軽オープンカーのMT車
ダイハツが販売する「コペン」は、2シーターの電動ハードトップオープンカーです。2014年6月に2代目が登場し、「ローブ」「エクスプレイ」「セロ」「GRスポーツ」の複数のボディバリエーションを展開。骨格のみで剛性を担うD-Frameという独自構造を採用しており、外装パネルの一部を交換してデザインを変える「ドレスフォーメーション」が話題を呼びました。
駆動方式はFFの2WDのみで、5速MTのトランスミッションが選べます。ターボエンジン搭載で、軽自動車ながらスポーティな走りを楽しめる貴重な1台です。スズキS660の生産終了(2022年3月)以降、軽オープンスポーツでMTを選べるのはコペンのみとなっています。
なお、2025年9月にダイハツは現行コペンを2026年8月末で生産終了すると正式発表しています。在庫がなくなり次第、受注が締め切られる場合もあるため、購入を検討されている方は早めにディーラーへご相談ください。ダイハツは次期モデルへの開発意欲を示しており、後継モデルへの期待もかかっています。
| 全長 | 3,395mm |
|---|---|
| 全幅 | 1,475mm |
| 全高 | 1,280mm |
| 室内長 | 910mm |
| 室内幅 | 1,250mm |
| 室内高 | 1,040mm |
| 総排気量 | 0.658L |
| 車両重量 | 850kg |
| ホイールベース | 2,230mm |
| 最低地上高 | 110mm |
| 駆動方式 | 2WD(FF) |
| 過給機 | ターボ |
| 最小回転半径 | 4.6m |
| 乗車定員 | 2名 |
| 燃費 | 22.2km/L(JC08モード) |
| モデル概要 | ダイハツ「コペン」。軽自動車唯一の電動ハードトップ2シーターオープンカー。5速MT×ターボの組み合わせでスポーツ走行を楽しめる。 |
|---|---|
| 販売状況 | 現行2代目(2014年6月〜)は2026年8月末で生産終了予定。 |
| バリエーション | ローブ・エクスプレイ・セロ・GRスポーツ。ローブ・セロは外装交換「ドレスフォーメーション」に対応。 |
| 駆動・MT設定 | FF(2WD)のみ。全グレードで5速MT選択可能。 |
| 購入時の注意点 | 2026年8月末の生産終了前に受注が締め切られる場合あり。早めにディーラーへ確認を。 |
ミラ/ダイハツ:4WD仕様もあったMTグレードを設定した軽ハッチバック(販売終了)
1980年から販売されてきたダイハツのミラは、スズキのアルトと長年ライバル関係にあった車両で、2006年のフルモデルチェンジで7代目へと進化しました。最小回転半径4.2mという取り回しのよさと、4WD設定を含むMT仕様が特徴でした。
ミラは2018年に生産・販売を終了しており、現在は購入できません。後継のミライースがエントリーラインを担っていますが、現行ミライースはCVT専用でMT設定はありません。中古市場では5MT仕様の個体が流通しており、シンプルな構造で整備性がよく部品の入手もしやすいため、MT入門車として探すユーザーも一定数います。
| 全長 | 3,395mm |
|---|---|
| 全幅 | 1,475mm |
| 全高 | 1,530mm |
| 室内長 | 2,000mm |
| 室内幅 | 1,350mm |
| 室内高 | 1,265mm(4WD:1,290mm) |
| 総排気量 | 0.658L |
| 車両重量 | 750kg(4WD:800kg) |
| ホイールベース | 2,490mm |
| 最低地上高 | 160mm(4WD:155mm) |
| 駆動方式 | 2WD・FF/4WD |
| 過給機 | なし |
| 最小回転半径 | 4.2m |
| 乗車定員 | 4名 |
| 燃費 | 24.2km/L(4WD:21.6km/L)※JC08モード |
| 販売状況 | 2018年に生産・販売終了。中古市場で流通している。 |
|---|---|
| MT設定(販売当時) | 「X"Special"」の1グレードで5速MT。2WD・4WDとも設定あり。 |
| 後継モデル | ミライース(現行2代目)が後継にあたるが、MT設定なし。 |
アルト/スズキ:ベースグレードにMTを設定していたロングセラー軽自動車(現行モデルはMT廃止)
スズキが1979年から販売するロングセラーモデルのアルトは、ダイハツのミラと長年ライバル関係にあった車です。8代目(HA36型、2014年〜2021年)ではベースグレード「F」でMTが選べ、燃費・価格ともに軽自動車トップクラスの実力を誇りました。また、スポーティな派生モデル「アルトワークス」も5速MTを搭載し、走りを楽しみたいユーザーに支持を集めました。
2021年12月にフルモデルチェンジした現行9代目アルト(HA37型)は全グレードCVT専用となり、MTの設定は廃止されています。アルトワークスも2022年に生産終了しており、現在MT設定があるアルト系モデルの設定はありません。8代目のMT仕様は中古市場で比較的流通しており、軽量・シンプルな構造で維持費が安く、MT入門車として選ぶユーザーも多いモデルです。
| 全長 | 3,395mm |
|---|---|
| 全幅 | 1,475mm |
| 全高 | 1,475mm |
| 室内長 | 1,985mm |
| 室内幅 | 1,255mm |
| 室内高 | 1,215mm |
| 総排気量 | 0.658L |
| 車両重量 | 610kg(660kg) |
| ホイールベース | 2,460mm |
| 最低地上高 | 155mm |
| 駆動方式 | 2WD・FF/4WD |
| 過給機 | なし |
| 最小回転半径 | 4.2m |
| 乗車定員 | 4名 |
| 燃費 | 27.2km/L(2WD)・25.2km/L(4WD)※JC08モード |
| 掲載モデル | 8代目アルト(HA36型、2014年〜2021年) |
|---|---|
| MT設定(販売当時) | ベースグレード「F」で5速MT設定あり。2WD・4WDとも対応。 |
| 現在の状況 | 現行9代目(2021年12月〜)は全車CVT。MTおよびアルトワークスの設定なし。 |
| 中古市場 | 8代目のMT仕様は比較的流通している。軽量・シンプルな構造で維持費も安く、入門MT車として人気がある。 |
ワゴンR/スズキ:一時MTを設定していたトールワゴン(現在はMT廃止)
スズキが1993年に発売し、軽トールワゴンというジャンルそのものを作り上げたとも言われるワゴンR。2017年のフルモデルチェンジで登場した6代目(MH35S型)では、ベースグレード「FA」にMTが設定され話題になりました。
しかしこのMT設定はその後廃止されており、現在販売中のワゴンRはすべてCVTのみとなっています。室内の広さと実用性を重視したトールワゴンにMTという組み合わせは独特でしたが、需要の少なさからラインナップから外れた形です。
| 全長 | 3,395mm |
|---|---|
| 全幅 | 1,475mm |
| 全高 | 1,650mm |
| 室内長 | 2,450mm |
| 室内幅 | 1,355mm |
| 室内高 | 1,265mm |
| 総排気量 | 0.658L |
| 車両重量 | 730kg(4WD:780kg) |
| ホイールベース | 2,460mm |
| 最低地上高 | 150mm |
| 駆動方式 | 2WD・FF/4WD |
| 過給機 | なし |
| 最小回転半径 | 4.4m |
| 乗車定員 | 4名 |
| 燃費 | 25.6km/L(4WD:23.4km/L)※JC08モード |
| 掲載モデル | 6代目ワゴンR(MH35型)のFA MTグレード |
|---|---|
| MT設定(販売当時) | FAグレードに5速MT。2WD・4WD対応。 |
| 現在の状況 | MT設定は廃止済み。現行ワゴンRは全車CVT。 |
ハスラー/スズキ:SUVルックの軽クロスオーバー(現行2代目はMT廃止)
スズキが2014年から販売しているハスラーは、乗用車よりも車高が高くフェンダーモールを装備したSUVルックで、デビュー当初から人気を集めた車種です。ワゴンRをベースに開発された初代モデルは、最低地上高175〜180mmとクロスオーバーらしい地上高を確保し、15インチの大径ホイールを履いた外観がアウトドアシーンによく似合うデザインでした。
初代ハスラーのベースグレード「A」と上級グレード「G」にはMTが設定されており、2WDと4WDが選択できました。しかし2020年1月のフルモデルチェンジで登場した現行2代目にはMTの設定がありません。アウトドアや山道をMT操作で楽しみたいという用途には、現在ではジムニーが現実的な選択肢になります。
| 全長 | 3,395mm |
|---|---|
| 全幅 | 1,475mm |
| 全高 | 1,665mm |
| 室内長 | 2,035mm |
| 室内幅 | 1,295mm |
| 室内高 | 1,250mm |
| 総排気量 | 0.658L |
| 車両重量 | 750kg(4WD:800kg) |
| ホイールベース | 2,490mm |
| 最低地上高 | 180mm(4WD:175mm) |
| 駆動方式 | 2WD・FF/4WD |
| 過給機 | なし |
| 最小回転半径 | 4.6m |
| 乗車定員 | 4名 |
| 燃費 | 26.4km/L(4WD:25.6km/L)※JC08モード |
| 掲載モデル | 初代ハスラー(MR31型、2014年〜2020年) |
|---|---|
| MT設定(販売当時) | AグレードとGグレードで5速MT設定あり。2WD・4WD対応。 |
| 現在の状況 | 2020年1月フルモデルチェンジの現行2代目ハスラーはMT設定なし。全車CVT。 |
ジムニー/スズキ:本格クロカンの定番で、全グレードにMTを設定する軽自動車(継続販売中)
スズキが販売するジムニーは、1970年の初代発売以来、軽自動車クロスカントリーの代表格として長く支持されてきたモデルです。頑丈なラダーフレームと副変速機付き4WDを組み合わせた本格的なオフロード性能を持ち、雪道や悪路でも余裕を持って走破できる実力が、北海道や東北など雪の多い地域のユーザーに根強く支持されています。
現行モデルは2018年に登場した4代目(JB64型)で、全グレード(XG・XL・XC)にMTとATの両方が設定されています。MT車を選ぶ場合、副変速機のH4→L4への切り替えとMT操作を組み合わせることで、急勾配や深雪での細かいトルクコントロールが可能になります。「アクセルとクラッチで速度を整えながら岩場を下りる」という経験は、AT車では難しい操作感です。
一方、取り回しには注意が必要です。最小回転半径4.8mはこのクラスの軽自動車としては大きめで、車体の小ささから期待すると駐車場での切り返しが多くなることがあります。また燃費はWLTCモードで13〜14km/L台とこのクラスの軽としては低めで、月1,000km走行の場合、レギュラー175円/L換算で月々の燃料代は約1万2,000〜1万4,000円程度になる計算です。アウトドアの道具として割り切るなら納得できる数字です。
| 全長 | 3,395mm |
|---|---|
| 全幅 | 1,475mm |
| 全高 | 1,725mm |
| 室内長 | 1,795mm |
| 室内幅 | 1,300mm |
| 室内高 | 1,200mm |
| 総排気量 | 0.658L |
| 車両重量 | 980kg |
| ホイールベース | 2,250mm |
| 最低地上高 | 205mm |
| 駆動方式 | 4WD(副変速機付き) |
| 過給機 | ターボ |
| 最小回転半径 | 4.8m |
| 乗車定員 | 4名 |
| 燃費 | 13.2km/L(WLTCモード) |
| 販売状況 | 現行4代目(2018年〜)継続販売中。全グレードにMT設定あり。 |
|---|---|
| MT設定グレード | XG・XL・XC全グレードで5速MT選択可能。 |
| こんな人に向いている | 雪道・オフロード・林道走行を楽しみたい人。MT操作で走破ラインを細かく調整したい人。 |
| 注意点 | 燃費は軽自動車の中では低め。最小回転半径4.8mで取り回しは広い場所が必要。後席・荷室は狭く、実質2名+荷物が現実的。 |
S660/ホンダ:6速MTを搭載したMR軽スポーツカー(2022年3月生産終了)
2015年3月から販売されたホンダの「S660」は、2シーターのタルガトップオープンカーで、軽自動車として初となる6速マニュアルトランスミッションを設定したスポーツモデルです。エンジンをシート後方に搭載して後輪を駆動するMR(ミッドシップ・リアドライブ)レイアウトを採用し、「ビート」「AZ-1」以来の本格MR軽スポーツとして話題を呼びました。
低い着座位置から見える路面、エンジン音が背後から聞こえてくる独特の感覚、そして軽自動車とは思えないコーナリング性能は、一度試乗すると忘れられないという声が多いモデルです。上級グレード「α」にはクルーズコントロールや本革巻きのステアリングなどが装備されました。
S660は2022年3月に生産を終了しており、現在は中古市場での入手となります。生産終了発表後に注文が殺到し、最終特別仕様車「Modulo X Version Z」を含む追加生産が実施されたほど人気の高いモデルでした。中古市場では現在も高い人気を維持しており、特に後期型αのMT車は価格が下がりにくい状況が続いています。
| 全長 | 3,395mm |
|---|---|
| 全幅 | 1,475mm |
| 全高 | 1,180mm |
| 室内長 | 895mm |
| 室内幅 | 1,215mm |
| 室内高 | 1,020mm |
| 総排気量 | 0.658L |
| 車両重量 | 850kg |
| ホイールベース | 2,285mm |
| 最低地上高 | 125mm |
| 駆動方式 | 2WD・MR |
| 過給機 | ターボ |
| 最小回転半径 | 4.8m |
| 乗車定員 | 2名 |
| 燃費 | 21.2km/L(JC08モード) |
| 販売状況 | 2022年3月に生産終了。中古市場のみ。 |
|---|---|
| MT設定(販売当時) | 6速MT(αグレード・βグレード)。軽自動車初の6速MT採用。 |
| 購入する場合 | 中古市場での入手となる。状態のよい個体は相場が高めで推移している。 |
SEVEN160/ケータハム:スズキ製ターボエンジン搭載の5速MT軽量スポーツ(後継SEVEN170に移行・販売終了)
ケータハムから販売されていた「SEVEN160」は、スズキ製660ccターボエンジンを搭載した5速MT軽量スポーツカーです。車体重量は490kgと突出した軽さで、0〜100km/h加速6.9秒、最高速度160km/hというスペックを誇りました。フルオープンのクラシカルなボディは、ケータハム7シリーズのアイコン的なスタイルで、街中でも強烈な存在感を放っていました。
SEVEN160は2021年9月に後継モデルの「ケータハムSEVEN170」が発売開始されたことに伴い、販売を終了しています。SEVEN170はケータハム史上最軽量を謳い、エンジンは排気量を少し拡大した仕様となっています。なお、これらは「走る喜び」に特化したモデルのため、雨天走行や荷物の積載、複数人での使用には向かない点は事前に理解しておく必要があります。
| 全長 | 3,100mm |
|---|---|
| 全幅 | 1,470mm |
| 全高 | 1,090mm |
| 総排気量 | 0.658L |
| 車両重量 | 490kg |
| ホイールベース | 2,225mm |
| 最低地上高 | 100mm |
| 駆動方式 | 2WD(FR) |
| 過給機 | ターボ |
| 乗車定員 | 2名 |
| 販売状況 | SEVEN160は販売終了。2021年9月より後継モデルのSEVEN170に移行。 |
|---|---|
| MT設定 | 5速マニュアル。フルオープン・クラシカルデザインのライトウェイトスポーツ。 |
| 注意点 | 日常使いには不向き。降雨時・荷物積載・複数人乗車には対応が困難。 |
軽自動車のMT車を選ぶなら、現在の選択肢を押さえておこう
軽自動車のMT車は、アルト・ミラ・ワゴンR・ハスラーといった実用系モデルでも設定があった時代がありましたが、現在は順次廃止が進んでいます。乗用タイプの軽自動車でMTを選べるのは、ジムニー(スズキ)・コペン(ダイハツ、2026年8月末生産終了予定)・N-ONE RS(ホンダ)が代表格です。エブリイやハイゼットカーゴなどの商用バン系にもMT設定は残っていますが、乗用ユースが前提になる車種はかなり限られています。
用途で整理すると、アウトドア・悪路走行を重視するなら「ジムニー」、スポーツドライビングとオープンエアを楽しみたいなら生産終了前の「コペン」、実用性も備えながらMTを楽しみたいなら4人乗り・荷室ありの「N-ONE RS」という選び方が現実的です。いずれも在庫状況や受注状況がタイトになりつつあるため、購入を検討されている方は早めにディーラーへ問い合わせることをおすすめします。