トヨタセーフティセンスとは?CとPの違い・第2世代の機能追加点を解説
「トヨタセーフティセンス」は、トヨタ車に搭載されている予防安全技術のパッケージです。自動ブレーキ(プリクラッシュセーフティ)・車線逸脱警報・オートマチックハイビームなどを一括搭載し、衝突事故の回避・被害軽減を目的としています。
中古車を含めて検討する場合、同じ「トヨタセーフティセンス」という名前でも中身が大きく異なる点に注意が必要です。2015年の第1世代から現在の第3世代まで、検知できる対象も作動する速度域も別物といってよいほど変化しています。年式と車種によってどの世代が載っているかが決まるため、名前だけで判断すると期待していた機能が備わっていないことがあります。
トヨタセーフティセンスCとPの違いを比較
第1世代のトヨタセーフティセンスには「C」と「P」の2種類があり、主に搭載センサーと機能の差があります。
| 機能 | C | P |
|---|---|---|
| センサー | 単眼カメラ+レーザーレーダー | 単眼カメラ+ミリ波レーダー |
| プリクラッシュセーフティ(対車両) | 約10〜80km/h | 約10〜180km/h |
| プリクラッシュセーフティ(昼間の歩行者) | 非対応 | 約10〜80km/h |
| オートマチックハイビーム | ○ | ○ |
| 車線逸脱警報 | ○ | ○ |
| 先行車発進告知 | ○ | ○ |
| ステアリング制御 | - | ○ |
| ふらつき警報 | - | ○ |
| レーダークルーズコントロール | - | ○ |
大きな違いはセンサーの種類と自動ブレーキの作動範囲・対応対象です。Cはレーザーレーダーを使用し対車両のみ対応、Pはミリ波レーダーを使用して昼間の歩行者にも対応し、作動速度域も180km/hまでと大幅に広くなっています。
この差を生んでいるのがレーダーの方式です。レーザーレーダーは近距離の反射を捉えるのが得意な一方、遠方や悪天候に弱いという性質があります。対してミリ波レーダーは電波を使うため、雨や霧の中でも遠くまで届きます。Pの作動上限が180km/hまで伸びているのは、より遠方を早く捉えられるセンサーを積んでいるからです。価格差を考えればCも十分な装備ですが、高速道路を頻繁に使う人にとってこの違いは小さくありません。
トヨタセーフティセンスC|コンパクト・ミドルクラス向けベーシックパッケージ
トヨタセーフティセンスCは2015年3月にカローラフィールダー・カローラアクシオへの搭載を皮切りに展開されたベーシックな予防安全パッケージです。単眼カメラとレーザーレーダーの組み合わせで障害物を検知します。
トヨタセーフティセンスCの機能
- プリクラッシュセーフティ(対車両:約10〜80km/h)
- 車線逸脱警報(白線・黄色線検出、ブザー警報)
- オートマチックハイビーム
- 先行車発進告知
車線逸脱警報は白線・黄色線をカメラで検出し、はみ出しそうになるとブザー音で警告します。表示だけでなく音でも知らせるため、居眠り運転やわき見運転による危険な状況からドライバーを覚醒させる効果があります。
押さえておきたいのは、Cは歩行者を検知しないという点です。中古車で2015年から2017年頃のコンパクトカーを検討する場合、この世代に当たる可能性が高くなります。市街地での歩行者事故に対する備えを重視するなら、後述する第2世代以降の年式へ範囲を広げたほうが条件に合います。
トヨタセーフティセンスCの主な搭載車種
- カローラフィールダー/カローラアクシオ
- ヴィッツ/アクア
- ノア/ヴォクシー/エスクァイア
- エスティマ/エスティマハイブリッド
- プレミオ/アリオン
- ポルテ/スペイド
- プロボックス/サクシード
- ジャパンタクシー
トヨタセーフティセンスP|上位クラス向けフル機能パッケージ
トヨタセーフティセンスPは2015年8月のランドクルーザー・マイナーチェンジから搭載が始まった上位グレード向けパッケージです。単眼カメラとミリ波レーダーの組み合わせにより、Cより広い速度域と昼間の歩行者検知に対応しています。
トヨタセーフティセンスPの機能(Cの機能+以下を追加)
- プリクラッシュセーフティ(対車両:約10〜180km/h、昼間の歩行者:約10〜80km/h)
- ステアリング制御(車線逸脱時のステアリングアシスト)
- ふらつき警報
- レーダークルーズコントロール(全車速追従式または制御式、車種による)
レーダークルーズコントロールには、停止まで追従する全車速追従機能付きと、約50km/h以上でのみ作動するタイプの2種類がありました。渋滞で停止と発進を繰り返す場面では全車速追従機能付きでなければ恩恵が得られないため、同じ「P」でも車種によって高速道路での疲労感が変わります。中古車選びでは、この区別を装備表で確認しておきたいところです。
トヨタセーフティセンスPの主な搭載車種
- プリウス/プリウスPHV/プリウスα
- C-HR/ハリアー
- カムリ/マークX
- ランドクルーザー/ランドクルーザープラド
- ハイエース/レジアスエース
第2世代以降のトヨタセーフティセンスの進化
2018年以降に順次展開された第2世代では、CやPといったアルファベット区分が廃止され「トヨタセーフティセンス」の名称に統一されました。センサー構成も単眼カメラとミリ波レーダーの組み合わせに一本化され、グレードによる基本性能の差が縮まっています。
第2世代で追加された機能
第1世代からの主な進化点は以下の4点です。
- 夜間の歩行者検知に対応:昼間だけでなく、夜間の歩行者横断も検知して自動ブレーキが作動
- 自転車運転者の検知に対応:車道脇を走る自転車や横断する自転車も検知範囲に追加
- ロードサインアシスト(RSA)を新搭載:制限速度・一時停止・進入禁止などの道路標識をカメラで読み取り、車内のメーターパネルに表示。標識の見落としによる違反や逆走リスクを低減
- レーントレーシングアシスト(LTA)を新搭載:レーダークルーズコントロール使用時に、車線中央を維持するようステアリング操作をアシスト。車線逸脱の警報・ステアリングアシストも引き続き対応
実用面で最も意味が大きいのは夜間歩行者への対応です。警察庁の統計では歩行者が関係する死亡事故は夕暮れから夜間に集中しており、第1世代が昼間の歩行者までしか見られなかったことを考えると、この追加は数値以上の価値があります。
レーントレーシングアシストも、車線を逸脱したときに戻す制御から、常時車線中央に沿わせる制御へと役割が変わりました。高速道路の巡航では微細なステアリング修正が不要になり、長距離を走ったあとの疲れ方が明確に軽くなります。
第2世代の主な搭載車種
2017年12月末のマイナーチェンジでアルファード・ヴェルファイアがトヨタ車として初めて第2世代を標準装備。その後、クラウン、カローラスポーツ、シエンタなどへ順次展開され、最終的にはほぼ全ラインナップへ広がりました。
第2世代トヨタセーフティセンスの初期の搭載車種
- アルファード/ヴェルファイア
- クラウン
- カローラスポーツ
- シエンタ
第3世代トヨタセーフティセンスでハードウェアが刷新
現行の第3世代は、2022年1月にフルモデルチェンジした新型ノア/ヴォクシーから採用が始まりました。量販ミニバンを起点にしたのは、搭載台数の多い車種から普及させるという考え方によるものです。
基本構成であるミリ波レーダーと単眼カメラの組み合わせは変わりませんが、中身は大きく刷新されています。ミリ波レーダーは小型化しながら検知範囲を広角化し、電波の方式を三角波から矩形波へ変更することで速度の分解能を高めました。単眼カメラはカラー化され、イメージセンサーの解像度は約5倍へ向上。横方向の視野角も広がり、画像認識にはディープラーニングが取り入れられています。
カメラのカラー化は地味に見えて効果が大きい変更です。白黒では輝度の差でしか判別できなかった対象を、色の情報も使って見分けられるようになり、信号の色や標識の判別精度が上がりました。視野角の拡大は、交差点を右左折する際に横から来る対向車や歩行者を捉えるために必要な条件でもあります。
第3世代で実用上とくに大きいのが、無線通信によるソフトウェアアップデートに対応した点です。販売店へ入庫することなく機能を更新でき、車種によっては購入後に新機能が追加されます。これまで「買った時点の装備がその車の上限」だったものが、後から育つ余地を持つようになりました。第3世代を搭載したノア/ヴォクシーは、2023年5月の自動車アセスメントで最高評価となるファイブスター大賞を受賞しています。
第3世代で使えるようになった主な機能
第3世代では、衝突しそうな瞬間に介入する機能だけでなく、危険に近づかないよう事前に支援する機能が加わりました。中心となるのが次の内容です。
第3世代トヨタセーフティセンスの主な機能
- プリクラッシュセーフティ(交差点右左折時の対向車・横断歩行者にも対応)
- プロアクティブドライビングアシスト(PDA):歩行者や駐車車両に近づきすぎないよう操舵と減速を支援
- 緊急時操舵支援:ブレーキだけでは避けきれない場面で操舵による回避を補助
- レーントレーシングアシスト(LTA)+レーンディパーチャーアラート(LDA)
- レーダークルーズコントロール(カーブ手前での減速支援付き)
- ドライバー異常時対応システム:応答がない場合に減速・停車させる
- フロントクロストラフィックアラート(FCTA):見通しの悪い交差点での出会い頭をサポート
- レーンチェンジアシスト(LCA):高速道路での車線変更を補助
- ロードサインアシスト(RSA)、オートマチックハイビーム、発進遅れ告知機能
プロアクティブドライビングアシストは、第3世代の性格を最もよく表す機能です。路肩に歩行者や自転車、駐車車両がある場合、ドライバーが操作する前にわずかに離れる方向へ操舵と減速を加えます。カーブへの進入速度が高すぎるときや、他車が割り込んできたときにも作動します。警報も鳴らさず静かに効くため、作動していることに気づきにくいのが特徴です。
2023年に登場した新型プリウスでは、後方車両接近告知、周辺車両接近時サポート(録画機能・通報提案機能)、停車中の後突に対応するセカンダリーコリジョンブレーキがトヨタとして初めて採用されました。同じ第3世代でも、発売時期や車種によって備わる機能に差があるという点は理解しておきたいところです。
中古車でトヨタセーフティセンスの世代を見分ける方法
中古車を検討する際、どの世代が載っているかは年式と車種からおおよそ判断できます。2015年から2017年頃であれば第1世代のCまたはP、2018年から2021年頃が第2世代、2022年以降のフルモデルチェンジ車が第3世代という区分です。
より確実なのはカタログやメーターの表示を見る方法です。第1世代は車種ごとに「Toyota Safety Sense C」「Toyota Safety Sense P」と明記されており、第2世代以降はアルファベットが付きません。レーントレーシングアシストやロードサインアシストの表記があれば第2世代以降、プロアクティブドライビングアシストや緊急時操舵支援の表記があれば第3世代と判断できます。
現車で見るならフロントグリル中央のミリ波レーダーの有無が手がかりになります。エンブレム裏や下部グリルに樹脂製のパネルが埋め込まれていればミリ波レーダー搭載車で、第1世代ならPに該当します。Cはレーザーレーダーをフロントガラス上部のカメラユニットに内蔵するため、グリル側に目立つ装置がありません。
注意したいのが、同じ車種・同じ年式でもグレードやオプションによって装備されていない個体がある点です。衝突被害軽減ブレーキは新型車については2021年11月以降に義務化されましたが、それ以前の年式ではメーカーオプション扱いだった車種が残ります。装備表だけでなく、現車のメーター表示や取扱説明書で確認するのが確実です。
第1世代(C・P)の搭載状況
第1世代のトヨタセーフティセンスC・Pは、展開開始からおよそ3年でほぼすべての車種へ標準装備またはオプション装備として広がりました。当初未搭載だったMIRAI・ハイラックス・86にも順次対応が進んでいます。
短期間でここまで普及した背景には、オプション価格を数万円台に抑えたことがあります。安全装備は価格が上がるほど装着率が下がるという関係にあり、全車標準化を目指すうえでコストの引き下げは避けて通れない条件でした。この考え方は第2世代以降も引き継がれ、現在はほぼ全車標準装備となっています。
まとめ:トヨタセーフティセンスは世代を重ねて進化中
トヨタセーフティセンスは第1世代のC・Pから始まり、第2世代で夜間歩行者・自転車の検知とロードサインアシスト・レーントレーシングアシストを追加。第3世代ではセンサーを刷新したうえで、危険に近づく前に支援するプロアクティブドライビングアシストや緊急時操舵支援が加わりました。
新車で選ぶ場合、現行モデルにはすべて第3世代が搭載されるため世代を気にする必要はほとんどありません。判断が必要になるのは中古車で、年式によって歩行者を検知できるかどうかという根本的な差が生まれます。夜間の走行が多い、子どもや高齢者の多い住宅地を日常的に走るといった条件があるなら、第2世代以降の年式に絞って探す価値があります。
一方で、どの世代であっても運転支援という位置づけは変わりません。逆光や濃霧、雪で白線が隠れた路面ではカメラが機能を停止することもあり、フロントガラスの汚れや曇りでも検知精度は落ちます。装備を頼りにするのではなく、見落としを補うものとして付き合うのが、この技術を活かす前提になります。