CR-Zのモデルチェンジ

ホンダCR-Z 2代目は実現せず生産終了のまま 復活の可能性とプレリュードが継いだ系譜

ホンダCR-Zは2017年に生産を終えて以降、噂された2代目が実現しないまま現在に至ります。ハイブリッドスポーツの系譜は2025年9月に24年ぶり復活したプレリュード(e:HEV)が継承。当時の予想を検証しつつ初代の歩みと現在地を整理します。

ホンダCR-Z 2代目は実現せず生産終了のまま 復活の可能性とプレリュードが継いだ系譜

ホンダCR-Zは2代目が実現しないまま生産終了 ハイブリッドスポーツの系譜はプレリュードが継承

2017年1月に販売を終えたハイブリッドスポーツ「CR-Z」については、かつて「2026年以降に2代目へフルモデルチェンジするのでは」という噂が流れていました。しかし本日時点で、その2代目CR-Zは市販化されておらず、ホンダからの公式アナウンスも出ていません。初代限りで姿を消したという状態が、現在も続いています
一方で、CR-Zが担っていた「環境性能と走りを両立させたハイブリッドスポーツ」という立ち位置は、2025年9月に24年ぶりの復活を果たした新型「プレリュード」が引き継ぎました。ここでは、実現しなかった当時の予想を検証しつつ、初代CR-Zの歩みと現在地を整理します。

ハイブリッドスポーツはプレリュードとして復活 CR-Zの2代目公式発表は現時点で見られず

ホンダは2025年9月4日に新型「プレリュード」を発表し、翌9月5日に発売しました。実に24年ぶりの復活で、通算6代目にあたります。搭載されるのは2.0L直4エンジン(141PS/182Nm)に2モーターを組み合わせたホンダ独自の「e:HEV」で、モーター出力は184PS/315Nmに達します。さらにホンダ車として初採用の制御技術「Honda S+ Shift」により、仮想8段変速でエンジン回転を精緻に操り、有段ミッションのような鋭いシフトフィールを演出します。価格は617万9,800円(1グレード)、オンラインストア専用の「Honda ON Limited Edition」は648万100円で、月間販売計画は300台としています。

ボディサイズは全長4,520mm×全幅1,880mm×全高1,335mm、ホイールベース2,605mm。シビックタイプR譲りのシャシーを専用にチューニングし、WLTCモードで23.6km/Lという燃費も確保しました。かつてCR-Zが目指した「操る喜びと環境性能の両立」を、より上級のスペシャリティスポーツとして具現化したモデルと言えます。当時「新型CR-Zが担う」と考えられていた役割は、結果的にこのプレリュードが果たした形です。なお、CR-Z自身の2代目については、ここへ来ても復活を望む声はくすぶり続けているものの、メーカーからの正式な発表には至っていません。

当時予想されたエクステリア(ジュエルアイLED採用の3ドアクーペ)は市販化されず

かつて描かれた予想エクステリアは、ヘッドライトにジュエルアイLEDを備え、初代を踏襲した3ドアハッチバッククーペというものでした。4分割のLEDのうち外側からポジション、中央2つがヘッドライト、最内側がハイビーム、という凝った構成も想定されていました。ただし、こうしたデザインを持つ2代目CR-Zが市販されることはありませんでした。

細身のサイドミラーやサイドウインカー、開口部横のシルバーライン(グレードによりLEDデイライト化)といった細部も予想の域を出ず、実車としては世に出ていません。現在、ホンダのラインアップにコンパクトな3ドアスポーツハッチは存在せず、電動化やソフトウェア開発への投資が優先されるなかで、この種のニッチな新規開発のハードルは当時よりむしろ高まっているというのが実情です。

「新型シビックと共通プラットフォーム+i-DCD」という読みは外れ 現在の主役はe:HEV

CR-Zのプラットフォーム

当時は、2017年に登場した新型シビックと共通のグローバルプラットフォームを2代目CR-Zが採用し、ひと回り大柄になるという見立てがありました。下表はその際に想定されていたボディサイズですが、あくまで実現しなかった予想値である点にご注意ください。

実現しなかった「2代目CR-Z」の予想ボディサイズと初代の実寸
2代目(当時の予想) 初代(実寸)
全長 4,200mm 4,080mm
全幅 1,800mm 1,740mm
全高 1,380mm 1,395mm
ホイールベース 2,500mm 2,435mm

CR-Zのボンネットの中

パワートレインについては「フィットハイブリッド系の1.5L+i-DCD(1モーター+7速DCT)を積み、燃費28.0km/L以上を狙う」という予想でした。下は当時語られていた諸元です。

当時予想されていた1.5Lハイブリッドの諸元(実現せず)
エンジン型式 LEB
種類 直列4気筒
排気量 1,496cc
エンジン最高出力 110PS/6,000rpm
エンジン最大トルク 134Nm/5,000rpm
モーター型式 H1
モーター最高出力 29.5PS/1,313~2,000rpm
モーター最大トルク 160Nm/0~1,313rpm

結論から言えば、この読みは外れました。ホンダのハイブリッド戦略はその後、2モーター式の「e:HEV」へと集約が進み、予想の前提だったi-DCDは主力の座を退いています。前述のプレリュードもe:HEVを搭載しており、仮に今後CR-Z系のハイブリッドスポーツが登場するとしても、i-DCDではなくe:HEVベースになると見るのが自然です。

CR-Zのエンジン

また「2代目にはタイプRが設定され、シビックタイプRの2.0L VTECターボ(K20C)を積む」という期待も語られていました。参考までに、その際に想定されていたエンジン諸元が以下です。

「CR-ZタイプR」に期待されていた搭載エンジン(構想のみ)
型式 K20C
種類 直列4気筒
過給機 ターボ
排気量 1,995cc
最高出力 320PS/6,500rpm
最大トルク 400Nm/2,500~4,500rpm

初代の3倍近い出力を持つホットモデル、という夢のある構想でしたが、CR-Z名義のタイプRは実現していません。皮肉にも、そのシビックタイプR由来のシャシーは、2025年復活のプレリュードに活かされることになりました。

予想された「ホンダセンシング標準化」は、現行のスペシャリティスポーツで現実に

トンネルを走るCR-Z

「2代目CR-Zには先進の安全運転支援システム『Honda SENSING』が標準装備されるだろう」という予想もありました。この点だけは方向性として当たっており、実際に現在のホンダ車では同システムの標準化が進んでいます。復活したプレリュードでも、専用セッティングを施したHonda SENSINGが全車標準となりました。

当時CR-Zへの搭載が想定されていたホンダセンシングの主な機能

  • 衝突軽減ブレーキ
  • 路外逸脱抑制機能
  • 渋滞追従機能付きACC
  • 車線維持支援システム
  • オートハイビーム
  • 標識認識機能

「2026年以降に300万円台で発売」という予想は不成立 実際の系譜は600万円級のプレリュードへ

かつては「2代目CR-Zは2026年以降に発売され、標準モデルで300万〜400万円、タイプRで450万円近く」という価格・時期の予想が示されていました。初代が2007年10月のコンセプト公開から2010年2月発売まで約2年4か月を要した一方、2代目は原型があるため発表から1年ほどで市販化されるだろう、との読みもありました。

しかし本日時点で、この予想は成立していません。2代目CR-Zは発表も発売もされず、噂の浮上から相応の年月が経っています。結果として、ハイブリッドスポーツの実車は617万9,800円という上級価格帯のプレリュードとして登場しました。CR-Zが狙っていた比較的手の届きやすい価格帯とは異なる立ち位置であり、「安価なハイブリッドスポーツ」という当初のコンセプトを現代で成立させる難しさが、価格面からも読み取れます。

初代CR-Zの実力 20.6km/L(MT)を実現した希少な2+2ハイブリッドスポーツ

ブラックボディのCR-Z

初代CR-Zは2010年2月から販売された、ハイブリッドを積む2+2の3ドアハッチバックです。1.5LのLEA型i-VTECエンジンとIMAハイブリッドを組み合わせ、燃費はCVT車で22.8km/L、MT車で20.6km/L(JC08モード)を達成しました。ハイブリッドながら6速MTを選べる点が、単なる燃費車では終わらないキャラクターを与えていました。

初代CR-Z諸元
全長 4,080mm
全幅 1,740mm
全高 1,395mm
ホイールベース 2,435mm
車両重量 1,130~1,160kg
定員 4名
駆動方式 FF
搭載エンジン LEA(1,500cc)
搭載モーター MF6

グレードはベースの「β」、上級の「α」、最上級の「α・Master label」を基本に構成されました。2011年には内外装を精悍に仕立てた「α・Black label」が加わり、末期の2016年6月には最後の特別仕様車「α・Final label」が設定されたのち、2017年1月に販売を終えています。

地球環境を意識した「グリーンマシーン3号」CR-Zのモデルチェンジ遍歴

CR-Zはホンダが手掛けたハイブリッドのコンパクトクーペスポーツです。基本のグレード体系は、ベーシックな「β」、上級の「α」、最上級の「α・Master Level」で構成されていました。

CR-Z ZF1/2型(2010年~2017年)

2010年2月、初代CR-Zがデビューしました。ハイブリッド車として世界初となる6速MTを設定した点が大きな話題を呼びます。同年12月には、2010-2011日本カー・オブ・ザ・イヤー受賞を記念した特別仕様車「日本カー・オブ・ザ・イヤー受賞記念車」を設定し、2011年1月から3月末まで期間限定で販売しました。
2011年8月、新グレード「α・Black label」を追加。10月には韓国でも販売を始めています。

2012年1月、特別仕様車「α・Dressed label」を5月末までの期間限定で発売。9月27日にはマイナーチェンジを実施し、駆動用電池をニッケル水素からリチウムイオンへ変更、エンジンも高出力型のi-VTECとしてモーター・システム出力を高めました。同時期に、M-TEC(無限)から300台限定の「Honda CR-Z MUGEN RZ」が登場しています。
2013年4月、特別仕様車「α・Dressed label II」を発売。10月にはメーカーオプションの追加やツートンカラー設定など、一部改良が行われました。

2014年には特別仕様車「α・Dressed label III」を、続く11月13日には深紅の専用色プレミアムディープロッソ・パールをまとう「α・Dressed label IV」を発売しました。
2015年8月27日にはマイナーチェンジを発表し、10月19日に発売。外観を刷新し、電子制御パーキングブレーキの採用やリヤトレッド拡大、ブレーキ容量アップなどで快適性・走行性能・安全装備を底上げしました。あわせてグレードを「α」と「α・Master label」に整理しています。
2016年6月、最後の特別仕様車「α・Final label」を発売。
そして2017年1月、CR-Zは販売を終了しました(生産は2016年内に終了)。

CR-Zのモデルチェンジ遍歴
CR-Zのモデル 販売年表
ZF1/2型 2010年~2017年

CR-Zは戻らなかったが、その志はプレリュードが受け継いだ

信号待ちするCR-Z

かつて本記事では、次世代ハイブリッド(1.5L+i-DCD)や新型シビックのプラットフォーム、さらにはタイプRの設定によって、CR-Zが燃費と走りを磨いて2026年以降に帰ってくる——と予想していました。しかし現実には、その2代目は登場せず、価格280万〜450万円という当時の想定も成立しませんでした。

CR-Z

代わりにホンダは、2025年9月にプレリュードをe:HEVで24年ぶりに復活させ、「操る喜びと電動化の両立」というCR-Zの志を、より上級のスペシャリティスポーツとして形にしました。CR-Z自体の復活は、ファンの期待こそ根強いものの、SUVやミニバン全盛でクーペ需要が細り、衝突安全・環境規制で開発コストも膨らむ現状では、優先度を上げにくいというのが率直な見立てです。手の届く価格を保つのも難しく、公式の沈黙が続くのはそうした事情の裏返しとも言えます。とはいえ、EVや次世代e:HEVが成熟すれば、往年の名を再びまとうモデルが現れる可能性まで否定はできません。CR-Zという名の行方は、引き続き見守っていきたいところです。