NSXタイプRは発売されず 2代目NSXは2022年に生産終了
2016年に発売されたスーパーカー「NSX」から、ピュアスポーツの「タイプR」が登場するという情報がかつてありました。ベースのNSXは3,500ccのV型6気筒ツインターボエンジンに3基のモーターを組み合わせ、ハイブリッドシステムの最高出力は581PS、最大トルクは646Nmに達します。
NSXタイプRは、重量のかさむハイブリッドシステムを外し、カーボンなどの軽量素材で車体を軽くして、NSXをさらに上回るハイスペックモデルになると期待されていました。しかし実際には登場せず、2022年の2代目NSX生産終了にともない、タイプR発売の可能性は完全に消えました。
この記事では、幻に終わったNSXタイプRの予想エクステリアやインテリア、搭載エンジンやスペック、価格や発売時期の見立てを、実現しなかった予想として振り返ります。
NSXタイプRは登場せず 最終仕様「Type S」を最後に2022年12月末で生産終了
2代目NSXは、ホンダの技術を凝縮した国産スーパーカーで、とりわけ3モーターハイブリッド「SPORT HYBRID SH-AWD」は世界的に注目された技術でした。もっとも、2,370万円という価格に対して質感の評価が伴わないとの声もあり、販売台数は伸びませんでした。2代目の累計販売はグローバルで約2,558台にとどまっています。
ホンダは電動化シフト(2040年に新車を全てEV/FCVとする方針)を鮮明にするなかで、2022年でのNSX生産終了を発表。結果として、期待されていたタイプRは設定されないまま幕引きとなりました。最終仕様が「タイプR」ではなく「タイプS」だったことから、タイプRを名乗るスペックには届かなかったのではないか、という見方もささやかれました。
最後を飾ったのが、2021年8月3日に先行公開された「NSX Type S」です。新色のマットカラーを設定し、空力・冷却性能を高めた精悍なフロントフェイスを採用。パワートレインはシステム最高出力610馬力・最大トルク667Nmへと引き上げられました。生産は世界限定350台(米国300台、日本30台、その他20台)で、日本割当の30台はオーダー受付を終了済みです。最終号車となるType Sの350号車は、ゴッサムグレーのマットをまとって「350/350」のバッジを備え、2022年11月17日に米国オハイオ州のパフォーマンス マニュファクチャリング センター(PMC)でラインオフしました。これをもって、2代目NSXは6年の歴史に幕を下ろしています。
ホンダはNSXで培った技術・人材を生かし、電動化時代の新しいスーパースポーツを開発してスポーツカーからは撤退しない方針を示しました。ただし、2026年時点で「NSX」を名乗る具体的な後継モデルは登場していません。
ホンダ「NSXタイプR」は東京モーターショー2019でも登場しなかった
かつて「NSXタイプR」が東京モーターショー2019で姿を現すのではという噂がありましたが、登場しませんでした。
当時は、これまでのNSXをさらにパワーアップしたモデルになるとの見方もありました。
パワートレインは3.5L V型6気筒ツインターボに3基の電気モーターを組み合わせたまま、最高出力650hpを発揮し、ホンダ史上最強の1台になるのでは、と期待されていました。
サーキットを見据え、スポーツサスペンションやカーボンセラミックブレーキの採用も予想されていました。「NSX GT3レーサー」に着想を得たフロントスプリッターやGTリアウイングなどのエアロを備え、過激なエクステリアになるとの見立てもありました。しかし、これらはいずれも構想の域を出ませんでした。
価格は日本円で2,200万円以上になるとの予想もありましたが、実車が登場することはありませんでした。
NSXタイプRのエクステリア予想(実現せず)
予想では、NSXタイプRはベースのNSXにリアウイングを追加し、ドアパネルなどにカーボンを使って軽量化を図るとされていました。
リアには大型のウイングを備え、センターに4本出しマフラーを配するスポーティな造形が想定されていました。
ベルリナブラックのほか、130Rホワイトに赤をあしらったシビックタイプR風のカラーリングや、ソースシルバー・メタリックといった予想エクステリアも描かれていました。
インテリアは、NSX同様に赤を基調とし、ベースとほぼ変わらないデザインになると予想されていました。
NSXタイプRの搭載エンジン・スペック予想(実現せず)
NSXタイプRは、重いハイブリッドシステムを外して軽量化するとの見方がありました。エンジンにもタイプR専用チューニングを施し、ベースのNSXの581PSから650PS以上へ高められると予想されていました。以下は当時語られた予想値で、実現はしていません。
| 搭載エンジン | V型6気筒ツインターボ |
|---|---|
| 排気量 | 3,500cc |
| 最高出力 | 650PS |
| 最大トルク | 750Nm |
| トランスミッション | 9速AT |
| 駆動方式 | SH-AWD |
| 車両重量 | 1,550kg |
NSXタイプRの発売時期・価格予想(実現せず)
当時は、発売されるとしても2021年10月頃との見立てがありました。2017年9月発売のシビックタイプRを皮切りにホンダがスポーツモデルを拡充するとの予想から、「タイプR」の原点であるNSXにも設定されるのでは、と期待されていたのです。
価格は、ハイブリッドを外すとはいえエンジンやサスペンションのチューニング、ボディの軽量化を行うことから2,500万円以上との予想もありました。いずれも、タイプRが登場しなかったため実現していません。
ベースモデルとなるNSXは2016年に発売済み
2005年に生産を終えた初代NSXから約10年を経て、2016年に日本のスーパーカーNSXが2代目として復活しました。アメリカで生産され、発売当時は国産車で最高峰となる2,370万円という価格が話題となりました。
3.5LのV型6気筒ツインターボに3基のモーターを組み合わせたハイブリッドで、燃費は12.4km/L、システム最高出力は581PS、最大トルクは646Nm(発売時)。トランスミッションは9速デュアルクラッチ、駆動方式はスポーツ走行に適した4輪駆動「SH-AWD」です。最高速度は308km/hで、日産GT-Rとともに国産車で時速300km/hを超えるモデルでした。前述のとおり、最終仕様のType Sではこの出力が610馬力まで引き上げられています。
ボディカラーは全8色で、「ソースシルバー・メタリック」が85,000円高、「ヌーベルブルー・パール」が670,000円高の特別塗装色でした。
-
クルバレッド -
ベルリナブラック -
130Rホワイト -
ソースシルバー・メタリック(85,000円高) -
カジノホワイト・パール -
ノルドグレイ・メタリック -
バレンシアレッド・パール -
ヌーベルブルー・パール(640,000円高)
インテリアは、スポーティな「レッド」に加え、落ち着いた「サドル」、上品な「オーキッド」、シックな「エボニー」の計4色を設定。シート素材はミラノレザーとセミアニリンレザーから選べました。
ヘッドライトには、レジェンドやグレイスにも採用されたジュエルアイLEDを装備。バンパーのセンサーで駐車時に障害物を音と表示で知らせる機能も備えました。サーキット走行が可能なピュアスポーツでありながら、街乗りに配慮した快適装備が充実していた点も魅力でした。
日本が誇るスーパーカー NSXタイプRのモデルチェンジ遍歴
NSXタイプRは、ホンダが販売していた日本を代表するスーパーカーです。2代目ではスペックアップした「タイプR」の登場が期待されましたが実現せず、NSXそのものが生産を終えました。ここでは、実際に販売された初代のタイプR系の歩みを振り返ります。
NSXタイプR 初代NA1/2型(1992年~2005年)
1992年11月、NSXの追加グレードとして「NSXタイプR」が登場しました。レスポンスの向上と徹底した軽量化が図られ、レカロ製フルバケットシートやモモ製ステアリングを装備するなど、サーキット走行を視野に入れた仕上がりです。
1994年2月と1995年2月にマイナーチェンジを実施。
1997年2月のマイナーチェンジでは排ガス規制に適合させました。
1999年9月と2001年12月にもマイナーチェンジを実施。
2002年5月、「NSXタイプR」から「NSX-R」へ名称を変更し、空力性能と操縦安定性を高めました。
2005年2月には特別仕様車「NSX-R GT」を発表。同年12月、欧米での燃費・排ガス規制への対応が難しいことから、初代NSXは生産を終了しました。
| NSXタイプRのモデル | 販売年表 |
|---|---|
| 初代 NA1/2型 | 1992年~2005年 |
NSXタイプRは発売されず2022年に生産終了
NSXは1990年に登場した、日本初のスーパーカーともいわれるモデルで、2代目が発売された際も世界中で話題を集めました。しかし販売台数が伸び悩んだことから、2代目はタイプRの登場を待たず、2022年に生産を終えました。
期待されたNSXタイプRが実現しなかったのは惜しまれるところですが、最終仕様のType Sが610馬力へと磨き上げられ、有終の美を飾りました。ホンダは電動時代の新たなスーパースポーツ開発を掲げており、いつかNSXの精神を受け継ぐモデルが現れるのか、今後の動向が注目されます。